ボツ台本屋台で
「屋台で」
A「あー腹へったなぁ、でも夜中だしなぁ」
プォーン
「お、ラーメンの屋台だ。ちょうどいいや………………すいませんラーメン一杯」
B『あんたなんだね突然』
「は?」
『ひょっとすると、するってぇとお客さんかね』
「そうですけど」
『なんだよぉびっくりさせるなよぉ』
「はあ」
『てっきりお化けかと思ったよ。バスコ・ダ・ガマの』
「バスコ・ダ・ガマ」
『あーびっくりした』
「はあ」
『ちょっと待ってて、…ポチっとな、…あ、田中?今さぁお客さん来ちゃってさ、うん、それがさぁそいつ、なんとかかんとかベスプッチにそっくりなんだよ、ええ?ははは、バスコ・ダ・ガマじゃねえよ、ははは』
「胸糞わりぃな、しかもバスコ・ダ・ガマじゃなかったのかよ」
『あ、うん、わかった、じゃあ明日喜望峰で』
「喜望峰!?南アフリカの!?明日ってもう間に合わないじゃないのか!?」
『うわ、お客さんまだいたの?』
「いるよ!当たり前だろ!まだラーメン食ってないんだから」
『ちょっと待ってて、ポチっとな、あ、田中?わりぃ、お客さん帰んなくてさ、明日喜望峰まで行けそうにねえや、うん、わかった、伝えとく、うん悪いな』
「諦めるの早いんだか遅いんだか」
『お客さん』
「なに」
『南アフリカだったら殺してるぞ!』
「うわなんだよいきなり」
『いや友達の伝言を伝えたんですよ』
「すっげー怒ってんじゃん田中!怖っ」
『かわいい奴なんですけどね』
「かわいくねえよ!いきなり殺すって言われたんだぞ!」
『ははは、大丈夫ですよ。お客さんが南アフリカに行かなければいい話で』
「おれ田中のことそこまで信用してないからね!?つうかやっぱり南アフリカに行くと殺されるの!?」
『やると言ったらやる男ですよ田中は』
「怖いわ!駄目なほうに信用高いな!」
『あ、ちょっと待ってて、ポチっとな、あ、田中?うん、なんかお客さん田中のこと信用出来る奴だってほめてたよ』
「ほめてねーよ!」
『うん、うん、わかった伝えとく』
「なんだよまたかよ」
『お客さん』
「今度はなんだよ」
『今近くにいるから一緒に呑もうって田中が』
「うわ、来るな来るな!怖いわ!つうか田中南アフリカにいなかったのかよ!田中も明日喜望峰に行く予定だったのかよ、遠いぜ!?喜望峰」
『まあちょっと前までそのつもりだったんですけど』
「ああおれのせいでって行く気あるんならやり方はいくらでもあるだろうが!諦めるの早いんだよ!」
『まあいいじゃないですか』
「あんたがいいんならいいんだけどさ」
『あ、田中?お客さん一緒に呑んでいいって』
「言ってねーよ!そんなこと言ってねえ!嫌だよ!南アフリカだったらおれを殺してる奴なんかと一緒に呑みたくねーよ!」
『うん、うん、あ、お客さんもうすぐ田中着くって』
「話を聞けぇ!来ないように伝えろ!」
『ええ?ちょっとぉ、田中の身にもなってくださいよ』
「おれの身にもなれ!」
『わかりましたよ、あ、田中?もしもし?あれ?もしもーし』
「なんだよどうしたんだよ」
『いやなんだか僕が、もしもーし、っていうとエコーがかかったみたいに自分のケータイから自分の声が聞こえてくるんですよ』
「うわぁ!(キョロキョロ)田中近くにいんじゃん!田中のケータイがお前の声拾ってんじゃん!うわぁ!」
『もしもーし、あ、田中(目で確認)』
「うわ(後ろを振り向く)い、いない」
『もしもーし………あ、うん、うん、うん』
「なになになに」
『いやね田中ここまで来たんだけど』
「うわ怖いわぁ」
『お客さんがむさい男だったから帰るって』
