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報告・住まいと暮らしの「復興」を求めて

9月2日、国連・憲法問題研究会で稲葉剛さん(自立生活サポートセンター・もやい代表理事)の講演会「住まいと暮らしの「復興」を求めて~被災地と私たちをつなぐ視点から」を行いました。


稲葉さんはパワーポイントを使いながら講演。
もやいは被災地支援で岩手に入って活動していて、陸前高田市、大船渡市などの仮設住宅などの写真を映しながら被災地の現状について報告。

「災害は社会的弱者を直撃する。3・11から半年、避難所から仮設住宅へという第2段階になり、全体のニーズより個別のニーズに応えなければならなくなる。

阪神の時と同じように、コミュニティの崩壊による孤独死が今後問題になるだろう。今秋以降、被災地内外での貧困拡大が懸念される。震災は社会の中にある貧困・差別を増幅させる。


行政もNPOも「避難所→仮設住宅→復興住宅」という単線の支援だけになっているが。
実際は知人・親戚宅、旅館などにいる人も多く、住宅支援の複線化が必要だ。

被災者支援に関する法制度として災害救助法、災害弔慰金法、被災者再建支援法がある。

災害救助法には被災者への生活資金の給与・支給を認める条文があるが


第23条1項7号「生業に必要な資金、器具の給与又は貸与」
同第23条2項「救助は、都道府県知事が必要があると認めた場合においては、前項の規定にかかわらず、救助を要する者(埋葬に土江は埋葬を行う者)に対し、金銭を支給してこれをなすことができる」。


この条文の運用は停止されていて
三宅島噴火のときに村の独自の制度として行われた以外、被災者に給付を行ったことはない。

被災者生活再建支援法は98年に制定され、07年に第二次改正が行われて、金額が増額され、住宅再建にも使えることになった。


今回の震災でも、岩手県住田町は自治体独自の住宅支援として木造の仮設住宅を建てた。
能登半島地震(07年)では県が独自に上乗せ助成を行ってふるさと住宅を建てるなどの例はある。


では、何が住宅支援のネックになっているのか。
「私有財産自己責任」原則、「住まいの確保は基本的人権ではなく、甲斐性である」という社会意識がある。被災者支援の弱さとホームレス支援の弱さは表裏一体の関係。


戦後の住宅政策は「持ち家中心の住宅政策」だった。EUの公営住宅比率は10数%~20数%。日本は6~7%。住宅は投機の対象とされ、公営住宅は縮小されている。


大学で教えるので「オトコの人生すごろく」というのを描いたが、結婚して住宅ローンを組んで持ち家を持つというのが、人生のコースとされていた。
だが、これからは、「私のすごろく」を選べる社会へ。

人それぞれの自由なライフスタイルを選べる社会となるためには、安心して暮らせる低家賃の住まい、ベーシックニーズ(食糧・医療・教育など)の低コスト化が必要だ。

「住まいは人権」を実現するためには

公的保証制度の導入、民間賃貸住宅入居者への家賃補助、入居差別の禁止、公共住宅の拡充、社会住宅の整備、借家人組織の交渉権の確立が必要

そして生存権概念の再検討が必要だ。


避難所に身を寄せて食事が保障されるのは一番狭い生存権Ⅰ
生活保護制度が保証するのは、生存権Ⅱでまだ狭い。
これからは生存権Ⅰ・Ⅱに加え、居住権+営生権までを保証する生存権Ⅲの実現を目指さなければならない(営生権とは働く権利、営業、生活する権利)」


質疑応答では、改悪の動きが出ている生活保護制度の問題、政権交代の評価、東京都のNPO敵視政策の問題点などについて、いろいろ質問・意見が出ていました。

野田新政権の評価では、貧困対策がどうなるのかについては「よく分からない。一歩間違えれば税と社会保障一体改革で小泉政権と同じになりかねない」という評価


新厚労相の小宮山洋子は、「副大臣からの昇格だが、副大臣在任中は目だった発言はなかったので期待できるかは分からない」と。


最後に事務局から9・11全国アクションへの呼びかけが行われた。



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【声明】8.15反『靖国』行動に向けられた弾圧を許すな!右翼による私たちへの攻撃、暴行や傷害を糾

【声明】8.15反『靖国』行動に向けられた弾圧を許すな!右翼による私たちへの攻撃、暴行や傷害を糾弾する!



