こばやし歯科医院 web分院

こばやし歯科医院 web分院

東京中野の駅前にあるこばやし歯科医院のBLOGです。
歯医者に関すること、庭で咲いた花のこと、鬘の話etc.etc.
役に立たない話が多いですが、気楽にお読みくださいm(_ _)m。

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昔、ある程度成長すると脳細胞は分裂しないと考えられていました。
そして、脳の3割しか使われていないと言われておりました。



現在では両方とも否定されています。



脳細胞の分裂が特殊なため、分裂したと思われなかったのです。そして、脳の機能の3割しか使われていないというのは、そんな訳がありません。我々が、使っていることを認識できなかったのです。技術の進歩が分からなかったことが分かるようになったのです。



脳の機能に関しては、様々な作品のネタの一つになっていました。
超能力モノの定番と言ってもいい設定でした。
それなので、一寸残念です。



ところが、今現在も成人後も細胞分裂を行わず、新陳代謝をしないと思われている器官があります。それは、歯です。



歯は図に示すように2種類の硬組織からなります。エナメル質と象牙質です。
象牙質を作る象牙芽細胞は歯髄内に存在しますが、エナメル質を作るエナメル芽細胞は萌出後は存在しないのです。



歯は、出産前母体の胎内にいる頃から作られ始めます。顎の中に歯の種になる歯胚ができ、象牙質は歯の内側から、エナメル質は歯の外側から作られていきます。そして、歯が萌出する際に、エナメル芽細胞は役割を終え、なくなります。



つまり、歯が生えた後は、エナメル質の形を作る細胞は存在しません。
そして、生えた歯の形は減ることはあっても、増えることはありません。
そして、象牙質はエナメル質の内側にあります。エナメル質が増えないので、形が変わりません。だから象牙質の体積も増えようがありません。よって、象牙質も基本的に形が変わりません。



つまり、虫歯や事故で歯が折れるなどの事態にならない限り、歯の形が大きく変わることがありません。



だから、歯は細胞分裂しない。新陳代謝をしない。そう考えられているのです。



私は#02で言いましたが、『歯医者は物理が苦手である』と。
そして、『物理が苦手な人』達の手で歯科の基礎を作られた可能性が高いのです。



これを物理と言うとあれですが、この時点で無視している物理法則があることに気づきました。それは、『形あるものはいつかは壊れる』です。



……これを物理法則というのは自分でも大袈裟だと思います(^^;。



少なくとも、強い力が加わった物質は破壊されるぐらいは、言ってもいいでしょう。



歯は固いです。ご飯を食べるとき、歯と歯がぶつかります。
固いもの同士がぶつかります。



歯は金属ではありません。無理やり分類するとセラミックです。
セラミックというのは、非生物で非金属の固いものの総称です。
石や陶器やガラスがセラミックになります。
それなので、歯をセラミックと言い切ると、色々と問題があります。
何故なら、歯は身体に生えているときは生体ですからセラミックの定義に当てはまりません。しかし、抜けた瞬間からセラミックになります。だから生えている歯は生体ですので、厳密に言うとセラミックではありません。実情は生物由来のセラミックであり、性質としてはセラミックとして扱っていいでしょう。



セラミックである石と石がぶつかると、石が欠けます。下手をすると割れます。
エナメル質はリン酸カルシウム、アパタイトの結晶です。つまり、石の一種です。セラミックです。結晶同士がぶつかったら、欠けるに決まっています。歯は大きく割れないように色々と工夫されていますが、顕微鏡レベルの微小な破壊は確実に起こっています。



