微笑シリーズ。おれの話はじめパターンの2、オチパターンの3
『最近焦ったことある?』
「焦った?そうだなあ」
『おれさ、少し前にマックに言ったんだよ』
「おれの話聞く気ないなら質問しないでくれるかな。おれはお前の恋人じゃないから、そういうこと普通にされると、痛めに殴るよ」
『ハンバーガー食いたくなっちゃって』
「なっちゃったか」
『マックに行ったんですよ。昔はバーキン派だったんだけど、ほら』
「なに」
『ハンバーガー食いたくなっちゃって』
「それは聞いたよ。今はマックとバーガーキングの問題だろ!もっといえばバーキンは撤退しちゃったからってことだろ?」
『そうだけどなんかさ』
「なんだよ」
『歩いてたらハンバーガー食いたくなっちゃって』
「ハンバーガー食いたくなっちゃってって言いたいだけかよ」
『本当に、ハンバーガー食っちゃって』
「食っちゃったよ。ハンバーガー食べたくなったと思ったらもう食っちゃったよ」
『当たり前だろ』
「そうだけど!」
『お前、ハンバーガー食いたくなっちゃったらハンバーガー食うだろ。ハンバーガー食いたくなっちゃったからわらび餅食っちゃう奴なんかいないだろ』
「そうなんだけど、話の展開的にさ、食ってるときの話なのか?」
『食い終わっちゃって』
「終わっちゃった」
『久しぶりに食ったらうまかったなとか言っちゃって』
「そうですか」
『そのハンバーガーを買った時の話なんだけど』
「もう食い終わっちゃってるのに!?ハンバーガーもう食っちゃったのに話戻るのかよ」
『シンプルなさ、普通のハンバーガー頼んだんですよ。マックバーガー』
「ほお」
『マックバーガーひとつ下さい、ってすました顔で言っちゃって』
「まあ普通すました顔でそう言うだろ。他にどんな顔でなんて言うんだよ」
『でたよ、でた』
「なんだよ」
『そうやってお前はおれの仕事量を増やそうとする』
「はあ!?」
『それっておれに何かボケろの合図なんだろ?』
「そうですけど、言わなくていいだろ」
『なんですか?時代はワンアンサーワンラフですか?そんなもの私認めませんよ』
「時代もなにも認める認めないもなにも、そういうもんだろ」
『流行るわけがない』
「流行ってるよ!ていうか基本それが普通なんだよ」
『そんなのつまんなーい』
「どんな声出してんだよ。アニメ声か。今のお前のがつまらねえよ」
『ふられたからボケる。そんなのおもしろいですか?』
「おもしろいだろ。ていうかおもしろくするんだよ」
『ワンアンサーワンラフの時点でワンバーガープリーズって言わなきゃならないってことですか?』
「言わなきゃならないことはないけども」
『どっちだよあやふやな言い方しやがって!』
「それで笑いが取れると判断した時は言えってことだよ!」
『なまものってことですか』
「そうだよなまものだよ。深夜聞くと笑えるけど昼間に聞くとつまらない話っつうかテンションあるだろ」
『また!またですか!』
「なに!?」
『そうやってお前はおれの』
「ああもうわかったよ」
『だいたいお前が無理難題をふっかけてくるから悪い』
「悪くなっちゃったよ。そんなか?どんな顔でなんて言うかってそんな無理難題か?」
『なにひとつ思いつきもしないよ』
「思いつかないから逃げてたのかよさっきのやりとりは。ひとつぐらい思いつけよ」
『深夜だけ笑える話なんて、一生考えても思いつく気がしねえよ。ていうか、おもしろい話なんておれにはどだい無理な話なんだよ』
「じゃあなんで今お前こんなことしてんだよ」
『怒ってるんだよ!』
「はあ!?」
『このつまらない世の中に怒ってんだよ!』
「壮大なことをまたねえ、高杉晋作の辞世の句みたいなこと言っちゃって、おもしろき、こともなき世を、おもしろく、みたいな」
『これもあれだからね。お前みたいにあやふやではっきりしない人間が詠むと、おもしろくないこともない世をおもしろくになっちゃうから。どっちだよ!ってなっちゃう』
「ならねえよ。お前はなにをつまらないって言ってんだよ」
『あれだからね。本人達はどう思ってるか知らないけど』
「本人達?」
『ファミレスで友達としてるお前らの話は九分九里つまらないからね?』
「本人達だなんて言うからてっきり政治家のことだと思ってたら、一般人のファミレス話かよ!そんなものに怒ってたのかよ。あれはお前、別につまらなくてもいいんだよ」
『よくないだろ』
「いいんだよ!本人達は笑ってんだろ」
