ある派遣の青年が、仕事中にケガをして、頭から血を流しているのに、会社側は青年に対して、「君には選択肢が3つある。1つは自分で歩いて病院に行く。2つは会社にある薬を自分で塗る。3つは会社の車で病院に行く。ただし仕事が終わる4時間後だ」と言ったそうです。派遣労働者が仕事中にどんなにひどいケガをしても労災(労働災害)を隠蔽したいがため、絶対に救急車を呼ばないというのがまかりとおっているそうです。また、「労災をつかえば仕事がなくなるぞ」など労災隠蔽の脅しも日常茶飯事。(「人間をボロ雑巾のように使い捨てる派遣法」)
「立場の弱い、物言えぬ者に対するセクハラ・パワハラ・暴力が横行する」「倉庫に派遣されたら、上から荷袋が落ちてきたり、冷蔵倉庫にスニーカーで入らされ凍傷になったり」「鉄板が入った安全靴で足首を蹴られたり、太ももの上部を大きなボルトで突かれたり」、製造業の派遣現場では「暴力がともなう労務管理」がなされているのです。間接雇用とは、職場の正社員にとって、別の派遣会社の社員である派遣労働者はどこの誰だかわからないということである。そして派遣労働者はすぐにいなくなる。そこから匿名的な人間関係が成立するようになる。派遣労働者は働く現場で、「派遣さん」、さらには「おい、そこの派遣」と呼ばれる。派遣職場では、職場の同僚・働く仲間という意識が喪失してしまった。人間についている「誰々さん」という固有名詞は、その人の個性や人格と結びついている。匿名化されてしまった人間は人格を無視された単なる「道具」でしかない。(「現代の派遣奴隷制が若者を襲う~人格の否定、支配的な強制労働、暴力による労務管理」)
こうした「派遣奴隷」のような状況は、リーマンショック時の「派遣切り」の嵐が吹き荒れた昔の話などではありません。直近でも奴隷並みの扱いを受ける中高年の派遣労働のブラックすぎる実態の体験ルポなどを見れば同様の状況が引き続いていることが分かります。
そして、派遣労働者が過酷な労働実態にあることを示すデータがあります。下のグラフにあるように、製造業における派遣労働者の労働災害発生割合は、正社員の2.52倍も高いのです。
人格の否定、商品としての売買、支配的な強制労働という特徴が含まれる「派遣奴隷」。匿名化された扱い、労働者をリースのように転がしていく商売、絶対的な指揮命令権、「生涯派遣奴隷」となる今回の派遣法改悪法案は廃案にすべきです。
最後に、嶋崎量弁護士が、「派遣労働者の声を聴け!~当事者の声を無視した派遣法改悪の採決は許されません~」の中で呼びかけている「私たちみんなが出来ること(2つ)」がとても大事になっていますので紹介しておきます。
私たちみんなが出来ること(2つ)
1つは、記事でご紹介した、派遣労働者の方々への緊急アンケートへのご協力です(派遣労働者の皆さん)。
是非、ご協力ください。
【派遣労働者の皆様へ】★緊急アンケート★派遣で働く労働者の不安を国会議員にぶつけるためのアクション
2つめは、改悪案が成立してしまうかのキャスティングボードを握っている維新の党へ、私たちの声を届けることです。
下記URLのフォームから声を届けられるようです。
これは、誰もができるアクションです。
ご意見・ご質問
みんなで、国会に声を届けていきましょう!
▼参考
派遣労働者300人の声「アンケート回答者のほぼすべてが派遣法改正に反対」
佐々木亮弁護士「与党が派遣法案の成立を急ぐ理由はこれだ!~違法派遣の合法化~」