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COPE (KU Plankton Lab)

絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

こんばんは。主宰です。

 

この時期は、乗船実習・国際学会など楽しいイベントが続きますが、数ヶ月にわたって悩ましいきもちにもなります。それが、新卒論生の研究室配属です。私の研究室運営の考えとしては、私は課長などの中間管理職、学生さんは一緒に仕事をする仲間と考えており、配属された仕事仲間が楽しい時間を過ごしながら仕事を円滑にできるようにする環境づくりが大切です。その前提として、配属された仕事仲間が、うちの研究室の仕事に納得してもらえるかどうかが鍵です。仔魚生残におけるマッチ・ミスマッチ問題と同じですね。決して万人受けするような研究室ではないので、配属されたいとおもってくれている仲間がきてくれることがのぞましいです。

幸い、非常に頼もしい3人が新卒論生として配属されることになりました。いずれのかたも、2年次の授業の頃から注目していたかたがたで、私にとっては嬉しい限りです。真摯で信頼感のあるかたがたなので、これからの研究を楽しみにしています。それぞれのかたがたについては、また別途紹介します。

新卒論生が配属されたので、先日、海洋生物ゼミで研究室オリエンテーションが行われました。ゼミはどのように進められていくのか、ゼミでの係はだれがどのように担当するのか、乗船調査や技術研修などはどうするのかなどなどの説明です。修論生が手際よく説明してくれて、教員としてはたいへん助かります。先輩たちにいろんな質問をしながら、徐々に慣れていってください。

その晩には、新卒論生歓迎会が開催されました。いずれの研究室にも、頼もしいかたがたが来てくれてありがたい限りです。大学生活において、研究室配属以降の時間はたいへん有意義でたくさんの思い出ができます。鹿児島大学水産学部において、最も研究アクティビティが高く、様々なイベントがたくさん企画されているこの海洋生物ゼミで、一生の思い出を創ってください。

こんばんは。主宰です。

 

国際学会から戻ってきたら、日本はちょっと肌さむくなってました。単純にハワイとの気温差かもとおもいましたけど、周りを見ると服装が秋の装いなので、やっぱり気温が下がったのかもしれません。特に、今朝はかなり冷え込んで、ウインドブレーカーが必要かとおもいました。

いつも、秋の気配を感じるのはキンモクセイです。私の住んでいるところにはキンモクセイが植栽されていて、秋になると小さな花が咲きます。いい香りで、この香りを感じると秋になったなぁとおもいます。今年は暑かったせいか、花が咲くのが2~3週間くらいですかね。ハワイから戻ってきたら咲いていたので、いっきに秋を感じました。

こんばんは。主宰です。

 

さてさて、この国際学会も最終日となりました。それにしても、この国際学会では組織運営の仕事が多くていそがしかったなぁ・・・。昨晩、ハロウィンナイトは異常な盛り上がりで、若者たちはワイキキビーチをコスチュームを着て散歩したりバーで踊ったりと、夜中まで大騒ぎでした。そんな中、遅くまでベストプレゼンテーション賞の採点計算をし、事務局に報告をすることをしてて、ウトウトとしているうちに寝てしまいました。

最終日は、参加者全体でこの国際組織をどのように盛り上げていくかというパネルディスカッションと閉会式が開催されました。パネルディスカッションには、若手研究者代表として東京大学大気海洋研の学生さんがパネラーとして参加しており、たいへんしっかりとしたコメントを出されていました。私もたいへん共感し、来年からはうちの学生も巻き込んで若手研究者を盛り上げていきたいとおもいます。

今大会の総括がなされました。ハワイという場所もあったかもしれませんが、23か国から468人の参加者がありました。19にもおよぶ会議も同時に開催されており、その中のいくつかに私も参加して仕事をこなしています。184件の口頭発表、156件のポスター発表で、盛況でした。

タスマニアでの学会でも驚きましたが、この学会でも若手研究者の参加者が非常に多かったです。214人の参加があり、全体の39パーセントにもなります。うちの研究室(久米さんのところも含めて)からは5人参加しているので、若手研究者の2パーセントになります。日本の最高学府といわれている東京大学からも同様な人数ですし、鹿児島大学からは2018年以降からこれくらいの学生を送っているので、私は鹿児島大学の学生さんたちを誇らしく感じています。