「余計なお世話だよ!でも助かった」
『で?お客さん買ってくの?』
「そうだよおれ腹へってたんだよ、ラーメンくれ」
『は?何を言ってるんですか?』
「はあ?ラーメンくれって言ったんだよ!」
『うちはラーメン屋じゃないですよ』
「ああ!?じゃあラーメンじゃなくていいよ、なんか食い物くれ」
『あの、うち食い物屋じゃないですよ』
「じゃあなんで屋台ひいてんだよ…笛も吹いてたろお前プォーンてよ!」
『ははは』
「笑ってんじゃねえ!じゃあ一体お前は何屋なんだよ!」
『ボトルシップの中身売りですよ』
「ボトルシップの中身売りぃ!?それただの船の模型だろ!ボトルシップがボトルシップであるための一番大切なものが無くなっちゃってるよ!」
『もう、買うんですか?買わないんですか?』
「買うか!なんで腹へってるのに船の模型買うんだよ!」
『でもお客さん、今ボトルシップを買っていただくと』
「ボトルシップの中身ね」
『今ボトルシップを買っていただくと』
「中身だけだろが!」
『今ボトルシップを買っていただくと』
「お前が最初にボトルシップの中身売りって自己申告しただろうが!」
『今ボトルシップの中身を買っていただくと』
「それでいいんだよっておれなにやってんだろ…で?中身を買うと」
『買ってもらったお客さんにはもれなくラーメンを一杯さしあげているんですよ』
「うわあ、それはちょいどいい、助かるわってどんなシステムだよ!逆にしろ逆に!ったくちなみにその船の模型っていくらなんだよ」
『小さいので15万円です』
「高っ」
終わり なーむー
A「あー腹へったなぁ、でも夜中だしなぁ」
プォーン
「お、ラーメンの屋台だ。ちょうどいいや………………すいませんラーメン一杯」
B『あんたなんだね突然』
「は?」
『ひょっとすると、するってぇとお客さんかね』
「そうですけど」
『なんだよぉびっくりさせるなよぉ』
「はあ」
『てっきりお化けかと思ったよ。バスコ・ダ・ガマの』
「バスコ・ダ・ガマ」
『あーびっくりした』
「はあ」
『ちょっと待ってて、…ポチっとな、…あ、田中?今さぁお客さん来ちゃってさ、うん、それがさぁそいつ、なんとかかんとかベスプッチにそっくりなんだよ、ええ?ははは、バスコ・ダ・ガマじゃねえよ、ははは』
「胸糞わりぃな、しかもバスコ・ダ・ガマじゃなかったのかよ」
『あ、うん、わかった、じゃあ明日喜望峰で』
「喜望峰!?南アフリカの!?明日ってもう間に合わないじゃないのか!?」
『うわ、お客さんまだいたの?』
「いるよ!当たり前だろ!まだラーメン食ってないんだから」
『ちょっと待ってて、ポチっとな、あ、田中?わりぃ、お客さん帰んなくてさ、明日喜望峰まで行けそうにねえや、うん、わかった、伝えとく、うん悪いな』
「諦めるの早いんだか遅いんだか」
『お客さん』
「なに」
『南アフリカだったら殺してるぞ!』
「うわなんだよいきなり」
『いや友達の伝言を伝えたんですよ』
「すっげー怒ってんじゃん田中!怖っ」
『かわいい奴なんですけどね』
「かわいくねえよ!いきなり殺すって言われたんだぞ!」
『ははは、大丈夫ですよ。お客さんが南アフリカに行かなければいい話で』
「おれ田中のことそこまで信用してないからね!?つうかやっぱり南アフリカに行くと殺されるの!?」
『やると言ったらやる男ですよ田中は』
「怖いわ!駄目なほうに信用高いな!」
『あ、ちょっと待ってて、ポチっとな、あ、田中?うん、なんかお客さん田中のこと信用出来る奴だってほめてたよ』
「ほめてねーよ!」
『うん、うん、わかった伝えとく』
