第651回「アルフレッド・リード生誕100年、代表作『アルメニアン・ダンスPart1』聴き比べ」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日1月25日はアルフレッド・リードの誕生日です。今年で生誕100年となります。今日の吹奏楽において、リードの作品は重要な立ち位置となっており、多くの吹奏楽ファンに愛されています。そんな本日はリードの代表作である「アルメニアン・ダンスpart1」を取り上げていきます。私個人が所有している演奏としては7種類あるので、それらを聴き比べいきたいと思います。


7種類の「アルメニアン・ダンスpart1」聴き比べ


アルフレッド・リード作曲:
アルメニアン・ダンスpart1



 「アルメニアン・ダンス」は「part1」、「part2」合わせた4楽章からなる作品。今回取り上げる「part1」はこの作品で言うところの第1楽章にあたる。5曲のアルメニア民謡がメドレーとして演奏される。構成としては「杏の木」、「ヤマウズラの歌」、「おーい、僕のナザン」、「アラギャンス山」、「行け、行け」となっている。今日において頻繁に演奏されているのは「part1」で、「part2」は稀に演奏される。全曲版の録音も意外と少ない。

 それでは聴き比べをしていこう。

1.藤重佳久指揮/精華女子高等学校吹奏楽部


 吹奏楽ブームが再び世に知れ渡ったと同時にCD化した当盤、収録されている曲目も豪華な点も注目だ。冒頭から華やかなファンファーレで、全体的に若々しいサウンドが光る。勢いも良く、強弱も非常にわかりやすく作られている。吹奏楽における「きっちりかっちり」といったイメージを払拭してくれる演奏となっていることは間違いない。

2.フレデリック・フェネル指揮/東京佼成ウインドオーケストラ


 個人的に一番良く聴いたCDが当盤である。日本の吹奏楽において重要な人物の1人となったフェネルと佼成ウインドによるこの演奏は、いつ聴いてもしっくりくるサウンドで、非常に聴きやすい。各曲ごとに細かい変化があり、聴き手を飽きさせない表現に満ち溢れている。佼成ウインドの安定感ある演奏にも注目したい。

3.中澤忠雄指揮/金沢県立野庭高等学校吹奏楽部


 ドラマ「仰げば尊し」のモデルにもなった野庭高等学校吹奏楽部が、1983年に行われた第31回全日本吹奏楽コンクール全国大会の時の貴重な録音。ノイズが若干残るものの、この演奏は駆け抜ける名演と言える。この曲における3曲目の「おーい、僕のナザン」、5曲目の「行け、行け」では今回ご紹介する演奏の中でも屈指の爆速をみせる。吹奏楽コンクールでの演奏ということもあり、演奏時間が限られるとは中々の速さである。そんな中でも大人顔負けの演奏をする野庭高等学校吹奏楽部の技術力の凄まじさと音のまとまりは一度聴いておいて損はないはずだ。

4.アルフレッド・リード指揮/東京佼成ウインドオーケストラ


 リードによる自作自演の演奏。この盤に関しては過去に当ブログでも取り上げているので多くは語らないが、一番理想的な演奏であるということは断言できるはずだ。音色に関しても硬めではなく、柔らかく優しさにも溢れている。そのため聴きやすい演奏である。この曲を演奏することがあるならば是非とも必ず聴いていただきたい必聴盤であると思う。

5.保科洋指揮/ヤマハ吹奏楽団


 作曲家であり、指揮者でもある保科先生がヤマハ吹奏楽団とともに演奏したCD。2013年2月に沼津市民文化センター大ホールにてライヴ録音された。当盤は残念なことに廃盤となっているため、手に入れることは少々難しいかもしれないが、曲の完成度としても作曲家である保科先生の考え方が反映されていると言える。下手なことはしないシンプルな「アルメニアン・ダンス」がここにある。

6.佐渡裕指揮/シエナ・ウインド・オーケストラ


 今回取り上げたCDの中でも一番オーケストラ的な表現で音の広がりが凄い、かつ音質が非常に良い。オーケストラ並びに吹奏楽を指揮する佐渡さんだからこそ出せる表現なのだろうと感じる。各楽器の音色も煌びやかで、活気があり聴きやすい。金管楽器のサウンドがこの曲に対してマッチしているのも特徴と言えるだろう。

7.石坂幸治指揮/ぱんだウインドオーケストラ


 安定感のあるサウンドで、「これぞ吹奏楽」という特徴をしっかりととらえた状態で臨まれている。音の広がりも豊かな演奏だ。東京藝術大学奏楽堂にてライヴ録音されたこの盤は曲目もゲストも豪華で、最初から最後まで楽しめる演奏となっている。

https://tower.jp/item/4294073/PANDASTIC!!-Live2016



 とここまで私個人が所有する「アルメニアン・ダンスpart1」の演奏を7種類ご紹介してきた。どれも素晴らしい演奏ということは間違いないのだが、個人的に気に入っているものを取り上げるならばやはりフェネル盤と、リード盤の2種類だろうか?聴いているうちにとても同じ楽団が演奏しているとは思えない両者の録音にはいつ聴いても驚かされる。リードの作品でいえば他にも多くの有名な吹奏楽曲があることだろう、本日は他のリード作品を聴きたいと思う。今年こそまた吹奏楽ができればいいなと考えた。