第843回「マゼールによるショスタコーヴィチ交響曲第5番とチャイコフスキー《ロメジュリ》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

こちらはクラシック音楽のCDの名盤をレビューするブログです!
年間500枚以上クラシック音楽のCDを購入します。
好きな作曲家はマーラー、ストラヴィンスキー、ブルックナー、三善晃、ショスタコーヴィチなど
吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。



 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのはロリン・マゼールがクリーヴランド管弦楽団と演奏したショスタコーヴィチの交響曲第5番とチャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」です。ショスタコーヴィチの交響曲第5番に関してはマゼール初の録音とのこと。今回は「TELARC」から発売された貴重なSACDハイブリッド盤を取り上げます。


「ロリン・マゼール指揮/クリーヴランド管弦楽団」

ショスタコーヴィチ作曲:
交響曲第5番


チャイコフスキー作曲:
幻想序曲「ロメオとジュリエット」



 当盤は1981年4月5,6日に録音されたもの。マゼールとクリーヴランド管といえば当ブログでも以前チャイコフスキーの交響曲第4番とストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」を取り上げている。こちらも「TELARC」から発売されたSACDハイブリッド盤だった。その回のブログは下記URLに載せておくのでぜひ見ていただからばと思う。

 ショスタコーヴィチ交響曲第5番、始まった時にはシンプルにすら感じた演奏だったが、徐々にマゼールとクリーヴランド管のテンションは上がっていき第4楽章では全てを燃やし尽くさんとするほどの熱量を感じる。特に第4楽章では一部他の指揮者たちが変化させなかった部分のテンポチェンジやダイナミクス変化などもみられる。また第3楽章では「嵐の前の静けさ」連想させるような静寂と重々しい音色によるものが出来上がっている。そして音質の良さも光っており、細部に至るまで聴き込むことができる。近年ショスタコーヴィチの交響曲によるSACDハイブリッド盤は増えているものの、こうした往年の時代における名盤がSACDハイブリッド盤などで発売されているものが多いかと言われればあまり多くない。今回のマゼール初のショスタコーヴィチはより良質な演奏ということは間違いない。

 チャイコフスキー幻想序曲「ロメオとジュリエット」、チャイコフスキーの管弦楽作品の中でも比較的演奏されることが多い人気曲である。「急→緩」や「緩→急」の使い方が駆使される演奏で、クリーヴランド管の弦楽器及び金管楽器、打楽器のキレ味の良さがよくわかる。木管楽器の音色は優雅に演奏されており、聴きやすさも倍増している。また、音質の良さも評価される点で、オーケストラ全体のバランスも非常に良い形で聴くことができる。

 「TELARC」から発売されたSACDハイブリッド盤は決して数が多いわけではないが、一つずつの存在感は大きい演奏が多いと考えられる。以前取り上げたチャイコフスキー交響曲第4番と「春の祭典」も音質が非常に良かったのを覚えている。今回の演奏も時代にしては音質が非常に良かった。また、晩年のマゼールはテンポが異様に遅かったりするため聴くのに少々抵抗を覚えたりするが、今回の演奏は若かりし頃のマゼールということもあり慎重にいきつつ挑戦的な姿勢が演奏から感じられる。他にも同時期のマゼール指揮の演奏があれば聴きたいと思う。