国家公務員は民間より給与が低い上に一人当たりの仕事の負荷が世界で最も大きい | すくらむ

すくらむ

国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。


すくらむ-19-1


 上の表は、国家公務員と民間正規労働者の年間給与を比較したものです。国家公務員の年間給与は、『人事院月報』(2010年9月号No.733)の111ページに掲載されている国家公務員[行政職(一)]の2009年の年間給与で、すべての手当が含まれた額です。民間正規労働者の年間給与は、厚生労働省統計情報部編『賃金センサス――平成21年賃金構造基本統計調査』(※最新の統計です)の4ページに掲載されている2009年の民間企業(全産業)の正規労働者の残業代を一切含まない年間の所定内給与額です。


 年齢区分が違いますが、国家公務員25歳の年間給与285万2000円に対して、民間労働者20~24歳は291万5700円ですから、国家公務員の方が年間給与は低いですし、国家公務員50歳の715万4000円に対して、民間労働者45~49歳813万4800円ですから、国家公務員の方が低くなっています。すべての年齢層において、国家公務員の方が民間労働者より低い年間給与になっています。


 「そんなはずはないっ! 国家公務員は残業代をたくさんもらっているのだっ!」と主張される方には、過去エントリー「霞が関の国家公務員2千人が過労死の危険、残業代不払い34億円」 をお読みください。


 それから、みんなの党などが、国税庁の「民間給与実態統計調査」の結果をもって、公務員の給与が法外に高いなどと主張していますが、国税庁の調査は、パートやアルバイトなど非正規雇用の労働者も含まれた調査ですので、とても低い数字となります。比較できない中身の違う調査をもってくること自体が間違っているのです。(※もしどうしても比較したいというのなら、公務の職場にも劣悪な官製ワーキングプア状態に置かれている非正規労働が多くなっていますので[職場によっては半数以上が非正規雇用労働者というところもあります]そうした実態をきちんと含めて比べるべきでしょう)

すくらむ-19-2


 上のグラフは、「社会実情データ図録」に掲載されいる「OECD諸国の公務員給与水準」 です。グラフの解説のところには、「データから見ると、日本の公務員数は労働力人口との対比で最少なので、日本の政府サービスの範囲が他国並みの大きさであるとすると、日本の公務員は『少数精鋭』あるいは『政府サービス実施のための一人当たりの負荷が大きい』と考えることも可能であるが、だからといって以上のように給与水準が世界と比べて高いわけでもなさそうである。この図は日本の公務員が公務員以外と比較して恵まれているかどうかを示したものではない。日本の公務員が給与的に恵まれているとしたら、それでも、海外の公務員が恵まれている程度以上ではないことを示しているのである」と書かれています。(※「少数精鋭」であることは、過去エントリー「主要23カ国で日本の公務員人件費は最低 - 国家公務員数はフランスの10分の1以下」 でもすでに指摘しているところです)


 これらのことから、日本の公務員の特徴は以下となります。


 ① 日本の公務員はOECD諸国の中で最も「少数精鋭」で「一人当たりの仕事の負荷が最も大きい」


 ② OECD諸国の中で、日本の公務員は「一人当たりの仕事の負荷が最も大きい」が、「給与は恵まれていない」


 ③ 日本の国家公務員は、日本の民間労働者と比較しても「給与は恵まれていない」


 ★合わせてお読みください。→「国家公務員給与10%削減でGDP3兆円減少しデフレ加速する」


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)


 《追伸》 城繁幸さんが「公務員の賃金をいくら引き下げても構わない理由」 と題して、すくらむブログの前のエントリー「政府の国家公務員給与10%削減は震災復興を妨げ財政を悪化させ貧困を深刻化する」 を取り上げてくれています。城さん的には、「公務員の賃金をいくら引き下げても構わない理由」=「民間労働者の賃金をいくら引き下げても構わない理由」ということでしょうから、公務・民間を問わず、働くものの暮らしのリアルや、日本の貧困問題のリアルを一切見ようとしてない(もしくは眼中に一切無い)城繁幸さんらしい物言いだと思います。労働問題を考える際には、湯浅誠さんが指摘されているようなことをきちんと見ていくことが必要だと私は思います。そうでなければ、湯浅誠さんが言われるように「日本社会はもちません」。[参照→※希望のもてる社会へ-全員参加型のワーク・ライフ・ウェルフェア・バランスが必要(湯浅誠さん)