ふと思い出した 仏教とシャーマニズムの違い | 如月隼人のブログ

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これまた大昔の留学生時代の話です

人に紹介されて内モンゴル仏教協会の主席とお会いする機会がありました
モンゴル民族が信じる仏教はおもにいわゆるチベット仏教で
その仏教協会主席はゲルク派というチベット仏教の最大宗派の高僧

でもって前からちょいと疑問に思ったことをお尋ねしたわけです

モンゴル人の古い宗教はいわゆるシャーマニズムで
仏教が伝来すると仏教勢力とシャーマニズム勢力の激烈な闘争が出現

まあ日本でも仏教を巡って蘇我氏と物部氏の戦いがあったのですから
似たような状況だったのでしょうね

でもってモンゴルで仏教勢力が勝利したのも
日本と同じ

シャーマニズム側は仏教の教義なんかの一部を取り入れ
仏教側もシャーマニズムを取り入れました

たとえばモンゴルの草原には
丘のてっぺんとか
そうでなくてもちょっと小高い場所に石が積まれていたりします
規模はさまざまです
この「石塚」みたいなものを「オボー」と呼びます
(写真参照)

大昔には木の小枝なんかを持ってきて束ねておいたのですけど
後になり石を積むようになったそうです
規模が大きなオボーには昔の名残りで
木の枝が添えられていたりまします

オボーは天の霊と交流する申請な場所であり
現実面ではだだっ広い草原で道をしる目印にもなったそうです

このオボー崇拝はシャーマニズム信仰なのですけど
モンゴル人が仏教を受け入れてからは
オボーの祭りに僧侶がやってきて読経するようになりました

いかん
話がまたまた長くなった

でもって内モンゴル仏教協会の主席に
「仏教とシャーマニズムの一番の違いは何ですか」
と尋ねたわけですよ

すると「悪しき存在に対する考え方が違う」
とおっしゃいました

シャーマニズムは悪霊が存在して
人に悪事を為すと考える
仏教でも実質的に同様の考え方をする

違うのは「対策面」で
シャーマニズムでは人に憑依した悪霊を撃滅するか
それが出来ないでも退散させようと考える

仏教の場合には
可能であれば悪霊を善良な存在に変えて
人に悪さをしないようにする
それが無理でも悪霊を退散させるにとどめて
悪霊を滅ぼそうとまでは考えない

とのことでした

なるほどな~
と思いました

さてさて
モンゴル語ではシャーマンあるいはシャーマニズムを「ボー」と言います

仏教と融合したシャーマニズムは
「チャガーン・ボー」(モンゴル国では「ツァガーン・ボー」)と
呼ばれるようになりました
「白いボー」という意味です

仏教との融合をあくまで拒絶した一派は
逆に迫害されることになったのですけど
内モンゴル最東部のホルチンなどと呼ばれる地域に逃れて
細々ではありますけど命脈を保ちました
(文革時代などにどうなったかは分かりません)

この「純粋なボー」は「ハル・ボー」(黒いボー)と呼ばれました
もちろん「チャガーン・ボー」側の呼称です