「なんだよまたかよ」
『お客さん』
「今度はなんだよ」
『今近くにいるから一緒に呑もうって田中が』
「うわ、来るな来るな!怖いわ!つうか田中南アフリカにいなかったのかよ!田中も明日喜望峰に行く予定だったのかよ、遠いぜ!?喜望峰」
『まあちょっと前までそのつもりだったんですけど』
「ああおれのせいでって行く気あるんならやり方はいくらでもあるだろうが!諦めるの早いんだよ!」
『まあいいじゃないですか』
「あんたがいいんならいいんだけどさ」
『あ、田中?お客さん一緒に呑んでいいって』
「言ってねーよ!そんなこと言ってねえ!嫌だよ!南アフリカだったらおれを殺してる奴なんかと一緒に呑みたくねーよ!」
『うん、うん、あ、お客さんもうすぐ田中着くって』
「話を聞けぇ!来ないように伝えろ!」
『ええ?ちょっとぉ、田中の身にもなってくださいよ』
「おれの身にもなれ!」
『わかりましたよ、あ、田中?もしもし?あれ?もしもーし』
「なんだよどうしたんだよ」
『いやなんだか僕が、もしもーし、っていうとエコーがかかったみたいに自分のケータイから自分の声が聞こえてくるんですよ』
「うわぁ!(キョロキョロ)田中近くにいんじゃん!田中のケータイがお前の声拾ってんじゃん!うわぁ!」
『もしもーし、あ、田中(目で確認)』
「うわ(後ろを振り向く)い、いない」
『もしもーし………あ、うん、うん、うん』
「なになになに」
『いやね田中ここまで来たんだけど』
「うわ怖いわぁ」
『お客さんがむさい男だったから帰るって』
「余計なお世話だよ!でも助かった」
『で?お客さん買ってくの?』
「そうだよおれ腹へってたんだよ、ラーメンくれ」
『は?何を言ってるんですか?』
「はあ?ラーメンくれって言ったんだよ!」
『うちはラーメン屋じゃないですよ』
「ああ!?じゃあラーメンじゃなくていいよ、なんか食い物くれ」
『あの、うち食い物屋じゃないですよ』
「じゃあなんで屋台ひいてんだよ…笛も吹いてたろお前プォーンてよ!」
『ははは』
「笑ってんじゃねえ!じゃあ一体お前は何屋なんだよ!」
『ボトルシップの中身売りですよ』
「ボトルシップの中身売りぃ!?それただの船の模型だろ!ボトルシップがボトルシップであるための一番大切なものが無くなっちゃってるよ!」
『もう、買うんですか?買わないんですか?』
「買うか!なんで腹へってるのに船の模型買うんだよ!」
『でもお客さん、今ボトルシップを買っていただくと』
「ボトルシップの中身ね」
『今ボトルシップを買っていただくと』
「中身だけだろが!」
『今ボトルシップを買っていただくと』
「お前が最初にボトルシップの中身売りって自己申告しただろうが!」
『今ボトルシップの中身を買っていただくと』
「それでいいんだよっておれなにやってんだろ…で?中身を買うと」
『買ってもらったお客さんにはもれなくラーメンを一杯さしあげているんですよ』
「うわあ、それはちょいどいい、助かるわってどんなシステムだよ!逆にしろ逆に!ったくちなみにその船の模型っていくらなんだよ」
『小さいので15万円です』
「高っ」
終わり なーむー
パオーン殺人事件3
家にはしっちゃかめっちゃかになった家の主人らしき死体があった。
その男には妻子がいるはずであったが、どう探しても見つからなかった。
不思議なことに問題の象もついに見つかることはなかった。
そして象とともに消えた警官のことなど誰も思い出すことはなかった。
「あぁ。今日は晴れますな」
からからと降りそそぐ朝陽の光が今日一日の好天を予感させる。