つまり、ご飯を食べるたびに、歯は少しづつ欠けていくことになります。
それが毎日続けば、何時かは形が無くなります。極めて当たり前の話です。



ですが、歯は無くなりません。となると、何処かでアパタイトを補充しなければいけないわけです。そして、実際アパタイトは補給され、歯の形は変わりません。



ここで、歯は新陳代謝をしないということと矛盾が生じます。



勿論、歯医者もそんなことは判っています。
だから、こういう詭弁を使うのです。



『歯は常に脱灰と再石灰化を行っている』



歯は、リン酸カルシウム、アパタイトの結晶です。
エナメル質の98%、象牙質の70%をアパタイトが占めています。
歯からカルシウムが放出することを脱灰、歯にカルシウムが供給されることを再石灰化と読んでおります。これは常に歯の表面で行われています。



新陳代謝とは、身体の構成している古い物質が新しい物質に置き換わることを意味します。
このことを素直に受け取ると、脱灰と再石灰化は、新陳代謝以外の何物でもありません。
しかし、歯医者は頑なにそのことを認めていないのです。



『歯は新陳代謝をしない。代わりに脱灰と再石灰化を行う』



……只の言葉遊びですね(^o^)。



こんなことになった背景に、二つのことが上げられます。



①歯の萌出後、エナメル質を形作る細胞は存在しない。
②歯の表面で行われる脱灰と再石灰化には、細胞が介在していない。



つまり、カルシウムの置き換え自体は認めるが、それを新陳代謝と認識していないということです。



これを認めないには理由があります。
歯が新陳代謝をしているのなら、『何故虫歯は自然治癒しないのか?』という事実を説明できないのです。



歯が新陳代謝をする機能があるのなら、再生力があることになります。そうならば、虫歯は自然治癒するはずです。ところが、虫歯は自然治癒しません。



歴史的に言うと、『虫歯は自然治癒しない』という事実があるため、従来の治療法では対処できず、歯科は医科から独立しました。



つまり、『歯が新陳代謝をする』ということは、『虫歯は自然治癒しない』という事実と矛盾することになります。言い換えると、歯科の存在の前提条件がくずれます。
下手をすると、歯医者の存在理由が無くなってしまうのです。



これが、『相撲は土俵で戦うのは正しくない。リングで戦うのが正しい』という私の主張になります。あるいは、『ボクシングはリングで戦うのは、正しくない。土俵で戦うのが正しい』でも構いません。



キリスト教の司祭が、『イエス・キリストは悪魔の子である』なんて、教義を受け入れられますか?
無茶苦茶です。受け入れられるわけがありません。



……そりゃ、私の意見が同業者に全否定されるわけです(^^;。



学問の前提条件は、その学問が存在するために必要です。
そこが間違っているなんてことは、考えたくないわけです。認めるわけにはいきません。
だから、私は必死に考えました。この矛盾を解消する理由を。



次回は、『虫歯が自然治癒しない』ことと『歯が新陳代謝をする』ことが、矛盾せず成立する理由をご説明しますm(_ _)m。



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こばやし歯科医院

【住所】
 〒164-0001
 東京都中野区中野5-66-3 木村ビル3F

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私は過去に前提条件が間違っていてそれを改められた例をいくつかあげました。



コペルニクスの地動説。
ダーウィンの進化論。
ウェゲナーの大陸移動説。
メンデルの遺伝法則。etc.etc.



学問の前提条件の間違いが是正された結果、その学問は進化し、我々はその恩恵を享受しております。



カーナビのお陰で迷子にならないのは、元を辿るとコペルニクスの地動説に至ります。
品種改良された桃や葡萄などの農作物が食べれるのは、ダーウィンの進化論やメンデルの遺伝法則が関係ないとは言わせません。スマホから地震速報が鳴るのは、ウエゲナーの大陸移動説がプレートテクニクス理論を生んで、地震の仕組が開明されたおかげです。



これらの諸説が立証する前のその学問で問題が起きなかったかというと、それほど問題じゃなかったんです。理由は簡単です。大概の人は困らなかったからです(^^;。
地図にない街を探すには、最初に地図が必要なように、今の生活が不便だと知るには、便利になったものを知らなければいけないのです。



