お待ちかね?JMS2025人物編
はじめに
今回の撮影と掲載について
これぞMAZDAのホスピタリティ
マツダ
二つの「三菱」
三菱自動車
三菱電機モビリティ
安定の国産車群
トヨタ系(センチュリー・レクサス・トヨタ・ダイハツ)
日産
スバル
指サインで魅せます
比較しやすいよう、このコーナーはブランドロゴをスーパーインポーズしました。見比べてください。
比較しやすいよう、このコーナーはブランドロゴをスーパーインポーズしました。見比べてください。
商船三井(MOL)が出展した「水素生産船(WIND HUNTER)」のコンセプトモデル
単なる輸送船ではなく、洋上風力をエネルギー源として水素を製造・貯蔵するエネルギー供給拠点として機能する、まさにサステナブルな未来型船舶です。
自動車やバイクの水素エンジン技術展示はこれまでもトヨタなどの例がありましたが、そもそもの燃料である水素を「つくる・運ぶ・ためる」をどうするかという課題に対するアンサーであり、サプライチェーンの根幹となり得る技術だと思います。
陸上の水素ステーションや燃料電池車だけでなく、海上から水素を供給する新しいインフラモデル。
当然ですが水素生産船と水素輸送船の連携も強調されていました。
しかし、素人目にも技術的課題をいくつか感じたこともまた事実。
タービンを回して発電するのですが、それがブレーキになって速度低下すれば航行に支障が出る。そうなると供給計画が変動する。そうならないためには、水素生産量に与える影響を、気象・海象に応じた運航最適化とセットで考える必要がありそうです。うわぁ、変数多そう。
風が弱い時は蓄えた水素を使って燃料電池で発電し電動プロペラ推進という二重系統になっているようです。
ということは、自動車のハイブリッド駆動と同じように、切替時の負荷変動などの信頼性設計が求められますよね。
実際に運用する時は、燃料となる水は周りに無限にあるよと言っても海水をそのまま使える訳ではないので、電極腐食、前処理(淡水化)などをどう処理してシステム化するのか。これに電力を使って淡水化する場合は核融合などの指標にもなる「使用するエネルギーと取り出すエネルギーの比率」が問われるはずです。
風の状況の良い海域へ次々に移動して生産する運用思想となっていましたが、年間生産量の平準化、荒天回避、避泊とかどうするか、その間の乗組員の生活どうなるのとか。原子力空母(潜水艦)の乗組員みたいに、1年間ずっと洋上とか?
水素系統の安全性については、特にタンクや装置類に対する海水環境での腐食促進を踏まえた保全計画が必要になりますね。一発でドカン!です。
「つくるだけでは使えない」ので、洋上や岸壁、洋上(水素運搬船)で水素を引き渡す相手のI/F(接続アタッチメント)の標準化が必須でしょうけど、それぞれの思惑があるので…
BEVの充電規格と同様に、規格の統一はとても大変だろうと容易に想像がつきます。
こうやって並べていくだけで(まだまだあるでしょうけど)、ハードルが多くて高いですね。
でも海洋国家たる日本に向いたエネルギーであることは間違いないので、ぜひ実用化に向けて頑張っていただきたいです。
当初「その他」で書く予定でしたが、ちょっと勿体無い内容になったので単独投稿しました。
「その他」のブースに進む前に閑話休題、
少々変態度高め(褒め言葉)な「乗り物」の深堀りをしておきましょうか。
それは「Tokyo Future Tour2035」エリアの片隅にひっそりと(?)、しかし異様な存在感を放って展示されていました。
一般的に想像する「近未来のモビリティ」といえば、こんな感じですよね。
空にはドローン、地上は自動運転車。スマートでクリーン、日常に溶け込んだ風景…
「そのうち、貨物を運んでるドローンに人も乗れるようになるんでしょ?」
「空飛ぶクルマって言っても、結局はデカいドローンじゃん」
そう思って「コレジャナイ感」を抱いている全ての大人たちへ
お待たせしました。「コレ」です。
と、言われても困るレベルの完成度ですよね…
なんだこのバラックはと
私ですらそう思いましたよ。
しかし注目していただきたいのはそこではなくて
これぞ、
BTTF(バック・トゥ・ザ・フューチャー)世代が夢見た「空飛ぶクルマ」なんですよ
やはり「クルマ」と名乗るからには、タイヤがあって道路を走れなきゃね・・・
⚫︎タイヤで道路を走る。
