第649回「没後40年、バーバーの名作交響曲2曲とメディアの復讐の踊り」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日1月23日はアメリカで活躍した作曲家、サミュエル・バーバーが亡くなった日です。昨年2020年は生誕110年という記念すべき年でしたが、今年は没後40年となります。バーバーといえば「弦楽のためのアダージョ」が有名ですが、他にも忘れてはならない作品がいくつかあります。そんな本日はバーバーの交響曲2曲と、バレエ組曲「メディア」から誕生したメディアの復讐の踊りの計3曲を取り上げていきたいと思います。


「マリン・オルソップ指揮/ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団」


バーバー作曲:
交響曲第1番

交響曲第2番

メディアの復讐の踊り





 バーバーのこうした作品はほとんど録音が少なく、ナクソスであれば一通りの作品を試聴することができるようになっている。今回取り上げていく3曲は決して評価されていないわけではないが、演奏される機会がほとんどないという部分がある。正直それではもったいないと私は思うわけである。

 交響曲第1番、単一楽章の交響曲である。改訂版の初演はあのワルターが指揮をしたりしているこの曲。バーバーの初期を代表する交響曲である。ロマン主義的な旋律や明確な調性など、シンプルな面が多い。演奏時間は約20分と単一楽章らしく短めである。ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の高い技術力にも驚かされる。伸びやかでキレもある。さながら映画音楽を観ているかのような印象だ。ネーメ・ヤルヴィが多くの名曲をロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団と録音した分、熟練された音が出来上がっていったことに間違いない。

 交響曲第2番、クーセヴィツキー&ボストン響によって初演されたこの曲、アメリカ陸軍航空軍から「飛行機乗り」をテーマとした作品の委嘱を受けて作曲された。第1楽章ではフライトの興奮とダイナミックさを、第2楽章では夜間飛行、第3楽章冒頭では飛行感覚を表したと述べている。劇的な面が多いものの標題音楽ではないこの曲をロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団は細かい変化でより聴き手を楽しませるような表現が施されている。さながら遊園地でアトラクションに乗っている感覚と似ているだろう。キャッチーな面もあったと思えばキレッキレになり荒れ狂う嵐のような面も見せたりと最初から最後まで楽しめる点が多い演奏だ。

 メディアの復讐の踊り、この名前はバーバーが亡くなった後に改名させられたものであり、元々の名前は「メディアの瞑想と復讐の踊り」という名前である。オーケストラではほとんど演奏されないが吹奏楽版ではまれに演奏されるようで、私も中学時代に吹奏楽コンクールの自由曲となったため練習したが、メンバー落ちしたのと当時熱心に取り組んでいなかったため、曲を改めて理解したのは大学生となってからのことである。演奏として、音質も非常に良くオーケストラ全体の技術力もズバ抜けている。変拍子が非常に多いこの曲、ストラヴィンスキーやバルトークらが作り上げたバレエ音楽の影響を受けていることは言うまでもない。ピアノや打楽器が活躍する中でより明確な音を鳴らされていることによりオーケストラの迫力も増している。なによりシロフォンの歯切れ良さが良い。最後は駆け抜けたように終わるが、最後の最後までブレることなく駆け抜けたことに関しては脱帽する。

 ナクソスのCDは安い上に高音質で、比較的手に入れやすいのでお得感を得られる。特に今回のような言ってしまえばマイナーな作品のCDを多く取り扱っている節があるため、クラシックのマニア層に需要がある。ドイツ・グラモフォンなどの大手レーベルにはない良さがナクソスにはあると言えるだろう。バーバーは今日において「弦楽のためのアダージョ」が最も注目されているが、今回のブログによって交響曲2曲が少しでも注目されれば良いなと思っている。同時にメディアの復讐の踊りに関してはまた再挑戦したいところだ。