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「キャメラを持った男たち」キネ旬・文化映画部門1位に!

昨年公開のドキュメンタリー映画「キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る」が、2023年キネマ旬報ベスト・テン文化映画部門1位に選ばれました。
アーカイブ映像の力と可能性を評価していただいたものと深く感謝申し上げます。

 

現在いくつか上映の予定がございます。ぜひ、ご鑑賞ください。

・2月9日(金)座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル
 https://zkdf.net/program/program-1556/
 *上映後、監督のトークあり

・2月10日(土)~2月16日(金)*延長の可能性あり シアターセブン(大坂)
 https://www.theater-seven.com/mv/mv_s0724.html

・2月23日(金)墨田区曳舟文化センター すみだ耐震化フォーラム
 https://sumidakutaishin.jp/?p=935

「キャメラを持った男たち」ー関東大震災を撮るー 公式サイト
https://kirokueiga-hozon.jp/movie/camera/

 

 

 

 

 

 

年末のお茶会


記録映画保存センター代表理事・羽仁 進監督のお宅にて、お茶のひと時。御年95歳、とてもお元気です!来年もよい年でありますように♪

 

 

 

 

 

慰労会

記録映画「キャメラを持った男たち」の劇場上映が無事終了し、事務所編集室に内々の方たちのみをお招きしてささやかな慰労会を行いました。映画が好評だったこともあり楽しいひと時となりました。劇場、試写会へ足を運んでくださった皆さま、上映後のトークに登壇くださった皆さま、劇場関係者の皆さま、新聞、テレビ、ネット等に取り上げてくださったマスコミの皆さま、どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

DMZ国際ドキュメンタリー映画祭にいってきました。演出・井上

 
残暑過酷な日本ですが、「韓国もまた異常なほどの高温だそうだから気をつけて」、と送り出されて、9月15日から19日の間、招待作品として上映される運びとなった『キャメラを持った男たち』の演出者としてDMZ国際ドキュメンタリー映画祭に行ってまいりました。
DMZというのは、朝鮮半島を分断する南北国境線(共同警備地域)から、両国ともに非武装の緩衝地帯を設けてあるのですが、そのエリアのことを言います。きわめて政治的な地帯ですから映画祭からご招待を受けた当初は、なぜこのエリアで開催される映画祭にこの映画が上映されるのだろう…と思っていたのですが、さすがにDMZ内で上映するわけではなく、隣接する高陽市(コヤン、またはゴヤンと呼びます)でおこなわれました。高陽市はソウル市に隣接していますので、ベッドタウンとして、郊外のコンベンションタウンとして活気のあるところでした。商業施設も巨大で人手もあり、近距離にあるDMZの存在を感じられないほどです。
それでもあえて〈DMZ〉と名を冠した映画祭にした意味は重いと思います。時折見かける韓国軍兵士とすれ違いながら、その意味を考える滞在となりました。

 


 

上映は16日と18日の2回、行われました。両日ともに80人ほどの観客が会場となるシネコンに集まりました。韓国の方々が多いのは当然として、アフリカ、チェコ、そして中国の方々もお見えになっていました。年齢も日本と比べて若い方が多いように感じました。
本編は英語とハングル語の2か国の字幕つき。英語字幕は意訳にして簡潔な表示だったのですが、ハングル語は音声や資料中の文章などの微細なところまでが字幕化されていました。あとで関係者にうかがったところ、『キャメラを持った男たち』は朝鮮民族とのかかわりもある関東大震災をとりあげているので細かくついている、とのことでした。
上映中もメモを取る方、ひそひそと小声で会話しながら鑑賞する方と、映画から何かを得ようとなさっている、そんな姿を客席から見ることができました。
上映後のトークでは、映画祭らしく3人のキャメラマンの指向性や、本編中に使用された手回しキャメラのこと、日本のフィルムアーカイブについて、タイトルのインスピレーションとなったジガ・ヴェルトフの『カメラを持った男』との相違点などが話題にあがったのですが、やはり震災時における朝鮮人虐殺ついてのコメントは皆さん熱心に聞いてくださいました。


 

トーク時のモデレーターは、上映に伴って事前に関東大震災当時の韓国の時事を調べてくださって、高坂利光が撮影したフィルム(9月7日に京都で初公開)と思われるものが8日には朝鮮半島に送られ、10日にはソウルで上映された新聞記事があることを教わりました。当時の映画が担ったニュースの力を感じさせることですし、フィルムが配給されたそのスピードにも驚かされるのですが、それ以上に朝鮮併合下の人々が、脱亜入欧をまっすぐ突き進んだ東京の壊滅ぶりを記録した映画フィルムをどんな感情で凝視したのかに思いが巡りました。そのフィルムを活用した映画を、南北に分断されて久しい韓国で、震災100年としてこの会場で観ることも含めて。


