「フールプルーフ」の中国語新訳が登場した経緯が面白いみたいだ | 如月隼人のブログ

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フールプルーフ( foolproof )という言葉があります
安全工学の用語で
この場合の“ proof ”は「防止」のこと
つまりフールプルーフとは
「お馬鹿防止」ということ

装置や器具について
誤った使い方が出来ないように設計する考え方です

そのことで、誤った使い方で事故が発生したり
装置が破損することを防ぐわけです

例えば全自動洗濯機について
蓋を完全に閉めないと脱水の作動をしないようにしておく
洗濯時ならば中の様子を見て
場合によっては水あるいは洗剤なんかを追加することもある
だから蓋が開いていても作動した方が便利
でも脱水時には高速回転しますから
蓋が開いているととても危険
だから蓋を完全に閉めないと作動しないようにしておく

さてさて
私のいつもの主張なんですけど
「フールプルーフ」って外来語カナ書きやイヤだなあ

と思っていたら
「フールプルーフ」にとても近い
れっきとした日本語がありました
「ポカヨケ」です

工場なんかで発生した言葉で
作業の手順を間違えると(ポカ)
その次に進めないようにしておく

例えば紙を何枚も重ねて切る断裁機では
機械の右と左の方にボタンが2つついていて
同時に押さないと断裁機が作動しないようになっています
これって
ボタンが1つだけだと
スイッチを押しした時に
もう片方の手を刃が降りてくる場所に置いているかもしれない
大事故になります

だから
両手を大きく広げて
2つのボタンを同時に押さないと
刃は降りてこないようにしておくわけです

工場の場合には事故防止だけじゃなくて
製造の途中で手順を間違えると
不良品を大量に作り上げてしまい
大きな損害を出す

そんな経済上の理由もあって
この「ポカヨケ」が随所で使われているそうです

「フールプルーフ」なんて言葉よりも
「ポカヨケ」の方がよほどよいと思う
この言葉なら英語をよく知らない人でも
説明なしで理解できる

この「ポカヨケ」の語は欧米にも広がって
“ Poka - Yoke ”として定着したそうです

さてさて“ foolproof ”の中国語訳ですけど
早くから
<十分安全(シーフェン・アンチュエン>
なんて語が使われていたそうです
まあこれは意訳というよりも
既存の中国語を組み合わせて使っていたということでしょうね

でも
中国語としては容易に理解できても
「お馬鹿防止」という言葉が放つ
強烈な印象はないよなあ

ただその後
中国語では
<防呆(ファンダイ)>という言葉が発生しました
この場合の<呆>は
「ぼやっとしている」です
<防呆>とは
人がぼやっとして犯すミスを防止する
ということです

どうもこの<防呆>は
日本語の「ポカヨケ」を中国語化した言葉みたいです

中国語話者にとって
「ポカヨケ」は外国語ですから
いつものやり方で
しっくりとくる中国語意訳を創出した
ということみたいです
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写真は4月1日のエイプリル・フールに
ハンガリー・ブタペストのの目貫通りで
モンティ・パイソンの有名ネタの
「お馬鹿歩き」皆で披露する人々
2019年に撮影