敵部麒麟隊からの撤退、そして態勢の立て直しを目的とした大和作戦が開始されて二時間が経った。

 第一段階となるミナミの戦車隊とカレンの艦隊による陽動は今のところ上手くいっている。外からは撃ち合い、破壊する轟音が聞こえてくる。規模の大きさでは最大といえる戦艦、そして戦車のぶつかり合いだけあって戦闘は実に派手だ。しかし、よく見るとただ派手なだけでこちらの攻撃は相手に致命傷を与えるに至ってはいないことがわかる。冷静になって考えれば何かがおかしいことに気づくだろうが、火薬のにおいでそれをうやむやにするという作戦だった。

 「相手は自分たちの守りと情報網に自信を持っている。そこを突くのが一番だ。」

 作戦開始前日、最終チェックで参謀であるユウジはこう言った。今回、第二師団はその両方をつく。敵艦の攻撃が核心に至らないのは自分たちの守りが優れているから。仲間内での通信コードで回ってきた情報なのだから、まず間違いない。そう彼らに思わせ、油断させるのだ。実際に死線をくぐる軍人であっても気を抜くことはある。学生の軍となればなおさらだ。そうして油断したところで情報網を麻痺させ、一気に戦況を覆す。まぁ、そこまでは至らなくとも相手の士気を下げてこの場を下がらせるというところまでは期待できる。受験戦争においてはとても重要な時期とされる夏。これ以上の無様な姿は許されない。全員が強い気持ちをもって作戦にあたっていた。

 「まだまだ!ありったけの炸裂弾、煙幕弾用意!できるだけ派手に火薬ばら撒くよ!」

 カレンはいつもの艦長室ではなく主砲内部から指示を飛ばしていた。人手が足りないため、自ら重たい弾を装填しながらの指令である。受験戦争においての弾は人を殺すことはないが敵の艦などは破壊できる、という仕様だ。間違って暴発しても死ぬことはないが、主砲がダメになってしまう。そうなると大きな戦力の損害だ。そのため弾の装填はかなり気を遣う作業であり、それと指示を同時にこなすとなるととても常識では考えられないほどの神経の張り詰め様だ。だがカレンは不敵な笑みを崩さないまま、休むことなく作業と指令を続けている。ウツミ衛生兵はそれを手伝いながら、彼女の様子に見える疲労に気を配っていた。

 ウツミは衛生兵である。ふつうの戦場においては負傷した味方を癒す、何よりも大切な兵。だが受験戦争において負傷は多くない。普段の生活に比べればはるかに多いが、それでもウツミとあと一人の衛生兵で十分に回るほどの量だ。そのため、自分が役に立てることは少ないのではないかと不安に思っていた。もとから戦闘も苦手な自分である。非戦闘員とは言えど直接的に役に立つ通信兵のハルヤや参謀、諜報員のユウジと比べて自分が艦長室に集まれるメンバーの一人として数えられることさえおこがましいような気がして仕方がなかった。周りは優しい。どちらかというとマスコット的イジられキャラの扱いではあるが、それでも自分を尊重し、しゃべるのが苦手な自分を受け入れてくれる。しかし、自分は彼らの役に立つことができない。せいぜいできて弾の補給に急いで走るだけ…。自分も何か、もっと自分にしかできないことで助けてあげたい。例えば目の前にいるカレンに休息を促したり…

 けれどカレンの横顔がそれを許さない。第二師団の団長として、この戦いに命を懸けるものとして、こんな作戦の初期段階で倒れるわけにはいかない。まだ自分は、まだ、まだ…。そう全身で主張していた。実際、ウツミ衛生兵の拙い知識で観察しても今すぐに休息が必要と言える様子ではない。しばらくは、いや思っているより長い時間、持ち前のガッツも併せて彼女は戦い続けるだろう。だが…

