再び、国家公務員新規採用削減報道について | 彼の西山に登り

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公務員試験講師があれこれ綴るブログ。

昨日はダブル講義で、ブログ更新もできなかったのですが、

今日は講義もないし、久々に落ち着いて原稿が書けるかな、

と思っていたら……


岡田副総理が、国家公務員の2013年度の新規採用09年度比で平均約7割減らし、計2500人程度とするよう各府省に指示したとの報道に接し、一瞬思考が固まりました。総務省を通じて、各府省ごとに6日段階(前回の記事参照)の水準を上積みした具体的な削減幅を示したとのことです。

ただし注意すべきは、「7割減」とは2009年度比で、ということです。

(もっとも、2011年度比でもざっと半減ではありますが。)


スタッフT君曰く、

「吉川先生の圧力で撤回させられませんか(笑)?」


……「無理無理無理無理無理!」



(ここから先は私見です。)


これは3月6日報道の削減数(2009年度比で約4割)を倍近く積み増した形になっています(上記のように各府省ごとに具体的な削減幅を示したため、報道によれば省庁によっては2009年度比で削減幅が8割に達するところも出たとのこと)。これは総人件費の抑制が目標であるのに対し、当然ながら新規採用者の給与水準は低いため、採用削減数を増やすことになったようです。

しかしながら、ここまでの削減は、業務遂行や人事計画に支障が生じるだろうと思われるため、各省庁も相当抵抗するでしょうから、さすがに額面通り実現されることはなかろうと思います。もちろん政府もそんなことは先刻ご承知で、それを見込んで、最終的に3月6日の水準辺りを落とし所にするためのブラフかもしれません(もちろん過度の期待は禁物ですが)。


したがって、今回の報道についても、過度に動揺せず、前回の記事にも書いたように、やるべきことをきちんとこなしていくことが重要です。とりあえず、直近の試験に向けて集中しましょう。

ただ、国家公務員の採用数が相当数減る結果、地方公務員試験にまわる人数が従来より増加するでしょうから、地上A日程以降が第一志望の方は、前回も書きましたが、従来より漏れのない対策をした方が安心できるでしょう。

逆に、国家公務員試験から地方公務員試験(特に市役所試験)にまわる方は、そのタイミングで教養試験、面接対策(集団面接・集団討論を含む)を意識して強化する必要があるでしょう。国家公務員試験は専門重視のところが多いので、そのままの感覚で教養試験のみの市役所を受けると、意外に手こずるケースが出てきます。

また、どんな場合でも複数の内定を手にする方はいますが、そういった優秀者の内定辞退のタイミング次第では、追加募集がかなり遅くなって行われることもあり得ます(今年も年明けの市役所追加募集がいくつかありました)。こういったチャンスも含め、内定まで想定より長丁場になる方も出てくるかとは思います。



(さらにここから先は妄言なので、『である』調になる。)


今回の国家公務員新規採用削減策を立案した者(政治家か役人か知らんが)は、さぞかし、「今、行財政改革に取り組まなければ我が国は破綻してしまう」との憂国の情に駆られていることと推察する。しかし、同じ総人件費の抑制でも、給与水準の引き下げとか、早期退職を募るとか、分限処分を活用するとか※、他に方法はあるのに、一番抵抗の少ない新規採用の抑制に頼っている時点で、覚悟の程は知れたものである(ただ、そういうへっぴり腰を各省庁も『舐める』であろうから、受験生の立場からは、削減幅の最終結論にはまだ希望が持てる)。


そこで、自分の中でそのへっぴり腰を誤魔化すために、「いや、大事のために泣いて小事を犠牲にしているのだ」と言い聞かせているかもしれないが、小事を犠牲にして大事を為すことならバカでもできる。

(なお、受験生の運命を小事呼ばわりするのは、もちろん受験生の立場からはとんでもないことだが、公権力の立場からそう解する者がいるであろうことは、受験生でも理解できると思う。そして公権力というものは、『大の虫を生かすために小の虫を犠牲にする』という価値判断をしがちなものである。これを私の師匠は『公権力のデモーニッシュな性格』と表現した。)


こうした自認エリートが愚民にバカ呼ばわりされず、真のエリート視されるためには、他人を犠牲にしたことを痛む心情を有するだけでなく、「自分の大切なもの犠牲にする」こと(少なくともその覚悟を具体的な姿勢で示すこと)が要求される(西郷隆盛のように)。もちろん、たたき出した結果や、それを評価する時代の空気によっては、それでもなおバカ呼ばわりされることがある(乃木希典のように)。


つまり、エリートと非エリートとの分水嶺は、


保身に優先する何かをもっているか否か


である。


これをかつては、

恒の産無くして恒の心有る者は、惟だ士のみ能く為す。民の若きは則ち恒の産無くして、因って恒の心無し。」

といった(孟子 梁恵王上)。


現在では、「恒産無き者は恒心無し(恒産無くして恒心無し)」などと後者のみが抜き出され強調されて、それが人間の自然の性質とみなされている。このことは、現代が大衆社会であり、エリート(と自らを措定しているボク)も大衆と寸分違わない同レベルの裸虫に過ぎないことを示している。

評論家・呉智英氏の表現を借りれば、「民主主義とは、『バカは正しい』という思想である。」ということになろう。ただし注意すべきは、自分は異なるつもりでこの言葉を他人にあてはめ、暗い笑みを浮かべている自認エリートも、まず例外なく同類であるということである。



※国家公務員法78条4号によれば、「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」には、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、職員を降任し、又は免職することができる。とすれば、もし現状、現職の分限免職より採用抑制を優先させなければならないことになっているとしても、それは人事院規則レベルの規定の筈である。



★採用説明会のお知らせ
CSSにて主な自治体の人事担当者様をお招きし、採用説明会を行ないます。
CSS生ではない方も参加大歓迎です。(予約不要)
・会場 CSS中央大前校
川崎市役所 3/13(火)14:00~15:30

・会場 CSS千葉大前校
船橋市役所  3/12(月)11:00~12:30
江戸川区役所 3/16(金)11:00~12:30

詳しくはCSSのホームページをご確認ください。


〈合格者チューターのブログ〉
Sさん、E君(千葉大前校)、O君(中央大前校)がアドバイスしてくれています。
また、横浜市の採用説明会の模様が紹介されています。


〈本年度のCSS合格者の声〉

http://cs-seminar.com/recommend.html



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3/11 14:00~15:30 「入門講義 数的処理第2回」

3/12 18:00~19:00 「新3年生のための公務員試験ガイダンス」

3/14 18:00~19:00 「公務員試験戦略ガイダンス」

3/17 18:00~19:30 「入門講義 憲法」

3/22 18:00~19:30 「入門講義 民法」

3/23 14:00~15:00 「新2年生から始めて確実に公務員になる方法」

3/26 14:00~15:00 「新3年生のための公務員試験ガイダンス」

中央大前校

3/11 14:00~15:00 「新3年生のための公務員試験ガイダンス」

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3/20 18:00~19:00 「法学部1・2年生限定 君たちに有利な公務員試験」

3/22 14:00~15:00 「公務員試験戦略ガイダンス」

3/25 14:00~15:00 「公務員試験戦略ガイダンス」

3/29 11:00~12:00 「公務員試験戦略ガイダンス」


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