日本はこのまま衰退してしまうのか?
「未満足ニーズとは?」
の回で、「甘い物の苦手な男性に向けたスイーツ」という「未満足ニーズ」を獲得することでで、ターゲットユーザーを広げるという例をお話をしました。
今回からは、少しハードルは高くなってしまうかもしれませんが、「自分たちのコアコンピタンスで、新しい場所の未満足ニーズを開拓する」お話です。
日本はこれまで、電気製品や自動車を世界に輸出することで成長してきました。
が、その成長も止まり、この20年ほどは韓国・中国や東南アジア諸国にどんどん追いつかれてしまっているのは皆さんご承知のとおり。
私が身を置く業界も、状況は厳しくなるばかりです。
それでは、日本にはもうこれ以上の成長はないのでしょうか?
いいえ! 決してそんなことはありません。
今はただ、過去50年の間主役を張ってきた役者が年を取り、次の主役が登場するのを待つ「幕間」のようなものだと思っています。
無論、高度成長期のような経済全体のパイの拡大はもう、望むべくもないでしょう。
しかし、工業的な成長が止まっても、日本にはまだまだ世界に売るべき素晴らしいものがたくさんあるのです。
その時代を経てきた先輩国には、たとえば英国があります。
産業革命から20世紀の前半までは、英国は工業立国でした。
その後英国は工業的にはその地位を失いますが、その経済的な頂点を過ぎた後の‘60年代から‘70年代に、ビートルズやストーンズが出現してロックを誕生させ、パンクなどの独自のファッションを生み、‘80年代には「キャッツ」や「オペラ座の怪人」といったミュージカルを世界に発信しました。
私が英国で生活していたのはもう20年近く前で、その当時は日本経済は頂点を極め、衰退の英国とでは経済の勢いは比べるべくもありませんでしたが、そのオリジナルな文化を発信するパワーには圧倒的な差を感じました。
そして今、日本がちょうど、1960年代の「衰退の英国」の時代に入っています。
その時、英国はストーンズやクイーンを生みましたが、日本は今、何を生もうとしているのでしょうか?
実は、日本で生活をしている日本人は、残念ながらあまり意識をしていませんが、日本の「発信力」は今、とてつもなく大きくなりつつあるのです!
→次回 はもう少し具体的に、「これからの日本が売るべきものとは?」 です。
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ビジネスの金鉱脈を見つける「エスノグラフィックインタビュー」
前回「フォーカスグループインタビューの留意点」
であげた課題。
FGIという手法には、
・参加者が「空気を読んで」しまうために、個人の本音が引き出しにくい
・そもそも、別な場所で別のときに「あの商品を選んだのはなぜ?」「使っていてどこが不便?」などと聞かれても、明確な意識のない行動なので、覚えてもおらず説明できない。
といった限界があるとしたら、カスタマーインサイトを引き出すためにはどうすれば効果的なのでしょうか?
私がもっとも実施しやすくて効果的だと思っているのが、エスノグラフィー(観察法)とインタビューを組み合わせて同時に行う方法です。
これを私は「エスノグラフィックインタビュー」と呼んでいるのですが、このブログに書くにあたってこの言葉でググってみたら3件ヒットしましたので、すでに使われている言葉のようですね。
これは、「ユーザーが商品を使っている場」にお邪魔して、実際に使ってもらって、その様子を観察しながらインタビューをしていくというものです。
ほとんど無意識に行っていてあとで思い出すことができない行動でも、その場で聞かれれば、「どうしてそうしたのか」とか、「それにどう感じているのか」を言葉にすることができます。
また、買い物をするときに「なぜそれを手に取ったのか?」「いくつか迷った後に、最終的にそれに決めたのはなぜか?」など、後で聞かれても覚えていないようなことでも、その場で聞かれれば答えられます。
たとえば、別な場所で別な時に「毎日歯を磨くときにどう思うか?」とか「どうしてその歯ブラシを選んだのか?」などと聞かれても全く思い出すことすらできないのが普通です。
しかし、実際に歯を磨いている時に聞かれれば、あるいはスーパーで実際に歯ブラシを選んでいる瞬間に聞かれれば、その時に感じたことを言葉にできます。
そして、そこを掘り進めていくことで「カスタマーインサイト」 を発見し、その奥に潜む「未満足ニーズ」という金鉱脈にたどりつくことができるのです。
↑ムンバイ(インド)でユーザー宅にお邪魔させていただきインタビュー。
↑サンパウロ(ブラジル)でのお宅訪問
↑テヘラン(イラン)で語学学校の授業を観察させていただく。
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ビジネスの金鉱脈の見つけ方 フォーカスグループインタビュー(FGI)の留意点
「未満足ニーズを発見する方法」
の回でその手法としてあげたフォーカスグループインタビュー(FGI)は、想定されるターゲット顧客の属性の人を数人(5-10名程度)集めて、その商品について、普段どう使っているのかや、選ぶときの基準などをインタビューで聞き出していくことによって、顧客の考え方を知る手段です。
カスタマーインサイトを引き出すため方法として広く使われている方法ではありますが、いくつかの留意点があります。
まず最大の問題点が、参加者が「空気を読んで」しまうことです。
誰か一人の人が「こうだよね!」と言い始めると、ほかの人も「そうだ、そうだ」となってしまい、なかなか「場の空気」とは違うことを言い出すことができなくなってしまうということ。
「議論をまとめる」ことが目的ではないといくら最初にことわっても、ついそうしてしまうんですね。特に日本人は「和」を大切にするために、そうなりやすい傾向があります。
これに対しては、ファシリテーター(司会者)はなるべく違う意見を引き出すように仕向けることが必要です。
さらにハーバードビジネススクールのザルトマン教授には、フォーカスグループインタビューは「科学的ではない」とまで言われてしまっています。
なぜなら、人の行動はその95%までが「無意識」に支配されており、人を集めて「その商品をなぜ買ったのか?」などということを聞き出そうとしても、論理的に説明などできる理由などはなくその場の「気分」で決めているので、あとから聞いても忘れてしまっている、というのです。
確かに私の経験でも、FGIはうまく聞き出せれば有効だけど、なかなかうまく聞き出せないことも多い、という感じでしょうか。
↑FGIを専門業者に頼むと、このような専用の部屋で行います。インタビューが行われるのはリラックスできるような普通の部屋ですが、マジックミラーで隣の部屋から様子が見えて声が聞こえるようになっています。(写真は筆者がマレーシアでFGIを行ったときのもの)
クアラルンプールでのFGIの様子。
背中を向けているのがファシリテーターで、このときの商品のターゲットユーザーである大学生を9人集めて行いました。
ワルシャワで行ったFGIの様子。
マジックミラー越しに撮ったので画像が暗いですが。
マーケティングのアプローチとしては脳科学的・心理学的にとても学術的で、ホネのあるとても面白い本です。
ただしちょっとホネがありすぎて、この手法を使いこなすのはちょっとハードルは高いかもしれませんが。。。
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