『聞いてるこっちはムカムカしてんだよ!』
「聞かなきゃいいだろ!」
『あいつらあれだぜ?笑いの教科書に載ってないポイントで、日常会話にプールに一滴醤油垂らしたぐらいの濃さのよくわからないギャグを放りこんだ話で笑ってるぜ?』
「ほっとけよ!とりあえず笑って茶を濁してることだってあるだろ!」
『なんなら笑いっぱなしだぜ?日本は終わってる』
「だから気にすんなって」
『そんなに友達との他愛ない話はおもしろいのですか!?』
「それはおもしろいだろ」
『だったらおれに笑いを求めないでずっと友達と話してりゃいいだろ!』
「誰もお前に求めてねえよ。何と戦ってんだお前は」
『そいつらが笑いそうな話なんかこっちは話せねえよ』
「レベル落とさなきゃならないからとかか?」
『いや、そんな程度の話もこっちは思いつかないからね!』
「なんも思いつかないのな」
『ぎゃはぎゃは楽しそうに笑ってよう』
「ファミレスで?」
『ファミレスで。楽しそうに笑ってよう。なんか変な甘いもの食っちゃって。変な甘いもの食っちゃって』
「変な甘いものってなんだよ。食っちゃってって言いたいだけだろ」
『ぎゃはぎゃは笑って甘いもの食っちゃって。幸せかお前らは』
「幸せなんだよ多分」
『今回私が提案するマニフェストはこちら』
「あ、太田総理」
『ギャツビーのCMは偽装表示してるから即刻打ち止めにします!』
「また強引に脈絡なく舵をきったな。ギャツビーがなに?」
『ギャツビーつけてかっこつけてって』
「ギャツビーのキャッチコピーがどうした」
『ギャツビーつけてかっこつけてって。世の中ギャツビーつけてもかっこつかない人がほとんどでしょ』
「そうですか」
『まあおれはかっこつく人ですけど』
「まずもってお前坊主じゃねえかよ」
『かっこつくことキムタク以上ですからね』
「ただいつもより頭がちょっとテカるだけじゃねえのか。油坊主になるだけだよ」
『しかし、これは不当な広告なんですよ!どうなってるんですか!』
「そうですか」
『なんだよ』
「いや、そろそろ話を戻さないとなと」
『ああ、ハンバーガー買って、袋いりますか?って聞かれたから、ああ、持ち帰り希望だったからね、だからおれ外側の袋あのビニール袋のことだと思っていらないって答えたんだよ。ハンバーガー一個だからね。そしたらスマイルゼロ円な店員に笑顔でハンバーガーを素のままポンと、はいって、あの剥いたら即ハンバーガーの状態で渡されてすごく焦ったって話だったっけ?』
「へえ、そんなことになるんだね。ていうか言っちゃったよね全部」
『そう?じゃあやり直す?』
「できないだろ。そんでお前はどうしたんだよ。ポンと渡されてどうしたんだよ」
『そのまま何事もなかったかのようにすっとかばんに入れたよ』
「かばんに入れたのかよ」
『入れないで手に持ったままお持ち帰りしろと言うのか?』
「ああ、かばん入れるか。手にハンバーガー一個持って町をうろついてる奴ってあんまり見かけないからな」
『テリヤキとかじゃなかったし』
「垂れる汁の心配はなかったと。でも袋ぐらい貰えばいいだろ」
『いや、いりませんって言っちゃったから、言い放ってるから』
「でも」
『お前なあ、すました顔で自信満々にいりませんって言ったおれの身にもなってみろよ』
「まあ、うーん、確かに、やっぱり袋くださいとは言いづらいか」
『おれが言いたいのはそんなことじゃねえよ』
「違うのかよ、びっくりだ」
『あれは洗脳のテクニックなんだよ』
「はあ!?」
『相手に選ばせるんだよ。こっちとあっちどっちがいい?って。こう訊かれると本当はどっちもいらないって選択もあるのに、視界が狭まってこっちとあっちの二択になっちゃう。そして大半はこっち有利の不平等な二択になってて、そうすると選んだ側は自分で選んだんだって意識があるから、盲信的思考になる。こっちは本物なんだってな具合に思い込んで自分を守る。たとえば興味ない男ふたりから、おれとあいつどっちか選べ、って言われたら、ふたりとも興味ないんだけど選んじゃう人がいる。私がこの人を選んだってなって、選んだ自分を損させないように、愛さなくちゃいけないだなんて深層で思っちゃう。まあ少し雑なたとえだけど、どっちかっつったらおれとあいつどっちがタイプ?とか順をおって訊いて相手に選ばせていくと、その気なんてなかったのにその気があったかのようになってきちゃう。相手に選ばせるんだよ。どっちも駄目って選択がなくなってきちゃう。前提がおかしいことに気がつかない。既成事実効果みたいなもんよ。ヤリチンの大半はうまいぐあいに相手に選ばせてるからね。相手に選ばせる、すなわち、自分が選ぶってことは実は怖いことなんだ
