第1856回「東京藝大ウィンドによる吹奏楽第4弾、N.ヘス&J.マッキー」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日は先日よりご紹介している東京藝大ウィンドオーケストラによる吹奏楽の続きとなります。今回は4枚目となる「N.ヘス&J.マッキー」を取り上げていきます。今回収録されている4曲はどれも盛んに演奏される人気曲となっており、特にヘスの「イーストコーストの風景」やマッキーの「ワインダーク・シー」は吹奏楽コンクールや演奏会などで頻繁に聴くことが多い名曲となっています。


「山本正治指揮/東京藝大ウィンドオーケストラ」

ヘス作曲:
イーストコーストの風景

シェイクスピア・ピクチャーズ


マッキー作曲:
翡翠

吹奏楽のための交響曲「ワインダーク・シー」



 ナイジェル・ヘスとジョン・マッキーという今の吹奏楽でも特に人気な曲をいくつか作曲している作曲家の名曲を収録している。マッキーに関して言えば「翡翠」は大学時代に一度バンダ・トランペットとして演奏をしている。「イーストコーストの風景」は繰り返し楽譜を見たし、「ワインダーク・シー」に関しては吹奏楽曲の中でも好きな曲なので繰り返し聴いたりスコアを見たりしている。個人的にも夢のような名盤なので、当盤は繰り返し聴くアルバムだ。


・ヘス:イーストコーストの風景

録音:2018年4月1〜3日

 英国青少年吹奏楽団の委嘱で、ナショナル・ウエストミンスター銀行の資金提供によって1985年に作曲され、同年4月16日に初演されている。ヘスがアメリカの東海岸を訪れた際の印象をニューヨークとその近郊にある地名や地形などを題材としている。そのため、第1楽章「シェルター島」、第2楽章「キャッツキル山地」、第3楽章「ニューヨーク」の全3楽章からなる。特に有名なのは第2楽章でのコルネットソロだろうか。聴いていると大学時代にこの曲のフルセットが図書館にあったので、スコアやパート譜をよく見たのを思い出す。テンポの緩急からなるダイナミクス変化もそうだが、各楽章ごとにおけるキャラクターの変化や特徴をとらえる感覚というのが見事に描かれている。そういう意味では第3楽章「ニューヨーク」ではサイレンも登場するが、生き生きとした金管楽器の音色やサクソフォーンのサウンドが効果的に演奏されている。


・ヘス:シェイクスピア・ピクチャーズ

録音:2018年4月1〜3日

 題名の通りシェイクスピアの戯曲を題材として作曲された本作。英国王立シェイクスピア劇団のために作曲された原曲をヘスが補筆を行い、第1楽章「空騒ぎ」、第2楽章「冬物語〜彫像」、第3楽章「ジュリアス・シーザー〜元老院への入場」からなる全3楽章の作品としている。各楽章ごとにそれぞれの題材となった物語を聴いているだけで体感できるような感覚になることは間違いなく、細部まで細かく聴き込むことができる高音質録音だからこそ楽しめる効果が非常に大きい印象である。全体としてのバランスも取れていて、なおかつ濃厚な音色からなる豊かな響きは聴いていて惚れ惚れするものがある。


・マッキー:翡翠

録音:2018年4月1〜3日

 光が丘女子高等学校の日野謙太郎、ウィンドアンサンブル・ドゥノールの仲田守、おかやま山陽高等学校の松本壮史、ウィンドアンサンブル奏の楊鴻泰、川崎医療福祉大学ハートフルウィンズの岩田俊哉、ウィンドアンサンブル・ソレイユの奥山泰三、相模原市民吹奏楽団の福本信太郎の委嘱によって作曲され、斎藤一郎&JWECCスペシャルバンドの演奏によって初演された全2楽章からなる作品である。「緩→急」というシンプルな構成ながら第1楽章ではゆったりとした世界観の中で、美しい旋律が奏でられる。第2楽章では翡翠が太陽に向かって飛び立っていくイメージがそのまま反映されており、バンダ・トランペットなども加わりスピーディかつ高度な技術を求める箇所は幾度もあるが非常にかっこいい鋭さを感じ取ることができる。ある意味コンパクトであればあるほどその尖りはましていくようにも感じなくはない。


・マッキー:吹奏楽のための交響曲「ワインダーク・シー」

録音:2018年4月1〜3日

 2014年にテキサス大学音楽部からの委嘱を受けて同楽団の100周年を記念して作曲された。古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの詩「オデュッセイア」による交響曲となっている。「オデュッセイア」の中で「葡萄酒色の海(ワインダーク・シー)」という表現が使われていたこともあり、それをタイトルにしている。第1楽章「傲慢」、第2楽章「儚い永遠の糸」、第3楽章「魂の叫び」からなる全3楽章の交響曲で、近年盛んに演奏されている曲である。第1楽章より繰り返される変拍子や細かいアーティキレーション、トーン・クラスターなどが詰め込まれている。全ての楽器に等しく高い演奏技術を要求する作品となっている。テンポの緩急からなる細かいダイナミクス変化も抜群に演奏されており、大編成の吹奏楽だからこそ成せる圧倒的な音圧と音響を見事に演奏している。アンサンブルはもちろん、全体においてバランスも細部までこだわり抜かれた上演奏されているため、凄まじいエネルギーを最後まで楽しめる演奏となっている。


 藝大WO(東京藝大ウィンドオーケストラ)も4枚目のアルバムを聴き終え、次回取り上げるのは5枚目のアルバムに当たる「D.ホルジンガー&B.アッペルモント」。4枚目までは比較的に聴きやすい難曲が多かったが、5枚目に関しては難曲中の難曲を聴くことができる。そして、6枚目のアルバムまで目前となってきているのでこのまま吹奏楽を楽しんでいきたいと思う。


https://tower.jp/item/4728571/N-ヘス&J-マッキー