たとえば天動説ですが、太陽が地球の周りを廻っているのと、地球が太陽を廻っているのでも、日常生活では困りません。暦を作るとか、天体観察をする人には大いに問題でしょう。ですが、それはごく一部の人たちです。当時の知的階級の数を考えると、9割以上の人が困らなかったと断言できます。研究者の間でも、トップを走る人以外は、それほど困らなかったのでしょう。



更に言えば、地球と月との間だけなら、天動説が成立します。
我々が日常生活で肉眼で見えるのは、太陽と月です。勿論星々も見えますが、日常生活でそんなに影響がありません。太陽と月だけわかっていれば、潮の満ち引きとか、暦の計算なんかはある程度の精度までできます。というより過去の観測結果から導き出せます。
天動説だと惑星の軌道について説明がつかないので、星占いをしている人は困ったかもしれません。しかし、世間一般ではその程度の影響しかないでしょう。更に言うと、そのような状況ですから、稀に現れる彗星なんかは不吉の前兆と思われたのでしょう。



つまり、望遠鏡の発明以前は、天動説でも天体観測にそれほど不自由せず、説明がつかない問題は、トップレベルの人たちの悩むだけで済んでいたのです。



第1回で、天動説のまま人工衛星を打ち上げるという話をしましたが、天動説のままでも人工衛星を打ち上げることはできると思います。地球と月との間だけなら、天動説が成立するからです。



実際は、人工衛星の軌道計算でも地球と月の関係だけを考えるのと、その上に地球が太陽の廻りを公転しているというパラメータを組み込むと、計算結果が変わってきます。
他にも天動説と地動説では、考慮すべきパラメーターの数が違います。だから、天動説で人工衛星を打ち上げること自体はできても、長期に運用しようとすると色々とトラブルが出るだろうことは、想像に難くありません。



それどころか、複数の人工衛星を運用するとか、惑星探査宇宙船とか考えると、どのような軌道計算をすれば天動説でそんな真似ができるか私には想像もできません。
きっとボイジャーもはやぶさも明後日の方角へ迷子になることでしょう。
アポロ11号は月へ辿りつけたのでしょうか?



前提条件の間違いは、科学が発達する過程で是正されるものです。
言い換えると、前提条件が間違っていると様々なことが説明できません。
たとえば、天動説では惑星の軌道が上手く説明できません。色々と頑張ったようですが、結局上手く説明できず、地動説が生まれたわけです。



これと同じように、たとえば今の歯科では患者さんによく聞かれる疑問を説明できません。
その一つがこちらです。



『一生懸命歯を磨いているんですが、どうして虫歯になるのですか?』



今の歯科の基本的な答は『磨き残しがあるから』です。
実は、どんなに一生懸命歯を磨いても、歯ブラシだけでは50%ぐらいの磨き残しがあることが分かっています。歯間ブラシなどを用いても30%ぐらいの磨き残しがあります。



……質問の答になっていないという意見は、ごもっともとお返しします(^^;。



基本的にこれ以上の説明はできません。解決策は以下の3つです。



①もっと歯を磨く。
②歯間ブラシなどの器具を使う。
③もっと歯医者に通って奇麗にしてもらう。



……これだけやっても虫歯はできるときにできます(^^;。



他にフッ素コート等幾つか方法がありますが、それらの処置をしても現時点では虫歯の完璧な予防法は存在しないのです。このため、歯磨き指導は技術論にとどまらず、精神論へ陥りがちです。歯磨きをネタにしたスポ根漫画が生まれても不思議ではないと思います。



……そんな奇特な作品があったら、是非読んでみたいですが(^^;。



私の答は簡単です。
『虫歯の原因は複数ある。歯磨きでは、全ての原因を潰していない』です。
複数の原因があるのに、全ての原因を潰すことができなければ、完全な虫歯の予防ができなのは、当然です。



後で詳しく書きますが、現在判明している虫歯の原因は3つあります。歯ブラシではそのうち2つしか潰せません。そして、私の主張する前提条件の間違いの一つが、発見されていない4つ目の虫歯の原因の可能性が高いです。




この他にも、開明も説明もできないことが幾つもあります。
どんなに丁寧に処置しても痛みが消えない虫歯、どんなに処置をしても腫れてくる歯周病、すぐに合わなくなくなる入れ歯etc.etc。



今の歯科治療で困難とされているものが、歯科の前提条件が間違っているため、考慮すべきパラメーターを無視していることが一因なら、どうなるでしょう?



