2022年7月、東京・歌舞伎町の居酒屋で起きた恐喝未遂事件は、夜の街の「見えない支配構造」を改めて浮き彫りにした。

 

東京・歌舞伎町の飲食店で、住吉会系「十三代目幸平一家」傘下組員が居酒屋店の関係者に対して金銭を要求する事件が発生した。
この事件は、暴力団排除条例施行から十年以上が経過した現在もなお、夜の街に残る“支配構造”を象徴している。

 

 

この事件は、ある飲食店の経営者が営業形態を変更した直後に起きた。
男たちは「報告もなく店を変えたのか」「使用料を払え」などと脅し、店内で関係者を取り囲み、身体的な暴行を加えながら現金を要求した。


金額は数十万円規模にのぼり、いわゆる“みかじめ料”や“あいさつ料”の延長線上にあるとみられる。

被害者側は警察に相談し、捜査は、都内の暴力団対策課と地域警察が連携して行われた。
事件発生現場には明確な暴行の痕跡が残っていたことから、比較的早期に事件化されたとされる。

その後、恐喝未遂容疑で組員関係者が逮捕された。

 


ただし、関係者の多くは黙秘を続け、背景にある「使用料」システムの実態把握は困難を極めた。

警察はこの事件を、単発の恐喝未遂ではなく、歓楽街全体における「反社会的勢力の資金源」摘発の一環と位置づけている。


行政と連携しながら、出店報告制度や営業許可の審査過程を厳格化する方針も示された。

 

 

本件の容疑は「恐喝未遂」にあたる。刑法第249条・第250条では、恐喝罪は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされ、未遂であっても処罰の対象となる。
近年の類似事件では、暴力団関係者が実刑判決を受けた例も多く、特に「組織的恐喝」と認定された場合は執行猶予が付かないケースもある。

 

 

歌舞伎町では、店の「安全」「秩序」を口実に金銭を要求するケースが依然として存在する。
形式上は“トラブル仲裁”や“管理”を名目にしており、暴力団排除条例をすり抜けるように設計されている。
一方で、被害を受けた店舗側は報復を恐れて通報をためらう傾向があり、事件が表に出にくい構造が温存されている。

この事件は、表向きの繁華街の華やかさの裏で、いまだに続く「暴力による秩序維持」の実態を示す一例である。

 


それは、単なる恐喝事件ではなく、都市の闇がどのように再生産されているかを映し出す鏡でもある。

 

 

重大事件の背後で、容疑者の行方を追う捜査員たちは、法と情報の網を張り巡らせている。
「指名手配」と「懸賞金」──この二つの制度は、逃亡者を追い詰める国家の仕組みとして、長年運用されてきた。

 

 

指名手配の仕組み──逃亡者を“公にする”という決断

警察が容疑者を逮捕できず、行方をくらませた場合、裁判所の逮捕状を得て「指名手配」となる。
この時点で、顔写真・特徴・逃走経路などが全国に公開され、警察庁や都道府県警のウェブサイトに掲載される。

一部の事件では、警察庁が指定する「特別指名手配」が行われ、全国的な捜査体制が敷かれる。


2018年に大阪府吹田市で起きた警察官襲撃・拳銃奪取事件でも、容疑者は特別指名手配の対象となり、全国に顔写真と映像が流れた。最終的に、事件発生から約30時間後に逮捕されている。

このように、指名手配とは「捜査を公にする」手段であり、警察の権限だけでなく、市民の協力を得ることを目的とした公開捜査である。

 

 

懸賞金という“もう一つの網”

指名手配と同時に設けられることがあるのが、「懸賞金(報奨金)」制度だ。
殺人、強盗致傷、放火など、生命や財産に深刻な影響を与えた事件では、警察が情報提供者に最大1000万円の懸賞金を提示することがある。

 