⚫︎⚫︎そのタイヤが「ギギギギギ、ガシャン」と変形して下を向く。
⚫︎⚫︎⚫︎ホバーだかジェットだかで空を飛ぶ。
すなわち「空を飛ぶ=翼をつける(飛行機化する)」ではなくて、
「車体そのものを何らかのチカラで無理やり浮かせる」というアプローチ。いやあ、好きだわあー
この試作機は、そのロマンを現代の技術で(未来の夢の技術ではなく)具現化したものでした。
まず実演を見て目を奪われたのが、その変形機構。
地上走行モードから「飛行モード」へ移行する際、4つのタイヤがグイッと90度、真横に倒れます。
こう動いて、完全に車輪が下を向き、揚力ファンへと早変わり。
あれ、これって「アレ」じゃん
そう、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART1』でのドクの名台詞、
「道? これから行くところに道など要らん(Roads? Where we're going, we don't need roads.)」
が脳内で再生されますよね?(画像はネットからお借りしました)
劇中のデロリアンは「ホバー・コンバージョン」という架空技術で浮きますが、現実の『D-2』は「ホイールの中にプロペラを仕込む」というもっとプリミティブな技術でこれを再現。
映画では未来感の演出だった変形を、「タイヤのスペースをそのまま推力発生装置にする」という機能美として実装している点に、思わず拍手~♪
しかし、すぐに違和感に気づきます。
「このタイヤのプロペラだけで、車体重量を支え、あまつさえ飛行することができるのか?」と。
実は、このクルマの真のエンジンは、車体の「下」にありました。(車輪のプロペラも推力に貢献していて、飾りではないとのこと)
車体中心部を貫くように、巨大なホバーファンが2つ鎮座しています。
ここで思い出すのはBTTFではなく
『ウルトラセブン』のウルトラ警備隊専用車
「ポインター(TDF PO-1)」ですよね!
当時の設定資料を紐解くと……
車両コード: TDF PO-1
ベース: クライスラー・インペリアル 1957年型
特殊装備: バリア、ミサイル、「ホバー機能」
そう、ポインターは「車体下部からのジェット噴射」により、ホバリングが可能という設定でした。
「え、そんなシーンあったっけ?」と忘れている方も多いかもしれません。
それもそのはず。ポインターが劇中でホバー機構を使用した回数は、全49話(※諸事情により欠番となっている第12話を含む)のうち、たったの2回しかないのですから。
(写真はネットからお借りして、見やすいように明るさを修正しています)
第22話「人間牧場」: 海面をホバー走行
第25話「零下140度の対決」: 雪原を突破
設定上は「飛行時速800km」等のスペックがちゃんとありましたが、昭和の特撮現場では「人が乗った車を飛ばす」なんて予算のかかることは大人の事情により難しかったんでしょうね。
しかし、令和の『D-2』は違います。ポインター同様、車体の下にファンを積んで浮くのです。
この車両を開発したのは、徳島大学発のベンチャー企業「株式会社TSUNAGI」。
ガンダムにあこがれてロボット研究者になった人は、
キャプテン翼にあこがれてサッカー選手になった人くらい多いのではないかと密かに思っている(もちろんその前の世代では鉄人28号やアトムがその責を担っていたことは言うまでもありません)のですが、このクルマもそんな香りがプンプンします。
しかし、もちろんそれだけではないはず。(流石に)
と思って調べてみると
その本当の(表向きの?)目的は極めて真面目な「災害救助」でした。
被災地では道路が寸断されて車は通れない。
ドローンでは運べる物資が少ない。
そこで「行けるところまではタイヤで走り(省エネ・大量輸送)、道がなくなったら飛ぶ(障害物回避)」というハイブリッド=変形機構が必要だったのです。
フィクションの「かっこよさ」に見えた構造は、実は「人を助けるための合理性」の塊でした。(と、見える)
さて、ここで開発者の方に聞いてみました。
「このバラック……いや、試作車、実際どのくらい浮くんですか?」
「3m以上はいけます」
「え、すごい。3mって言ったらもう浮上じゃなくて飛行じゃないですか!でも、このむき出しの車体で3mって、ものすごく怖くないですか?」
「はい。怖くてその高さまでにしています」
……これはリアルだ、正直すぎる!!
