学習会「特定秘密保護法」を問う
国連・憲法問題研究会学習会
「特定秘密保護法」を問う
日時 2013年11月10日(日)午後6時~
報告 研究会事務局
会場 テオリア事務所(神田駅5分)
参加費 500円
10月25日、安倍政権は「特定秘密保護法案」を閣議決定した。NSC(国家安 全保障会議)法案と同時に制定がめざされている特定秘密保護法案は、米国のス パイ防止法をモデルに外交、防衛、スパイ防止、テロに関する情報を行政の長 が「特定秘密」に指定し、暴露した者を処罰する法律。制定されれば、原発情報 など権力者にとって都合が悪い全て情報は、「秘密」とされて市民の目から隠蔽 し、内部告発したものを厳罰に処すことが正当化される。
国連・憲法問題研究会
連絡先 東京都千代田区内神田1-17-12勝文社第二ビル101研究所テオリア
TEL・FAX 03-6273-7233
http://www.winterpalace.net/kkmk/
peaceberryjam@gmail.com
報告講演会「新自由主義と国家主義の傘に覆われた世界で――「9・11」から40年/「9・17」から
講演会「新自由主義と国家主義の傘に覆われた世界で――「9・11」から40年/「9・17」から11年」
9月21日、国連・憲法問題研究会講演会「新自由主義と国家主義の傘に覆われた世界で――「9・11」から40年/「9・17」から11年」を行いました。
講師は太田昌国さん(民族問題研究)。
太田さんの講演は1995年(敗戦50年)、2003年(拉致異論)に続く3回目。
講演で太田さんは
「新自由主義と国家主義の傘で覆われているのが現代の世界。
現代史をふり返る起点をどこにおくか。世界的な規定性をもつ「9・11」、日本社会に固有の規定性をもつ「9・17」――この二つの傘に覆われた「現在」を分析し、そこから抜け出る可能性を探りたい。
12年前、アメリカで9・11があった。当時のブッシュ政権はアメリカの悲劇だと、アフガニスタン戦争、イラク戦争へと突き進んでいった。アメリカによる悲劇の独占は許されない。
ここでは、40年前のチリの1973年9月11日を考える。新自由主義グローバリゼーションの出発点としての「9・11」。
「9・17」は11年前の平壌。日朝平壌会談は、第一に戦後57年経っても解決しない日朝の戦後処理、国交回復、第二に拉致問題が課題だった。
だが、「拉致被害者8人死亡」という情報を受けて、日本国内は拉致問題だけになり、国交正常化は忘れられた。それから12年経っても国会回復はできていない。
40年前の「9・11」、はじめて選挙で成立した社会主義政権であるチリのアジェンデ政権がクーデターで倒された。新自由主義経済秩序が世界を席捲し支配するきっかけとなった日にち。
チリではロシア革命、中国革命などと違い、武装闘争を経ないで社会主義政権を実現した。
ラテンアメリカでは第2、第2のキューバ革命の実現によるラテンアメリカ社会主義共同体というのが共通の夢だった。それも67年ゲバラの死、68年カストロによるソ連のチェコ侵攻支持で困難になった。
その中で「銃なき革命チリの道」を掲げ、違う道をめざした。
チリ革命は何を目指したか。それはだれの既得権を奪い、したがって、だれに敵対したか。それは昔からの寡頭支配層、多国籍企業の既得権を奪った。
アジェンデ政権に対する妨害工作の主体は誰か。ラテンアメリカで活動する多国籍企業の中にITTがあった。
72年の国連総会でアジェンデは、ITTはチリで内乱を起こさせようとしていると名指して糾弾した。
チリ革命は何をめざしたか。チリ革命は政治・社会過程の変革に留まらない、文化革命的要素があった。
当時出された本に『ドナルドダックを読む』がある。
当時はアニメといえばアメリカのディズニーアニメだった。
貧しい世界に行ったときにドナルドダックの振る舞いを分析し、ディスニーが人々にどのような価値観を埋め込もうとしているかを批判した。
チリの千日間の革命は、ITT、アナコンダ、CIA、キッシンジャーらが後押ししたピノチェットのクーデターで倒された。
そして「1973・9・11」後の世界はどうなったか。
9・11後のチリ社会は、フリードマンらシカゴ学派の経済学者によって、
新自由主義政策が世界で最初にとられた。
運輸・交通・教育・医療・福祉などは「民営化」され、「規制緩和」「社会支出の削減」が進められ、失業率は一時20%を超えた。
新自由主義の結果、街には立派なビルが建って「チリの奇跡」ともてはやされた。導入された外資は全て借金で、軍政下の奇跡は演出された奇跡だ。
次に「9・17」以降の私たちのあり方を振り返りたい。
現在のように右翼が台頭した下地は1980年代初頭から形成されてきた。
02年訪朝時の小泉の判断は国交正常化だったと思うが、帰国すると強硬路線に唯々諾々と従った。
9・17以降の状況に対して『拉致異論』を書き、09年には03年当時には発言を批判した蓮池透さんと対談して『拉致対論』を出した。