2007年の長崎市長射殺事件や、2010年の厚木市スナックママ殺害事件などでは、犯人逮捕に結びつく有力情報に対し、懸賞金がかけられた。
特に「福岡一家4人殺害事件」では、警察が最大300万円、民間の公益財団法人「全国防犯協会連合会」が同額を上乗せし、合計600万円の懸賞金が提示された。

懸賞金は、事件解決に直接結びついた情報提供者に対して支払われる。
支給の判断は、警察が「情報が逮捕・検挙に寄与した」と認定した場合に行われ、提供者の身元は厳重に保護される。
匿名での通報が可能なケースも多く、報奨金の支払いは秘密裏に実施される。

 

 

情報の断片から逮捕へ──懸賞金が導いた現場の実例

懸賞金が大きな役割を果たした事件のひとつが、2007年の「広島・安佐南区一家殺害事件」である。
当初、犯人像は不明だったが、懸賞金制度により寄せられた複数の情報が決め手となり、逃亡していた男が福岡県内で発見・逮捕された。
警察は「一般市民からの通報が決定的だった」と発表している。

また、長期間逃亡を続けた事件では、国際手配(ICPO)を通じた連携が行われる。
2001年の三重県四日市市の女性射殺事件では、容疑者が海外に逃亡。警察はICPOを介して国際手配を行い、10年以上後にタイで逮捕・送還された。

これらのケースは、情報の断片が時に数年越しに実を結ぶことを示している。

 

 

現代の“逃亡者捜査”──AIと監視の時代へ

近年では、警察が指名手配者の「加齢顔」や「容姿変化後の予測画像」をAIで生成・公開する試みも始まっている。
実際、長期逃亡していた殺人事件の容疑者が、顔の輪郭や髪型の変化を再現した画像から特定された例もある。

また、監視カメラ・防犯ネットワーク・交通系ICの使用履歴などを活用し、行動パターンを分析して潜伏先を割り出す「デジタル捜査」が主流となりつつある。
逃亡者が現金を持ち歩き、携帯やカードを使わない生活を続けても、周辺の通信や監視網から足取りを追跡されることが増えている。

 

 

見えない網”の中で

指名手配から懸賞金、そして逮捕に至るまでの過程は、単なる公開捜査ではない。
それは、市民・情報網・技術のすべてを使って逃亡者を追う、「見えない網」の運用でもある。

逃げ場を失うのは、容疑者だけではない。


国家が築いたこの網は、情報社会そのものの姿を映している。
どこまでが正義のための捜査で、どこからが過剰な監視なのか──その線引きは、今もなお曖昧なままである。

 

 

 

新宿・歌舞伎町。
深夜の繁華街で、若いスカウトたちが突如、数人組の男たちに取り囲まれる。

殴打され、携帯を奪われ、SNSのアカウントを晒される。現場の映像がXやTikTokに流れると、「スカウト狩り」という言葉が拡散した。

 


一見すると“自警団”のような振る舞いだが、その実態はもっと複雑で、そして暴力的である。

歌舞伎町のスカウトとは、キャバクラや風俗店、ホストクラブなどに女性を紹介する“仲介業者”だ。

彼らの多くは20代前半。報酬は完全歩合制で、稼げば月に数百万円を得る者もいる。

だがその裏には、紹介料の取り分をめぐるトラブルや、違法な風俗への斡旋など、常に法のグレーゾーンが存在する。

警察も“風営法違反の温床”として目を光らせてきたが、摘発が追いつかないのが実情だ。

 

 

2020年に入ってから、歌舞伎町では「スカウト狩り」と呼ばれる現象が顕著になった。
例えば、2020年6月、繁華街の路上でスカウトの引き抜きを巡り、住吉会系組員とスカウトグループの男ら計7人が「暴力行為等処罰法違反」「傷害」の疑いで逮捕された。両者は数日間にわたり路上でスカウトを捜し回っていたという。