。この世で一番信じちゃいけないのは自分自身なんだよ。このハンバーガーの袋の話もそうで、おれはいらないって既に選択しちゃってるわけだから。いやいや、常識的に考えて持ち帰りっつってんだから紙袋はいるだろ姉ちゃんよおとは言わない。というか思いもしない。たとえば、その店員が牛だったとする。牛鬼だよ。午頭馬頭だよな。その店員に、おれの仲間の肉と人の肉のハンバーガーどっち注文するんだと言われたら、そりゃ人の肉を選ぶだろ?牛肉のくださいなんて言った日にゃでこぼこのついた金棒でミンチにされそうじゃん。でも、人の肉って答えたら、じゃあお前をミンチにしてやるってなるんだけど。正解の無い二択を迫られ、おれなんかミンチよ。牛鬼にミンチ。ギッタギタよ。でもそんな牛鬼のハンバーガーショップにも優しいところがあってね。壁に表示されたメニューをよく見るとスマイルはフリーなんだよ。わけわかんねえよな。牛鬼なのに会社の方針は守ってんの。笑顔で惨殺よ。食っちゃって。ミンチにして食っちゃって。よく叩いて柔らかくして食っちゃって。牛が。初弾はフルスイングしてくるからね。牛が。もうたまらない。いや牛だからもうって言
ったわけじゃないよ。それにカニグモな。カニグモってなんだよカニグモ。怖すぎだろカニグモ。カニグモを肩に乗せた牛な。あれがフルスイングしてくるから。クロミミマーモセットも乗せてるしね。クロミミマーモセット。知ってる?クロミミマーモセット。すごく写実的で生々しい顔した小さい猿。おれあの顔トラウマなんだよ。夢に出てくるからね。調子悪い時夢に出てくるから。それに生々しい顔した猿といやブラッザグエノンね。知ってる?ブラッザグエノン。あいつら魔法使えるぜきっと。あ、忘れちゃいけないのがウアカリね。知ってる?ウアカリってまだ熟してない青い果実を好んで食べるんだよ。通だよな。それにマッコウクジラ英名スペルマホエール。こんな名前つける奴らに捕鯨を禁止されてると思うとやるせないよな。捕鯨といや……………………………(延々と)…』
「スマイルはフリーなんだよ、のところで終わらしときゃよかったな……」
終わり。なんだかなあ。
「焦った?そうだなあ」
『おれさ、少し前にマックに言ったんだよ』
「おれの話聞く気ないなら質問しないでくれるかな。おれはお前の恋人じゃないから、そういうこと普通にされると、痛めに殴るよ」
『ハンバーガー食いたくなっちゃって』
「なっちゃったか」
『マックに行ったんですよ。昔はバーキン派だったんだけど、ほら』
「なに」
『ハンバーガー食いたくなっちゃって』
「それは聞いたよ。今はマックとバーガーキングの問題だろ!もっといえばバーキンは撤退しちゃったからってことだろ?」
『そうだけどなんかさ』
「なんだよ」
『歩いてたらハンバーガー食いたくなっちゃって』
「ハンバーガー食いたくなっちゃってって言いたいだけかよ」
『本当に、ハンバーガー食っちゃって』
「食っちゃったよ。ハンバーガー食べたくなったと思ったらもう食っちゃったよ」
『当たり前だろ』
「そうだけど!」
『お前、ハンバーガー食いたくなっちゃったらハンバーガー食うだろ。ハンバーガー食いたくなっちゃったからわらび餅食っちゃう奴なんかいないだろ』
「そうなんだけど、話の展開的にさ、食ってるときの話なのか?」
『食い終わっちゃって』
「終わっちゃった」
『久しぶりに食ったらうまかったなとか言っちゃって』
「そうですか」
『そのハンバーガーを買った時の話なんだけど』
「もう食い終わっちゃってるのに!?ハンバーガーもう食っちゃったのに話戻るのかよ」
『シンプルなさ、普通のハンバーガー頼んだんですよ。マックバーガー』
「ほお」
『マックバーガーひとつ下さい、ってすました顔で言っちゃって』
「まあ普通すました顔でそう言うだろ。他にどんな顔でなんて言うんだよ」
『でたよ、でた』
「なんだよ」
『そうやってお前はおれの仕事量を増やそうとする』
「はあ!?」
『それっておれに何かボケろの合図なんだろ?』
「そうですけど、言わなくていいだろ」
『なんですか?時代はワンアンサーワンラフですか?そんなもの私認めませんよ』
「時代もなにも認める認めないもなにも、そういうもんだろ」
『流行るわけがない』
