1989年8月27日ー富士山の高さは「ミナナロ」-
「ミナナロ」
なんのことか知っているかい。
3776㍍。
富士山の高さだ。
これが、もう少しのところで、1㍍高く
なるところだった。
これまでの富士山の標高は
頂上の剣ヶ峰にある三角点を基準に
測られていた。正確には3775.6㍍。
標高は四捨五入されるので3776㍍
ということになっている。
ところが最近、同じ剣ヶ峰にある気象庁の
測候所の土台の方が高いのではという
指摘があり、24日に測り直した。
そしたら、やはり60cm高かったという。
つまり正確には3776.2㍍。
しかし四捨五入すると3776㍍。
結局、富士山はこれまで通り「ミナナロ」。
残念だった。
けれども標高はかなりいい加減。
福島の燧ケ岳などは実際より
10㍍も低かった。
1989年8月26日ー歌は世に連れ、世は歌に連れー
歌謡曲のことを、よくこういう。
「歌は世に連れ、世は歌に連れ」
意味は、
歌(歌詞)は世の中の動きに
従って変わり、世の中も歌の移り変わりの
影響をうけて変わる
ということ。
つまり「歌は時代を映す鏡」といえば
いいだろう。
ある広告会社が昭和のヒット歌謡曲2700曲
の歌詞を分析した。
使用数の多い単語は「あなた」「夜」「恋」。
色は赤、青。英語の単語は「ユー」「ラブ」
「ミー」「ベイビー」。
年代別では終戦直後から高度成長期までが
「おれ」「男」、個性の時代の40年代には
「あなた」「私」「ひとり」。
女性の社会進出に合わせるかのように
「女」も十位以内に入ってくる。
60年代には「夢」「男」「風」が上位に返り咲き、
復古調になるという。
1989年8月25日ー尺八の曲も積んでいるボイジャー2号ー
この前も書いたように、アメリカの
無人惑星探査機「ボイジャー2号」が
日本時間のきょう25日午後1時、
海王星に4850キロまで最接近する。
海王星は9つの太陽系惑星のひとつ。
この前は冥王星が最も遠いといったが、
いまは、冥王星の軌道が海王星の
内側に入っており、海王星が一番外側
を通っている。
太陽からの距離は地球に比べ約30倍も離れている。
だから今の温度は零下220度。
だから、生物は、まずいないといっていい。
しかし、ボイジャーは、すでに、これまで
2つと思われていた“月”が4つあることを確認、
またリングもみつけている。
となると、ひょっとすると生物もいるのかもしれない。
このため、ボイジャーは60ヶ国語のあいさつのほか、
バッハ協奏などを入れたディスクを積んでいる。
その中には日本の尺八の曲も入っているそうだ。
“海王人”はいるかな。
【関連記事】
1989年8月24日ー同じ運命をだとっだアダムソン夫妻ー
どのように素晴らしいことをした人でも、
その死は、しばしば悲劇的である。
だが、夫婦が、同じ運命をたどることは少ない。
ジョイ・アダムソンと夫のジョージ・アダムソンは、
そうした数少ない悲劇の夫婦だった。
ジョイ・アダムソン女史は、
例の野生のエルザ の著者。
幼いライオンを育て、ついには野生に戻して
やる人とライオンとの心温める交情を
描いた動物学者だ。
9年前の1980年1月、キャンプで使用人と
金銭上のトラブルで射殺された。
そして今度は夫のジョージ。
20日、ケニアの動物保護区で強盗団に
襲われ撃ち殺された。
妻は70歳、夫は83歳。
研究や動物保護を使命のようにして
ケニアに来ている白人に対する現地の人の
反発は強い。少しえらぶったところもあるの
だろう。夫婦はライオンの心はつかめても、
現地の人の心はつかめなかった。
1989年8月23日ー影にまつわる季語ー
俳句の季語は、意外に厳密で、
勘で使うととんだ間違いをする。
たとえば、夏の木の影。
緑陰は、初夏から晩夏まで使える。
しかし、日陰、夏陰、夏木陰、片かげり、
片陰となると、すべて晩夏に限られている。
多分、影は、真夏には太陽が真上にくるので、
正午なんかは、ほとんど影がない。
それが夏も終わりになるにつれ、次第に
長くなっていく。
だから人々は、影に季節を感じる。
それが特に季語として、様々な言葉ができ、
使う時期も限定されるようになったのだろう。
ちなみに、東京で正午に1㍍の棒の影の
長さを計ってみると、こうなる。
6月21日 20cm
7月23日 27cm
8月23日 44cm
9月13日 70cm
きょうは処暑。
暑さが止むと言う意味だ。
1989年8月22日ージャネット・エバンスとアメリカの大学入学制度ー
ジャネット・エバンス。
日本で行われたパンパシフィック水泳選手権で
800㍍自由形をはじめ4種類に優勝したあの女性だ。
18歳(この28日で)。
800㍍では、最後のころになると米国チームは
口笛を鳴らし、コーチは踊るようにしてプールサイド
を走り、場内は大歓声につつまれた。