 私たち「国家による『慰霊・追悼』を許すな!8.15反『靖国』行動」
は、今年も、天皇制に反対し、靖国神社に代表されるような国家による
死者の「慰霊・追悼」を批判する行動を行なうことができました。
 しかし、本年の行動は、これまでよりもさらに激しい弾圧や攻撃にさ
らされるものでもありました。そのことの内実を広く明らかにするとと
もに、こうした事態をつくりだした権力機関や団体・個人を厳しく糾弾
せねばなりません。
 天皇制を批判したり、その戦争責任や侵略責任を問う行動は、これま
でも公安警察や機動隊による過剰規制に加え、右翼勢力の攻撃にさらさ
れてきました。最近は、こうした右翼勢力に、もっぱらインターネット
で流布される虚言によって妄動する「ネット右翼」、そして彼らを現実
の場に動員している「行動する保守」を名乗る右翼グループが加わり、
私たちや友人たちの行動への妨害や嫌がらせはさらに醜悪なものとなっ
ています。
 今回のデモのさなかに、私たちの行動に対し、襲撃する側が持ち込み、
押さえられたとき落としたと思われるナイフが見つかっています。
 私たちは、これまで20数年の長きにわたり、8.15の行動を持続してき
ました。
 右翼たちの私たちに向けた「殺せ」「殺す」という脅迫的煽動は、
「街宣右翼」や「行動する保守」「ネット右翼」たちが相互に顕示を競
う中でエスカレートしてきました。しかし、今回ナイフが持ち込まれた
ことは、デモの参加者に対する、具体的な殺人/傷害が狙われていたと
考えるしかありません。これは、右翼たちの行動の最悪の方向への転換
の画期を示すものです。
 これに対する、警備・公安警察が実施した「警備」の体制はひどいも
のでした。それは、私たちの行動を抑え込むばかりか、「街宣右翼」
「行動する保守」や「ネット右翼」たちにやりたい放題を許すものでも
あり、私たちの行動に参加した人々の身体を、彼らの暴力行使による直
接的な危険にさらさせるものでした。
 以下に、その具体的な実態を示します。


★右翼団体構成員による暴力

 警察は、デモコース最初の、上下4車線の白山通りを封鎖し、驚いた
ことに上下線の歩道寄りの車線にずらりと右翼の街宣車を配置させまし
た。特に危険だったのは、居並ぶ右翼の街宣車の間から、ひっきりなし
に右翼団体構成員が私たちを襲撃してきたことでした。
 この激しいもみ合いの直後に、白山通りから靖国通りに向かう半ばで、
デモ隊の歩いている路上にナイフが落ちていたことが、多くの参加者に
よって確認されています。これは、襲撃者が割って入った機動隊員に取
り押さられた際に、落としたものとしか考えられません。
 脇を歩いていた私服の公安警察官は、この「証拠物」を、何食わぬ顔
で拾い上げ自分のバッグに収めてしまいました。このとき襲撃犯が逮捕
されたのかどうかすら、現段階では不明のままです(この一部始終は、
私たちにより現認され撮影されています)。
 警察は、この事件をなかったことのようにしたいのでしょうか。目前
で不法な暴力行為が展開されている以上、警察は、この右翼によるテロ
未遂事件の事態の一部始終を厳しく捜査し、襲撃犯の背景、その後の対
応について明らかにする義務を有しています。
 右翼は、中身の入ったジュースなどの缶を私たちめがけて投擲してき
ました。これにより身体に打撲傷を受けた参加者も何人もいました。こ
れが顔や頭部などにぶつけられた場合は、その被害は深刻です。これに
ついても、警察は積極的に捜査を行う義務があります。
 右翼による襲撃により、宣伝カーは蹴られ、叩かれ、横断幕・バナー
やパペットなどはデモ行進の開始直後から終了するまで攻撃を受け続け、
強奪などもされました。右翼構成員は、大量な機動隊や公安警察官にほ
とんど規制もされずデモに併進し、暴行や罵声を浴びせ続けたのです。


★「右翼」に対する警察の優遇措置

 警察は、在特会に代表される「行動する保守」や「ネット右翼」のデ
モに対する妨害のための、彼らとの「ボス交渉」に積極的に応じ、わざ
わざ公道である歩道や車道の一部を空けて彼ら専用の区域を提供しまし
た。彼らはこうしてしつらえられた安全な空間から、差別と排外主義に
まみれた醜いヘイトスピーチを繰り広げたのです。彼らによるヘイトス
ピーチは、直接的な暴力をほしいままにする右翼団体と、まさに対をな
し、暴力を助長するものです。
 右翼によるこうしたヘイトの行動は、多くの国や団体・個人から、国
際的にも強く批判を受けているものです。民主主義を標榜する日本のよ
うな国家において、警察がむしろこれを助長するような体制を取ること
は許されるべきではありません。


