《こころとハーモニーの講座フェルマータ》
~フェルマータは藤沢市の音楽教室です~
合唱・ピアノ・声楽・手話歌・音楽講座
♪プロフィール♪
フランツ・リストには
3人の子どもがいます。
長女がブランディーヌ
次女がコジマ
末っ子の長男はダニエルです。
そして今年は、
中でも彼の二人の娘たちとその母親について
時を順に追いながらそれぞれの心情を色々と
考えてみたいと思っています。
この三人の女性が求めていたものが何で
果たして彼女たちはそれを手に入れる事が
出来たのかどうかを知るためです。
(今回は久しぶりにリストの登場だね?
リストは生涯独身だったはずだけど
三人も子どもがいたのか・・
あっ、でも一人は有名だから知ってるよ。
ワーグナー夫人のコジマ)
有名なバイロイト音楽祭を
取り仕切ったあのコジマですよね。
ところで、
この二人の娘の年齢差は2歳なのですが、
でも、二人は表面的には同じ様に見えても
実は全く異なる環境で生まれ育ちました。
そして多分その事がこの二人の将来を大きく
変えていく事につながったと思っています。
(へ~、育て方が違っていたのかな?
気になる話だね!)
ではこのお話に入る前に先ず、
二人が生まれる前のお話から始めますね。
彼女たちの母親マリーの背負った人生が
この二人の人生にも大きく絡んでいく
からです。
リストと出会ったマリー
さて、この二人の母親であるマリーとは、
当時パリ社交界で「3大美人の中の一人」と
言われていたマリー・ダグー伯爵夫人です。
そして後に彼女は、
ダニエル・ステルンというペンネームで
作家兼ジャーナリストになって、
パリ中で活躍する事になります。
彼女の父親はフランクフルトで実力派と
言われた著名な銀行家で意志の強い独人、
母親は仏の元々は大ブルジョア家出身の
当時没落しかけの貴族の娘だったそうです。
つまり、この両親の婚姻は典型的な家同士の
ご都合結婚で、でもそのお蔭で彼女は
フランス子爵家の血筋を引く大銀行家の令嬢
として育ち、22歳を過ぎた頃には彼女もまた
自分の両親同様に家同士の都合によって
彼女より20歳年上の騎士隊仕官ダグー伯爵と
決められた結婚をする運命にありました。
当時のヨーロッパ貴族たちは、
自分の家を守る事が何より最優先だった為
婚姻のほとんどがその為の大事な手段であり
結婚自体もこの様に計画された愛のない儀式
みたいなものになっていましたから、
彼女も皆と同じ様にこの慣習に従っただけ
という事になります。
ただ、
そんな彼女には他の一般の貴族の娘たちと
一つだけ異なっていた事がありました。
それは、彼女が10歳を過ぎた頃から6年間
ドイツのサクレ・クール修道院で育っていた
ということです。
毎日華やかな社交界に明け暮れ
育児になど全く手が回らなかった両親は、
自分の子どもを何処かに預けようと
父親は知り合いの修道院に頼み込んで
「社交界デビュー出来る年齢になるまで
マリーを躾けて欲しい」と頼んだのです。
この事が将来の彼女の人生を変える
大きな基盤となります。
彼女はパリから遠く離れた静かな環境の中で
黙々と多くの本を読んでは修道士から歴史や
芸術等を学び、他にも修道院に通う教師たち
から語学等様々な学問を学ぶ機会が与えられ
彼女はここで熱心に自分の教養を高める事に
邁進出来ていたからです。
さて、そんな過程を経て育った彼女でしたが
運命の時、22歳になると親が決めた通りに
ダグー伯爵と結婚し二人の娘を出産します。
でも、彼女にとってこの新しい生活環境は
あまりにも満たされない苦痛な物でした。
夫ダグー伯爵は文学や芸術に何の関心もなく
それどころか、あまりにも歳が離れていた
せいか、彼女にも全く理解を示さなかった
からです。
(人生で一番夢が膨らむ時なのに・・
そもそも20歳も歳が離れたダグー伯爵と
会って直ぐ結婚だなんて無理があるんだよ
当時それが当たり前の事だったって言っても
話す話題すらない毎日は辛いよなぁ・・)
彼女はその不満をサロンで発散するように
なっていきます。
歌って踊って大笑いするのよ・・
両親から愛されて育てられたわけでもなく、
期待した夫は自分に関心すら持ってくれず、
元々好奇心が強く情熱的だったマリーは
胸を刺す様な寂しさを紛らわせるために
自分の邸宅を芸術家や貴族達の集まるサロン
に変えて、自らはパリ社交界の花形となって
毎日を過ごす様になっていきました。
さて、このサロンに呼ばれる招待客リストは
彼女の指向に合わせて文学や芸術に関わる
当時パリで有名な作家や芸術家の名ばかりが
連なっており、
音楽家リストの中のトップには、
当時大活躍中のベルリオーズがいました。
そしてある晩、
今日は素晴らしい客を連れてきた。
今パリで人気の美貌ピアニストさ。
今宵は若い彼の演奏に酔いしれよう!
