第648回「ジュリーニとウィーン響、シカゴ響それぞれとのブルックナー交響曲第2番、9番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃早くも1月が終わりを迎えようとしています。2021年始まって間もないですが、何事もなく過ごしたいものです。

 さて、本日ご紹介していくのはカルロ・マリア・ジュリーニによるブルックナーの交響曲です。ドイツ・グラモフォンに残した録音は今日において非常に重要な立ち位置となっていますが、旧EMIレーベルにも録音がいくつか残されていました。今回はその中から交響曲第2番と第9番を取り上げていきます。当盤は2018年3月28日にタワーコードから発売された人気企画シリーズの「TOWER RECORDS DEFINITION SERIES」でリイシューされたCDです。聴きごたえ抜群のジュリーニのブルックナーを聴いていきましょう。


「カルロ・マリア・ジュリーニ指揮/ウィーン交響楽団」

ブルックナー作曲:
交響曲第2番(ノヴァーク版)


「カルロ・マリア・ジュリーニ指揮/シカゴ交響楽団」

ブルックナー作曲:
交響曲第9番(ノヴァーク版)



 ブルックナーの交響曲は一度深みにハマると吟味しすぎて沼から抜け出しづらい傾向にあると私は考えている。そのため、MacBookの中にはマーラーの交響曲と張るぐらいにブルックナーの交響曲が入っている。ジュリーニのブルックナーはウィーン・フィルとの8番とエソテリックSACDによる9番を所有している。7番はまだ持っていないので後日購入したいところだ。ジュリーニによる演奏はそのオーケストラの力を存分に引き出し、最高の音楽を奏でてくれる。今回の2曲もそのうちに含まれるということは言うまでもない。

 まずウィーン響との交響曲第2番。1974年に録音されたこの演奏はジュリーニにおけるブルックナーの録音において重要な位置付けとなっていることは言うまでもない。この後にウィーン・フィルと三大交響曲の録音をドイツ・グラモフォンと残すことになるのだが、今回はウィーン響と交響曲第2番を録音している。1973年から首席指揮者となったジュリーニによるブルックナー録音の始まりと言って差し支えないだろう。マイナーな作品として知られる2番だが、冒頭から非常に美しい。これまで何種類かこの曲は聴いてきたが、その中でもトップクラスの出来栄えとなっている気がする。響きも重厚的ではなく、しつこさがない。後味も良くスッキリとした印象だ。弦楽器の伸びやかさに感服させられる。

 ブルックナー最後の交響曲となった交響曲第9番。今日においては完成された3楽章までを基本的に演奏する傾向にあり、第4楽章を含んだ補筆版に関してはまだ親しみがないようだ。そういう私もそこまでこの曲の補筆版は聴き慣れていない。ジュリーニは1969年にシカゴ響の首席客演指揮者となっている。録音されたのは1976年で、ショルティが圧倒的なサウンドを作り上げている最中での録音となった。ショルティによるブルックナー交響曲全集はもう少し後のことになるが、ジュリーニのブルックナーはショルティによるサウンドとはまた違う演奏と言える。ウィーン・フィルとの演奏を比較してみるとシカゴ響の演奏は透き通っていて慈愛に満ちた印象を受ける。ジュリーニが残した録音はパワー型ではないということを印象付ける。より美しい作品をそれ以上に美しく仕上げてくれるため、何回聴いても飽きないのだ。ウィーン・フィルとシカゴ響の演奏は両方必聴盤で間違いないだろう。

 ジュリーニのブルックナーは録音自体が少ないものの、一曲ごとの価値は非常に高いと言える。様々なオーケストラと残したブルックナーは一度聴いてみて損することはないだろう。むしろプラスになること間違いない。昨年来たブルックナー・ブームは若干過ぎてしまったが、ジュリーニのブルックナーは今後集められるだけ集めておきたいと思う。今回の2曲、非常に満足できる演奏で全部楽しめた。