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こばごうのコレ切ってアレ食って

小林剛による天鳳名人戦自戦記など

報告が遅くなりましたが、昨年12月より、雑誌「近代麻雀」にて

戦術論を連載させていただいてます!!

毎月1・15日の月2回発売。

全国のコンビニにも売ってますよ!!



中身はこんな感じ。


マージャンプロとして活動するようになって15年以上。

専門誌の近代麻雀において、何切る以外の本格的な戦術の

連載をさせてもらえるのは初めてで、ありがたいことです。


そのおかげでこのブログの更新が遅れていて申し訳ないのですが

これからは普通の戦術は近代麻雀で、マニア向けの細かい話は

このブログで取り上げていきたいと思うので、

みなさまよろしくお願いします。


「こんなの書いてほしい!」

という希望があれば、ここのコメント欄がツイッターに

どんどん書き込んでほしいです。

できるだけみなさんの気になることを書いていきたいと思うので

よろしくお願いします!

第11期将王決定戦最終節。

最終日は3半荘、通算13~15回戦がニコ生で放送された。


初戦は山本のトップで、14回戦開始時のトータルはこの通り。


忍田 幸夫 +75.8

高見沢治幸 +39.9

小林  剛  △28.0

山本 裕司 △80.7


残り2戦、首位の忍田とは100以上の差で、

小林山本は残念ながらほぼ圏外である。


ところが東3局。ここで私の唯一の見せ場が現れた!
国士

親の国士無双。
東西北白發中一索九索一萬九萬一筒一筒九筒 ロン南


ここで大事なのは、アガったことではな実はく並べ方(笑)


よく見るのがこんな感じ。
九萬一萬西北一筒九筒一筒東一索白中發九索 ロン南

だいたい並んでいるが、上下がバラバラになっていることも多い。

打ち慣れた人ほどこんな並べ方をしがちである。


よく見て確認すれば明らかに13種あるのだが、他家にできるだけ

わかりやすく並べるのがマナーというものだろう。


ましてや多くのギャラリーが見ている対局ならなおさらだ。


「見ればわかるだろ」

なんて意見もあるのだが、役満をアガったうえに他家にめんどくさい

確認作業を強いるなんてありえない。自分がアガったときこそ謙虚に、

相手にできるだけ納得してもらいやすいように振る舞うべきだろう。


もちろん、手牌の進行具合が相手に透けてしまっては困るので
一萬九萬一筒一筒九筒一索九索東西北白發中

ここまで完全に並べる必要はないし、途中の不要中張牌を

適当な所に配置することも問題はないだろう。



さて。

親コクシをアガった私の結果は。。。


なんと3位のまま。


優勝は忍田幸夫。連覇となった。


第11期将王決定戦 結果

忍田 幸夫 +88.9

高見沢治幸 +48.1

小林  剛 +18.2

山本 裕司 △158.2



途中で首位に立って以来、まったく崩れることなく

押し切られた感じで、つけ入る隙もない完敗という印象である。


その強さを示す面白いデータがある。

今決定戦全15戦のうち、放送されたのは後半の11戦。

その南4局は連荘を含めて14局あったのだが、その内訳は

忍田のアガリ 7

小林のアガリ 1

山本のアガリ 1

残りの5局は流局であった。


そのアガリも普通のメンゼン手ばかりではなく、遠い仕掛けや

片アガリなど、条件に合わせたギリギリの手作りも多かった。

大事なところでいかに前に出てアガり切ったか、逆に初日先行

していた高見沢がいかに苦戦していたか、それがよくわかる

データである。



今期の忍田の強さは、将王決定戦以外でも圧倒的であった。


ツアー第1戦μカップイン五反田 準優勝
ツアー第2戦μカップイン大阪  優勝
ツアー第3戦μカップイン湘南  優勝
ツアー第4戦μカップイン有楽町 7位
ツアー第5戦μカップイン京都  15位
ツアー第6戦μカップイン仙台  準優勝
ツアー第7戦μカップインあつぎ 優勝

第11回関西インビテーションカップ 優勝
第11回μM1カップ 8位


これは決勝卓での成績ではない。

イン五反田は28人の出場だったが、他はすべてベスト32からの

出場で、予選通過者とシード者を相手にしてのこの成績である!

なんと恐ろしい数字だろうか!!

ちなみにこれを書いている最中に関西インビテーション優勝の報が

飛び込んできて、書き足したのであるが(笑)


実は私の高校時代からその存在は知っていたのだが、

あらためて忍田幸夫の強さを思い知らされた1年だった。


この忍田さんが麻将連合代表として出場する

「四神降臨王座決定戦」は4月に行われる予定。

注目してください!


また、今年からミューリーグの模様も1節目から

「スリアロチャンネル」で放送される予定です。

こちらもゼヒご覧くださいね!