 「ウツミ、ぼけーっとしてないで、次!」

 ウツミは自分の名前を呼ばれ、慌てて手元の煙幕弾を持ち直した。自分がやるべきことは分かっている。けれど…。

 そろそろ作戦が第二段階に入る。少年はまだ、あと一言の勇気が持てないでいる。

 

 「わーお、派手にやってるねえ。すっかりカレンちゃんとミナミちゃんの華麗な砲撃にくぎ付けだ。うん。陽動大成功、って感じ?」

 「ここまではおおよそ作戦通りだ。第二段階に移ろう。…あんま緊張しないほうがいいよ、大丈夫大丈夫。失敗しても死にやしないから。」

 カレンの艦隊から少し離れた、戦況の外れ。小さめの艦隊の内部で参謀のユウジと通信兵のハルヤが座っていた。古のレコード再生機のようなラッパスピーカーから漏れてくる声はキラスケのものだ。ハルヤの前には複雑な通信機械とこの数日の彼の汗と涙の結晶、通信コードの解析表が広げられている。

 (…何回見てもすげぇな。俺には全然理解できない)

 解析表片手に「ちゃんと繋がれちゃんと繋がれ」「このボロクソ機械働かなかったら今度こそスクラップ」と柄にもない呪詛を吐き散らしながら機械を巧みに操作するハルヤを見て、ユウジは素直に感心した。もともとハルヤは別段通信マニアだというわけではない。それでも訓練所に入り通信兵として任命されたときからスキルを磨き続け、今では自慢の通信兵となっている。もともと受験戦争において頭に詰め込まなくてはならないことは多いのに、それに加えて通信の技術まで学ぶことがどれだけ大変なことかは想像に難くない。それを考え、改めてすごいな、とユウジは同級生の背中を見つめたのだった。

 「よし、もう通信できるところまできた。」

 「了解。ノリミツ、準備できてるか?」

 ハルヤのサムズアップをうけて、ユウジは手元のマイクに声をかけた。今回の作戦では二重に陽動が行われる。一つ目は現在行われているカレンとミナミによるド派手陽動。二つ目は今回の目的であるゲリラ隊を壊滅させるためのノリミツら切り込み隊による陽動だ。カレンらによる陽動の最中、ハルヤとユウジによって敵部のゲリラ隊に「今行われている艦隊の砲撃戦は陽動。現在切り込み隊が後ろから奇襲をかけようとしている。至急ゲリラ隊は集まって切り込み隊を殲滅せよ。」という情報を流す。これが大和作戦の第二段階だ。そのために今、ノリミツには慣れない小型艦で海岸に近い場所を動いてもらっている。ゲリラ隊は主に地上を動いている。海岸近くを航行する小型戦艦を見れば、おそらく戦車なりなんなりを使い、地上からの攻撃を試みるだろう。地上から攻撃したくなるように、あえて一番弱っちそうな試作型を選んだ。一応操舵技術に優れた兵士も数人付けたのでなんとかなっていると思うが…

 「うん、大体、大体大体大丈夫だと思う。」

 …この分だとなかなかてこずっているようである。ユウジは苦笑し、「別に急がなくていいよ。」と声をかけた。

 「いや、なんとかなる。うん、うん…いける。」

 「本当?」「………本当」「沈黙が長いぞ」

 軽口をたたきながらも、ユウジの眉間にはしわが寄っていた。あまり艦隊のほうの砲撃戦を長引かせると流石に陽動であることを看破される。カレンたちはうまくやっているが、敵もなかなかのものなのだ。あと一時間は待てない。

 「悪いが、信じるぞ。総員に通達!大和作戦、これより第二段階に移行する!」

 ユウジは通信のスイッチを切り替え、全員に聞こえるように声を張り上げた。通信だから別に大声でなくとも聞こえる、というのは頭では理解しているのだが、やはり作戦の進行を告げるときは気持ちが高ぶって声が大きくなってしまう。数瞬後にラッパ型スピーカーから「了解」「分かった!」と各部からの返事が返ってきたことを確認し、ユウジはハルヤに合図した。ハルヤが通信のスイッチを切り替え、ユウジにマイクを手渡す。まだマイクはオフだ。ユウジは軽く咳払いし、つぶやいた。