「流行ってるよ!ていうか基本それが普通なんだよ」
『そんなのつまんなーい』
「どんな声出してんだよ。アニメ声か。今のお前のがつまらねえよ」
『ふられたからボケる。そんなのおもしろいですか?』
「おもしろいだろ。ていうかおもしろくするんだよ」
『ワンアンサーワンラフの時点でワンバーガープリーズって言わなきゃならないってことですか?』
「言わなきゃならないことはないけども」
『どっちだよあやふやな言い方しやがって!』
「それで笑いが取れると判断した時は言えってことだよ!」
『なまものってことですか』
「そうだよなまものだよ。深夜聞くと笑えるけど昼間に聞くとつまらない話っつうかテンションあるだろ」
『また!またですか!』
「なに!?」
『そうやってお前はおれの』
「ああもうわかったよ」
『だいたいお前が無理難題をふっかけてくるから悪い』
「悪くなっちゃったよ。そんなか?どんな顔でなんて言うかってそんな無理難題か?」
『なにひとつ思いつきもしないよ』
「思いつかないから逃げてたのかよさっきのやりとりは。ひとつぐらい思いつけよ」
『深夜だけ笑える話なんて、一生考えても思いつく気がしねえよ。ていうか、おもしろい話なんておれにはどだい無理な話なんだよ』
「じゃあなんで今お前こんなことしてんだよ」
『怒ってるんだよ!』
「はあ!?」
『このつまらない世の中に怒ってんだよ!』
「壮大なことをまたねえ、高杉晋作の辞世の句みたいなこと言っちゃって、おもしろき、こともなき世を、おもしろく、みたいな」
『これもあれだからね。お前みたいにあやふやではっきりしない人間が詠むと、おもしろくないこともない世をおもしろくになっちゃうから。どっちだよ!ってなっちゃう』
「ならねえよ。お前はなにをつまらないって言ってんだよ」
『あれだからね。本人達はどう思ってるか知らないけど』
「本人達?」
『ファミレスで友達としてるお前らの話は九分九里つまらないからね?』
「本人達だなんて言うからてっきり政治家のことだと思ってたら、一般人のファミレス話かよ!そんなものに怒ってたのかよ。あれはお前、別につまらなくてもいいんだよ」
『よくないだろ』
「いいんだよ!本人達は笑ってんだろ」
『聞いてるこっちはムカムカしてんだよ!』
「聞かなきゃいいだろ!」
『あいつらあれだぜ?笑いの教科書に載ってないポイントで、日常会話にプールに一滴醤油垂らしたぐらいの濃さのよくわからないギャグを放りこんだ話で笑ってるぜ?』
「ほっとけよ!とりあえず笑って茶を濁してることだってあるだろ!」
『なんなら笑いっぱなしだぜ?日本は終わってる』
「だから気にすんなって」
『そんなに友達との他愛ない話はおもしろいのですか!?』
「それはおもしろいだろ」
『だったらおれに笑いを求めないでずっと友達と話してりゃいいだろ!』
「誰もお前に求めてねえよ。何と戦ってんだお前は」
『そいつらが笑いそうな話なんかこっちは話せねえよ』
「レベル落とさなきゃならないからとかか?」
『いや、そんな程度の話もこっちは思いつかないからね!』
「なんも思いつかないのな」
『ぎゃはぎゃは楽しそうに笑ってよう』
「ファミレスで?」
『ファミレスで。楽しそうに笑ってよう。なんか変な甘いもの食っちゃって。変な甘いもの食っちゃって』
「変な甘いものってなんだよ。食っちゃってって言いたいだけだろ」
『ぎゃはぎゃは笑って甘いもの食っちゃって。幸せかお前らは』
「幸せなんだよ多分」
『今回私が提案するマニフェストはこちら』
「あ、太田総理」
『ギャツビーのCMは偽装表示してるから即刻打ち止めにします!』
「また強引に脈絡なく舵をきったな。ギャツビーがなに?」
『ギャツビーつけてかっこつけてって』
「ギャツビーのキャッチコピーがどうした」
『ギャツビーつけてかっこつけてって。世の中ギャツビーつけてもかっこつかない人がほとんどでしょ』
「そうですか」
『まあおれはかっこつく人ですけど』
「まずもってお前坊主じゃねえかよ」
『かっこつくことキムタク以上ですからね』
「ただいつもより頭がちょっとテカるだけじゃねえのか。油坊主になるだけだよ」
『しかし、これは不当な広告なんですよ!どうなってるんですか!』
「そうですか」
『なんだよ』
「いや、そろそろ話を戻さないとなと」
