第647回「マゼール&クリーヴランド管によるチャイコフスキー4番と春の祭典」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃昨日発売された「レコード芸術」2月号の読者が選んだ2020年のベスト・ディスク企画〜リーダーズ・チョイス2020〜に応募し、今回は全文載りました!ありがとうございました🙇‍♂️まさか応募した内容すべて載るとは思っていなかったもので…2021年もクラシック音楽のCDをどんどん聴いていきたいと思います!

 さて、新しい門出のファンファーレということで本日取り上げていくのは、様々な呼び名が存在するロリン・マゼールとクリーヴランド管弦楽団が録音したチャイコフスキー交響曲第4番とストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」を取り上げていきます。当盤は中々市場に出回らない貴重なもので、SACDハイブリッド仕様の高音質盤となっております。あまり出回らない分レビューも少ないので、今回取り上げていこうと思います。


「ロリン・マゼール指揮/クリーヴランド管弦楽団」


チャイコフスキー作曲:
交響曲第4番


ストラヴィンスキー作曲:
バレエ音楽「春の祭典」



 ブーレーズが2年間で首席指揮者の役目を終えたのちに就任したマゼールは、1972年〜1982年まで10年間クリーヴランド管と共に活動してきた。その間の演奏は今日においてあまり注目されていないような気がするのだが、少なくとも今回の2曲は群を抜いた良さが滲み出ていることは言うまでもない。

 まずチャイコフスキーの交響曲第4番、金管楽器の音色が個性豊かな印象を受ける。第1楽章冒頭の有名なファンファーレがいつ聴いてもカッコいいこの曲だがホルンは幅広く豊かに演奏し、トランペットは若干鋭く演奏している。トロンボーンとチューバはそれをささえるかの如く余裕が感じられる。本来なら音色を統一している方が聴き手としては理解しやすいのだろうが、どこか対比をしているようにも捉えられてこれはこれで面白い。細かいテンポの変化も光っており、加速するところはガンガン加速するし、歌うべき箇所はゆったりと歌い手の楽器が演奏しやすいテンポにする、当時のマゼールらしい演奏と言える。

 続く「春の祭典」。マゼールはウィーン・フィルともこの曲を録音しているが、そちらの演奏は以前タワーレコード限定企画盤でリイシューしたものを取り上げた。録音でいえばウィーン・フィルとは1962年に、クリーヴランド管とは1980年にそれぞれ録音している。ウィーン・フィルとのものは野性味あふれる荒々しい演奏だったが、クリーヴランド管との演奏は自由度が増している。10年近く共に演奏してきた両者だからこそのものかもしれない。各楽器のソロも非常に多いこの曲、オーケストラ全体の輪郭が細かくわかる演奏は当盤をおいて他にないだろうと考えられる。先ほどのチャイ4(交響曲第4番)もそうだったが、金管楽器群の存在の大きさが改めて再確認できた演奏だった。

 言わずと知れたテラーク・レーベルから発売された優秀な高音質盤、しかしレビューを見てみるとイマイチ評価は良くない。派手な曲が2曲も選曲されている分好みが分かれてしまうのは致し方ないのかもしれないが、繰り返し聴いていくうちに演奏の虜となっていく。優秀な録音だからこそ再認識できる部分は多いだろうしあまり市場に出回らない名盤、もっと評価されるべきだと私は考える。