第841回「新リマスターによるフルトヴェングラー&ウィーンフィルのライヴ大集成」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。



 みなさんこんにちは😃昨年12月18日に「Altus」創立20周年記念として発売された「フルトヴェングラー&ウィーン・フィル ORF戦後ライヴ大集成」を本日はみていきたいと思います。CDは4枚組みでベートーヴェン、ブラームス、マーラーの歌曲が収録されています。曲目は後ほど載せますが、以前より「Altus」から発売されていたライヴCDです。今回創立20周年に合わせて新リマスター盤となったとのことで購入してみました。「Altus」から出ているCDは手に入りづらいものもあるのでこういう形での復刻は個人的にありがたいところです。


「フルトヴェングラー&ウィーン・フィル ORF戦後ライヴ大集成」


「ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

ベートーヴェン作曲:
交響曲第3番「英雄」

交響曲第9番「合唱付き」

ブラームス作曲:
交響曲第1番

ハイドンの主題による変奏曲


「ウィリー・ボスコフスキー(ヴァイオリン)、エマヌエル・ブラベッツ(チェロ)、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

ブラームス作曲:
ヴァイオリンとチェロとオーケストラのための協奏曲


「アルフレート・ペル(バリトン)、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

マーラー作曲:
さすらう若人の歌



 今回ご紹介していくのは通常CD盤だが、CD4枚を1枚に収めたSACDシングルレイヤー盤も合わせて発売された。こちらに関しては私自身SACD対応プレイヤーを持っていないということもあり購入していない。ただ、CD盤でも充分に感じるくらいの存在感を演奏から感じている。また、今回が新リマスター盤ということで旧盤との音質変化もしてみたいところだが、これは気が向いたら行いたいところだ。今回の録音は連合国オーストリア進駐軍放送=赤白赤放送集団(ORF前身)が収録したもの。

 ベートーヴェン交響曲第9番「合唱付き」、最近ベートーヴェンの交響曲は古楽器による演奏や室内楽編成の演奏を聴くことが多くなっていたためフルトヴェングラーによるベートーヴェンは久しぶりな気がしている。そのため第1楽章の重めのテンポには少々驚いてしまった。ようやく慣れてきたのは第2楽章あたりのことだった。リマスターされたこともあるのだろうノイズもある程度軽減されているが、若干音が遠いようにも聴こえる。1953年5月30日にウィーン楽友協会大ホールにてライヴ録音されたこの演奏、個人的に第3楽章が身体に「スッ」と流れてきた。このCDを聴いた際、本業の疲れが取れていなかったということも関係しているのだが、精神が浄化されるような心地良さを感じたのである。近年主流になった古典奏法とは違いフルトヴェングラーによるアプローチは安らぎを与えてくれるのと、テンポが速いことからくる聴き手の負荷があまりなく聴きやすい。合唱や歌手陣の歌声もより明確に聴くことができる。録音状態によっては歌詞が上手く聴き取れないものが多いフルトヴェングラーの「第九」だが今回の録音は比較的聴き取ることができると同時にオーケストラのバランスも良い仕上がりをみせている。

 ブラームスハイドンの主題による変奏曲、ブラームスの管弦楽作品の中でも比較的ポップなこの曲。1952年1月27日にウィーン楽友協会大ホールにてこの後の二重協奏曲と一緒にライヴ録音された。テンポ変化に関しては細かく行われているが、基本的には重めといった印象を受ける。牧歌的でキャッチーなフレージングは聴き手にインパクトを上手く残すものとなっている。途中バラつきがあるのでそこは注意したい。

 ヴァイオリンとチェロとオーケストラのための協奏曲、先ほどの「ハイドン変奏曲」と同じ日にライヴ録音された二重協奏曲。ボスコフスキーによるヴァイオリンとブラベッツによるチェロの対話が非常に素晴らしいものとなっている。またそれを支えるウィーン・フィルとのバランスも良い。録音状態に関しては良いものと考えられ、リマスターの効果を一番よく受けた演奏だと私は考えている。両者の音色や音形もよく聴き取ることができるようになっており今回のライヴ大集成の中でも特に印象が残った演奏となった。

 ブラームス交響曲第1番、フルトヴェングラーによるブラームスを聴くのは旧EMIから発売されたSACDハイブリッド盤以来で今回の演奏は全く同じものとなっている1952年1月27日のライヴ録音だ。音質の変化としてはSACDハイブリッド盤と通常CD盤ということもあり多少の差があるわけだが、ダイナミック・レンジの幅広さも非常に良い。ディスク1の「第九」ほどテンポが遅いわけではなく非常にベストなテンポで生き生きとした音色を感じることができる演奏となっている。

 マーラー「さすらう若人の歌」、この後の「英雄」と同じ11月30日にライヴ録音された。バリトンはアルフレート・ペルによる男らしい歌声を聴くことができる。フルトヴェングラーがマーラーの歌曲を取り上げていたことに関しては意外のような気もするが、ウィーン・フィルのバランス良いサウンドも功を奏している形となり非常に聴きやすい歌曲となっている。

 ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」、先ほどのマーラーと同じ日にライヴ録音された演奏。テンポもずっしりと重く悠然としたテンポで進んでいく壮大な「英雄」である。第1楽章と第2楽章は重めのテンポで演奏されておりベルリン・フィルとの演奏に引けを取らない名演となっている。録音状態も良く聴きやすい。弦楽器の存在感は非常に大きく感じられるもので、ダイナミクスの変化も明確なものとなっている。

 今回「Altus」創立20周年記念企画で発売されたフルトヴェングラーとウィーン・フィルによるライヴを取り上げた。この時代の録音となると盤によっては音も変わるのだが、今回のCD4枚は比較的どの演奏も楽しめる素晴らしい演奏だったということは間違いない。フルトヴェングラーのCDを再び収集しようとも考えたきっかけとなったので、有名な「ウラニアのエロイカ」やオリンピック盤のベートーヴェン交響曲全集を購入したいと思う。また9月には「フルトヴェングラー正規レコード用録音集大成」が発売される。こちらも以前から気になっているものなので購入しブログでも少しずつ取り上げたいところだ。