 「ああ…俺も頑張らないとな」

 マイクのスイッチを入れ、「こちらイオリ」と話しかける。「繰り返す、こちらイオリ。敵軍の通信を盗聴したところ、現在行われている砲撃戦は陽動であることが判明した。現在主艦隊八時の方向より、海岸沿いに小型艦隊が接近中。ゲリラ隊応戦願う。」そう話すユウジの声は、先ほどまでとは全く違う声だった。

 ユウジの諜報員としての特殊スキル。それは声帯模写だ。老若男女あらゆる人間の声を真似、再現することができる。精度は大変高いとは言えないものの、警戒していない人間なら簡単に騙せるほどのレベルだった。元から物真似が得意…と言われると妙にイメージと違うような気もするのだが、本来ユウジはわりとお調子者でお茶目な人物である…な彼は声だけでなく話し方まで上手く似せる。普段は宴会芸、一発芸大会でしか使いどころのないこの特技が役に立つ日が来るとはな、とユウジは不思議な巡り合わせに驚いていた。

 背景の音から偽の通信だとバレてはいけない。息を詰めるような時間が過ぎ、ユウジは震える手でマイクのスイッチを切った。思わずふう、とため息をつき、あー何度もやりたくないな、と首を振った。まだ仕事は山ほど残っている。今度はノリミツに指示を出さねばいけない。

 「ほんとうに上手くやるよな…話し方とかもちゃんと真似てるの?」

 「ああ、あいつ学校じゃクラスメイトだ。ふざけ散らしたへらへら声だから、再現しやすい。」

 「クラスメイトに対して辛辣だな…。」

 ハルヤが苦笑いしながら突っ込みを入れた。その最中も敵の通信で異状はないか、予定通り進んでいるか盗聴する手を止めない。今ユウジが扮したイオリという男は敵麒麟隊で異端ながら優秀な兵士として知られている。単独行動を好み、上に従うことを嫌う。しかし彼の行動がもたらす情報は結果として麒麟隊の守りの硬さに一役買っているため、自由な行動には目をつぶられているという人物だった。一人が多く、その上わりと癖のある人物。扮するのは簡単だが、うまく働くかは読めないという諸刃の剣だった。偽情報だとバレれば一瞬ですべてがパーである。通信の言葉だけでなく、声色や背景の音にも十分気を配る必要がある。

 作戦はまだ佳境にも差し掛かっていない。小型艦隊の内部は静かに、しかし確かに緊張している。

 

 一方そのころ。砲撃戦が行われ、そして今ノリミツたちの艦隊が航行している場所と反対方向の海岸。その軽く洞窟のようになったところで、キラスケはぽつんと一人遠くの戦場を眺めていた。サボっているわけではない。彼には彼なりの考え方があってここに留まっているのだ。もともと陽動には向かず、ばかすか水柱が立つ現在の戦場に飛び込んでいけばいくら潜水艦だとして万が一はあり得る。そして潜水中に被弾すれば、本来命を落とすことなどない受験戦争でマジお陀仏になってしまう。ならないよう細心の注意を払った設備、そして何より彼の操縦技術があるのだが。それでも今回の作戦にキラスケ率いる潜水艦隊…たった一隻、そしてキラスケ一人しか所属していないが…は必要なかった。そのため今はハッチから顔を出してぼんやりと戦況を眺め、時折通信を飛ばす仕事(?)に専念しているのであった。

 「ひまだなー、なんか起きないかなー。」

 彼が出動するようななんか、となると不測の事態(それも悪いほう)だが、それを望んでしまうほどに今の彼は退屈していた。ほんとうに、ひま。退屈しのぎにけして書き物に向いているとは言えない潜水艦の上でキラスケはノートを開いた。

 

 