ここまで書くと、『そんなに問題があるなら、歯医者は何故追求しなかったのか?』と思われる方も居ると思います。実は、歯科には解決策があるんです。逆を言えばこの解決策があるから、前提条件が間違っていることに気づいていないのだと思います。



それは、抜歯です。



トラブルの原因が判らない歯は、抜いてしまえば問題が解決します。
そんなことでいいのかと思うかもしれません。



歯医者の仕事は歯の研究は、主目的ではありません。
歯のトラブル解消が目的であり、歯の研究はその目的達成のための手段なんです。
しかし、トラブルの原因を突き止められなくても、トラブルが解消されれば目的は達せられます。



何より、歯科が最初にできたころの痛くなった虫歯の対処法は、抜歯一択でした。
歯を抜かなくても治療できるようになったのは、つい最近なんです。



抜歯は歯医者にとっては当たり前の手段です。
いわば歯のトラブルの解決策の王道なのです。
それなので、抜歯の前にある些細な問題など、『細かいことはいいんだよ』とばかりに、誰も気にしなかったのです。



……これは問題の解決ではなく、消滅だという意見には、首肯します(^^;。



抜歯はついこの間まで、歯科治療のスタンダードであり、ファーストチョイスでした。
たとえば、昭和の時代の歯槽膿漏の治療は、抜歯でした。歯槽膿漏は一言で言うのなら、歯周病の末期段階です。当時は歯周病という言葉すら普及していませんでした。



歯槽膿漏になったら、ドンドン歯を抜いて総入れ歯にしましょうが、当時の歯槽膿漏治療のスタンダードでした。もちろん、今はそんな治療はしていません。歯をなるべく残す方向で技術が発達しました。この他にも、様々なケースで抜歯がファーストチョイスだったのです。



世間一般では過去の技術や慣習でも、特定の業界では昔の伝統や技術が現役で使われているなんて例は、幾らでもあります。たとえば、ある工場ではMS-DOSとフロッピーディスクが現役だったりします。歯科はその意味では、過去の伝統から脱却できていないのです。



今の歯科の状況は、天体望遠鏡が実用化して今までよりも詳細なデータが取れているのに、誰も天動説に疑問を持っていないという状況です。抜歯という解決策があるため、本来なら疑問に感じる計測結果も、計測対象外としてほとんど考慮されていないのです。
最初から視界に入っていないので、得られたデータの矛盾に気づかず、コペルニクスもガリレオも出てこないのです。



自分をかの偉人と並べる気はありません。何故かというと、私が気がついたことは、ウエゲナーが世界地図を見て気づいたことと同レベルだからです。いやウエゲナー以前の世界地図を見て、思い付きで大陸移動説を提唱した人達の一人でしょう。
そして、そは現在の歯科では誤差として切り捨てられているものの中にあります。
それは、しなびた大根の葉っぱのように、ゴミ箱に放り込まれているのです。



つまり、私のしていることは、しなびだ大根の葉っぱを炒めておかずにしたようなものです。定食屋のおかずの一品ならまだしも、それでレストランを開けば三ツ星が貰えると主張したら、正気を疑われるでしょう。



