第1854回「スメタナ没後140年、アーノンクール&ウィーンフィルによる《わが祖国》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日5月12日はベドルジハ・スメタナの命日となります。今年で没後140年です。そんな本日ご紹介していくのは、ニコラウス・アーノンクール&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるスメタナの代表作である連作交響詩「わが祖国」。これまで当ブログでは、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団による演奏を取り上げることが多かったですが、アーノンクールとウィーン・フィルという異色にすら思える組み合わせとなっています。


「ニコラウス・アーノンクール指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

スメタナ作曲:
連作交響詩「わが祖国」



 スメタナによる代表作と言ったらやはりこの曲となってしまうかもしれない。個人的にはこれまでチェコ・フィルによる演奏を中心として聴いてきたこともあって、ウィーン・フィルによる演奏がどのような演奏となっているのが聴く前から気になっていた。そしてそれをアーノンクールによる指揮で演奏している時点でスタンダードであり、オーソドックスな演奏ではないというのは多くの人々がよくわかるはずだ。


・スメタナ:連作交響詩「わが祖国」

録音:2001年11月3〜7日(ライヴ)
 第1曲「ヴィシェフラド」から立体的な空間からなる世界観を味わうことができるようになっており、左右から様々な楽器が聴こえる感覚というのはその曲における情景を細かく聴き込むには充分である。加えてダイナミック・レンジの幅広さをたっぷりと味わうことができるというのも、美しいこの曲の世界観を理解することができる大きなポイントと言えるだろうか。何よりも冒頭のハープや木管楽器、弦楽器の美しさが、ウィーン・フィルによる演奏であるということがプラスの効果を働かせているのは間違いない。

 第2曲「モルダウ」はやや遅めのテンポから演奏が始まっていくのだが、それがなんとも言えないくらいに絶妙な揺らぎやダイナミクス変化と共に演奏が展開されていくため、これまでに聴いたことがないくらいのスケールを持って演奏を楽しむことができるようになっている。今まで聴いてきた中でもこの曲に関しては理想的な演奏のように感じられる輝かしい音色と響きによって演奏されている。テンポの緩急が大分効果的に演奏されていることは間違いない。

 第3曲「シャールカ」の危機迫るかのような勢いの良さが功を奏する形となっている。研ぎ澄まされた感覚と同時に尖り切った弦楽器のサウンドが凄まじいエネルギーとなっているのは言うまでもない。テンポの緩急も多少は感じられるため、常に緊張感が張り巡らされているような演奏でもなく、その都度変化はもたらされている。金管楽器の群となった瞬間の圧倒的な音圧は凄まじいもので、トロンボーンのサウンドは爆発的なエネルギーとなっている。

 第4曲「ボヘミアの森と草原から」では細部にわたって細かく演奏されており、高いアンサンブルを演奏から通して聴くことができるのは大きなポイントであるとも言える。加えてダイナミック・レンジの幅広さが増していることもあって、各楽器ごとに音色を聴き分けることができる。特に弦楽器とホルンの演奏が非常に功を奏する形となっている。鮮明な音色からなる揺らぎは申し分ない美しさであると言える。

 パワータイプではあるが、後処理に関しても念入りに行われているのがよくわかる第5曲「ターボル」となっており、常に高いテンションで演奏されているがテンポの緩急からなるダイナミクス変化や普段よりもより効果的にアタックやアーティキレーションが大げさにも聴こえるくらいに演奏を行なっているように感じた。弦楽器の一体感と金管楽器による圧倒的なパワーはこの演奏でしか聴くことはできないだろう。

 第5曲「ターボル」からの流れを受け継ぎ、第6曲「ブラニーク」が演奏される。その爆発的なエネルギーからなる勢いの良さは変わらず演奏されるが、まとまりのある音色と響きを感じながら演奏を楽しむことができるようになっているため、ウィーン・フィルが奏でるサウンドからは一貫性のある音色などを細部に渡り楽しむことができるようになっている。オーケストラ全体が一度に演奏したとしても個々の楽器を聴き分けることができるようになっているのも素晴らしいポイントで、音響的な効果としても楽しめたのは間違いない。テンポに関しても速いわけではなく、緩やかでこの曲に適したテンポで進められている。

 聴く前から期待をしていたが、それ以上の演奏を聴くことができたので今はただ満足している。ウィーン・フィルによる演奏だったということもポイントになるはずだと考えているので、アーノンクール以外に「わが祖国」の録音があれば後日積極的に聴いてみたいところ。

https://classical.music.apple.com/jp/album/268458607?l=ja-JP