第844回「新リマスター盤、シューリヒト&ウィーンフィルORFライヴ大集成」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃つい先日取り上げたフルトヴェングラーとウィーン・フィルによる「Altus」レーベル20周年記念企画で、連合国オーストリア進駐軍放送=赤白赤放送集団(ORF前身)に残された演奏が新リマスターで復刻されましたが、今年2021年2月20日にはシューリヒトとウィーン・フィルによる演奏も同様の形で復刻されています。今回も4枚組となっており、シューリヒトが得意としたブルックナーやシューベルト、ブラームスの交響曲が収録されています。


「シューリヒト&ウィーン・フィル ORF戦後ライヴ集大成」


「カール・シューリヒト指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

ブラームス作曲:
交響曲第4番


ブルックナー作曲:
交響曲第5番

交響曲第8番

交響曲第9番


シューベルト作曲:
交響曲第5番



 フルトヴェングラーとウィーン・フィルと同様に通常CD盤とSACDシングルレイヤー盤と種類が分かれているが、私はフルトヴェングラーと同様に通常CD盤の購入をしている。シューリヒトのブルックナーといえば旧EMIに残されたブルックナーの交響曲が思い浮かぶと思う。この時のオーケストラもウィーン・フィルだった。録音時期に関しては当盤が先に録音しているのでちょっとした聴き比べをすることもできる。

 シューベルト交響曲第5番、1965年4月24日にライヴ録音された。この後取り上げるブラームスと同日である。今回の曲集の中で一番録音が新しい演奏であり、ブルックナーよりも短く聴きやすい。軽やかな音色で演奏されており、軽快なリズムとテンポで非常に聴きやすい印象を受ける。弦楽器の音色が透明感に溢れておりシューベルト作品にもぴたりと当てはまっていることがよくわかる。

 ブラームス交響曲第4番、先ほどのシューベルトとは対照的に全体的に遠心力と躍動さが備わった活発な演奏のように感じられる。特に弦楽器のパッセージ、音色やサウンドはさすがはウィーン・フィルと思わされる存在感を受ける。弦楽器以外の楽器も素晴らしいものとなっており、バランスの良さなども非常に良い。

 ブルックナー交響曲第9番、1955年3月17日にコンツェルトハウス大ホールにてライヴ録音された演奏。重めで伸びやかな演奏となっているが、途中テンポチェンジが入ったりするためその際多少の驚きが感じられる。また、パワーなどエネルギーが常に強めに感じることはなくむしろ優しさを感じるようなサウンド作りになっている。そういう点ではキビキビと必要のないものを最低限削ぎ落としたストイックなスタイルとなっている1961年EMI盤の演奏とは対照的になっているように感じる。曲全体の演奏時間は61分となっているが、一曲をよりたっぷりと堪能したような満足感が聴き終えた時にはある。余談だが、第2楽章のスケルツォとトリオの変化の際にフライングしそうになっている場面がある。

 交響曲第8番、1963年12月7日にウィーン楽友協会大ホールにてライヴ録音されたこの演奏。旧EMI盤はセッション録音なのだが録音が12月9〜12日に同じ場所で行われている。演奏に関しては後者に近い形で、第1楽章から第2楽章にかけてサクサク進んでいく。そのあと第3楽章、第4楽章はたっぷりと演奏している。とはいえ他の演奏と比べても前向きに演奏されていることは変わらないのと、旧EMI盤と同様にキレ味のある尖った音形がよくわかる。金管楽器にはインパクトが目立っておりいつものまろやかな音色はほぼないに等しい。この演奏の後に旧EMI盤を聴いてみると共通する箇所が非常に多く感じるのでこれはこれで面白い演奏だった。

 交響曲第5番、1963年2月24日に同じく楽友協会大ホールにてライヴ録音されたこの曲。シューリヒトが交響曲第5番を録音したものは少なく確かこの一曲だけだった気がする。9つあるブルックナーの交響曲の中でも難易度は高いが、人気もその分ある名曲をシューリヒトとウィーン・フィルはたっぷりと濃厚に演奏している。交響曲第8番や第9番とはまた違うスタイルと私は感じた。木管楽器の音色が特に豊かで心地良く、弦楽器との調和性も良く当てはまっている。

 シューリヒトのブルックナー演奏に関しては多くの録音が残されているが、今回の新リマスター盤に関してはこれまで発売されていたライヴ録音の中でもより良い部類に入ると考えられる。ウィーン・フィル以外と演奏したブルックナーを改めて聴いてみたいので、またCDを探したいと思う。