『ああ、ハンバーガー買って、袋いりますか?って聞かれたから、ああ、持ち帰り希望だったからね、だからおれ外側の袋あのビニール袋のことだと思っていらないって答えたんだよ。ハンバーガー一個だからね。そしたらスマイルゼロ円な店員に笑顔でハンバーガーを素のままポンと、はいって、あの剥いたら即ハンバーガーの状態で渡されてすごく焦ったって話だったっけ?』
「へえ、そんなことになるんだね。ていうか言っちゃったよね全部」
『そう?じゃあやり直す?』
「できないだろ。そんでお前はどうしたんだよ。ポンと渡されてどうしたんだよ」
『そのまま何事もなかったかのようにすっとかばんに入れたよ』
「かばんに入れたのかよ」
『入れないで手に持ったままお持ち帰りしろと言うのか?』
「ああ、かばん入れるか。手にハンバーガー一個持って町をうろついてる奴ってあんまり見かけないからな」
『テリヤキとかじゃなかったし』
「垂れる汁の心配はなかったと。でも袋ぐらい貰えばいいだろ」
『いや、いりませんって言っちゃったから、言い放ってるから』
「でも」
『お前なあ、すました顔で自信満々にいりませんって言ったおれの身にもなってみろよ』
「まあ、うーん、確かに、やっぱり袋くださいとは言いづらいか」
『おれが言いたいのはそんなことじゃねえよ』
「違うのかよ、びっくりだ」
『あれは洗脳のテクニックなんだよ』
「はあ!?」
『相手に選ばせるんだよ。こっちとあっちどっちがいい?って。こう訊かれると本当はどっちもいらないって選択もあるのに、視界が狭まってこっちとあっちの二択になっちゃう。そして大半はこっち有利の不平等な二択になってて、そうすると選んだ側は自分で選んだんだって意識があるから、盲信的思考になる。こっちは本物なんだってな具合に思い込んで自分を守る。たとえば興味ない男ふたりから、おれとあいつどっちか選べ、って言われたら、ふたりとも興味ないんだけど選んじゃう人がいる。私がこの人を選んだってなって、選んだ自分を損させないように、愛さなくちゃいけないだなんて深層で思っちゃう。まあ少し雑なたとえだけど、どっちかっつったらおれとあいつどっちがタイプ?とか順をおって訊いて相手に選ばせていくと、その気なんてなかったのにその気があったかのようになってきちゃう。相手に選ばせるんだよ。どっちも駄目って選択がなくなってきちゃう。前提がおかしいことに気がつかない。既成事実効果みたいなもんよ。ヤリチンの大半はうまいぐあいに相手に選ばせてるからね。相手に選ばせる、すなわち、自分が選ぶってことは実は怖いことなんだ
。この世で一番信じちゃいけないのは自分自身なんだよ。このハンバーガーの袋の話もそうで、おれはいらないって既に選択しちゃってるわけだから。いやいや、常識的に考えて持ち帰りっつってんだから紙袋はいるだろ姉ちゃんよおとは言わない。というか思いもしない。たとえば、その店員が牛だったとする。牛鬼だよ。午頭馬頭だよな。その店員に、おれの仲間の肉と人の肉のハンバーガーどっち注文するんだと言われたら、そりゃ人の肉を選ぶだろ?牛肉のくださいなんて言った日にゃでこぼこのついた金棒でミンチにされそうじゃん。でも、人の肉って答えたら、じゃあお前をミンチにしてやるってなるんだけど。正解の無い二択を迫られ、おれなんかミンチよ。牛鬼にミンチ。ギッタギタよ。でもそんな牛鬼のハンバーガーショップにも優しいところがあってね。壁に表示されたメニューをよく見るとスマイルはフリーなんだよ。わけわかんねえよな。牛鬼なのに会社の方針は守ってんの。笑顔で惨殺よ。食っちゃって。ミンチにして食っちゃって。よく叩いて柔らかくして食っちゃって。牛が。初弾はフルスイングしてくるからね。牛が。もうたまらない。いや牛だからもうって言
ったわけじゃないよ。それにカニグモな。カニグモってなんだよカニグモ。怖すぎだろカニグモ。カニグモを肩に乗せた牛な。あれがフルスイングしてくるから。クロミミマーモセットも乗せてるしね。クロミミマーモセット。知ってる?クロミミマーモセット。すごく写実的で生々しい顔した小さい猿。おれあの顔トラウマなんだよ。夢に出てくるからね。調子悪い時夢に出てくるから。それに生々しい顔した猿といやブラッザグエノンね。知ってる?ブラッザグエノン。あいつら魔法使えるぜきっと。あ、忘れちゃいけないのがウアカリね。知ってる?ウアカリってまだ熟してない青い果実を好んで食べるんだよ。通だよな。それにマッコウクジラ英名スペルマホエール。こんな名前つける奴らに捕鯨を禁止されてると思うとやるせないよな。捕鯨といや……………………………(延々と)…』