予算の都合で飛ばなかったポインターとは違い(いや、今も予算の影響も大きいとは思いますが)、こちらは「生身の人間の恐怖心」または安全上の法的配慮がリミッターになっていました。実際、航空法も関与してるとか。
推力だけならもっとイケるらしいので、どこまでイケるか興味はありますよね!
「じゃあ、あんたが乗ってみろよ」と言われそうですが
ただ、特筆すべきこととして、
説明してくださった研究者の方からは
良い意味での「マッドサイエンティストのはしくれ」の香りがこれまたプンプンしました。
もしジャパンモビリティショーに「イグ・ノーベル賞」的な部門があれば、間違いなく受賞していたでしょう。(写真はネットからお借りしました)
BTTFの夢にTDFのロマン、
そして災害救助のリアル。
そんな楽しい展示がクローズアップされないのはあまりに惜しい、
そんな気持ちで丸々1話分を費やしました。いかが?
もう「その他」でいいか、と思っていたくらいですが、まあ。
で、唯一撮っていたのがこちら。
ん?
ルノーって出展してたんですか?
と聞きたくなりませんか?私はなりました。
ああ、5ターボのリメイクですか、と。
ちなみに5ターボはこちら。(ネットからお借りしました)
いやいや、コンパクト2BOXに派手なエアロ付ければ何だって同じだよと言う勿れ、
同じ時代のプジョー205 T16はこれ
ランチアデルタS4はこちら
ほら、ちゃんと違うじゃないですか!
イメージだけのやっつけ仕事(特にオーバーフェンダーのラインが安易)をしなければ、ヒョンデならではの個性を出すことはできたはず。
なんと言ってもこれはデザインスタディであって、市場に(売れ筋に)合わせたBYDラッコとはそもそも立ち位置と狙いが全く違います。なのにどうしてこうなっちゃうのか…
と言うことで、今回最短の記事になりました。
次回は「その他」
続いて「人物編」を準備してます。
昨年は「まるで平成のモーターショー」然としていたBYDですが、今年はしっかり地に足のついた展示になっていました。一部の層には残念な「華やかさ」が随分とトーンダウンしてましたが、それは「人物編」にて…
他メーカーに比べて市販車比率が多かったように思います。(正確な計算はしてません)
これはまだまだBYDの知名度とディーラーの不足の影響かと推測します。ここで初めて市販車を見ると言う人も少なくなかったでしょうから、展示戦略としては間違っていないと思います。
私自身、モビリティショー開幕直前に(明らかにそれに合わせて)新規オープンしたディーラーから、モビリティショーで登録したアドレスに案内メールが届いたことでディーラー訪問と現行車(ドルフィン)試乗に繋がりましたから。
そんなBYDブースですが、やはり最大の関心事は「ラッコ」、軽自動車規格でNBOXやタント、スペーシアやルークスと競合するスーパーハイトワゴンです。
最短で来年後半リリースと聞いていた(流石に後ズレしそうですが)ので、平置きで乗り込めるのをちょっとだけ期待しましたが、壇上の花になってました。
デザインが、、、タント(カスタムではないノーマルの方、さらに言えば2017年モーターショーに出てたコンセプトモデル「DN U-SPACE」)をベースにスペーシアとNBOXを足し込んだようなと言ったら身も蓋も無いですが、そもそも軽自動車業界はデザインも機能も、国産であろうがそんなもの。オリジナリティよりも開発効率や市場ニーズ優先ですから、BYDもその例に倣ったと思えば、軽自動車を(車両だけではなく業界も含めて)よく研究してきたなと見方が変わります。
こちらがDN U-SPACE(タントコンセプト)
見間違えないように注意!