終わり。
いやずっと前に書いたんだけどさ、収集がつかなくなっちゃって放りなげたんだよね。続き募集してます。誰もこんなブログ読んじゃいねえってのに恥をさらすなぁおれは。てへっ。あ、大丈夫。おれ結構まともだから。うんまあ、化石になって死ぬから許して。
その男には妻子がいるはずであったが、どう探しても見つからなかった。
不思議なことに問題の象もついに見つかることはなかった。
そして象とともに消えた警官のことなど誰も思い出すことはなかった。
「あぁ。今日は晴れますな」
からからと降りそそぐ朝陽の光が今日一日の好天を予感させる。
終わり。
いやずっと前に書いたんだけどさ、収集がつかなくなっちゃって放りなげたんだよね。続き募集してます。誰もこんなブログ読んじゃいねえってのに恥をさらすなぁおれは。てへっ。あ、大丈夫。おれ結構まともだから。うんまあ、化石になって死ぬから許して。
パオーン殺人事件2
ずでんどう、と音が玄関に近づいてくる。
「うん?これは…」
警官はそっといままで蹴り続けていた扉に手をあてた。ばふ、ばふ、ばふ、と音と振動が手を伝ってくる。一体なんだというのだ…。正解は象なのだが、ヒントもたくさんでてきたのだが、日常生活を営んでいればこそ家の中に象がいることなど思いつきもしない。
気配を感じて警官は後ろをふりむいた。応援のパトカーが来ていたのだ。パトカーはサイレンを鳴らしてきた訳ではないがそれでも“静かな朝”のこと、それに気づかぬとは、このやる気元気そして緊張感のまるで感じられない男も似合わぬことだが扉の前の異変に意識を深く集中していたのだろう。ただ警官にとってパトカーに気づいたことはよくないことになった。応援に来た警官たちに「やぁどうも」などと挨拶した時である。
声に反応したのか象は再び暴れ出したとみえる。ごずんずんばりばりばりばり。
玄関が前に動いた。警官も隣人たちも応援にきた警官たちも目をまろくしてそれを見ながら立ち尽くしている。中でも一番びっくりしているのは応援にきた警官たちであろう。カップラーメンを食いながらテレビのお天気おねぇさんをにやにやしながら観るのを邪魔されたのみならずこの大事変。なおも地響きをたて象は暴れる。
ごごんずばあ。
ついに玄関は破られ人々の前に象が姿を表した。でかい。でかいのなんの。まだ人が着物を着てい時代“スリ”のテクニックに出会い頭いきなり相手(女性)の陰部に手をいれる、というものがあったらしい。これをやられた女性は一瞬状況判断能力が混乱しポカンとした顔を浮かべて身動きがとれなくなるという。この時玄関から象が出てきたのを目撃した人々もおそらく似たようなものだ、ただただ口をあんぐりと開けポカンとしている。
象はそんな人々を鼻で笑うがごとくパオーンと唸ると、鼻をぶん回しパトカーを一撃、そのまま住宅街を走り去って言った。この間、象の口元や足下が黒い赤で染まっていたことに気づいた人間がいただろうか。象の姿が見えなくなってようやくあわただしく動き始めた始末であるからして誰も気づいていなかっただろう。そして最初に来たあの警官の姿が見えなくなっていることも。
続
「うん?これは…」
警官はそっといままで蹴り続けていた扉に手をあてた。ばふ、ばふ、ばふ、と音と振動が手を伝ってくる。一体なんだというのだ…。正解は象なのだが、ヒントもたくさんでてきたのだが、日常生活を営んでいればこそ家の中に象がいることなど思いつきもしない。
