遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。🙇🎍

ブログ更新は約一ヶ月ぶりでしょうか。今回は北見市に本社を置き、1913年から1996年まで存在したスーパーマーケットであるイチワについて、これまで調査してきたことをまとめてみようと思います。



今回の記述は全て北見市中央図書館に所蔵されている「イチワ創業八十周年記念誌」(イチワ・月刊あるふぁ 1993年刊)とその他地図などを照らし合わせた情報に準拠しています。一部私の考察も混じっています。

(写真 実家の古い地図に残されていたイチワの広告)


渡邊家の商いのはじまり

  

1913(大正2)年、前年(1912年)から旭川町(現在の旭川市)の御用商人岡本商店と関わりがあった渡邊峯太氏が旭川町から野付牛村(現在の北見市)に移住し、野付牛駅(現在の北見駅)にも近い一条西四丁目にて青果と鮮魚の小売店○わ渡辺商店を創業しました。

翌1914(大正3)年には突如大火に見舞われこの渡辺商店も類焼しますが、一条西五丁目に移転し営業を再開させています。その後は1916(大正5)年に大通り東五丁目へ、1917(大正6)年には一条西一丁目へと短い間に二度店舗を移転させていますが、これ以後はしばらくこの一条西一丁目に落ち着きます。

1919(大正8)年に合資会社となり合資会社一ワ渡辺商会を設立し青果の問屋も同地に併設させました。1926(昭和元)年には一ワ廉売市場を新築、1940(昭和15)年には四条西二丁目に卸売荷受問屋を一条西一丁目の会陽館(後の丸正デパート)に鮮魚、塩干物、青果の小売店を開くなど長らく北見駅前の市街地を中心に商いを続けていました。

この間に野付牛村は1916(大正5)年に町制施行、野付牛町に。1942(昭和17)年に市制施行し北見市となっています。イチワの歴史は北見の発展とともにあったとも言えるでしょう。


三代目の帰郷、一ワ渡辺商会の転機。



一ワ渡辺商会の運営には創業者渡邊峯太氏の長男友太郎氏も加わるようになり、友太郎氏は渡辺商会の他、1947(昭和22)年に現在もある北見冷蔵株式会社を設立。北見市議会議員も務めるなど北見市の中でも徐々にその存在感を大きくしていたものでしょう。

そんななか、1958(昭和33)年に友太郎氏の二男充氏もまた実家を継ぐべく大学卒業後、研修のため紅丸商店(現在のヨークベニマル)に入社。一年間の研修の後、翌1959(昭和34)年に実家の渡辺商会へ入社しました。

紅丸商店で外の世界をみてきた充氏は、渡辺商会のチェーンストア化を掲げ、まだ個人経営の域を出ていなかった合資会社一ワ渡辺商会を株式会社として法人化、株式会社一ワ渡辺商店を設立します。


スーパーチェーンイチワの誕生


(写真 旧イチワ留辺蘂店跡 ラルズマートとなったあと2003年に現店舗に移転)

株式会社設立の翌年、1960(昭和35)年にはフードセンターイチワ北見一条店を開店。それから3年後の1963(昭和38)年には2号店としてスーパーチェーンイチワ遠軽店を開店。当時の遠軽町にはスーパーマーケットと名のつく店はなく独占的な地位を築くことが出来たとされています。

これを布石に翌1964(昭和39)年に北見市内で四条東店、さらに翌年には留辺蘂町に留辺蘂店を開店させました。その後、1971(昭和46)年に留辺蘂駅前店を開店させるまで9年連続で年間1店舗のペースで新規出店を続けました。店舗網はこのときまでに11店舗にも及びました。


【スーパーチェーンイチワの店舗】
(1971年頃までに出店したもの) 
()のない店舗はすべて北見市に所在。
  • 一条店  1960~?
  • 遠軽店   1963~1967移転~1986(遠軽町)
  • 四条東店 1964~?
  • 留辺蘂店  1965~2003移転(留辺蘂町)
  • 小泉店  1966~1982?
  • 山下店  1967?~1977には閉店
  • 幸町店 1967~?
  • 美幌店  1968~1980?(美幌町)
  • 銀座店  1969~1992?
  • 網走店 1970~1984には閉店(網走市)
  • 留辺蘂駅前店 1971~?(留辺蘂町)


そしてこの怒涛の出店ラッシュの最中、1969(昭和44)年に本社を北見市卸町に移転。1970(昭和45)年には株式会社イチワへ社名を変更しています。

この頃までに一気にチェーンストア化を果たしたイチワでしたが、これらの店舗の多くは短期間の間に閉店してしまいます。これを第一次イチワ時代とでも名付けましょう(笑)

イチワの記念誌だけではこれらの閉業年がわからないままでした。これ以後に出来た店舗の時にはもうなかったものと思われます。今後さらなる調査を進めたいところです。




第二次イチワ時代、
店舗の大型化と業態の多角化。


ここまでのイチワは今で言うと小型な店舗が多く、今ほどモータリゼーションに対応していませんでした。そんななかで三代目充氏は大型店の出店を目指しました。そして先代からの反対があるなか出店したのが、ファミリータウンベアーズでした。 

(写真 ファミリータウンベアーズ 現在のラルズマート高栄店)

1978(昭和53)年12月14日、当時まだ新興住宅地として開発が始まって間もなかった北見市の高栄東町にぽつんと開店させました。まだ周囲に建物はなく「こんなところに建ててどうするんだ。」と風当たりは強かったようです。現在では立派な住宅街となり店舗は古いながらも利用客の多い店舗です。