02年当時は強硬論だった蓮池透さんは、北朝鮮との対話と補償を求める主張に変わった。
安倍の〈在任中に拉致問題を解決する〉というのは、金正恩と似ている。
外交のリアリズムから考えれば、日本が植民地支配の責任をはっきり認め、拉致も解決していくしかない。
だが、日本の外交は「日本には拉致問題がありますから」で全てとまっている。
日本メディアの強制力・伝播力の中で日本全体が被害者のように思っている。一方的な報道はひどすぎる。ヘイトスピーチのような言論が横行している。
そして、私たち、左翼・進歩派の責任を考えたい。政府・右派だけの責任にしてはならない。
日本の進歩派は一方的な思い入れで、ソ連、中国、ベトナム、キューバ、北朝鮮など「社会主義国家」の現実を知らないで美化してきた。
今の状況は左翼が「社会主義国家」批判を欠いた必然的な帰結。日本が朝鮮を植民地支配したのは事実だが、それで批判を欠いては右派言論に対抗できない。
人民への責任と指導部の問題は別だ。
在特会の前身ができたのは第一次安倍政権の2007年。
日本の言論は、今や反韓国・反北朝鮮の悪煽動が当たり前という状況になっている・
拉致問題、中国、韓国との領土問題・歴史問題の対立の中で、日本右翼は活気付いている。
今の状況は安倍、金正恩、朴槿恵にとってはマイナスではない。
民族主義・排外主義とは違う、ナショナリズムの突出とは違う形で、どのように結びつくのかが問われる。」
講演に続いて、参加者との間で質疑応答が行われた。
「今の反中嫌韓は中国、韓国が嫌いというよりも空気に縛られているのではないか。
左翼というか人権を大切にする人たちだと思うが、これまでの左翼はこれからどうしていくのか」
「大学闘争以来、運動に関わってきたが、フェミニズムから見て違和感を感じる点はあった」
「なぜ今の国家主義の起点を80年だ初頭に求めるのか」などさまざまな意見が出された。
太田さんは「社会主義はゼロになったが、資本主義の矛盾がある。ビジョンを求めることをやめることはできない」と語った。
講演会 新自由主義と国家主義の傘に覆われた世界で―「9・11」から40年/「9・17」から11年
国連・憲法問題研究会講演会
新自由主義と国家主義の傘に覆われた世界で
――「9・11」から40年/「9・17」から11年
講師
太田昌国さん(民族問題研究)
日時
2013年9月21日(土)午後6時半~9時
会場
文京シビックセンター5階会議室C
(後楽園駅・春日駅・水道橋駅)
http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_shisetsukanri_shisetsu_civic.html
参加費 800円(会員500円)
国連・憲法問題研究会
連絡先 東京都千代田区内神田1-17-12勝文社第二ビル101研究所テオリア
TEL・FAX 03-6273-7233
http://www.winterpalace.net/kkmk/
peaceberryjam@gmail.com
【新自由主義と国家主義の傘に覆われた世界で】
この9月は「9・11」から40年、「9・17」から11年です。
日本社会では外国人、マイノリティを「敵」として攻撃する言動が横行しています。政権は隣国との緊張・対立を煽り、政治家たちは侵略戦争・植民地支配の歴史を正当化し戦争被害者を傷つける暴言を繰り返しています。
安倍晋三は拉致問題の「実績」を足場に政権を獲得しました。「敵」への攻撃を煽り立て、国家への批判を許さない風潮は2002年9月17日(日朝ピョンヤン会談)を契機に日本社会で一気に強まりました。
「日本を取り戻す」と叫んで返り咲いた安倍政権は7月参院選挙で大勝。解雇規制緩和、TPPなどの新自由主義改革を推し進めようとしています。
1973年9月11日、選挙で成立したチリのアジェンデ政権を米国の支援を受けクーデターで倒したピノチェト軍事政権はシカゴ学派の学者を招き、公共部門の解体、企業民営化、労働者の権利の剥奪など、史上初の新自由主義国家の「実験」を進めました。冷戦崩壊後、新自由主義は世界中を席巻。人権・環境・生存に対する脅威として猛威を振るっています。
日本では「成長戦略」の名の下に再び新自由主義改革のアクセルが踏まれ、格差・貧困の拡大がいっそう進もうとしています。
同時に格差社会への不安・不満を外にそらすために、国家主義がますます煽り立てられる状況です。
「新自由主義と国家主義の傘に覆われた世界」で何を考え、どのような態度をとるべきなのか。太田昌国さんのお話をうかがい、共に考えたいと思います。
太田昌国さん。
おおたまさくに。1943年生まれ。編集者。民族問題・南北問題研究。著書に『「拉致」異論』(太田出版、現在は河出文庫)、『暴力批判論』(太田出版)、『チェ・ゲバラ プレイバック』(現代企画室)、『拉致対論』(共著、太田出版)、『テレビに映らない世界を知る方法』(現代書館)ほか。