4回戦南3局。

3着目多井の早いリーチを受けた石橋の手牌。何を切るか?
南320
放銃はしたくないこの局面。

石橋が切ったのは5枚使いのスジである一筒だった。


同じく次巡の小林の手牌。
南321
ここから切ったのは4枚使いの一萬


どちらも無事通過した。



昔からのセオリーに「暗刻の牌は危ない」というのがある。

それは相手が二萬三萬と持っている場合に、一萬がたくさん

見えている場合は相手が完成していない可能性が高いので

待ち牌になりやすいという理屈。ところが、私と石橋は

暗刻どころか4枚や5枚持ちのスジを勝負しているのだ。


確かに危険ではあるのだが、この打ち方の大きなメリットは

何巡も凌げることだ。もっと通りそうな字牌を持っていても

それらを何枚も切るよりは同じ牌を切る続けることのほうが

結果的に安全なのだ。


困ったら端牌の暗刻落とし。

これは最近は常識になりつつある新しいセオリーである。



さらにこの場合の多井の切り順にも注目。
九萬三筒二萬横白

すべて手出しでこの順番。

特に絞ったり決め打ちしたりする必要のないこの点棒状況で

最終手出しが白ならば、二筒三筒二萬三萬といった

未完成ターツが残っている可能性は普段よりは比較的低い。


その読みも含めての対応だったのだ。


そして流局。
南322
多井の手牌はなんと東タンキのチートイツ。

先の手牌から私が東を切っていたらアウトだったのだ(゜Д゜)

危なかったなあ。。。


石橋・小林が同じような考え方で打ち、結果的に

放銃を逃れていたという面白い一局であった。



第三期天鳳名人戦 第7節終了時

1   450.3  18.76  24  7/10/ 4/ 3 2.13 Ⓟ石橋伸洋
2   253.0  10.54  24  7/ 7/ 6/ 4 2.29 Ⓢ福地誠
3   168.7   7.03  24  7/ 6/ 6/ 5 2.38 Ⓟ小林剛
4    73.1   3.05  24  6/ 8/ 4/ 6 2.42 Ⓟ渋川難波
5   -20.0  -0.71  28  6/ 5/11/ 6 2.61 Ⓟ多井隆晴
6  -361.9 -12.92  28  5/ 6/ 8/ 9 2.75 びりびり☆ビリー


次の第8節の結果で決勝に残る4人が決まる。

トータルでは石橋が抜け出し、私は大敗して多井を下回ると

敗退となる。


優勝決定までにはまだ12戦あるけど、最後まで打てるかな・・・!?

将王決定戦6回戦。

5回戦までのトータルは

高見沢治幸 +73.6

忍田 幸夫 +2.9

小林  剛 △16.8

山本 裕司 △62.7


まだ全15回戦の中盤戦ではあるが、高見沢のリードはトップ

3回ぶんくらいになっていて、そろそろこれ以上トップを取らせたくない

状況になっていた。


その南4局。

東家 忍田  34900

南家 山本  38000

西家 小林  9100

北家 高見沢 38000


現状は高見沢と山本の同点トップ。

同点の場合は順位点を分けるルールなので、8000点ずつが与えられる。

これが単独トップになると+12000点に増える。


高見沢以外の3者にとっては、山本単独トップのほうがありがたいので

高見沢だけには厳しく打つはずである。

3着目、4着目の忍田小林の立場であっても、自身の加点だけでなく

高見沢を抑えつける意識が強いのだ。

その高見沢の捨て牌がこうなっていた。ドラは二筒
一筒一萬一索七筒七筒八索

四萬五索二萬二筒白
中をポンしたときの打牌が四萬

五索ツモ切りの後、手出しで二萬

そしてドラの二筒を手出しした後に

ツモってきた中を加カンしてからの手出しが白である。


これは高確率でテンパイだ。ドラも生牌の役牌もいらないとなれば

悪くても好形のイーシャンテンである。

そう思っていると、發をポンして手の内から六萬七萬と切ってきた!

待ち変えなのか、五萬八萬の二度受けだったのか?空切りなのか??

とにかくこちらは完全にギブアップ。

三萬三萬四萬五萬五萬六萬の形から四萬を抜いて受けにまわった。


ところがこの四萬二萬三萬の形でチーと言ってくるのである!

そして手出しの白!?このオッサンはいったい(((゜Д゜)))



無事流局し、山本高見沢の同点トップで終了した。

あとで記録を確認すると、その最終形にさらに驚愕(≧▽≦)












三筒四筒北北


なんとフリテンの二筒五筒!?

普通の両面の六萬七萬を切ってるのに???