また、同年12月には、スカウトとみられる男性に対して「新宿に立ったら目を刺すぞ」などと脅し、車から引きずり出して暴行を加えたとして、住吉会系幹部ら4人が逮捕されている。
これらの事件は「スカウト狩り」という言葉でSNS上にも多数情報が出回り、通常のトラブルとは毛色の違う“集団による制圧行為”として認識されるようになった。

 

 

それ以降、歌舞伎町では「スカウト狩り」と呼ばれる現象が目立ち始めた。


夜の繁華街を歩くスカウトを狙い撃ちし、暴行を加える。

 

 

中には、スカウト会社の看板や名刺を取り上げ、動画で「違法スカウト撲滅」と称して拡散するグループも現れた。
彼らは自らを“街の浄化”と正当化するが、実際には半グレや元スカウトが関与しているケースも多い。

縄張り争い、報復、あるいは金銭トラブルの清算が目的とされる。

 

スカウト狩りの被害者の中には、「スカウト同士の揉め事が発端だった」と話す者もいる。
「彼らは正義じゃない。スカウトを名乗れば誰でも狙われる。制裁というより、見せしめだ」と、ある元スカウトは語る。
暴行、恐喝、監禁など、明らかに刑法に触れる行為も確認されている。にもかかわらず、被害届を出す者は少ない。

背景には、被害者自身が違法行為に関わっているため、警察沙汰を避ける心理がある。

 

 

警察も動いてはいるが、現場での暴行は一瞬で終わり、証拠も少ない。

SNS上の動画も匿名投稿が多く、加害者特定は難しい。


風営法は「スカウト行為そのもの」を全面的に禁止しているわけではない。適法スカウトと違法スカウトの線引きが曖昧なため、暴力による“自浄作用”がまかり通る土壌が生まれている。

 

「スカウト狩り」という言葉は、あたかも“悪を成敗する行為”のように響く。しかしその実態は、街の治安を守るどころか、暴力の支配を強めるだけだ。


SNS時代の“見せる制裁”は、私刑の文化を加速させている。
スカウトを憎む者、街を浄化したい者、動画で注目を浴びたい者──それぞれの動機が混じり合い、夜の歌舞伎町は今も不穏な熱を帯びている。

 

2024年11月、神奈川県内の風俗店で、従業員4人が風営法違反の疑いで逮捕された。

 

報道によれば、これらの従業員は、アプリで出会った男性客を店に誘い、過剰な料金を請求する「ぼったくり営業」を行っていたとされる。

 

経営者は店舗の名義を他人に貸し、裏で店舗運営を行っており、売上金は従業員名義の口座に入金され、その後、経営者が管理する複数の口座に分散される仕組みが取られていた。

さらに、現金取引が中心で、支払いの一部は手渡しで行われ、帳簿上には記録が残らないようにされていた。

 

 

逮捕された従業員は、表向きの責任者として扱われていたが、実際の経営者は店舗の名義を他人に貸し、裏で店舗運営を行っていた。

 

売上金は従業員名義の口座に入金され、その後、経営者が管理する複数の口座に分散される仕組みが取られていた。

さらに、現金取引が中心で、支払いの一部は手渡しで行われ、帳簿上には記録が残らないようにされていた。

資金の一部は、裏社会や貸金業者を経由して店の運営資金として流入していた可能性があり、正規の会計ルートからは追跡が困難な状態だった。

 

 

 

法をかいくぐる経営者は、規制や税務を回避して利益を最大化することを最優先にしていたと考えられる。

複雑な資金の流れを作ることで、摘発や監査のリスクを減らし、現場の従業員に責任を押し付ける構造を作り上げていたのだ。

 

風俗業界は現金取引が中心で、法規制が複雑であるため、不正行為の温床になりやすい。

今回の摘発も、警察が実態を詳しく調査し、資金の流れを追跡したことで初めて明るみに出たケースだ。

無許可営業や資金の不透明な管理は、摘発されるまで外部から見えないことが多い。

 