「スマイルはフリーなんだよ、のところで終わらしときゃよかったな……」
終わり。なんだかなあ。
ノープランストーリー
私はこれから人生の一大事をむかえることになるのであろうが、そんな極々私的な大事など万物の理からすればさして大したことではないので語る必要もない。
まいったまいった。いやね、またぞろ物語でもやってやろうかなあと思ってるんだが(飽きないねあんたも)、考えれども考えれども一向に物語が思いつかん。ひとつ思いついてはいないこともないが、もし知人が見たら確実におれの正体がバレる内容なので躊躇してる。まいったまいった。
ま、考えている時間も絶好の暇つぶしなのだけど。なんかいい材料ねえかなあ。おれが手をつけてないものといやあ、おれの中では、ガッチガチのラブロマンスだなあ。でもラブロマンスって“フランス語が出来ないと書いちゃいけない”んだろ?おれフランス語なんてシャンパーニュ地方のペリニヨンさんぐらいしか知らないよ。うーむ、ロマンスなあ。………ロマンシュ語ってあったよね?………あと日本各地に“ロマンススカイライン”的な自動車道あるよね?…………おれ駄目だ。ロマンスに向いてねえ。がっつくもんなおれ。流麗ないきさつの前にがっつくしなおれ。ああ、思い浮かぶよ。治らない病気になってやけっぱちな態度をとる彼女、ついには別れ話まで発展していった。怒った彼氏は憤怒の形相で病室を出ていく。数時間後、あらゆる不安に苛まれている彼女の前に、ピチピチ水着一丁の彼氏が現れ「そんなの関係ねえ!!」と小島某氏のギャグを全力でやる、というくだらねえ場面が。がっついてるよなあ。そんなの関係なくないしさ。おれ書いちゃいけないねロマンス。なんかねえかなあ。まったく資料が必要ないやつ。…駄目だこいつ。
こんな、「あ、おれもうすぐアレになるな」って思った時、僕はとりあえず「イカレスラーのテーマ」を歌って様子をみることにしてる。
イカイカイカイカイカレスラー♪
うん。まったくもってマッチョドラゴン。そしてみんなが呼んでるタイガー(タイガー)。(意味がわからない人はそのまま健全な道を歩むといいよ)。あ、そういや最近カラオケでライガー歌ってねえな。昔はどん引く女子を尻目にひとり熱唱したもんだよ。気のいい友達は入場から完コピでエアプロレスをやってくれたもんだよ。よくよく考えてみればあの頃はモテるより楽しいが優先されてたんだね。今はほら、必死だから。がっついてくから。定番歌っちゃうから。ああ、そういやひとりだけおれらのノリについてきた子がいたなあ。その子は車椅子だったんだけど、おれ嬉しくなっちゃって、好きになっちゃって、でもそんなの関係ねえってギャグが流行る前だったから、というのは冗談でタイプじゃないってふられちゃって。風の噂で今は幸せにやってるみたいよ。正解だよね。その審美眼正解。………。うん。あれ…おかしいな…
イカイカイカイカイカレスラー♪
うん。まったくもってマッチョドラゴンだよ。
まいったまいった。いやね、またぞろ物語でもやってやろうかなあと思ってるんだが(飽きないねあんたも)、考えれども考えれども一向に物語が思いつかん。ひとつ思いついてはいないこともないが、もし知人が見たら確実におれの正体がバレる内容なので躊躇してる。まいったまいった。
ま、考えている時間も絶好の暇つぶしなのだけど。なんかいい材料ねえかなあ。おれが手をつけてないものといやあ、おれの中では、ガッチガチのラブロマンスだなあ。でもラブロマンスって“フランス語が出来ないと書いちゃいけない”んだろ?おれフランス語なんてシャンパーニュ地方のペリニヨンさんぐらいしか知らないよ。うーむ、ロマンスなあ。………ロマンシュ語ってあったよね?………あと日本各地に“ロマンススカイライン”的な自動車道あるよね?…………おれ駄目だ。ロマンスに向いてねえ。がっつくもんなおれ。流麗ないきさつの前にがっつくしなおれ。ああ、思い浮かぶよ。治らない病気になってやけっぱちな態度をとる彼女、ついには別れ話まで発展していった。怒った彼氏は憤怒の形相で病室を出ていく。数時間後、あらゆる不安に苛まれている彼女の前に、ピチピチ水着一丁の彼氏が現れ「そんなの関係ねえ!!」と小島某氏のギャグを全力でやる、というくだらねえ場面が。がっついてるよなあ。そんなの関係なくないしさ。おれ書いちゃいけないねロマンス。なんかねえかなあ。まったく資料が必要ないやつ。…駄目だこいつ。
