瀬尾まいこさんの小説『その扉をたたく音』を読み終えました。
初出は「小説すばる」の2020年3月~8月号で、2021年2月に単行本発刊、2023年11月に文庫本化された作品です。
2019年度の本屋大賞を受賞された「そして、バトンは渡された」で瀬尾さんのファンとなり、「傑作はまだ」、「春、戻る」、「君が夏を走らせる」、「あと少し、もう少し」、「僕らのごはんは明日で待ってる」、戸村飯店 青春100連発」、「夜明けのすべて」と読んできたので、これが9作品目となります。
いた、天才が。
あの音はきっと、俺を今いる場所から引っ張り出してくれる。
29歳無職の「ぼんくら」な俺、サックスの「神様」、個性豊かな「じいさん」「ばあさん」。
音楽が彩る、大人の青春小説。
ミュージシャンの夢を捨てきれず、親からの仕送りで怠惰に暮らす、29歳無職の宮路。
ある日、ギターの弾き語りに訪れた老人ホームで、神がかったサックスの音色を耳にする。
演奏していたのは年下の介護士・渡部だった。
「神様」に出会った興奮に突き動かされ、ホームに通うようになった宮路は「ぼんくら」と呼ばれながらも、入居者たちと親しくなっていき……。
音楽と人が奏でる、確かな希望の物語。
いままで読んできた瀬尾まいこさんの作品同様、本作もハートフルな話でした
ざっくり言うと、主人公の29歳無職の「ぼんくら」宮路が、老人ホームのじいさん・ばあさん、そしてサックスの「神様」渡部との交流を通じて、最後は自立をしようとするまでのストーリーです
紹介文に記載されているように「音楽が彩る、大人の青春小説」「音楽と人が奏でる、確かな希望の物語」という訳で正直、大いに感動するには至りませんでしたが、読み終えてホッとする作品でした。
また、登場人物の渡部が中学の時に美術の女性教師が顧問となった陸上部で駅伝に出場したというエピソードが綴られているんですが、この内容は以前読んだ「あと少し、もう少し」とリンクしているのではないか?と確認したらビンゴでした。「君が夏を走らせる」も「あと少し、もう少し」の登場人物の後日談だったし、こういうちょっとした仕込みがあるのも楽しかったです。
僕としては、瀬尾まいこさんの作品にハズレなしです