宇宙流と呼ばれ、常人には想像もつかない打牌をすることが

ままある高見沢であるが、これにはさすがに驚いた。

ところが、今回に関しては深く考えさせられた。

ここで高見沢の手順を再現してみる。

7巡目。

二萬二萬四萬六萬七萬二筒四筒北北白發 中横中中

ここでは白發を見せないほうがいいと見て四萬切り。


その後も三元牌を絞らせながら進めて、12巡目。

二萬三萬六萬七萬四筒北北白發發 中横中中中 ツモ三筒

前巡は苦しいカンチャンを嫌ってドラ二筒を切ったところだったのだが、

ここは一転、両面受けを残して白切り。


そして發をポンしたときの思考が深いのである。

二萬三萬六萬七萬三筒四筒北北  發發横發 中横中中中
自分の捨て牌には一萬四萬二筒

普通のルール・状況なら間違いなく二萬三萬三筒四筒切りだろう。


ところが、テンパイ料のないルールで、自分が徹底マークされている

状況ならばどうだろうか。まず、これだけ注目されている状況では、

どんな待ちになってもほとんど出アガリは期待できない。

つまり、テンパイすればほぼツモ専になる。

出アガリどころか、いかにも危ない五萬八萬はチーすらさせて

もらえないだろう。

ところが、自分で切っている一萬四萬二筒ならば相手が選んで切って

くれる可能性がある。


ということでどうせツモ専になるならば、できるだけ早くテンパイして

おいたほうがいいということで、六萬七萬を切っていったのだ!


打っているときはありえないように見えたのだが、

後から考えてみるとなんとも深い一打である。

それにしても、生放送されて大勢に見られている対局で

これを切れるのはスゴイ(゜□゜)!

フリテンの恐れのある両面二つを残し、打点を下げて、

唯一の普通の両面を切っていくとは。。。

流局してホントに良かった(笑)

ちなみに2枚目の白は、六萬七萬を切っている途中に引いた牌。

このように気持ちの悪い手出し牌はたまにあるが、たいていの場合

ターツ落としの途中に引いた牌である。


今決定戦では、このように高見沢ワールド全開で

リードを持っていたが、3者がなんとか高見沢を

抑え込んで最終日を迎えることになった。


将王決定戦12戦終了時

忍田 幸夫 +70.3

高見沢治幸 +49.8

小林  剛 △20.7

山本 裕司 △102.4


残りは3戦。私が優勝するには3連勝もしくは

大きめの211が必要。


最終日の放送ページはこちら!!

http://live.nicovideo.jp/watch/lv160383448

12/23(祝)14時からです。

みなさん見てくださいね!



こばごうのコレ切ってアレ食って
今年で10年連続となった将王決定戦。

麻将連合のプロのトップを決める戦いであり、毎年最も大切に

しているのがこの対局である。

ルールは一発裏ドラなし。

3万点持ちで、順位点は4-12

(1位から順に+12000 +4000 △4000 △12000)

そして最も違う点はノーテン罰もないこと。

マージャンとはアガリによって点棒が動くものであり

アガれないテンパイには意味がないというルールである。


メンツは

忍田 幸夫 (現将王)

高見沢治幸 ミューリーグ1位通過

山本 裕司  2位通過

小林 剛   3位通過


1回戦 南2局 9巡目 西家 ドラ四索

高見沢 33100

山本  27400

小林  30700

忍田  28800

二萬三萬四萬六萬七萬八萬七筒七筒八筒六索七索八索白白

普通の状況ならばどのルールでも七筒を切ってリーチである。

少々カタい相手であっても、高め出アガリ5200、ツモアガリでの

7900(2000/3900)はかなり大きい。

ということでリーチをかけた。


ところがこの時は状況が違った。

4着目の山本が仕掛けていて、全員が山本に注目している。

その河には六筒四筒があり、それに対して山本の方を見ながら

高見沢が七筒を切ったところだったのだ。

ここで静かに七筒を合わせれば、こちらへのマークはかなり緩くなり

現物の六筒はかなり出やすくなる。それでもトップ目に立てるのだ。


だが七筒切りでリーチとなれば、注目を集めるのはこちらのほう。

そのリーチ宣言牌のそばの六筒九筒など出るはずがない。

仕掛けているラス目の山本であっても切ってくれるとは限らないのだ。


案の定、忍田高見沢はベタオリ。

山本だけは押し返してきてめくりあいとなり、

山本への放銃となった。点数は2000だったが、

この点差でリーチ棒込3000の失点は痛すぎる。

あとで聞くと、ダマテンならばすぐに忍田から六筒が出ていたようである。


このトップになる2600のアガリを逃しての3000の失点。

その代償は大きく、この半荘は4着になってしまった。

もしアガっていれば、トップか2着の可能性が高かっただろう。


その後は高見沢が大きくポイントを伸ばして初日は終わった。


第11期将王決定戦 第1節終了時

高見沢治幸 +79.8

忍田 幸夫 +23.3

小林  剛 △24.1

山本 裕司 △79.0


100ポイントの差は小さくはないが、まだ15戦のうち4戦が終わっただけ。

逆転のチャンスは十分にある。


次節からの3日間はニコニコ動画での生放送となった。

タイトル戦の決勝が全国に放送されるようになったのは

ありがたいことです。

みなさん見てくださいね!


将王決定戦日程


第2節 11/25(月) 14時~

http://live.nicovideo.jp/watch/lv157666968

第3節 12/1(日)  14時~

http://live.nicovideo.jp/watch/lv157986908

最終節 12/23(祝) 14時~