 

複数のオンラインメディアで記事化されました。

 

 

2024年、依頼者から預かった資金を不正に流用した弁護士の事件が報じられた。

遺産分割の手数料を着服し、依頼者に虚偽の報告をしていたという。

法の番人として信頼されるはずの弁護士が、なぜこのような行為に及んだのか。

本記事では、事件の概要と弁護士の心理的背景を探る。

 

 

事件の概要と発覚経緯

2024年、ある弁護士が依頼者から預かった遺産分割の手数料を着服し、さらに依頼者に虚偽の報告を行っていたことが明らかになった。

事件は、依頼者からの問い合わせを契機に発覚し、他の弁護士による調査で不正が明るみに出た。

懲戒請求も提出され、所属弁護士会による処分の対象となった。

 

 

横領に至った可能性

弁護士がなぜこのような行為に至ったのか。

直接的な事情は公表されていないが、心理的背景を推測するといくつかの理由が考えられる。

 

●資金的な逼迫

事務所経営が厳しかったり、個人的な金銭問題を抱えていた場合、預かった資金に手をつける誘惑に駆られた可能性。

●頻繁な問い合わせや要望に追われ、心理的負担が蓄積した結果、感情的な反発として不正行為に走った可能性。

●職業倫理の軽視
法の番人としての責任よりも、自らの利益やその場しのぎの判断を優先した結果、横領という行為に至ったことも考えられる。

 

 

この事件は単なる個人の失態ではなく、依頼者との信頼関係を根底から揺るがす重大な問題である。

現実には、弁護士会の処分や再教育を経ても、依頼者が安心して金銭を預けられる保証はない。

 

横領事件を起こした弁護士の復帰は、形式的には可能でも、倫理的・心理的な問題は解決されていないと考えざるを得ない。

 

依頼者としては、再び信頼できるかどうかを慎重に判断する必要がある。

弁護士たる者、社会の公正を守る使命を背負っているはずだ。

 

 

再び弁護を依頼できるようになるためには、形式的な懲戒処分の終了だけでは不十分だ。

依頼者にとって重要なのは、実際に倫理観が回復しているかどうか、資金管理が透明であるかどうかである。

 

しかし、過去に資金を横領した経歴がある以上、心理的な不安や疑念は消えない。

さらに、弁護士は社会的な信頼を前提に活動している職業である。

信頼を裏切った者が再び同じ立場で活動することは、法曹界全体の信頼にも影響を及ぼす。

 

 

夜更けの火葬場。
人けのない駐車場に、一台のワゴン車が止まっている。
積まれているのは、行政が引き取った「身寄りのない遺体」だ。
運び込む男たちは黒いジャンパー姿。
胸には社名の刺繍があるが、会社の登記簿を調べても実態は見えない。

この「無縁仏の引き取り」こそ、いま反社会的勢力が静かに入り込んでいる領域である。

 

 

近年、地方自治体は高齢化と孤独死の増加により、年間数千件規模で“引き取り手のない遺体”を扱っている。
その多くは外部業者への委託で処理される。
しかし、委託先の審査基準は甘く、「反社排除条例」の網から漏れるケースが後を絶たない。

形式上は「清掃業」「運送業」として登録された会社が、実際には反社フロント企業。
遺体の搬送や火葬の補助を請け負い、自治体からの委託料を受け取る。
行政の金が、結果的に反社の資金源になる構造がそこにある。

 

 

葬儀ビジネスは現金が多く、領収証のやり取りが曖昧になりやすい。
「香典返し」「供花」「霊柩車手配」など、細かな名目の支出が多く、その一部を操作するだけで、資金洗浄が可能になる。

 

さらに、無縁仏の引き取りや火葬の費用には、行政から数万円〜十数万円の委託費が支払われる。
遺族のいない案件では確認の手続きも簡素化され、帳簿上の架空費用を計上しても、追跡は難しい。