2020/08/01
8月だってさーーーーーーーーーー!!!やばない?普段なら遊び呆ける夏休みだよ?やばー(笑)
マジ高校デビューしたるからな ワシも陽キャの仲間入りじゃ
放課後にカラオケ行ったりとかめちゃくちゃ楽しみなんだけど笑 花の高校生だよ?やばー
まだ半年以上あるけどね☆
ヒルメッシは鮭おにぎり。ダイエットを試みたけど普通に腹が減る。だがわたしは負けない 痩せるんだい
昨日マジで寝れなくって死んだ 目が痛い、、、
あっ!!!!!見て見て髪切った(見せられない)
美容室かつてない好プレー。気に入った。
バンメッシはチャーシューおにぎりとタコブロッコリーバジルサラダとからあげ棒。飯はほんとにちゃんと食べた方がいい(戒め)
後ろに書くアドバイス、みんな勉強のことを書いてるから生活面とかのこと書こうと思ったけどおかんみたいなことしか書けない エミヤか?
エミヤママーーーーーーーっ!

2020/08/02
塾さみぃな
今日は最高に天気が良くってよ もうそれは日本晴れという言葉がぴったりでしてよ
こんな日に家族で遊びに行けたら最高でしょうね 自転車乗って海に行って
レストランでお昼を食べて デザートもジュースもつけて
あと友達とディズニー行く日にしても最高 あーディズニー行きたい
だんだん受験モード飽きてきてるんよな まぁこれはこれで楽しいよ まぁね
そういや昨日の新シン(非公式)ピックアップは投影魔術が2枚も来て終わった ちね
新シン欲しい、、、、、、、、、
ヒルメッシはこしあんぱん うめぇ
健康を意識して最近は茶と水を選択してる
あーあちょっともう食べられねぇってくらいまで美味しいものが食べたいな レストラン行きたい
あとひと月くらいしたら多分1回くらいは行けるようになるからそしたら行こうな な
健康とダイエットと心が争うバンメッシ時
今日願望ばっか言ってんな?願望があるってのはいい事だよな(適当)
、、、第二師団と行く人理修復、、、!?(何かに気づいてしまった顔)
バンメッシは梅おにぎりとポテサラとからあげ棒だった。うめぇ。
でもちょっと腹がいっぱい。
第二師団人理修復妄想楽しいな〜〜〜〜〜〜〜

2020/08/03
今日は暑かった
報道委員があったんよー
少年OHがなんか「塾あるから帰ろっかな〜〜」とか言ってたと思ったらマジで帰りやがったあいつ許さねぇ 先生は10分キレ倒すし
まぁどうでもいいけどなーーーーーー
ねむぅぃ

2020/08/05
ねむい!あつい!かえりたい!さいあく!修学旅行なくなった!ちね!おわり!

2020/08/06
8月6日だってさ。ねむいね。
今日もど腐れ暑かった。おやつに駄菓子を食べた。今日私立の見学予約あったらしいけど暑かったのでやめた。
明日は卒部式らしいよ。後輩の名前覚えられないまま卒部か。何の思い出もねぇな。楽しかった。たぶん。私には分からない。
今日の晩飯は春巻き。やーっ↑たぜ。
星野源の声に何らかの入眠効果ない?聞いてるとめっさ眠くなってくるんだけど
漢字が思い出せなくてひらがなで書き直した瞬間に思い出しました。こんばんは。
つか今日授業ないんよね。めづらし。
明後日は古文単語テストだ!殺す気で頑張る!