ジャネットは、泳ぎながら、このことを全部知っていた
という。すごいね。
向こうは9月入学。
2週間後にはスタンフォード大の学生だ。
アメリカの大学に入るにはSATと呼ばれる
共通試験(といっても日本と違い年に3回、
そのうち一番成績のよいものを大学に出す)
を受け、あとは大学が様々な角度から評価して
合格者を決める。
それには勉強以外に何ができるかがものをいう。
○○○ちゃんもアメリカの大学を受けるなら、
水泳にもっと力を入れるといいよ。
2012年8月
昔、トム・クルーズの卒業白書 という映画をみたとき、
娼婦と開いたパーティーにプリンストン大学の調査員が
やってくる場面があった。どういうことが疑問に思ったこと
があったが。
アメリカの大学入学は学力だけでは入れないし、
学力がイマイチでも他に才能があれば入れる。
日本では、大学出ていても社会で通用しない場合多い。
私も、会社に入りたての頃は、専門学生の方が
仕事ができるし、役にたっているのではと
悩んだ時期もあった。
日本の大学は、9月入学よりも他に、やることがあるような気がする。
1989年8月21日-「頑張る」の語源ー
日本人が、好んで使う言葉の一つに、
こんなのがある。
「ガンバレ!」
「頑張る」
この言葉の語源は「目張る」、つまり目を
大きく見開いて監視する。あるいは「我を張る」
のどちらかだといわれる。
どちらも、いま使われる意味とは少し違う。
昭和42年8月17日、90歳で死んだ言語学者
新村 出(しんむら・いずる)によると、
「頑張る」が好んで使われ出したのは、
どうも、日清、日露の戦争あたりからだという。
つまり、日本が軍国主義の道を歩み
だしたころだ。
だから、余りほめた言葉ではない。
いまではスポーツなどで「ガンバレ!」の
かわりに「ファイト!(戦え)」と叫ぶ。
これはジャバニーズ英語。
英米人には通じない。
日本人は「戦う」ことが好きなんだ。
2012年8月
今では、戦うどころか自分の国も守れない
国になってしまったけど・・・。
1989年8月20日ーリニアモーターカーと夢の超音速旅客機ー
日本では、東京と大阪を一時間で結ぶ
“夢の新幹線”リニア・モーターカーの本格的な
実験場がようやく、山梨県に決まった。
アメリカでは、もっとケタが違う。
ニューヨークと東京を2時間で飛ぶ、
夢の超音速旅客機「オリエント・エクスプレス(特急)」
の研究が、いよいよ始まった。
研究の結果、実現可能となれば、
1993年に生産に踏み切るかどうかを決める。
そして今世紀中にもテスト飛行する。
同機は、通常の空港から水平飛行で離陸したあと、
大気圏と宇宙の境界付近を音速の25倍で飛ぶのだそうだ。
日本の“リニア新幹線”が実用化されるのも今世紀末。
東京、大阪を往復しているうちに、このエクスプレスは
ニューヨークに着く。
アメリカ留学も日帰りだ。
2012年8月
オリエント・エクスプレスの開発は中止されている
1989年8月19日ー「風と共に去りぬ」と続編ー
マーガレット・ミッチェル。
あの有名な「風と共に去りぬ」を書いた
アメリカの女流作家だ。
彼女が死んで、この16日がちょうど40年。
確か、映画が初封切りされて、ことしは
50年だったと思う。
「風と共に去りぬ」の最後の一行をかきおえてからは、
一切、小説を書かなかったが、1949年、48歳の若さで
交通事故にあって、なくなった。
来年には、この小説の続編が出る。
書いているのは、やはり女流作家のアレクサンドラ・リプリーさん。
ミッチェルさんのお兄さんがなくなる直前に、
ある出版社に続編の刊行を許可。
リプリーさんが、それを引き受けた。
続編の海賊版があふれるのを恐れた、お兄さんの
配慮だという。
ミッチェルさんの小説は
「トュモロー・イズ・アナザー・デイ」
(明日はまた新しい日が始める)
続編では、どんな日が始まるのだろうか。
2012年8月
続編は「スカーレット」
1989年8月18日ーテレビは第五の壁ー
テレビのことを「第五の壁」というのだそうだ。
ある新聞によると、これを言い出したのは
スイスのジャーナリストのワーナー・リンクスという人。
彼の著書第五の壁テレビ
には、こう書いてある。
火星人が、おしのびで地球にやってきて、
帰国した時、こう報告する。
「人間と称する地球上の生物は四つの壁の
中(家の中のこと)で大半の時間を過ごしている。
壁は固い皮膚に似ており、彼らを外界から
遮断している」
「私はさらに第五の壁を発見した。
これは四つの壁のどれよりも小さく、不透明
なガラスでおおわれている。この壁からは
男女や子供たちが光のように現れ、あなたを
じっと見て話しかける。この明るい壁は人間と
称する地球人と同じように語り、むせび泣く」
宮崎のへやは、“第五の壁”しかなかった。