 

 

ある葬儀業界関係者は言う。
「“誰の金でもない金”が動く場所には、必ず裏が来る。
 死体は文句を言わないし、遺族がいなければ誰も確認しない。」

 

 

反社が葬儀業界に参入する理由は、単なる金だけではない。
「社会的信用の再獲得」という側面もある。
葬儀業を営むことは、“人の死に寄り添う仕事”という印象を与え、地域との関係を再構築する手段にもなる。

 

近年は、元構成員が設立した葬儀社や供花業者が増えている。
中には実際に更生している者もいるが、一部は反社資金の受け皿、あるいは情報収集の窓口として機能している。

葬儀を通じて得た遺族の個人情報が、後に詐欺リストに転用されるケースもある。
“葬儀”という最も人が無防備になる瞬間が、新たなシノギの入り口になるのだ。

 

 

「社会から排除された者」と「社会に戻れない者」

葬儀業は、社会的に“外された者”の受け皿になりやすい。
日雇い、元受刑者、生活困窮者──。
この構造そのものが、反社ネットワークの再構築を助けてしまう。

一度は組を抜けた者が、再び“葬儀スタッフ”として現場に戻ることもある。
そこには暴力も脅しもない。
ただ静かに、死を媒介にして社会との接点を取り戻すという、歪んだ再生の形がある。

 

「弔う」という行為の裏には、いつの時代も金と組織の匂いがつきまとう。
そしてその金の流れが止まらない限り、“死”はこれからも、最後のシノギであり続ける。

 

 

 

――暴力団幹部による通信契約詐欺の背景

 

2024年9月、鹿児島県で指定暴力団の幹部が、暴力団員であることを隠して携帯電話を契約したとして逮捕された。
容疑は詐欺。契約時に「反社会的勢力ではない」と虚偽申告したことが問題視された。
一見すればたった一つの見過ごされそうな小規模な事件だが、社会の仕組みと裏側の境界線がにじむ象徴的な事例でもある。

 

近年、暴力団排除条例により、金融、保険、不動産、通信など、社会のあらゆる契約から暴力団員は排除されている。
つまり、名義を持てないことは、実質的に社会的な機能を失うことを意味する。
電話番号がないということは、仕事も契約も、あらゆる連絡も成立しないということだ。
この構造が、暴力団関係者にとって新たな「詐欺の動機」となりつつある。

 

 

詐欺手口の推測

報道では詳細な経緯は明かされていないが、こうした詐欺は一定の“型”を持つ。
 

一つは、第三者を通じた名義借り。
信頼できる知人に契約を依頼し、金銭で謝礼を支払う。
契約者は形式上「一般人」となり、「反社会的勢力ではない」と申告する。

そうすることで通信会社の審査を通過できる。
実際の使用者は暴力団側であり、通話や取引連絡などのために使われるケースが多い。

もう一つは、本人確認書類の偽装または流用。
コピーを改ざんし、別人の免許証番号や写真を組み合わせる。
通信業界では本人確認の電子化が進んでいるが、地方の一部代理店では依然としてチェックが甘く、目視確認のみで通過してしまうこともある。

 

 

さらに、店舗側の協力という線も否定できない。
販売ノルマや歩合を優先し、形式的に審査を通してしまうケースは過去にも報告されている。
契約が違法目的に使われても、初期段階では表面化しにくい。

また店側の協力があったとしても、店側が「知らなかった」といえば店舗側にはお咎めなし。の可能性も高い。

このような現状をどのようにして改善していくのかが今後の課題でもある。

 

 

こうした詐欺は、すぐに明るみに出ることは少ない。
発覚するのは、料金滞納や不正使用の通報、あるいは他の捜査の過程で通信記録が押収された場合だ。
今回の事件も、報道内容から見れば現行犯ではなく、通信履歴などの解析による内偵の結果だと推測される。