映画祭期間中は出品作品をできるだけ観たのですが、多くの国々の映画でアーカイブ映像を構成する作品が目立ちました。多くの国々と書きましたが西洋東欧諸国に限らず東アジアやアフリカ、中東や南太平洋諸国の作品にもみられこれは世界的な傾向かもしれません。20世紀は映像の世紀。映画フィルムの広がりとそれを記録するキャメラマンの眼の確かさを感じます。
アーカイブ映像は、かつてはナレーションや図解などで表現していた作品の主題的、歴史的背景をリアルなもの、エモーショナルなもの、理解を助けるものとして観客に届けることができます。なぜこうなってしまったのか。こうなる前はどのような景色があったのか。こうなるまでのプロセスは。作り手がアーカイブ映像を使う動機は様々かもしれませんが、自らの現在地を確かめるため過去の映像をたずねにいくという点では共通しているように思います。DMZを超えて国境線に至るまでの地域には南北共に無数の地雷が埋まっています。この地にもかつての歴史を記録したアーカイブ映像が残されていると思います。発見を待って地下深く眠っているフィルム。その映像が発掘され、優れた映画作家にによって過去と今とをつなぐ作品としてこの映画祭で公開されるなら、私は真っ先に駆け付けたいと思っています。(演出・井上)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポレポレ東中野・北野隆氏(朝日新聞記者 )登壇

東京での公開5日目。普段ならお客様のご来場が下がる平日、しかもうだるような残暑、酷暑、どうしましょ!と複雑な気分でポレポレへ向かったのですが、幸いなことに多くのお客様にご鑑賞いただけており、安堵です。

昨日はこの映画の製作はもちろん、記録映画保存センターの活動にも目を向けていただいています、朝日新聞社の北野隆一記者をゲストにお迎えして、〈震災100年目の2本の映画〉として『キャメラを持った男たち』と『福田村事件』を語っていただきました。
北野さんはこの二作品とも撮影時から取材しており、大きな記事にしてくださいました。
聞き手は『キャメラを〜』の宣伝美術を差配してくださっている、書籍編集者の村山恒夫さん。村山さんは『福田村事件』の脚本を担当した荒井晴彦さんと大学の同期生という間柄でもあります。

ジャーナリストとして、筆先の鋭い記者、という私の印象に対して、北野さんは映画が持つエンタテインメント性についてお話しになりました。テーマだけを並べ立てるだけでなく、見やすく、かつ興味深く観る方を誘うスキルこそ映画人の矜持、という意の言葉に励まされ、一方で記録が残っていないもの、記録が埋もれているものをドキュメンタリーや劇映画というフォーマットの中でどう表現するか、という、製作者やご覧いただいた観客の皆さまを含めた現在地への問いかけもありました。

文字を書く記者は事後であっても追うことができるが、カメラマンはその時、その場所にいなければ撮ることができない。お客様の質問に答えられた北野さんの言葉が印象的なトークでした。

明日、9月1日は関東大震災から満100年になります。
上映終了時間の頃が11時58分になります。
震災で亡くなられた方、震災を生かされた方、震災フィルムに写された方々の殆どが物故された100年でもあります。
どうぞ劇場にお越しください。(演出・井上実 著)

 

「キャメラを持った男たち ー関東大震災を撮るー」
https://kirokueiga-hozon.jp/movie/camera/
 

 

 

 

 

『キャメラを持った男たちー関東大震災を撮る-』第七藝術劇場

 

いよいよ公開が始まりました。
8月26日、東京・ポレポレ東中野での舞台ご挨拶を終えたあとは大阪へ移動し、屈指の繁華街、十三にある第七藝術劇場にてご挨拶とトークイベントに参加(お邪魔)いたしました。
 

 

関西で公開されるのだから、阪神・淡路大震災にかかわった方とご一緒に話したい、と思っていました。そして元神戸新聞のカメラマンとして、被災直後から現場で撮り続けた金居光由(かない みつよし)さんにお声かけしました。イベント三日前という、急なお願いだったのにもかかわらず金居さんは快く引き受けてくださいました。
金居さんは関東大震災が映画として記録されたことへの驚き、それが残されていることの更なる驚き、そしてキャメラマンたちが100年前の現場で経験された葛藤や悩みが、阪神・淡路大震災での自らの体験と重なることを語ってくれました。
一方で阪神・淡路大震災が未明に発生したこと(ほとんどの方が家族と一緒にいたことで安否不明な状況で不安な時間を過ごす方が比較的少なかった)、無風だったので、火災延焼の規模が少なかったことなど、関東大震災時とは異なる状況だったこともお話くださいました。
 

ミニバイクで長田区に近づくうち、徐々に細やかな煤が雪のように降ってきたこと、勢いよく火柱が10本近く立ち昇っているにもかかわらず、どうすることもできず、まるでテレビで見た湾岸戦争時のバグダッドのようだった、と語る金居さんの脳裏には1995年1月17日で止まった記憶の時針が焼き付いているのだろうと感じるほど、同じ壇上にいながら聞いていて肌が粟立つような話が続きました。
焦土の中、土を掘りながら行方のわからない親を探す少年を見かけた金居さん。関東大震災の動く映画のリアルさについて話された金居さんですが、磁器の茶碗に集められた、煤混じりの親の遺骨を持つ少年の手、というフレーミングと、静止した時と空間というスチールの力をまざまざと感じさせてくれます。
金居さんが見た、そして撮った神戸市のカタストロフはのちに制作されたテレビドラマのモチーフとなりました。

