歯科の前提条件は、間違っている。 #04歯医者は物理が苦手である。 | こばやし歯科医院 web分院

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歯医者に関すること、庭で咲いた花のこと、鬘の話etc.etc.
役に立たない話が多いですが、気楽にお読みくださいm(_ _)m。

 

昔、ある程度成長すると脳細胞は分裂しないと考えられていました。
そして、脳の3割しか使われていないと言われておりました。



現在では両方とも否定されています。



脳細胞の分裂が特殊なため、分裂したと思われなかったのです。そして、脳の機能の3割しか使われていないというのは、そんな訳がありません。我々が、使っていることを認識できなかったのです。技術の進歩が分からなかったことが分かるようになったのです。



脳の機能に関しては、様々な作品のネタの一つになっていました。
超能力モノの定番と言ってもいい設定でした。
それなので、一寸残念です。



ところが、今現在も成人後も細胞分裂を行わず、新陳代謝をしないと思われている器官があります。それは、歯です。



歯は図に示すように2種類の硬組織からなります。エナメル質と象牙質です。
象牙質を作る象牙芽細胞は歯髄内に存在しますが、エナメル質を作るエナメル芽細胞は萌出後は存在しないのです。



歯は、出産前母体の胎内にいる頃から作られ始めます。顎の中に歯の種になる歯胚ができ、象牙質は歯の内側から、エナメル質は歯の外側から作られていきます。そして、歯が萌出する際に、エナメル芽細胞は役割を終え、なくなります。



つまり、歯が生えた後は、エナメル質の形を作る細胞は存在しません。
そして、生えた歯の形は減ることはあっても、増えることはありません。
そして、象牙質はエナメル質の内側にあります。エナメル質が増えないので、形が変わりません。だから象牙質の体積も増えようがありません。よって、象牙質も基本的に形が変わりません。



つまり、虫歯や事故で歯が折れるなどの事態にならない限り、歯の形が大きく変わることがありません。



だから、歯は細胞分裂しない。新陳代謝をしない。そう考えられているのです。



私は#02で言いましたが、『歯医者は物理が苦手である』と。
そして、『物理が苦手な人』達の手で歯科の基礎を作られた可能性が高いのです。



これを物理と言うとあれですが、この時点で無視している物理法則があることに気づきました。それは、『形あるものはいつかは壊れる』です。



……これを物理法則というのは自分でも大袈裟だと思います(^^;。



少なくとも、強い力が加わった物質は破壊されるぐらいは、言ってもいいでしょう。



歯は固いです。ご飯を食べるとき、歯と歯がぶつかります。
固いもの同士がぶつかります。



歯は金属ではありません。無理やり分類するとセラミックです。
セラミックというのは、非生物で非金属の固いものの総称です。
石や陶器やガラスがセラミックになります。
それなので、歯をセラミックと言い切ると、色々と問題があります。
何故なら、歯は身体に生えているときは生体ですからセラミックの定義に当てはまりません。しかし、抜けた瞬間からセラミックになります。だから生えている歯は生体ですので、厳密に言うとセラミックではありません。実情は生物由来のセラミックであり、性質としてはセラミックとして扱っていいでしょう。



セラミックである石と石がぶつかると、石が欠けます。下手をすると割れます。
エナメル質はリン酸カルシウム、アパタイトの結晶です。つまり、石の一種です。セラミックです。結晶同士がぶつかったら、欠けるに決まっています。歯は大きく割れないように色々と工夫されていますが、顕微鏡レベルの微小な破壊は確実に起こっています。



つまり、ご飯を食べるたびに、歯は少しづつ欠けていくことになります。
それが毎日続けば、何時かは形が無くなります。極めて当たり前の話です。



ですが、歯は無くなりません。となると、何処かでアパタイトを補充しなければいけないわけです。そして、実際アパタイトは補給され、歯の形は変わりません。



ここで、歯は新陳代謝をしないということと矛盾が生じます。



勿論、歯医者もそんなことは判っています。
だから、こういう詭弁を使うのです。



『歯は常に脱灰と再石灰化を行っている』



歯は、リン酸カルシウム、アパタイトの結晶です。
エナメル質の98%、象牙質の70%をアパタイトが占めています。
歯からカルシウムが放出することを脱灰、歯にカルシウムが供給されることを再石灰化と読んでおります。これは常に歯の表面で行われています。



新陳代謝とは、身体の構成している古い物質が新しい物質に置き換わることを意味します。
このことを素直に受け取ると、脱灰と再石灰化は、新陳代謝以外の何物でもありません。
しかし、歯医者は頑なにそのことを認めていないのです。



『歯は新陳代謝をしない。代わりに脱灰と再石灰化を行う』



……只の言葉遊びですね(^o^)。



こんなことになった背景に、二つのことが上げられます。



①歯の萌出後、エナメル質を形作る細胞は存在しない。
②歯の表面で行われる脱灰と再石灰化には、細胞が介在していない。



つまり、カルシウムの置き換え自体は認めるが、それを新陳代謝と認識していないということです。



これを認めないには理由があります。
歯が新陳代謝をしているのなら、『何故虫歯は自然治癒しないのか?』という事実を説明できないのです。



歯が新陳代謝をする機能があるのなら、再生力があることになります。そうならば、虫歯は自然治癒するはずです。ところが、虫歯は自然治癒しません。



歴史的に言うと、『虫歯は自然治癒しない』という事実があるため、従来の治療法では対処できず、歯科は医科から独立しました。



つまり、『歯が新陳代謝をする』ということは、『虫歯は自然治癒しない』という事実と矛盾することになります。言い換えると、歯科の存在の前提条件がくずれます。
下手をすると、歯医者の存在理由が無くなってしまうのです。



これが、『相撲は土俵で戦うのは正しくない。リングで戦うのが正しい』という私の主張になります。あるいは、『ボクシングはリングで戦うのは、正しくない。土俵で戦うのが正しい』でも構いません。



キリスト教の司祭が、『イエス・キリストは悪魔の子である』なんて、教義を受け入れられますか?
無茶苦茶です。受け入れられるわけがありません。



……そりゃ、私の意見が同業者に全否定されるわけです(^^;。



学問の前提条件は、その学問が存在するために必要です。
そこが間違っているなんてことは、考えたくないわけです。認めるわけにはいきません。
だから、私は必死に考えました。この矛盾を解消する理由を。



次回は、『虫歯が自然治癒しない』ことと『歯が新陳代謝をする』ことが、矛盾せず成立する理由をご説明しますm(_ _)m。



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