2020/08/08
うぇーい。夏休みですうぇーい。
昨日は卒部会だったよー楽しかった
ビンゴやったけど結局部長が最後まで残ってしまうというエンターテインメント
色紙とか貰っちゃってもー感激 泣くわ 泣かないけど
メモリアルクエストクリアしまくって回すも星三礼装祭り。カムラン2枚は草
英霊紀行はベディです。あったりめえだろ!
なんか疲れてきたーーーーオロナミンCぶち込んで頑張るぞい☆は?
キャスニキとかアーラシュとか特異点Fの考察面白すぎてもう、、、
伊吹上官なんかキレてる。ウケる。ウケないけど。全く笑えないけど。
ヒルメッシはいつものように紅鮭おにぎり。かつおめしが気になったが冒険できなかった。
はーいいいよいいようるせ〜〜〜!しらね〜〜〜!かえらずのじ〜〜〜〜〜ん!!
なんかメモ戻ってくると勝手に上の方に行っとらん?毎回下に戻すのだるいんだけど
数学の課題終わらない!!!(クソデカボイス)マジでやばい
小テスト終わらないと他のに行けないんだけど ねぇ!つらみ!
竹箒日記の過去ログってどこにあんねやろ
バンメッシはカレーパンとマカロニたまごサラダ。サラダとか言っておきながら野菜/zeroだった。

2020/08/09
健康を意識して食べる量を控えめにしたり足マッサージやったりした次の日にもう飽きることに定評のあるわたくしです。おはようございます。
なんか朝起きてから塾に行くまでに勉強してる超徳の高い人類がいるんだって?はーーーーーーすごいねぇ ちょっとわたしには真似出来ないねぇ
この2時間くらい遊んでも良くね、、、?良くね、、、?良くね、、、?(セルフエコー)
歯が痛いんだけど多分虫歯だわ あーやだ
首かゆすぎてバーサーカーになる
Urrrrrrrrrrrrrrrrrerere
適当に打ってたら途中からレレレのおじさんになってしまった。
ヒルメッシはかつおめし は???かつおめし美味!?!?!?!?めっちゃうま、、、うま、、、🐎🐎🐎
カレンちゃんがオムライス食べてる〜いーなー私も朝食べたけど
兄貴の強化来ました!兄貴の強化来ました!兄貴の強化来ました!兄貴の強化来ました!兄貴の強化来ました!(素振り)
戦闘続行が四枝の浅瀬になると踏んでる。あれ?アトゴウラってこの当て字で合ってたっけ?まぁいいや
アルジュナの強化来ました!(マジ)
セルフアヴァロンがマジモンの局地的アヴァロンになった
てかいまセルフアヴァロンと局地的アヴァロンって打ったら両方に「の騎士」って付いてきたんだけどなに?既にある言葉なの?帰ったらググるわ
ママの強化来ました!ママの強化来ました!(素振り)
こっちは宝具の強化か?わからん。
今日は12時間自習だぜ!ふぅーーーっ!俺のボカロ12時間プレイリストが火を吹くぜ!
バンメッシは焼きおにぎりとバジルサラダと揚げ鶏。揚げ鶏うめぇ。次からこれにする。
腹痛てぇ



 そして、キラスケの願いを聞き届けたのか何なのか、「なんか」は起こってしまった。

 「こちらユウジ、全員に緊急通達!ノリミツの艦隊が壊滅!繰り返す、緊急通達!…」

 キラスケははっとしてノートを閉じ、通信機のもとへ走った。ユウジの声は明らかに焦っていた。ノリミツの艦隊が壊滅したとなると、敵は陽動を行っているカレンの方にここぞとばかりに戦力を集中させて完膚なきまでに叩きのめそうとするだろう。砲撃戦は敵に陽動である、という情報が流れたために現在は多少落ち着いているが、壊滅の情報が届けばすぐに徹甲弾などを用いて本格的に攻め始めるに違いない。そして最悪なことに、敵のゲリラ隊はまだ一か所に集まるに至っておらず、航空隊による攻撃もできない。

