第842回「尾高忠明&大阪フィルによるブルックナー交響曲第3番《ワーグナー》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日8月4日に発売の尾高忠明と大阪フィルハーモニー交響楽団によるブルックナーの交響曲第9番。マーラーの交響曲第9番やブルックナーの交響曲第3番「ワーグナー」と交響曲第8番と同じ「fontec」から発売されました。そんな今回はまだ取り上げていなかったブルックナーの交響曲第3番「ワーグナー」をみていきます。2020年1月16日、21日に大阪フェスティバルホールにてライヴ収録された演奏です。


「尾高忠明指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団」

ブルックナー作曲:
交響曲第3番「ワーグナー」



 尾高さんと大阪フィルはこれまでブルックナー、マーラー、エルガー、ブラームスのCDを「fontec」と「Exton」からそれぞれ発売している。(ブラームスのみ「Exton」。)いずれの演奏もこれまで朝比奈隆築き上げられてきたサウンドのイメージを塗り替えるような重厚的かつ濃厚な素晴らしい演奏が多いと私は考えている。実際に聴ければなおいいのだが、私が東京住みなのと本業が土日に忙しいため中々行けずにいる。そのためCD化されるのは非常に嬉しい。

 ブルックナー交響曲第3番「ワーグナー」第1楽章、これまでの演奏にはないくらい活気ある明るい音色で奏でられている。オーケストラ全体からエネルギーに満ち溢れ生き生きとした「ワーグナー」が始まる。細かいテンポチェンジも駆使されており、朝比奈時代の大阪フィルとは明らかに違う姿となった大阪フィルを聴くことができる。ホルンの音色も豊かで木管楽器には瑞々しさがある。

 第2楽章、緩徐楽章なのだがずっしりと重心が低く、ボルテージも高めのイメージ。ベルリン・フィルほどではないが低弦の存在感は尋常ではなく、常に音が聴こえる。それによって重厚さがより一層増しているのは言うまでもない。間違いなく大阪フィルの進化したサウンドを感じられる代物となっているだろう。テンポもやや速めで、ダイナミクスも幅広く変化をかけている。溜めもありその際音に伸びやかさが加わっている。

 第3楽章、スケルツォ楽章に入る。金管楽器のサウンドが特徴的で、多くのブルックナーにおける名盤や決定盤とは違うややパリッとした音色でいつもと少し違う演奏に驚かされる。その金管楽器に合わせて弦楽器もまとまった音色で演奏される。一瞬崩れそうになる場面があるが、そこで堪えているあたりさすがは大阪フィルというところだ。

 第4楽章、まさに最高潮!冒頭から溢れんばかりのエネルギーが放出される。今回のCDは通常CD盤ながら音質も良くダイナミック・レンジの幅も広い。技術の発展には頭が上がらない。全体的にバランスのとれた演奏で進行しながら盛り上げどころでしっかりとエネルギーを放出する。正しくないかもしれないが、美しさからくる熱演もあっても良いと私は考える。仮に「それがどんな演奏なのか」と問われれば真っ先にこのCDを上げるだろう。かつてベームとウィーン・フィルによる演奏がこの曲の決定盤とされたと同様にこの演奏もそれに引けを取らない名演ということに間違いはない。

 さて、今回の「ワーグナー」に関しては以前より購入していたものだが中々聴くことができず今回交響曲第9番の発売に合わせて聴く形となった。しかし、それでよかったかもしれない。交響曲第8番は大分前に聴き終えているが、今回「ワーグナー」を聴いたことによって交響曲第9番を聴く準備が整ったと考えられる。これから交響曲第9番を聴くのが楽しみになった良質なブルックナーだった。