金価格が高騰している。国際現物価格は4日、一時的に史上最高額の1オンス=2079.67ドルまで上昇した。米国のCOMEX金先物取引価格も過去最高に迫る2085.40ドルまで上昇した。
2023年年初、金価格は低迷していた。しかし3月8日には1オンス=1818.1ドルだったCOMEX金先物取引価格は5月には1オンス=2000ドルを突破した。
金価格の上昇に最も大きく影響したのは、3月10日に経営破綻した米シリコンバレー銀行など、米国で金融機関の破綻が続いたことと見られている。中国銀行研究院の王有鑫上級研究員は「最近の金価格の高騰は、主に金融システムと景気後退リスクが高まる中でのリスク回避ムードの高まりに駆動されている」と述べた。
米国のFRB(=連邦準備制度理事会)は5月3日、25ベーシスポイントの利上げを決定した。米国の政策金利は16年ぶりに5%台になった。
王研究員は、「欧米の主要中央銀行の利上げ継続を背景に、世界経済の下押し圧力が高まり続けて景気後退リスクが高まっていることが、リスク回避資金が金市場に流入することを後押ししている」との見方を示した。
各国の中央銀行も金保有量を大幅に増やしている。2023年1-3月期には、全世界の公式金準備が228トン増加した。中国人民銀行も3月、金準備を18トン増やすと発表した。同行の金備蓄送料は2068トンに達することになった。
中国では金価格が高騰したことで、消費者が金を買い増す動きが発生している。今後の値上がり継続を見込んで、できるだけ早く追加購入をする現象だ。中国黄金協会によると、中国における1―3月期の金販売量は前年同期比12.03%増の291.58トンだった。
恩恵を被ったのが貴金属取り扱い企業だ。上海市に本部を置く老舗企業の老鳳祥は、1-3月期の売上高が前年同期比33.17%増の245億5800万元で、純利益は同76.1%増の7億1600万円だった。同じく老舗企業の周大生は、1-3月期の売上高が前年同期比49.65%増の41.22億元で、純利益は同26.06%増の3.65億元だった。
王研究員によると、金価格は今後、価格高騰の結果として利益確定売りが集中して、短期的には反落するする可能性がある。ただし、景気後退懸念と先進国の金融政策調整期待に刺激されて、金価格が引き続き上昇する可能性もある。
中国建設銀行とモルガン・スタンレーが合弁で設立した投資銀行の中国国際金融(CICC)に付属する研究部門である中金研究は、2023年の金相場は、比較的急速な情報を維持すると予測している。その背景にはまず、米国におけるインフレの沈静化に伴って、FRBが利上げの速度を落としたり、さらには利下げに転じる可能性があり、その場合に実質金利が低下していくことになる。さらに現在は世界の通貨システムが深刻な変革に直面していることも重なり、金価格の上昇には構造的な面があるからという。
中金研究は2023年内に金価格が1オンス=2300-2500ドルの水準にも達する可能性すらあるとのみかたを示した。
中国外貨投資研究院の譚雅玲院長も「市場は国際金価格の今年の高値が2500ドルに達すると予想している」と説明した。