 「やっぱ慣れない艦隊任せるんじゃなかったね、自滅でしょ!?」

 「ああ、当然だよ!」

 キラスケはユウジとの直通ラインを開き、呼びかけた。やけくそ気味のユウジの声に、いやなんかこれ新鮮だな面白いなと思いながらキラスケは言葉を続ける。

 「おっけー。じゃあアレ、使っちゃうね?使っちゃうよね?」

 「うん。ただいまより潜水艦隊と遊撃隊によるプランBを遂行する。キラスケ艦長、頼んだぞ。」

 「あい、参謀!」

 キラスケはユウジの指示を聞き終わるや否や飛び出してハッチを閉じた。そのまま疾風のごとき勢いで操縦席に座り、各機材のスイッチを入れていく。メーターの指差し確認を終えると、キラスケは満面の笑みでペダルを踏みこんだ。

 「大和作戦プランB開始!小型潜水艦ビクター号潜航!キラスケ、いっきまーす!」

 小型潜水艦…いわゆる「ポケット潜水艦」であるこの船にはキラスケ一人しか乗っていない。だから好きなだけ叫んでいいし歌いながら操縦していいし戦闘中に大爆笑しても良いのだ。まあ、仮に上官が三人後ろに立っていたところで彼は同じことをするだろうが。だが…

 「おーおー、いってらっしゃい。」

 「歌うときは通信切って、気が散るから」

 船内スピーカーからユウジとハルヤの声が聞こえた。「嘘やん!」と叫んで近くの通信機を確かめると、スイッチが入りっぱなしになっている。

 「……恥。」

 キラスケは静かに通信を切り、しばし悶えていた。

 

 大和作戦プランB。それは作戦前日の最終確認で急遽作られた二つ目の大和作戦である。もちろん戦場にはありとあらゆる不測、想定外が満ち溢れている。そのためメインとなる大和作戦…プランAとも呼ばれる…にも様々な緊急対応は示されていた。しかしプランBはそれを上回る想定外が発生したときのためのもの。具体的には、前日にノリミツの艦操作スキルが壊滅的だったことを受けて「あれ?実はこれマズイのでは?」となった作戦担当たちによる急造作戦だ。右に曲がろうとして左に向かい、弾を暴発させ、挙句の果てには目の前に見えている岩にぶつかって座礁しかけるなどトンデモ操舵を見せたノリミツは作戦担当が話し合っている間ずっと九十度のお辞儀をしていた。

 ノリミツの艦隊が何らかの理由…作戦書内では「自滅」と明記されていたが…で作戦の遂行が不可能になった場合、やることは二つ。一つ目はカレンたちの艦隊と戦車隊も同時に壊滅することを防ぐこと。こちらは現在キラスケが潜水艦で行っている。そして二つ目は、当初の予定通りゲリラ隊を麻痺させることだ。

 リョータはゲリラ隊が集まりかけていた海岸近くの木の枝に座って、ユウジからの通信を聞いていた。崖のようになっている海岸の上は木が生い茂り視界が悪いが、よく目を凝らせば同様にして木の枝の上で息をひそめている兵士が数名いることが見て取れる。迷彩の服を着た彼らはみなリョータ率いる遊撃隊のメンバーだ。プランBではゲリラ隊に偽の情報を流しつつ集めるという点では変わらないが、ゲリラ隊によって強硬的に追い詰めていくという手段も投入される。ほぼ人対人の戦闘となる上、包囲網に穴があれば終わる。一応上空には偵察機が一機、そして戦車も数台用意してもらっているもののなかなか厳しい作戦だった。遊撃隊は文字通り戦場を一時も休まらずに駆け抜け、奇襲で敵を混乱させることに特化している。同様の戦い方をするゲリラ隊との対峙は未知であり、うまくいくかどうかは全く分からなかった。

 それでも、とリョータはこぶしを握り締める。音量を絞った通信機からかすかに聞こえるのは出撃を待つツバサの声だ。

 「頑張れ、負けない。」

 以前、ツバサの部屋の前で好きなゲームについて言葉を交わした時から、ツバサとリョータの話す機会は増えていた。一番の仲良し、とまではいかないが友人の一人に数えるくらいまでは信頼している。エースパイロットである彼に友人として恥じないように。たとえ底知れない戦いであったとしても、勝つ。