こちらは今回のラッコ(RACCO)
そんな訳で、デザインにはとりたてて突出したところが無い(軽自動車戦略上、奇抜なデザインが受け入れられないと判断したのでは?と思いつつ、この振り切り方は流石)以上、もうこれは価格インパクトで切り込み、性能で評判を底上げする方針で間違いないでしょう。
性能に関して言うとドルフィンに試乗した実感としては(試乗記を書くかは迷い中)、静粛性とハンドリング特性の素直さに感心しました。どちらも手を抜こうと思えば抜けるし、コストと人手をかけないとなかなか完成度が上がらない部分ですからね。(まさにその点で、試乗してみたもののホンダN-ONE:eは期待外れでした)
価格をどうするか。
スズキの記事で言及したように、かつての「アルト47万円」に匹敵するインパクトのプライスは100万円台、それも198万円ではなく150万円前後。この価格だと東京などのスペシャルな補助金でなくても乗り出し150万円が狙える。すなわち既存のボリュームゾーンのエンジン軽自動車より安くなる、これぞインパクト。補助金関係無しのガチ勝負です。
その上で
ドルフィンのe-Platform 3.0などの技術的ノウハウがラッコにも適用されれば、十分に優秀な静粛性や安定性が実現されるのではと期待してしまいますね。
ではそもそもe-Platformって何?
と思ったのでGeminiくんに調べてもらいました。
以下は彼の作文です(青文字)
BYD「e-Platform 3.0」の技術的特徴まとめ
BYDの主要EV(ATTO 3、DOLPHIN、SEAL)に採用されているEV専用プラットフォーム「e-Platform 3.0」について、その仕組みとメリットを解説します。
1. バッテリーと車体の統合(CTB技術)
BYD独自の「ブレードバッテリー」を車体の構造体そのものとして組み込むCTB(Cell to Body)技術を採用しています。
• 効果: ボディ剛性の向上による安全性確保と、床面の薄型化による室内空間の拡大を実現。
2. 8-in-1 パワーシステム
駆動用モーター、インバーター、ギアボックス、制御ユニットなど、8つの主要高電圧部品を1つのモジュールに統合しました。
• 効果: ユニットの小型・軽量化により電力ロスの低減(システム総合効率89%)を実現し、航続距離の伸長に寄与しています。
3. 安全性と設計自由度
熱安定性の高いリン酸鉄リチウム(LFP)を使用したブレードバッテリーによる火災リスクの低減と、長いホイールベース(前後輪の間隔)による設計自由度の高さが特徴です。
まとめ
e-Platform 3.0は、部品の統合と構造の合理化により、安全性、電力効率、居住性の3点を確保するためのEV専用基盤技術です。
ふむふむ、なるほど
ドルフィンではこれに加えて、日本のコンパクトカー(フィットやヤリスなど)の価格帯ではコストカットされがちな「見えない部分」に、贅沢にコストをかけているとのこと。吸音材の配置: ボンネット裏、ホイールハウス(タイヤの泥除け部分)、フロアカーペットの下などに、厚みのある吸音材がたっぷりと使われていると担当者が説明してくれました。確かに驚くほど静かでしたね。
総じてBYD(ドルフィン)は、知り合いの評判からある程度期待して試乗したのですが、それを上回る好印象でした。
全くの想像になりますが、1990年代に欧米を中心に日本車がその静粛性と性能の高さで再評価(安くて壊れないダケジャナイ)された時も、もしや当時の現地の方々はこんな感想を持ったのではと思ってしまったくらい、来年(?)のラッコには期待してしまうのでした。