 

 

恰幅が良くて明るく、大きい声。まるで引退したラガーマンのような金居さんですが、震災の語り部としての長い間のご苦労なのでしょう、骨にまで染み込んだ疲れをふと感じることがありました。語っていかないと自分の記憶も薄れてしまう、という率直な吐露。忘れられません。
阪神・淡路大震災から28年。2年後には30年という節目を迎えます。奇しくも令和の大阪万博も同じ年に開催が予定されています。
 
金居さんとご一緒したいというわがままなお願いを聞いてくれました第七藝術劇場・小坂支配人をはじめとした劇場スタッフの皆さま、そして関西宣伝担当の松井寛子さんにもあらためてお礼申し上げます。 
(演出・井上実 著)

 

「キャメラを持った男たち ー関東大震災を撮るー」
https://kirokueiga-hozon.jp/movie/camera/

 

 

 

 

 

「キャメラを持った男たち」上映スタート

8月25日、東京都慰霊堂にて「キャメラを持った男たちー関東大震災を撮るー」の上映会が行われました。映画館のような上映環境とはならない中、お集まりいただいた皆さまからはあたたかい拍手をいただき深く感謝申し上げます。施設の方々のご協力にもあらためて感謝いたします。

 

翌日から劇場上映も始まり、たくさんの方々にお越しいただきました。ポレポレ東中野では上映後、演出・井上実さんの挨拶が行われました。井上さんはその足で大阪第七藝術劇場へ向かわれました。上映後に元神戸新聞社カメラマン金居光由さんと45分の対談が行われます。

 

横浜シネマリンでは、本編内でフィルムの同定作業を行なった田中傑先生の講演が行われました。ご来場いただいた皆さま、お暑い中どうもありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
 
「キャメラを持った男たち ー関東大震災を撮るー」
https://kirokueiga-hozon.jp/movie/camera/

 

 

 

 

「キャメラを持った男たち」関東大震災を撮る 特別試写会と劇場公開のお知らせ

 

「キャメラを持った男たち」ー関東大震災を撮るーが、8月26日(土)より劇場公開となります。

それに先駆け、8月25日には関東大震災で多くの犠牲者を出した被服廠の跡地に建てられた東京都慰霊堂にて、特別上映会を行います。
お申し込み不要ですので、直接会場へお越しください。

 <東京都慰霊堂・特別上映会のお知らせ>
   日時:8月25日(金)13時30分~(開場:13時)
   会場:東京都慰霊堂(当日先着順・申し込み不要・無料)
   *満席となった場合はご入場できない場合がありますことをご了承ください。

東京都慰霊堂アクセス(都立横網町公園内となります。)
https://tokyoireikyoukai.or.jp/location/access.html

以下は現在公開が決定している劇場情報となります。
初日8月26日ポレポレ東中野と第七藝術劇場では上映後、演出の井上実さんの舞台挨拶が、同日横浜シネマリンの上映後には本編内でフィルムの同定作業を行なった田中傑さんの講演がございます。
ぜひ、劇場へお越しください。どうぞよろしくお願いします。

ポレポレ東中野(東京)     2023年8月26日~
 *初日10:00の回上映後、井上実氏(演出)の挨拶あり
横浜シネマリン(神奈川)    2023年8月26日~
 *田中傑氏(都市史・災害史研究家)の講演あり
第七藝術劇場(大阪)      2023年8月26日~9月8日
 *初日15:00の回上映後、井上実氏(演出)の挨拶あり
元町映画館(兵庫)       2023年9月2日~9月8日
みやこシネマリーン(岩手)   2023年8月26日~
京都シネマ(京都)       2023年9月8日~9月14日

 

「キャメラを持った男たち」ー関東大震災を撮る ホームページ
https://kirokueiga-hozon.jp/movie/camera/

 

 

 

 

またまた角田くん

帰国前の角田くん(コロンビア大学)と、市ヶ谷でうなぎです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記録映画アーカイブプロジェクト・研究上映会

記録映画「キャメラを持った男たち ー関東大震災を撮るー」が8月下旬公開となります。それに先駆け東京大学では久々に記録映画アーカイブプロジェクトのワークショップが開催され、多くの方々にお集まりいただきました。映画の上映とともに、フィルムアーキビストで映画にも出演しているとちぎあきらさんと、この映画の演出をつとめた井上実さんにお話しをしていただきました。

 

市ヶ谷の事務所に荷物を担いで戻った後は、コロンビア大学で映画研究をしていて一時帰国中の角田くんを交え、ささやかな慰労会をしてから帰りました。
 

「キャメラを持った男たち ー関東大震災を撮るー」
*8月26日〜ポレポレ東中野・横浜シネマリン等で公開予定!
https://kirokueiga-hozon.jp/movie/camera