……まぁ、普通誰もまともに扱いませんよねぇ(^^;。



色々と書いてきましたが、次は私が見つけた前提条件の間違いの一つ、虫歯の4つ目の原因についてお話ししたいと思います。






写真は、庭で咲いた姫睡蓮です。
姫睡蓮は3株ほどあるのですが、今年は一株しか咲きませんでした。
来年はもっと咲いてくれると嬉しいです。



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こばやし歯科医院

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大陸移動説を提唱したウェゲナーが、そのとんでもない説を思いついたのは、世界地図を眺めていた時です。アフリカ大陸と南米大陸の海岸線の形が、一致していることに気がついたんです。



『あれ、これ元がひとつだったんじゃね?』と言ったかどうかは不明ですが、その思い付きを切っ掛けに、研究し大陸移動説を提唱したそうです。もっとも似たようなことを考えたことは以前にも居たそうですが、それは単なる思い付きだけで、南米とアフリカに共通する化石などの証拠をセットで提出したのがウエゲナーが最初だったようです。



発見というのは、ふとした切っ掛けて見つかることがよくあります。それが素人の思い付きということも多いです。現に、大陸移動説を唱えたウエゲナーは気象学者です。
このため、『素人が寝言を言いやがって』という趣旨の批判を大分されたようです。



では、私が歯科の前提条件の間違いに気づいた切っ掛けは、父の昔話です。



父が、機嫌よく酔った時にする昔話が一つありました。
それは、父の大学時代の話です。



歯科の治療に歯列矯正という治療法があります。
歯並びを奇麗にする治療法だと思っていただければ、間違いありません。



歯列矯正では、歯に力を掛けて歯を動かします。
その際の力は計算して掛けなければいけません。




一番簡単な方法は、歯の表面につまみを着けて、輪ゴムを掛けるという事でした。
勿論、輪ゴムと言っても専用の小さな輪ゴムです。
ともあれ、輪ゴムなら歯にかかる力の量は簡単に計算できます。
一番基礎の治療法であり、計算方法です。



その矯正学の授業で、こんな設問が出ました。



『歯を動かすために歯と歯の間に輪ゴムが掛かっている。この力を2倍にしなさい』



答は『輪ゴムを二つ掛ける』です。
極めて簡単な答です。



ところがです。父の同級生の7割は、こう答えたんだそうです。



『輪ゴムを二重にねじって掛ける』



輪ゴムの力は、伸びる量に比例します。
輪ゴムを二重にねじると、輪ゴムの直径は半分になります。
このため、輪ゴムの伸びる量は、元の2倍になります。
輪ゴムが2重に掛かって、伸びる量が2倍になるのですから、歯と歯の間にかかる力は、
2×2=4倍になるわけです。



これは、フックの法則と言いまして、物理学というより力学の基礎です。
最初に学ぶ物理法則と言ってもいいでしょう。今の高校のカリキュラムはどうなっているか分かりませんが、私の時は高校1年で習いました。



ともあれ、それを見た父は、実験でこの事を証明し、論文にして発表したそうです。
小さな学内誌かと思いましたが、矯正の専門誌に投稿していました。そのことを知った教授が、まだ学生だった父のスカウトに来たというのが、この話のオチでした。



ここで問題は、父は東京医科歯科大学歯学部の3回生だったんです。
父は昭和4年生まれですから、この論文を発表したころは1950年前後だと思います。
戦後になって教育改革が行われ、専門学校だった歯科は医学部に準ずる学科として扱われるようになり、歯学部は大学として扱われるようになりました。



東大に歯学部はありません。この事もあり東京医科歯科大学は、当時から国内で歯学部のトップという扱いでした。言い換えるなら、偏差値的には最も高い歯学部だと思います。まぁ、当時は偏差値という概念は導入されていませんでしたが(^^;。



何が言いたいかというと、歯学部のなかで最も偏差値が高かった父の同級生達は、物理が苦手であった人が多数派だったという可能性が高いのです。



ただ、父の同級生たちの名誉のために言っておきますと、試験で物理ができなかったということは無かったと思います。我々は中学高校と6年間英語を勉強しますが、駅で外人さんに英語で道を聞かれて、スラスラと説明できる人は少ないでしょう。