★警察によるデモへの弾圧態勢

 私たちのデモは、左右を街宣車と警察車両によって狭められた車線を、
さらに戦闘服の右翼団体構成員と装備した機動隊の列にサンドイッチ規
制される形で進ませられました。これは、私たちのアピールが右翼街宣
車による圧倒的な騒音によりかき消されることを目的とするものでした。
 私たちのデモ行進が、機動隊によって強く規制される一方で、歩道や
車道を並行して歩く私服の公安警察官や制服警官は、右翼団体構成員が
私たちに暴行を働くのを積極的に制止しませんでした。警察は右翼に自
由に行動させたため、その突進に翻弄され、ぶざまに混乱した警備体制
を糊塗するため、むしろ機動隊は私たちの行動への規制を強めたのでし
た。その経過で、右翼や機動隊員に突き飛ばされ、転倒させられた人も
多くいました。
 そして、そのような中でも、大量に動員された公安警察官は、ただた
だ私たちへのビデオや写真撮影などに励んでいたのです。

 私たちは、こうした日本社会における現実を、日本社会、さらに国際
的にも広く知らしめることを希望します。民主主義を標榜し、日本国憲
法において思想や表現の自由が保障されているにもかかわらず、現実の
社会において、実質的にこれを行使することが不可能ないし困難な状況
にあることに注目されねばなりません。
 また、インターネットなどにおいては、天皇制や靖国神社などへの批
判、外国人やマイノリティの権利の主張を行なう意思表明すら、右翼勢
力の執拗な攻撃にさらされ、発言を封じられることもたびたび起きてい
ます。
 こうした、直接的・間接的な暴力を含む攻撃が、どのような政治的・
社会的立場やイシューに向けられているかは明らかです。右翼組織や
「行動する保守」「ネット右翼」などのそれぞれの背景は、政治団体や
暴力団、宗教団体、その他の挑発者グループ、なによりこの社会を覆っ
ている差別・排外主義的な政治環境などさまざまですが、この間、彼ら
にとっての共通の「敵」をしつらえ、実質的に合流した行動をとること
が繰り返されています。
 こうした状況は、社会や経済の破綻から「失われた20年」と呼ばれる
最近になって、ますます明白に露呈していることです。排外主義は、人
間が使い捨てにされ、生をめぐる競争に駆り立てられ、社会的に分断さ
れるところに浸透しています。これは、社会全体が徐々に威圧的となり、
軍事的色彩を強めている歴史的時間の中で、いままさに進行している事
態です。
 私たちは、今回のような警察・右翼一体となった攻撃を強く糾弾しま
す。すべての皆さんがこうした事実を認識し、右翼の暴力や、それを理
由とした警察権力の不当な規制をゆるさない声を、それぞれの場で上げ
ていただきたいと思います。


2011年8月26日
国家による「慰霊・追悼」を許すな!8.15反「靖国」行動

50集・山崎久隆「福島第一原発事故とは何か?」発行

国連・憲法問題研究会報告第50集

福島第一原発事故とは何か?
福島原発震災 現状と分析
山崎久隆


2011年8月発行


■「3・11」に発生した東京電力福島第一原発の原発震災。事故による膨大な放射性物質の放出で大地と海の汚染は拡大し続け、10数万が避難を余儀なくされ、子ども・住民の被曝と農畜産物・海産物の汚染が大きな問題になっている。だが、政府・東電は十分な避難、補償に取り組もうとせず、原発輸出方針を未だに変えていない。山崎久隆さん(たんぽぽ舎副代表)が福島原発震災は続いていると講演。B5版60頁


◎第50集目次

電気は余っている/東日本巨大地震のメカニズム/余震・誘導地震の危険性/原発再稼動をやめさせよう/原発震災はなぜ起きたのか/福島原発は欠陥機/福島第一原発の特徴/作業性が悪い原発/外部電源喪失が発端/予測された全交流電源喪失/地震に弱いECCS/原子炉のなかはどうなっているか/高線量汚染された瓦礫/隠されたSPEEDIの予測図/拡大する海洋汚染/チェルノブイリとフクシマ

○質疑応答
○資料


◎定価1冊 500円(送料80円)
◎5冊以上購入 1冊当たり400円


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