詐欺契約が暴力団の資金流通や情報交換に使われていた可能性も否定できない。

 

この事件は、「契約」という制度の外に追い出された人間が、その制度の隙間に再び入り込もうとする構図を示している。
排除によってリスクは減るが、同時に“制度の盲点”も生まれる。
そこに、詐欺というかたちで社会との接点を取り戻そうとする動きが生まれるのだ。

 

暴力団排除は、社会にとって必要な取り組みであることは間違いない。
だが、完全に排除された先に生まれるのは「無関係になること」ではなく、制度の外側で起きる“もう一つの経済行為”だ。


今回の携帯契約詐欺は、そうした構造の一端に過ぎない。

他にも不動産賃貸契約詐欺などあらゆる契約の詐欺はなくならない。


犯罪の形が暴力から手続きへと移りつつある。
社会の網が細かくなるほど、その隙間もまた細かく増えていく。

 

 

 

 

1. 鹿児島県警の不祥事とその背景

2024年、鹿児島県警では複数の警察官による不祥事が相次いだ。

わいせつ行為、情報漏えい、ストーカー規制法違反──特別監察の実施により、複数の職員が処分対象となった。

問題の根幹には「沈黙の文化」と「監督体制の緩み」が存在し、法を守る組織としての信頼が揺らいでいる。

 

発端となったのは、50代巡査部長によるストーカー規制法違反事件だった。

その後、他署でもわいせつや情報漏えいが発覚。内部調査では、問題を隠そうとする空気が組織全体に浸透していたことが明らかになった。

 

これは単なる個人の逸脱ではなく、組織の構造的な緩みを示す。

上下関係が厳格な警察では「仲間を売るな」という暗黙のルールがあり、通報や内部告発が機能しにくいのだ。

懲戒処分を受けた職員は38人に上ったが、多くは軽い処分にとどまった。

内部監察は外部の目が入らず、面子を優先する傾向が強い。

こうした「自浄作用の欠如」は、市民からの信頼を大きく損ねる。警察は法の執行者であると同時に、社会の秩序を守る拠り所でもある。その立場が崩れると、市民は法の番人を信じることが難しくなる。

 

 

2. 他県でも相次ぐ警察官による不祥事

同じく2024年、他の都道府県でも警察官による問題行動が報じられた。

 

・長野県わいせつ事件: 長野県警の男性巡査が女性に対して不同意の性交等のわいせつ行為を行ったとして、2024年、書類送検された。また、同年には50代男性警部補が職場内で女性職員に下半身を触らせるセクハラ行為を行ったとして停職1か月の処分を受けた。県警は捜査結果を受けて厳正に処分するとコメントしている。

 

・岐阜県大垣市の市民監視違法判決:岐阜県警が市民を不当に監視していたとして、名古屋高裁は2024年9月、警察による市民監視を違法とし、岐阜県に市民に110万円ずつ(計440万円)の賠償と、県警が収集した4人の個人情報の抹消を命じた。

 

これらの事例は、警察組織が市民の信頼を損ねる行動を繰り返していることを示しており、組織の体質や内部の問題が浮き彫りになっている。

 

 

3. 日本の警察組織に対する疑問

これらの事件を通じて、以下のような疑問が浮かび上がる。

 

・組織の透明性の欠如:内部での問題が外部に知られることなく処理され、市民への説明が不足している。

・自浄作用の限界:内部監察が機能せず、不祥事が繰り返される。

・市民との信頼関係の崩壊:警察が市民の信頼を裏切る行動を繰り返すことで、社会全体の秩序が揺らいでいる。

 

これらの問題は、警察組織の構造的な問題であり、組織文化や内部の慣習が大きな影響を与えていると考えられる。

 

 

4. 結論と今後の課題

日本の警察組織は、法の執行者としての責任を果たすために、市民との信頼関係を築くことが不可欠である。

しかし、これらの事件からも明らかなように、組織内部の問題が市民の信頼を損ねている。

 