学校で物理学を習っていても、それは知識の一つであり、自分の道具として使いこなせる人が少数派だったのでしょう。ましては、歯科の世界は基本的に指が如何にうまく動くかにかかっています。大学に入って、その訓練に一生懸命になっているときに、高校時代に習った知識を十全に使いこなせというのは、酷だと思います。



ともあれ、当時の歯学部の学生が物理が苦手だった可能性が高かったのですが、教授陣はどうかと言いますと、もっと酷かった可能性があります。
何故かというと、戦後の教育改革が行われるまで、歯学部は専門学校だったんです。
つまり、看護師や美容師、理容師さんなんかと同じ扱いです。



失礼ですが、貴方の高校時代を思い浮かべてください。
お友達の何人かは、上記の専門学校へ進んだでしょう。
その方々は、物理は得意でしたか?
当時でも、物理が得意な方はもっと別な進路を選んだでしょう。



そして、最も困ったことに、現代歯科治療で使われる切削器具のほとんどは、この時期に普及し始めたのです。
コンプレッサー、エアタービン、電気エンジン、ダイヤモンドバーetc.etc.
現在の歯科の基礎がこの時代に確立し、普及していたと言っても過言ではありません。
父が歯学部の学生だった頃は、歯科という学科の黎明期であり、成立期だったのです。



何が言いたいかというと、現在の歯科医学という学問は、大多数が物理が苦手な人によって成立した可能性が高いのです。



……とってもヤバいです(^^;。



私が父にこの自慢話を最初に聞いたのは、小学生だったと思います。以後、酔っぱらった父から何度も聞かされました。酒の席の身内の自慢話なんか面白いわけがありません。
だから、何回目からは聞き流していました。



ところが、私が歯医者になった後で、なんかの拍子に父がこの自慢話を始めたのです。
その時、『あれ、当時最も偏差値が高かった歯医者の卵が、軒並み物理が苦手って、ヤバくない』と冷汗をかいたのを覚えています。



そして、歯科の色々な事象を洗い流していくと、もっとヤバいことに気づきました。
歯医者は物理学だけでなく、化学も生物学も苦手だったんです。
いや、理系科目全般が苦手である公算が高いです。



何故こんなことが起こったかというと、歯医者というのは基本的に如何に上手く歯を削れるかという技が重要なんです。学問というより職人の世界だと言っていいと思います。
現在では色々と様相が異なって来ましたが、基本構造は変わっていません。



そして、本来なら歯を削る機械が普及した段階で、歯科という学問をもう一度見直すべきだったのだと思います。しかし、それは虫歯の急速な普及によって阻止されました。
虫歯の原因である砂糖の輸入量が戦後になって増大した結果、患者数が激増したのです。
その結果、歯学部の数は、戦前の6校から30校まで増えています。
当時は、歯学部の増設に対処するだけで手一杯で、歯科の現状を見直す余裕なんて、欠片も無かったでしょう。



では、歯学部の増設が安定したころには、その辺りの問題点は、誰も気づかないまま埋もれてしまったのでしょう。常識というのは、その時点でそれ以上の思考をしなくなります。歯科の技術が確立し、歯学部などの教育環境が整ったころには、この辺りのことは常識として成立し、思考の範囲外に出されてしまったのです。



その結果、現代の歯科は天動説のまま人工衛星を打ち上げるような真似をしているのです。
そして、そのことを多くの歯医者は気づいていないか、気づいても計測誤差の範囲として切り捨てているのでしょう。



……『常識がおかしい』って、誰も考えないでしょう(^^;。



これ、結構怖い状況なんですけど、ほとんどの人が気づいていないので、全く問題になっていないんです(^^;。



ですが、大きな問題は起きていません。その理由を次回お話ししたいと思います。







写真は、この夏、庭に咲いた琉球朝顔です。
種をまいたわけではなく、隣家からツルが伸びてきて、繁殖しました。
3m程の高さの金木犀の先端まで伸びています。
朝顔の名があっても、実際は昼顔の一種で、10mぐらい伸びるそうです。
花は大きな朝顔そのもので奇麗なのですが、大きくなりすぎるので、処分が大変でした。