新事業ということで、新会社株式会社ベアーズを設立しました。これには資本金を少なく、借入金を多く得る目的があったようです。(1987年にイチワへ合併)

ベアーズはイチワの新しいストアブランドとして、その後も1983(昭和58)年にはさらに大きな規模でベアーズ北光店を開店させました。イチワとしても同年に夕陽ケ丘店、翌1984(昭和59)年に緑店、1986(昭和61)年に清見店を開店させました。

これに前後して新たに24時間営業のスーパーマーケット業態として24アイマートの展開も始めました。1985(昭和60)年にイチワ銀座店を改装する形で開店。1986(昭和61)年には西部店を開店させています。

その後も1985(昭和60)年にスーパーマーケットの他にも書店としてイチワ夕陽ケ丘店を改装しブックメイトB夕陽ケ丘店を開店させ業態の多角化をはじめました。

1988(昭和63)年には飲食店として牛肉しゃぶしゃぶわいわい亭を開業、1990(平成2)年にはベアーズ北光店にて衣料部門ホワイトベアーを始めるなど食料品販売に限らず幅広く業態を広げていきました。 

また、ラルズが資本参加する前年である1994(平成6)年頃には開店間もないベアーズ小泉店をprice center Time'Sという低価格販売のお店へ改装していたようです。


丁度この頃からイトーヨーカドー北見店が1985(昭和60)年に開店するなど北見市内でも大手のスーパーが出店するようになってきていましたが、この80~90年代で再びイチワは力を伸ばしていました。



【第二次イチワ時代の店舗網】
(1994年頃までに出店したもの)


イチワ
  • 留辺蘂店  1965~1980改築?~2003移転
  • 夕陽ヶ丘店 1983~1985 ブックメイトBに転換
  • 緑店  1984~1998
  • 清見店 1986~1995?
ベアーズ
24アイマート
  • 銀座店  1969(イチワ)~1985~1992?
  • 西部店 1986~1993?
price center Time'S(プライスセンタータイムズ)

ブックメイトB(書店)
  • 夕陽ケ丘店 1985~1989? 
  • ベアーズ高栄店? 営業期間不明

この他ベアーズ青葉店、24アイマート西部店、イチワ清見店ではデイリークイーンをフランチャイズで営業していたようです。第二次イチワ時代にはイチワ全体の店舗のほとんどが北見市内の店舗でした。



イチワ時代の終焉と道東ラルズの誕生、そして大手へ。


時代は平成となりバブル崩壊の不況に騒がれた90年代、北海道内の地場スーパーでは札幌の新勢力ラルズが力を伸ばしていました。

イチワもまた1995(平成7)年にラルズが資本参加し子会社化。翌1996(平成8)年には株式会社道東ラルズへと商号変更が行われました。これにともないイチワ由来のストアブランドは消滅し、ラルズマートやビッグハウスへと姿を変えました。

そして2002(平成14)年には親会社のラルズが十勝の地場スーパー福原と経営統合しアークスが誕生。2016(平成28)年には網走市の株式会社篠原商店と合併し、道東ラルズを存続会社として株式会社道東アークスが誕生しました。このときに旧篠原商店から篠原肇氏が代表取締役に就いたため、ついにトップから創業家が抜ける形になりました。

旧イチワはアークスの発展とともに大手企業の一員になっていきました。



イチワの今


今年でイチワの屋号が消えて25年。そしてイチワ創業から数えて108年になりました。八ヶ岳連峰経営を続けるアークスグループの歴史は様々ですが、そのなかでも道東アークスもといイチワは最も古い会社なのではないでしょうか。


イチワから現在も活躍する店舗は以下の通りです。()内は旧店名

  • ラルズマート留辺蘂店(イチワ留辺蘂店)
  • ラルズマート高栄店(ベアーズ高栄店)
  • ラルズマート北光店(ベアーズ北光店) 
  • ビッグハウス小泉店(プライスセンタータイムズ小泉店)

イチワからの継承後閉鎖した店舗
  • ラルズマート緑店(イチワ緑店)
   1998年に閉店。
  • ラルズマート青葉店(ベアーズ青葉店)
   2013年に閉店。
 



さいごに


実のところ、道東アークスは何度も形を変えているようですが、組織そのものはイチワから続いてきたものです。

店名からは消えてしまいましたがふとしたときに思い出してみてください。

そこにイチワがあったこと。

長くなってしまいましたがお読みいただきありがとうございました。🙇

(写真 イチワとして最後になった大店法プレート。ビッグハウス小泉店にて。)


今後もイチワ研究は続けていきます。さらに加筆するかもしれません。なにかお気づきの点があればお知らせください。

一部、Twitterにて交流のある方からの情報も頼りにさせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。☺️🙇

ではまた✨


参考文献
・イチワ 創業八十周年記念誌
・遠軽町百年史
・ゼンリン等各種住宅地図
・北海道新聞道北1998年6月20日

2021.1.24    投稿
2021.2.23 加筆投稿
2021.2.25 加筆投稿
2021.3.28 加筆投稿
2021.4.15 加筆投稿
2021.5.25    加筆投稿
2021.7.7      リンクの編集投稿
2021.7.15    リンクの編集・修正投稿
2021.7.16    修正投稿
2021.8.8      加筆投稿
2021.10.1    修正投稿
2021.11.18 加筆投稿
2022.1.18 リンクの編集
2022.6.7 リンクの編集