気配を感じて警官は後ろをふりむいた。応援のパトカーが来ていたのだ。パトカーはサイレンを鳴らしてきた訳ではないがそれでも“静かな朝”のこと、それに気づかぬとは、このやる気元気そして緊張感のまるで感じられない男も似合わぬことだが扉の前の異変に意識を深く集中していたのだろう。ただ警官にとってパトカーに気づいたことはよくないことになった。応援に来た警官たちに「やぁどうも」などと挨拶した時である。
声に反応したのか象は再び暴れ出したとみえる。ごずんずんばりばりばりばり。
玄関が前に動いた。警官も隣人たちも応援にきた警官たちも目をまろくしてそれを見ながら立ち尽くしている。中でも一番びっくりしているのは応援にきた警官たちであろう。カップラーメンを食いながらテレビのお天気おねぇさんをにやにやしながら観るのを邪魔されたのみならずこの大事変。なおも地響きをたて象は暴れる。
ごごんずばあ。
ついに玄関は破られ人々の前に象が姿を表した。でかい。でかいのなんの。まだ人が着物を着てい時代“スリ”のテクニックに出会い頭いきなり相手(女性)の陰部に手をいれる、というものがあったらしい。これをやられた女性は一瞬状況判断能力が混乱しポカンとした顔を浮かべて身動きがとれなくなるという。この時玄関から象が出てきたのを目撃した人々もおそらく似たようなものだ、ただただ口をあんぐりと開けポカンとしている。
象はそんな人々を鼻で笑うがごとくパオーンと唸ると、鼻をぶん回しパトカーを一撃、そのまま住宅街を走り去って言った。この間、象の口元や足下が黒い赤で染まっていたことに気づいた人間がいただろうか。象の姿が見えなくなってようやくあわただしく動き始めた始末であるからして誰も気づいていなかっただろう。そして最初に来たあの警官の姿が見えなくなっていることも。
続
パオーン殺人事件
霜が薄紙のように積もった朝。まだ太陽の光は若くオブラートに包まれたように霜の湿気がしとしと。いつもの朝。平和な朝。だが事件の始まりを告げる鐘の音はいままさしく鳴らされようとしていた。
「パオーン」
けたたましい音が朝の静けさを崩す。でかいでかい動物の鳴き声だった。その鳴き声は半径500メートルの家々の明かりを灯すには十分なものであり、特に向こう三軒両隣の家人は寝間着のまま、パンツ一丁の者もいた、通りに飛び出してきた。そしてこの時また「パオーン」と轟音がこだました。
はてはてこれは一体、などと寝ぼけた頭で話しあう隣人たち。警察に電話をすると5分もしないで警官がやってきた。
「あの家からなにやらパオーンなどと聞こえるのですよ」
こう説明するより他にない。筆記すると実に滑稽ではあるが本人たちはいたって真面目である。
「はぁ、パオーンと、ねぇ」
警官は先ほどの轟音を聞かなかったらしい。隣人たちはどこか馬鹿にされたような言い草に少しカチンときた。言い草だけではなくこの警官の男前でも不細工でもなく、よくある顔のように見えて掴みどころのないような顔、あからさまに大きなあくびをし、面倒臭いなぁとばかりに帽子をとり頭をボリボリ掻く仕草が隣人たちの不安な心情を刺激した。
「早く音のした辺りの様子を見てこい」と隣人たちに促されて警官は、悪びれる様子もなく大きなため息をついて、音の発生現場、恐らくは田中さん家、のインターホンを押した。
ピンポンピンポーン。
普通のインターホンの音がやけに大きく聞こえる。固唾をのんで、文字通りゴクリと唾をのみ込む音が聞こえた、見守る隣人たち。その時、
「パオーン」と再度再度の大轟音。しかし今回はそれだけではない。ずどぉんずどぉん鈍い音が続き田中さん家が大きく揺れる。
ただ事ではない。
