第1855回「東京藝大ウィンドによる吹奏楽第3弾、J.バーンズ&F.チェザリーニ」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、東京藝大ウィンドオーケストラ3枚目のアルバムとなった「J.バーンズ&F.チェザリーニ」です。当盤に収録されている作品は3曲のみとなっていますが、どの曲も壮大で聴きごたえとしても十二分に楽しめる曲ばかりとなっているのは間違いありません。




 「究極」をコンセプトに作られた当盤。ジェイムズ・バーンズ&フランコ・チェザリーニの大曲が収録されている。バーンズ作品が1曲のみとなっているのがどこかさびしいところではあるが、交響曲第3番が全曲収録されているのはファンにとっても嬉しいことなのではないだろうか?チェザリーニの「ブルー・ホライズン」と「アルプスの詩」の2曲も音響を重視した作品が2曲選曲されているので、全体通してこだわり抜かれたCDであることはよくわかるだろう。

・バーンズ:交響曲第3番
録音:2017年4月1〜3日
 アメリカ空軍軍楽隊の委嘱を受けて作曲された。初演は木村吉宏&大阪市音楽団によって1996年6月13日に行われている。バーンズを代表とする作品であり、特に第3楽章、第4楽章は有名である。第3楽章は生後半年で亡くなったバーンズの娘ナタリーへの追悼の意が込められ、「ナタリーがもしも生きていたら」という世界観や別れの言葉がホルンによって美しくもはかなく奏でられる。第4楽章では息子ビリーの誕生が描かれており、ナタリーの葬儀で歌われた賛美歌「神の子羊」が引用されている。今回なんと言っても第3楽章においてシンセサイザーが明確に聴き取ることができるようになっているのは非常に驚くべきポイントである。それによって美しさのあるスケールがさらに増強されている感覚を受けた。もちろんそれ以外にも注目すべき点は多くあり、軸の安定した演奏からなるバランスの取れたサウンドと各楽章ごとに聴くことのできるテンポの緩急からなるダイナミクス変化も見事だ。ベートーヴェン由来の「暗→明」へと進んでいく伝統的な交響曲としての姿を見ることができるので、親しみやすいのはあるのだろう。

・チェザリーニ:ブルー・ホライズン
録音:2017年4月1〜3日
 第1楽章「光をはなつ生き物」、第2楽章「クラーケンにいどむ海獣」、第3楽章「青いくじら」からなる3楽章からなる作品で、第3楽章ではくじらの鳴き声を使用するため楽譜にはくじらの鳴き声が記録されたCDが付属されている。広大な海の世界におけるスケールを感じ取ることのできる曲で、今回の演奏では特に第1楽章と第3楽章が美しく感じるだろう。ダイナミック・レンジの幅広さをたっぷりと味わえるのもそうだが、木管楽器を筆頭とした神秘的で透き通るように透明度の高い演奏を聴くことができるのは藝大WO(東京藝大ウィンドオーケストラ)による演奏だからこそである。

・チェザリーニ:アルプスの詩
録音:2017年4月1〜3日
 曲名を見た時点で多くの人々は察するだろうが、リヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」からの影響を受けた作品となっており、リヒャルト・シュトラウス没後50年として作曲された。そのため、ウィンドマシーンが使用されている点や各楽章のオーケストレーションも大分意識して作曲されているのがよくわかる。「霧」、「哀愁(寂寥)」、「思いがけない光」、「精神的活動(心の動き)」、「高原の牧場」、「嵐」、「神の国」の全7楽章からなる。テンポの緩急が明確であり、ダイナミック・レンジの幅広さが増している点や各楽器における音色や響きは非常に豊かなサウンドを奏でている。濃厚さをより感じ取ることのできる非常に深みを楽しむことのできる演奏である。まとまりある金管楽器の音色もそうだが、木管楽器の自然的なサウンドも功を奏する形となっているのは間違いない。

 藝大WOのアルバムも今回取り上げた「J.バーンズ&F.チェザリーニ」で折り返しとなる。6枚目の「P.グレイアム&P.スパーク」まで目前となってきた。明日は4枚目のアルバムとなる「N.ヘス&J.マッキー」を取り上げていく。こちらにはヘスとマッキーによる現在吹奏楽でも盛んに演奏される人気曲が多数収録されている。個人的に好きな曲も収録されているのですでに楽しみである。

https://tower.jp/item/4506218/J-バーンズ&F-チェザリーニ