こんな、「あ、おれもうすぐアレになるな」って思った時、僕はとりあえず「イカレスラーのテーマ」を歌って様子をみることにしてる。
イカイカイカイカイカレスラー♪
うん。まったくもってマッチョドラゴン。そしてみんなが呼んでるタイガー(タイガー)。(意味がわからない人はそのまま健全な道を歩むといいよ)。あ、そういや最近カラオケでライガー歌ってねえな。昔はどん引く女子を尻目にひとり熱唱したもんだよ。気のいい友達は入場から完コピでエアプロレスをやってくれたもんだよ。よくよく考えてみればあの頃はモテるより楽しいが優先されてたんだね。今はほら、必死だから。がっついてくから。定番歌っちゃうから。ああ、そういやひとりだけおれらのノリについてきた子がいたなあ。その子は車椅子だったんだけど、おれ嬉しくなっちゃって、好きになっちゃって、でもそんなの関係ねえってギャグが流行る前だったから、というのは冗談でタイプじゃないってふられちゃって。風の噂で今は幸せにやってるみたいよ。正解だよね。その審美眼正解。………。うん。あれ…おかしいな…
イカイカイカイカイカレスラー♪
うん。まったくもってマッチョドラゴンだよ。
デリケートゾンビーズ
堂々とした体躯で、余人をもって代え難い体力、蠢くものを次々、かじりつく化け物、デリケートな僕達、そんなことはできない
ブラジルからきたジャングルマシン、タコスを食べるジャングルマシン、ネバダあたりでオイル漏れ、途方にくれるジャングルマシン、いつしか空は夕焼け、哀愁をひく夕焼け
あああ、デリケートゾンビー、胃腸の弱いゾンビー
すぐに死んじゃうゾンビー、死んでないだけゾンビー
あああ
派手な宣伝文句で、愛を売ってる商売、恋で生きてるゾンビー、引っかかるゾンビー、めげる日々のかたわら、そっとされてるゾンビー
優柔不断でもあり、時に大胆不敵、大胆に出た結果は、裏目に出ないことがない、石橋叩いていこう、そして渡らない橋
あああ、春を待ってるゾンビー、夏を楽しむゾンビー
冬を耐えてるゾンビー、アキがこないとわらう
あああ、踏み倒されるゾンビー、泣き寝入りのゾンビー
狸寝入りだゾンビー、居留守を使うゾンビー
あああ、デリケートゾンビー、メルヘンなゾンビー
腐乱しながらベッドで、泣いているゾンビー
恋に恋するゾンビー、皮膚からうつるウイルス
手を繋いだら君も、仲間になるよゾンビーズ、あああ
モヤモヤ。あたかも「みんなのうた」のようにキャッチーですね。なんか、魂をはした金で売ってしまったかのようだ。
ブラジルからきたジャングルマシン、タコスを食べるジャングルマシン、ネバダあたりでオイル漏れ、途方にくれるジャングルマシン、いつしか空は夕焼け、哀愁をひく夕焼け
あああ、デリケートゾンビー、胃腸の弱いゾンビー
すぐに死んじゃうゾンビー、死んでないだけゾンビー
あああ
派手な宣伝文句で、愛を売ってる商売、恋で生きてるゾンビー、引っかかるゾンビー、めげる日々のかたわら、そっとされてるゾンビー
優柔不断でもあり、時に大胆不敵、大胆に出た結果は、裏目に出ないことがない、石橋叩いていこう、そして渡らない橋
あああ、春を待ってるゾンビー、夏を楽しむゾンビー
冬を耐えてるゾンビー、アキがこないとわらう
あああ、踏み倒されるゾンビー、泣き寝入りのゾンビー
狸寝入りだゾンビー、居留守を使うゾンビー
あああ、デリケートゾンビー、メルヘンなゾンビー
腐乱しながらベッドで、泣いているゾンビー
恋に恋するゾンビー、皮膚からうつるウイルス
手を繋いだら君も、仲間になるよゾンビーズ、あああ
モヤモヤ。あたかも「みんなのうた」のようにキャッチーですね。なんか、魂をはした金で売ってしまったかのようだ。
微笑シリーズ。約束とお決まり
『ひとつ約束してください』
「いきなりなんだ」
『この話をしている間、絶対におれの言ったことを否定しないでください』
「え?」
『絶対に否定しないと約束してください』
「否定って、つっこみの際のやつも含まれるのか?」
『はい』
「うーん。あ、これはあれか。知能戦というか、そういうちょっと頭を使った細工を施して高度なやりとりをするんだな。思わずポンと膝を叩くような、そんなうまいやりとりを。うん。そういうことならいいよ」
『では』
「否定しないんだな。よしわかった」
『あなた、あなたってバカですよね』
「え!?いきなりそんな低俗な」
『否定しないって約束だろ』
