第650回「若き天才ロザコヴィッチ&ゲルギエフによるベートーヴェンヴァイオリン協奏曲」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは今年20歳を迎えるヴァイオリニストダニエル・ロザコヴィッチが2019年12月にゲルギエフ率いるミュンヘン・フィルと共に録音したベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲とバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタから第1楽章Adagioをご紹介していきます。20歳という若さながらすでに溢れる巨匠の貫禄は凄まじい音色で聴き手を魅了します。それに対してゲルギエフがミュンヘン・フィルと奏でる新しい時代の響きなど情報量が多く、これは目が離せません。


「ダニエル・ロザコヴィッチ(ヴァイオリン)、ワレリー・ゲルギエフ指揮/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団」


ベートーヴェン作曲:
ヴァイオリン協奏曲


「ダニエル・ロザコヴィッチ(ヴァイオリン)」


J.S.バッハ作曲:
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調 BWV1001 第1楽章 Adagio



 ダニエル・ロザコヴィッチは2001年にストックホルムで生まれ、6歳からヴァイオリンを始めた。その2年後にあたる8歳の時にウラディーミル・スピヴァコフ指揮モスクワ・ヴィルトゥオージ室内楽団と共演し、デビューする。ドイツ・グラモフォンから主にCDを出しており、バッハのヴァイオリン協奏曲第1番、第2番をバイエルン放送交響楽団室内楽団と録音したものが初のCDデビューとなった。今回はドイツ・グラモフォンから発売されたベートーヴェン・アニバーサリーイヤーに合わせてのもの。通常CD盤とUHQCD盤の2種類が発売された。今回私はUHQCD盤を購入している。

 ヴァイオリン協奏曲の中でもメジャーな作品であるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲、これまで数多くのヴァイオリニストが演奏してきた名曲をロザコヴィッチが演奏する。オーケストラはゲルギエフ率いるミュンヘン・フィルと豪華な面々だ。演奏として、UHQCD仕様ということもあり音質は非常に良い。曲の合間におそらくゲルギエフによるものと考えられる息遣いが録音されているが、ロザコヴィッチによる技巧の数々を楽しむことができる。初めてこの演奏を聴いた際には口が開いてしまった。今年20歳となる人物が演奏しているとはとてもではないが思えない演奏技術には本当に驚かされるばかりである。何よりミュンヘン・フィルとの音色にもマッチしており、よりその存在感が確固たるものへと変化している。ライヴ録音ということもあり、響きも濃厚で最後までしっかりと楽しむことができるまさに新しい風を感じたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲だったことは間違いない。

 カップリングにはロザコヴィッチによる無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番から第1楽章のみ収録されている。正直な話この続きも聴きたいと感じるくらいに繊細で美しい音色を放っている。悲愴的な雰囲気もあり、この曲にあった音色を自身で理解していることがよくわかる。

 ロザコヴィッチの今後の活躍が期待されるCDであったが、すでに彼の音色から感じられる巨匠的風格には驚かされるばかりだと、私は感じている。すでに発売されているバッハのヴァイオリン協奏曲第1番、第2番も近いうちに購入したいと思う。同時にぜひとも協奏曲だけではなく、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全曲などを録音してほしいところだ。