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学問では、その成立期に前提条件が間違っていることがよくあります。
そのもっとも有名な例が天文学における地動説と天動説の争いでしょう。



星々が地球を廻る地動説と地球が太陽の周りを廻る天動説では、古代から1千年以上に渡って様々な論争が繰り広げられ、様々な悲喜劇を生みました。有名なところで天動説を唱えたガリレオが裁判にかけられ、有罪になったことでしょう。



この事件は、学問の真髄と宗教的な神秘との境界が曖昧で、学問の発展を宗教というより当時の社会が許容できなかったのでしょう。地動説が天動説に勝つことは、文字通り天地がひっくり返る程の衝撃を多くの人に与えたのでしょう。



似たような例は数多くあります。



ダーウィンの進化論。
ウェゲナーの大陸移動説。
メンデルの遺伝法則。etc.etc.



どれも、様々な論争を引き起こしました。



学問が発達する過程で、矛盾が溜まり、行き詰った結果、そのブレイクスルーとして、新しい考えが生まれたのです。これは、学問の世界だけなく、技術の世界、いや、様々な世界で数えきれないくらい起こってきました。



余談ですが、これらの新しい考え、ブレイクスルーが同時期に集中した欧州で産業革命が起こったのは、ある意味必然だったのでしょう。そんな次第で、今現在も世界中で進化するために、従来の問題点を解決するために、様々な努力が注がれています。



で、何が言いたいかと言いますと、私は見つけてしまったのです。
歯科における前提条件の間違いを。
しかも、それが一つでは無かったのです(^^;。



私の発見が正しければ、今の歯科では天動説にもとづいたまま、人工衛星を打ち上げるような真似をしているのです。



最初に見つけたのは、10年以上前です。
そのことに気づいた私は、興奮して様々な人に話しました。
ですが、誰も信じてくれませんでした(^^;。



それは、そうです。
私が言っていることは、歯科の前提条件が間違っているという事です。
それを同業者に話すという事は、宗教家に向かって教義の間違いをしてきするのと同じです。



同一宗教で教義が異なると、下手をすると異教徒よりも論争になります。
キリスト教におけるプロテスタントとカトリックの論争をはじめ、様々な対立があります。
戒律の厳しいイスラム教でも、基本的には他教徒は敵であるが、無用に争わず立場を尊重する様に説かれています。



年を経た今だから客観的に話せますが、私が発見した事実を話した時は、酷い扱いを受けました。まず、まともに話を聞いてくれません。聞いてくれた少数の人は、頭から全否定です。親の仇の様に激しく罵られたこともありました。あの温厚な先生がここまで口汚く人を罵るのかということも体験しました。



更に言えば、私が学術的に発表しようにも、発表する場所がありませんでした。
学会で発表すればいいと思うでしょうが、そんな学会がありません。
学会というのは、特定の分野の特定の意見に同意している人たちの団体です。
私の主張は前提条件についてです。その学問が成立している前提条件が違うと言うのですから、発表する学会があるわけがありません。



格闘技に例えます。
相撲は土俵の上で戦う格闘技です。
ボクシングはリングの上て戦う格闘技です。
その前提条件に誰も異議を唱えません。



『相撲は土俵で戦うのは正しくない。リングで戦うのが正しい』
言うならば、これが私の主張です。



……うん、誰が聞いても狂人の戯言です(^^;。



誰も話をまともに聞いてくれないのは当然です(^^;。



そして、おそらく先人たちが受けた最初の評価も同じだったのでしょう。
そうでなければ、ガリレオが裁判で負けるわけがありません。
ダーウィンなんか進化論を発表するまで、論分や反論を20年ぐらいかけて準備しています。