閉会式のいちばんのお楽しみは、ベストプレゼンテーション賞の授賞式。残念ながら、鹿児島大学の参加者は逃してしまいました。これを糧に、来年以降がんばって欲しいものです。先輩たちもぜひ応援してやってください。

来年は、日本の横浜での開催。ホームでの開催だから、今から研究成果を磨いて、ここでの発表目指してがんばってください。

最終日は、鹿児島大学メンバーで集まってお疲れ様晩餐会。みんなで料理をして、たべることにしました。うちのコンドミニアムにはオーブンがあったのですが、使ってみたかったものの、使い方がわからず放置。それを、学生さんたちが上手に使ってくれました。

こちらはピザ。アメリカのピザって喰いごたえがあって、オーブンで焼きたてのものを喰いたかったんだよね~。作ってくれてありがとう。すげ~美味しかった。特に、端っこのカリカリになったヤツ!

野菜と豚肉をならべて、オリーブオイルと調味料をかけてオーブンで放置しただけの、シンプルな料理を男子学生が料理してくれました。豚肉が柔らかくてジューシーですごく美味いんだ、これが!オーブンってすごいね。でも、そんなの料理できるっておまえらすごいね。野菜もみずみずしいままで、美味しかったです。でも、オクラだとおもって喰ったヤツがすごかった。胃腸がすぐに痛くなって、翌日は飛行機に搭乗だというのに、早朝から空港までひどい目にあいました。おまえら、さっきの誉め言葉は帳消し。

昨年に続いて、今回の国際学会も素晴らしい経験になったとおもいます。この素晴らしい経験(旅行という要素もいいけれど、知的欲求を刺激されることの快感)を後輩たちに伝えていってもらえたら、連れていったことに意義があったなぁと私も頑張れます。

 

こんばんは。主宰です。

 

本日はポスターセッションの日。我々は全員ポスターでの研究紹介なので、本日が決戦日という感じです。朝早くから起きて朝飯の支度をしていると、バルコニーに鳥が来ました。

朝飯はここで食べるのですが、こちらに来てから餌付けをしたところ、すっかり毎朝やってくるようになりました。幸せの赤い鳥という解釈で、意気揚々と会場に向かいます。

以前も報告しましたが、ワイキキビーチの端っこにある安コンドミニアムなので、長距離を歩いて会場までいかないといけません。覚悟はしていたし楽しくないとよろしくないので、ビーチをみながら通っています。ビーチには、世界にサーフィンを紹介したサーフィンの父である「デューク・カハナモク」の肖像があります。このビーチの沖合では、多くのサーファーがサーフィンを楽しんでいます。

本日はハロウィンの日。あちこちではハロウィンをお祝いする装飾品が飾られています。これってアメリカでは普通なんですね。パイセスの事務局からも、せっかくだからポスターセッションはハロウィンのコスチュームを準備してという案内がありました。私は運営側の立場なので、事務局を積極的に支援しなければなりません。なので、学生には日本から軽いコスチュームを準備し、渡しておきました。

まずは、まあくん。移流する沿岸域群集が、黒潮域動物プランクトンにどのような影響を与えるのかについて解析してもらいました。動物プランクトン現存量や分類群組成の変則的な変動が、混合比を使うと整合的に説明できることを証明してくれました。

つぎは、あやねちゃん。黒潮域と近隣海域のプランクトン食物網がどのような構造になっているのかを遺伝子を使って解析してもらいました。これまで見過ごされてきた非甲殻類が食物網において重要な役割を果たしており、頑強なエネルギー経路を構築していることを証明してくれました。この研究内容は、つい先日、学術誌で発表されました。

Kobari et al. (2024): Comparison of the trophic sources and pathways of mesozooplankton and ichthyoplankton in the Kuroshio current and its neighboring waters. Progress in Oceanography 229, 103356.

