微笑シリーズ。約束とお決まり | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

微笑シリーズ。約束とお決まり

『ひとつ約束してください』
「いきなりなんだ」
『この話をしている間、絶対におれの言ったことを否定しないでください』
「え?」
『絶対に否定しないと約束してください』
「否定って、つっこみの際のやつも含まれるのか?」
『はい』
「うーん。あ、これはあれか。知能戦というか、そういうちょっと頭を使った細工を施して高度なやりとりをするんだな。思わずポンと膝を叩くような、そんなうまいやりとりを。うん。そういうことならいいよ」
『では』
「否定しないんだな。よしわかった」
『あなた、あなたってバカですよね』
「え!?いきなりそんな低俗な」
『否定しないって約束だろ』
「………なんかあるんだろうな…はい、僕はバカです」
『ぷぷぷ』
「なんだよ」
『やーいやーい!バカって言った!今自分のことバカって言った!認めてやんのこいつ!』
「浅っ!おちょこか!高度なやりとりもへったくれもねえな!」
『やーいやーい!』
「ど直球かよ!子供か!」
『あなたは』
「今度はなんだ」
『バカで、それでいてインポじゃないですか』
「じゃないですかって言われても」
『おい』
「どうせまたガキみたくはしゃぐだけなんだろ」
『あなたは事前に交わされた約束のひとつも守れないんですか?』
「こんなことになるとは思ってなかったんだよ!想像と違ったんだ!説明不足だよ!」
『もう判子もらってんだよ』
「押してねえよ。いつ捺印したんだよ」
『バカでインポなんだよな?』
「……ノーコメントはできないのか?」
『できるよ』
「あ、できるの?」
『否定しなければいいわけだから。ということで、あなたはこれからどんな質問にも安心してコメントしてください』
「わかった。…はっ、しまった。巧妙な罠だ!」
『バカ、だな』
「その通りだよちくしょう。もうノーコメントできねえ。コメントするって言っちゃったからノーコメントできねえ」
『バカでインポだよな?』
「くっ」
『バカでインポで、類い希なる無銭飲食の常習犯じゃないですか』
「増えてるけど」
『じゃないですか』
「…はい」
『………』
「………」
『…かわいそう』
「同情された!?」
『なんかトーンダウンしちまったよ』
「そうですね」
『お前のせいだよね?』
「はい」
『じゃあ終わろうと思うけど、最後にこの体たらくの責任を取ってもらって、ダジャレでしめてもらおうか』
「え……はい」
『では』
「困ってるデブが言った「太った太った」」
『…………なにそれ…ダジャレのつもりなの?』
「………うん」



終わり。“…”に頼ったら終わりだね。