と、ベルリオーズがマリーのサロンに
たまたま連れてきたのが、このところパリの
サロン界隈で噂になり始めていた21歳の
ハンガリー人の美貌ピアニスト兼作曲家
フランツ・リストだったのです。
これが二人の衝撃的な出会いの瞬間でした。
この時27歳だったマリーはこの後間もなく
自分より6歳も年下のこの若手ピアニストと
恋に落ちる事になります。
もともとは文学や芸術の世界に憧れて育ち、
知的好奇心も旺盛な彼女でしたから、
嫉妬と羨望と競争心が渦巻くだけの退屈な
サロン界は、自分で始めた事とは言っても
実のところは、かなり嫌気がさし始めていて
突如現れたこのハンガリー人のピアニストの
力強く情熱的な演奏を聴く度、彼女は彼に
どんどん魅かれていってしまったのです。
ところで、彼女の様に上流貴族の婦人たちが
夫以外の男性に恋愛感情を抱く事自体は、
当時貴族の間ではよくある事の一つでした。
望まぬ結婚をさせられた彼女達にとって、
恋愛は唯一胸がときめく内緒の楽しみであり
刺激的でスリリングな冒険だったからです。
とは言え、それはあくまでも『恋愛ゲーム』
の域までであって、本気になってしまう事は
勿論当時でも許されてはいませんでした。
でもマリーは、とんでもないことに
本気でリストを愛してしまうのです・・・
きっと神の戒めが起きるわ・・・
彼女の予感は見事に的中してしまいます。
それから間もなくして、恐ろしい不幸が
彼女を襲う事になるのです。
彼女がリストと出会って恋をしたその翌年
突然彼女の娘ルイーズが謎の病にかかり、
しかも、数日後には彼女の腕の中で
息を引き取ってしまったのです。
こんな残酷な戒めが下るなんて・・
(哀しい話だね・・
でも、これでマリーはリストと別れる事を
決意をするの?)
知性にあふれプライドも高く、
いつもは冷静に振舞えていたマリーでも、
この時の悲しみには頭が混乱してしまい
とにかく今の生活から一刻も早く逃げたい!
と、彼女は咄嗟に決断してしまいました。
・・・多分、
今逃げればこの辛い悲しみから逃れられると
思い込んでしまったのだと思います。
とにかく遠くへ、遠くへ行きたい!
そんな必死な彼女をサポートしたのが
リストです。
マリーとリストは自分たちの全てを捨てて
二人でスイスへと逃避行してしまうのです。
(逆だったのか・・)
実際には、
残されているどの記録を見てみても
マリーの事はあまり良くは書かれて
いません。
夫のある身で、娘を亡くしたにもかかわらず
6歳も年下の異国人と家を飛び出していって
しまったのですから・・
でも、道徳的には大きな問題ありの彼女でも
それでも敢えて彼女サイドに立ってみるなら
これまでの彼女の人生の中で、
彼女が何かを信じて生きていく事を
学べていなかった事だけは本人の罪では
ありません。
両親からは愛情をもらえず
遠い異国の修道院にひとり預けられて
年頃になってやっと両親の居るパリに戻るも
直ぐに親ほども年の離れた知らない男性と
結婚させられて、
そこでまた自分には関心も持ってもらえない
孤独な生活を強いられていたのですから、
何かを信じるという言葉自体、
そもそも彼女には無縁のものだったのです。
ところで、
信じると言う言葉の真意って
どういう事なのでしょう?
ある人は、
信じる事は安心する事と似ている
と話しています。
親の愛に包まれて育った子どもたちは
疑う事なく親を信じて生きていきますし、
もし自分の家が一番安心する場所ならば
きっと家族を信じて生きていけるからです。
では、マリーの様に
心から安心出来る場を
まだ知らなかった場合には
どうなのでしょう?
当然これまでの人生では、
安心という言葉の意味すらわからずに
生きてきた訳ですから、
「自分は何を信じて生きたらいいの?」と、
きっととても悩んでいたはずです。
人は、何かを信じる体験から
受け入れるという事を学び、
それがやがては、
自分を受け入れる事へと
つながっていきます。
マリーにとってパリはとても
居心地の悪い場所でした。
彼女は自分が誰にも受け入れられていない
事をずっと感じていたからです。
だから、もしかしたらマリーは本能で、
自分が信じられるもの探しがしたくて
パリを捨て遠い地へと飛び出していった
のかもしれません。
・・いつの日か、
自分で自分を受け入れられる事ができる様に
なりたいと心の中で強く願いながら・・
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