https://doi.org/10.1016/j.pocean.2024.103356

最後は、なおちゃん。黒潮域・黒潮内側域における動物プランクトンが、どれくらいの脂肪酸を含有しているかを解析してもらいました。黒潮域には魚類の餌が少ないとされてきましたが、量的にはさほど少なくないということをこれまで論文で指摘してきました。しかし、餌の質に関しての議論は全くありません。分析してもらったところ、黒潮域には黒潮内側域と匹敵するくらいの有用脂肪酸があるだけでなく、むしろ多いかもしれないという結果が出ました。黒潮のイメージを覆すもので、もう少しデータを蓄積して論文発表する予定です。

ベストプレゼンテーション賞を狙うには、まずは聴衆を惹きつけないことには始まりません。ハロウィンコスチュームをしっかりと着用してもらって、がんばってもらいました。結果はどうだったかな?英会話が流暢でないのはしょうがないとしても、ざっと競争相手の内容をみたところ決して劣っているようにはみえなかったので、期待できるかなとおもいました。

 

こんばんは。主宰です。

 

続いて、第3弾です。

昨年から、この学会を主催している国際組織の副委員長を担当しているので、学会期間中は何かとやることが多いです。口頭発表・ポスター発表も若手研究者の採点業務があるので、関心のある研究について覗いてみることもできないことがあります。ただ、画像解析に関する研究発表をいくつかみることができたので、そちらの備忘録を兼ねて報告します。

こちらは、水産研究所のチームが研究している内容です。適切かつ可能な資源管理を目指すため、漁獲した魚類の水揚げ時に画像撮影・解析し、どのような魚類がどれくらいの量漁獲されたかを自動化するシステム開発とその結果についてご紹介がありました。今、鹿児島大学水産学部・工学部でも同様なプロジェクトがありますが、こちらは今年度内にでも実装化されるとのことでした。

こちらは、北海道の水産試験場に所属する有馬さんの研究で、温暖化に伴い優占するカイアシ類とマイワシの栄養状態が強く関係しあっていることを報告なさいました。彼は、この春にオーストラリア・ホバートでの国際学会でも発表しており、水産試験場の技術職員が活発に発表されていることに驚きました。私の研究室の後輩にあたるかたで、私としてはとても誇らしいです。

こちらは、アラスカ大学のホプクロフト教授の研究で、曳航式ネットにカメラを搭載し、オキアミなどの大型動物プランクトンだけでなく仔魚も撮影し、これを画像解析することで、現存量を把握しようというものでした。曳航式ネット・画像システムはかなり大型で、撮影された画像も相当な容量になるようでしたが、既に実用化段階にあって、海外では画像解析によるプランクトン研究が盛んになっていること、このような画像撮影・解析技術が普通になるだろうという感じがしました。

こちらは、招聘講演をされたICES Working Group of Zooplankton Ecologyの作業部会長をされたピトワ博士の研究で、民間船に連続画像撮影システムを搭載し、メソ動物プランクトン・植物プランクトンを撮影して画像解析し、分類群組成や現存量をリアルタイムで評価しようとするものでした。画像解析は機械学習させるので時間がかかるため、2段階でデータ解析するようになっており、粗い品質でもよいがリアルタイムでデータが欲しいというものと、機械学習させて蓄積していく高品質のデータを作成しているようでした。データを蓄積していく仕組みについてもよく考えられており、船舶観測でのプランクトン曳網による研究は今後なくなるかもしれないと感じたほどです。ですが、講演の最後にプランクトンネット標本の重要性についてもきちんとコメントがあり、いろいろと考えさせられる示唆に富むご講演でした。

これらのご研究が紹介された後、みんなで食事にいくとのことだったのですが、私は会議の議事録まとめがあったので遠慮させてもらいました。研究室の学生たちは一緒に夕飯をいかが?とのことだったので、一宮さんを誘って一緒にコンドミニアムでたべることにしました。

冷蔵庫にあるものでいい加減な飯を作ってふるまいましたが、これでよかったかどうか。ただ、この日は私の誕生日だったのでみなさんがお祝いをしてくれました。

こちらは、どこからか仕入れてきたアップルパイとどこからか仕入れて来てくれたマンゴー。オーブンで焼いてくれたんですかね。温かくて甘くてとても美味しかったです。海外での学会参加中にお祝いしてくれるなんて、有難い限りです。感謝感激、ありがとう!明日からも頑張る!