「………なんかあるんだろうな…はい、僕はバカです」
『ぷぷぷ』
「なんだよ」
『やーいやーい!バカって言った!今自分のことバカって言った!認めてやんのこいつ!』
「浅っ!おちょこか!高度なやりとりもへったくれもねえな!」
『やーいやーい!』
「ど直球かよ!子供か!」
『あなたは』
「今度はなんだ」
『バカで、それでいてインポじゃないですか』
「じゃないですかって言われても」
『おい』
「どうせまたガキみたくはしゃぐだけなんだろ」
『あなたは事前に交わされた約束のひとつも守れないんですか?』
「こんなことになるとは思ってなかったんだよ!想像と違ったんだ!説明不足だよ!」
『もう判子もらってんだよ』
「押してねえよ。いつ捺印したんだよ」
『バカでインポなんだよな?』
「……ノーコメントはできないのか?」
『できるよ』
「あ、できるの?」
『否定しなければいいわけだから。ということで、あなたはこれからどんな質問にも安心してコメントしてください』
「わかった。…はっ、しまった。巧妙な罠だ!」
『バカ、だな』
「その通りだよちくしょう。もうノーコメントできねえ。コメントするって言っちゃったからノーコメントできねえ」
『バカでインポだよな?』
「くっ」
『バカでインポで、類い希なる無銭飲食の常習犯じゃないですか』
「増えてるけど」
『じゃないですか』
「…はい」
『………』
「………」
『…かわいそう』
「同情された!?」
『なんかトーンダウンしちまったよ』
「そうですね」
『お前のせいだよね?』
「はい」
『じゃあ終わろうと思うけど、最後にこの体たらくの責任を取ってもらって、ダジャレでしめてもらおうか』
「え……はい」
『では』
「困ってるデブが言った「太った太った」」
『…………なにそれ…ダジャレのつもりなの?』
「………うん」
終わり。“…”に頼ったら終わりだね。
「いきなりなんだ」
『この話をしている間、絶対におれの言ったことを否定しないでください』
「え?」
『絶対に否定しないと約束してください』
「否定って、つっこみの際のやつも含まれるのか?」
『はい』
「うーん。あ、これはあれか。知能戦というか、そういうちょっと頭を使った細工を施して高度なやりとりをするんだな。思わずポンと膝を叩くような、そんなうまいやりとりを。うん。そういうことならいいよ」
『では』
「否定しないんだな。よしわかった」
『あなた、あなたってバカですよね』
「え!?いきなりそんな低俗な」
『否定しないって約束だろ』
「………なんかあるんだろうな…はい、僕はバカです」
『ぷぷぷ』
「なんだよ」
『やーいやーい!バカって言った!今自分のことバカって言った!認めてやんのこいつ!』
「浅っ!おちょこか!高度なやりとりもへったくれもねえな!」
『やーいやーい!』
「ど直球かよ!子供か!」
『あなたは』
「今度はなんだ」
『バカで、それでいてインポじゃないですか』
「じゃないですかって言われても」
『おい』
「どうせまたガキみたくはしゃぐだけなんだろ」
『あなたは事前に交わされた約束のひとつも守れないんですか?』
「こんなことになるとは思ってなかったんだよ!想像と違ったんだ!説明不足だよ!」
『もう判子もらってんだよ』
「押してねえよ。いつ捺印したんだよ」
『バカでインポなんだよな?』
「……ノーコメントはできないのか?」
『できるよ』
「あ、できるの?」
『否定しなければいいわけだから。ということで、あなたはこれからどんな質問にも安心してコメントしてください』
「わかった。…はっ、しまった。巧妙な罠だ!」
『バカ、だな』
「その通りだよちくしょう。もうノーコメントできねえ。コメントするって言っちゃったからノーコメントできねえ」
『バカでインポだよな?』
「くっ」
『バカでインポで、類い希なる無銭飲食の常習犯じゃないですか』
「増えてるけど」
『じゃないですか』
「…はい」
『………』
「………」
『…かわいそう』
「同情された!?」
『なんかトーンダウンしちまったよ』
「そうですね」
『お前のせいだよね?』
「はい」
『じゃあ終わろうと思うけど、最後にこの体たらくの責任を取ってもらって、ダジャレでしめてもらおうか』
「え……はい」
『では』
「困ってるデブが言った「太った太った」」
『…………なにそれ…ダジャレのつもりなの?』
「………うん」
終わり。“…”に頼ったら終わりだね。