今後、警察組織は以下のような改革が求められる。

・内部監察の強化:外部の目を取り入れた監察体制の構築。

・組織文化の改革:上下関係の見直しや、通報・内部告発の促進。

・市民との対話の強化:市民への説明責任を果たすための情報公開や対話の場の設置。

 

 

これらの改革を通じて、警察組織は市民の信頼を取り戻し、真に法の支配を実現するための第一歩を踏み出すことができるだろう。

 

あるクリエイターのライブ配信で話題にしていただきました。

この事実について、多くの人に知ってほしいと思っているため、話題にすることを承諾し、言及してもらいました。

 

 

少し昔の話を掘り起こしてみる。

 

「刑務所を出てから、最初に頼ったのが“更生支援”を名乗る団体だったんです。最初は助かったと思いました。でも、気づいたらまた同じ世界に戻っていた。」

そう語るのは、30代の元暴力団員・A氏(仮名)。

 


彼が紹介されたのは、元反社の代表が運営する「更生支援NPO」だった。

活動内容は、出所者や暴力団離脱者への就労サポート。行政からも補助金が出ており、表向きは“立派な社会貢献”に見えたという。

 

 

だが、A氏が最初に紹介された仕事は、建設現場の名義貸しだった。
現場では社会保険の登録もなく、日当は現金手渡し。帳簿上は「支援活動費」として処理されていた。

 

「“とりあえず働けるだけでもありがたいだろ”って言われました。けど、結局は組の関係者がやってる現場。自分の名前は使われず、給料の一部が団体の口座に回ってると知ったのは後でした。」

更生を誓い、二度と刑務所のようなところに戻らないと誓う人々は、「あそこにいるよりもましだ。」少なからず娑婆に出たときはそう思う。私も同じだった。

 

その気持ちを利用した悪質な団体が存在しているのだ。

 

 

更生支援”の名を借りた再利用システム

近年、「反社会的勢力からの離脱者支援」をうたう団体が急増している。
その背景には、国や自治体からの補助金制度がある。受刑者支援・再犯防止・社会復帰支援──いずれも名目は立派だが、実際には実態不明の団体が多い。

 

関係者によると、
「“元反社”という肩書きは説得力があり、行政も企業も警戒しづらい。代表者が過去を語れば『経験者の言葉は重い』と受け止められる。だが裏では、古い人脈を使って“再利用の網”を張っているケースがある」

という。

 

こうして作られるのが、「更生支援」を看板にした匿名労働ネットワークだ。
雇用契約のない労働者は、税も保険もかからず、都合よく使い捨てにできる。
労働者本人も「恩義を感じて断れない」ため、実質的に支配下に置かれる。

 

 

行政側にも問題がある。
補助金や委託事業の仕組みでは、「活動内容の正当性」よりも「書類の整合性」が重視される。
団体が活動報告書を整えて提出すれば、裏の実態は見えない。

さらに、「更生者の受け入れ先を紹介する」ことで数万円の手数料が発生する。
これは合法ギリギリの紹介料ビジネスだ。
建設・清掃・介護などの“人手不足業界”では、安価な労働力を求めてこのネットワークを利用する企業も少なくない。

 

 

「俺たちは“抜けた”と思っていたけど、実際にはまた利用されてただけなんです」
A氏はそう苦笑した。

支援を受ける立場にある者ほど、社会との接点を持ちづらく、選択肢が少ない。
その弱みに付け入る“更生ビジネス”は、見た目こそクリーンだが、構造的には再犯を助長する。
“更生”という言葉の裏に、再び人を利用する仕組みが隠れているのだ。

 

 

更生支援の理念は本来、「立ち直る人を支える」ことだ。
だが、現実には「支援する側」が制度を利用して利益を得ている。
補助金、名義貸し、紹介料。
そして再び、誰かが使い捨てにされる。