私は、そんな先人のように偉いとは思えません。
おそらく私が発見したものは、数多くの歯科医が気がついているものと思います。
筋道立てて整理をしていなくても、この辺りはおかしいと思っているはずです。
ただ、通常の診療では問題が無いので、見過ごされているのです。



私の発見にもとずくと歯科の治療が色々と楽になります。
おそらくそれは、患者さんにとっていいことだと思います。



それなので、細々と書いていこうと思います。
お付き合い頂けると嬉しく思いますm(_ _)m。



なお、私は相撲は土俵で、ボクシングはリングでするのが正しいと思います。
ご理解していただけると嬉しく思いますm(_ _)m。






写真は、今年の夏に咲いた向日葵です。
これ1mぐらいの高さのミニヒマワリのはずなんですが、何故か2m近くに伸びています。
ここに蒔いたのは、百均ショップの種だったので、多分不安定な種だったのでしょう。

まぁ、育ったからいいことにしましょう(^^;。



 

 

桃園と聞いて、何を思いますか?
三国志の冒頭の<桃園の誓い>あたりを思い浮かべる人も多いと思います。
古くから居る中野区民は、中野駅周辺の地名だと思います。



現在の中野駅周辺の地名は以前は、囲町<かこいちょう>とか桃園<ももぞの>と呼ばれていました。これは、江戸時代の5代将軍徳川綱吉が行った天下の悪法、<生類憐みの令>に起因します。



ご存じのように、生類憐みの令では、人より犬が厚遇されました。
その政策の一環として江戸周囲の野良犬を集め、巨大な囲いを作って犬を飼いました。
予断ですが、この政策はヨーロッパにも伝わり、ガリバー旅行記の元ネタの一つになりました。



そんな次第で、作られた巨大な囲いがあったのが、現在の中野駅周辺です。
このため、<生類憐みの令>が廃止後、この地域は囲町と呼ばれるようになりました。
そして、犬小屋の跡地に桃が沢山植えられました。
そのため、桃園<ももぞの>とも呼ばれるようになったわけです。



もっとも、昭和に行われた町名変更のために、そのあたりの地名は奇麗になくなりました。
小学校など一部に名前が残っているくらいです。



折角桃園と呼ばれていたのですから、さぞや立派な桃の木があるかというと、そんなことはありません。なにせ、中野駅周辺は中央線が通った以降に、散々開発されました。
陸軍中野学校ができたり、丸井ができたり、警察学校に替わったり、区役所ができたり、中野サンプラザや中野ブロードウェイができたわけです。桃の木が残る余地がありません。
少ない緑である街路樹のほとんどは、桜や欅や銀杏に変わってしまいました。



そんな状況を惜しんだ人たちが居たのでしょう。中野駅周辺の街路樹の一部に桃を植樹しました。資料を調べてみると平成9年に最初の植樹が行われたようです。地元の有志の方が手入れをしているようですが、詳しいことはわかりませんでした。



私はその桃が植樹された地域を毎日歩いています。
そして、あることに気づきました。



『桃の実がなっているのに誰もとらない……』



桃栗三年柿八年と言います。上記したように中野駅周辺の桃は、樹齢20年ぐらいになっているはずです。えぇ、だから当然実がなります。





摘花もせず、追肥も与えていないのです。小さな実しかなりません。
大きさは、桃と言うより南高梅を少し大きくした位です。



困ったことに、人と車の流れが多すぎるので、鳥も寄り付きません。
来たとしても雀ぐらいで、桃の実を啄みそうなカラスもヒヨドリも居ないんです。



つまり、落っこちても放置されるわけです。



……あまりにも勿体ない(^^;。



そんなので、桃の木の周囲に落ちている状態のよい実を拾うことにしました。
そのまま食べるのは流石にアレなので、水と重曹でよく洗い、コンポートにしたり、ホワイトリカーで付けてみました。




ともあれ、漬けたお酒が呑めるようになったら、ご報告しますm(_ _)m。