言葉を無くす隣人たち。ここにきてようやく警官はその職務を背負った顔つきになり無線で応援を要請すると、今度は応援を呼んだことで安心したのかニヤリと笑い顔になり、「もう一回鳴らしてみましょうか」と言い、誰の承諾も得ないまま、またインターホンを鳴らした。
ピンポンピンポーン。
またしても「パオーン」と轟音が響く。そして今度はバリバリバリバリと音がした。隣人たちはなんだか田中さん家が軽くなったような気がした。
警官は「ありゃりゃ」とこの緊張感漂う場の雰囲気に合わぬ気の抜けた声を発し、
「じゃあちょっくら中を覗いてみますか」と言い、背を丸め腕を組ながら玄関の扉を、鍵がかかっているのを確認すると、ドアノブの辺りをガンガン蹴りだした。この先ほどまでのちゃらんぽらんとした男からは想像出来ない行動に隣人たちは度肝を抜かれた。そんなことをしていいのだろうか、賠償はどうなるのだろう、自分は関係ない、などをこんな時に考えてしまうのが一般的日本小市民である。
続
「パオーン」
けたたましい音が朝の静けさを崩す。でかいでかい動物の鳴き声だった。その鳴き声は半径500メートルの家々の明かりを灯すには十分なものであり、特に向こう三軒両隣の家人は寝間着のまま、パンツ一丁の者もいた、通りに飛び出してきた。そしてこの時また「パオーン」と轟音がこだました。
はてはてこれは一体、などと寝ぼけた頭で話しあう隣人たち。警察に電話をすると5分もしないで警官がやってきた。
「あの家からなにやらパオーンなどと聞こえるのですよ」
こう説明するより他にない。筆記すると実に滑稽ではあるが本人たちはいたって真面目である。
「はぁ、パオーンと、ねぇ」
警官は先ほどの轟音を聞かなかったらしい。隣人たちはどこか馬鹿にされたような言い草に少しカチンときた。言い草だけではなくこの警官の男前でも不細工でもなく、よくある顔のように見えて掴みどころのないような顔、あからさまに大きなあくびをし、面倒臭いなぁとばかりに帽子をとり頭をボリボリ掻く仕草が隣人たちの不安な心情を刺激した。
「早く音のした辺りの様子を見てこい」と隣人たちに促されて警官は、悪びれる様子もなく大きなため息をついて、音の発生現場、恐らくは田中さん家、のインターホンを押した。
ピンポンピンポーン。
普通のインターホンの音がやけに大きく聞こえる。固唾をのんで、文字通りゴクリと唾をのみ込む音が聞こえた、見守る隣人たち。その時、
「パオーン」と再度再度の大轟音。しかし今回はそれだけではない。ずどぉんずどぉん鈍い音が続き田中さん家が大きく揺れる。
ただ事ではない。
言葉を無くす隣人たち。ここにきてようやく警官はその職務を背負った顔つきになり無線で応援を要請すると、今度は応援を呼んだことで安心したのかニヤリと笑い顔になり、「もう一回鳴らしてみましょうか」と言い、誰の承諾も得ないまま、またインターホンを鳴らした。
ピンポンピンポーン。
またしても「パオーン」と轟音が響く。そして今度はバリバリバリバリと音がした。隣人たちはなんだか田中さん家が軽くなったような気がした。
警官は「ありゃりゃ」とこの緊張感漂う場の雰囲気に合わぬ気の抜けた声を発し、
「じゃあちょっくら中を覗いてみますか」と言い、背を丸め腕を組ながら玄関の扉を、鍵がかかっているのを確認すると、ドアノブの辺りをガンガン蹴りだした。この先ほどまでのちゃらんぽらんとした男からは想像出来ない行動に隣人たちは度肝を抜かれた。そんなことをしていいのだろうか、賠償はどうなるのだろう、自分は関係ない、などをこんな時に考えてしまうのが一般的日本小市民である。
続