そう考えると、
“更生”しているのは人ではなく、組織そのものなのかもしれない。

 

 

 

 

令和のいま、街角で数字を売る“ナンバーズ屋”の姿はもう見かけない。
かつては商店街の裏路地やスナックの奥で、客が手書きの数字を差し出し、胴元がノートに書き留める──そんな光景があった。


だが警察の取り締まりと公営宝くじの台頭により、あの時代の賭場は消えた。

代わりにいま、スマートフォンの中に新しい“胴元”がいる。


それは海外サーバーで運営される暗号通貨ベースのオンライン賭博サイト。
現金ではなくウォレットが、胴元の代わりに賭け金を受け取り、世界中のプレイヤーと“勝負”をつなぐ。

 

ナンバーズ屋は消えたが、賭けるという欲求そのものはどこにも消えていない。
SNSの匿名性と暗号通貨の非中央集権性が、その欲求の新しい受け皿となった。

 

 

だが、人はなぜ賭けるのか。
それは金銭欲だけではない。
多くの研究者が指摘するように、賭けとは「自分の運命を確かめる行為」でもある。
努力では変えられない不確実な社会で、せめて“運”だけは自分で選びたい。
その一瞬の選択が、人生を動かすかもしれない──そんな幻想が人を駆り立てる。

負け続けても、やめられない人が多いのは、“次こそは”という希望が、損失の痛みよりも強く感じられるからだ。
この「偶然への信仰」こそが、賭け事を宗教のように支えている。

 

 

経済が停滞し、将来が見えづらくなるほど、人は現実よりも“運”に頼るようになる。
それが、令和の時代に暗号通貨賭博が再び広がる背景でもある。
数字に賭けるのではなく、「自分の運」を確認するために人は今日も画面を開く。

 

 

ビットコインやUSDT(テザー)などの暗号資産は、国境を越えて即座に送金できる。
この性質が、海外の賭博サーバーと組み合わさったとき、
「誰にも見つからない」「誰にも止められない」地下経済が完成する。

 

表向きは「ブロックチェーン抽選」「トークンゲーム」といった名前で運営されているが、
実態はナンバーズと同じ数字賭博だ。


違うのは、胴元が人間ではなくシステムになったこと。

抽選はプログラムが行い、送金は自動で処理される。
だが、その背後にはウォレットを操作する中間者が存在する。
この“アドレス管理者”こそが、現代版の胴元だ。
送金経路を複雑に分散し、最終的な利益をどこに落とすかは本人しか知らない。

 

 

SNS上では「BTCロト」「USDTナンバーズ」などのハッシュタグが氾濫している。
参加希望者はDMで招待を受け、指定されたウォレットに送金するだけ。
手続きは数分、身元確認も不要。
違法賭博であることを意識せずに参加する若者も多い。

かつて裏社会の情報網が担っていた“集客”を、いまはSNSアルゴリズムが代行している。
賭場がインターネットの中に分散し、誰でも胴元になれる時代が来た。

 

表ではトレーダー、裏では元反社──そんな二重構造の人物も少なくない。
国内では摘発が難しく、警察も「追ってもサーバーが海外にある限り、手が出せない」と語る。
暗号資産の匿名性は、違法資金の回収やマネーロンダリングにも利用されている。

「昔は現金を持って逃げたら捕まった。でも今はスマホ1台で逃げ切れる」
そう語るのは、暗号通貨賭博の運営に関わったという元組関係者だ。

 


デジタル化によって、胴元は姿を消し、資金だけが無音で流れる。

賭博の形態は、時代とともに何度も姿を変えてきた。
ナンバーズ、パチンコ、ネットカジノ──そして今は暗号通貨。
禁止しても、規制しても、消えるのは“場所”であって、“欲望”ではない。

 

ナンバーズ屋が消えたあとに残ったのは、「胴元のいない胴元」という矛盾した構造。
それがいま、ブロックチェーンの陰で息をしている。