 リョータは覚悟を決め、木の枝から地面へと飛び降りた。

 

 カレン操る弩級戦艦の内部。ノリミツの艦隊が壊滅した、という情報を受けてから船内は一層過酷な状況へと陥っていた。一時は落ち着いていた敵艦隊の攻撃が一気に苛烈になったのだ。今までは様子見のように炸裂弾を撃ち合っていたが、現在は本気で沈める気なのか徹甲弾をばかすか撃ってくる。幸いカレンのいる主戦艦は被弾を免れているが、いくつか戦闘不能になった艦も現れ始めていた。

 「マズイね。これは…。こちらも徹甲弾用意!」

 カレンが指示を飛ばし、それに合わせて兵士たちが動く。まだ被弾していないという安心感からその体系は崩れていないものの、疲労や不安から兵士たちの士気は明らかに下がっていた。カレン本人もそろそろ休息をとらないと今後大事な場面でうまく動けなくなる可能性がある。しかし、その鬼気迫る様子に誰も休息を勧められないでいた。

 ウツミ衛生兵はずっと悩んでいた。人間は何時間も連続で集中し続けることはできない。それは訓練された兵士でさえ同じことだ。今も仲間は休める時間を欲している。仲間の健康を守り、それによって勝利を守るのが自分の役目。だが…あと一つ、あと一言だけの勇気が出ない。たった五分で良いから安心できる時間があれば、それなら自分も迷いなく役目を果たせるはずなのに。

 ウツミがこの数時間何度も悩み続けた問いにまた「保留」の結論を出しかけた、その時だった。

 「…!敵艦二隻、傾いています!あっ!続いてもう一隻、様子がおかしい!これは…」

 双眼鏡で外の様子を眺めていた兵士が驚きの声を上げた。カレンとウツミが慌てて窓の近くに寄ると、確かに厳重に守られていた敵の主力艦が二隻傾いている。自分たちが撃った徹甲弾の仕業、というわけでもなさそうだ。となれば、あとは…

 「あーあーあー、こちらキラスケ。みんな見えた―?とりあえず主力っぽい艦二つは魚雷ぼこぼこにぶち当てといたから!こっちは僕にいったん任せて、立て直し頑張ってね!じゃ!…うわぁあっぶね!」

 通信機から突然、戦闘中とは思えないほどに明るい声が響き、ウツミは思わず肩を震わせる。潜水艦によってこちらの援護に回ったキラスケが無防備になっていた下から敵艦隊を攻撃したのだ。それを証明するようにくぐもった爆発音が次々と聞こえ、艦の傾きが激しくなっていく。見えない敵にパニックになった敵艦隊が攻撃の手を一時休めた。今しかない、とウツミは口を開いた。

 「みんな聞いてください!あの、一時交代としませんか!たぶんずっと働いてて疲れてると思うので、今キラスケさんが戦ってくれてるので、あの今しか休む時間はありません!」

 しどろもどろだった。上手くしゃべれなかった。声も思っていたより出なかった。周りの人間のぽかんとした表情を見て、ウツミはやっぱりでしゃばるんじゃなかった、と激しく後悔し急いで発言を取り消そうとした。しかし。

 「それもそうだね。現在弾の装填作業に当たっている人員に告ぐ!別隊と交代し、休息に当たるように。ウツミの言う通り、今が休息する最後のチャンスだ。しっかり休息すること!ミユキ、交代する人員は十分だよね?」

 「はい艦長!」

 カレンがずいっと前に進み出て、声を張り上げた。ウツミとは比べ物にならないほどにはっきりと、堂々とした発言。なんというカリスマだろう、とウツミはその背中を見てただただ圧倒される思いだった。兵士たちがそれに合わせててきぱきと動き、次々と交代していく。カレンはそれを見ると後ろを振り向き、ウツミのほうを見た。

 「ありがとウツミ、よく気が付くね。」

 そういうと穏やかににっこりとほほ笑んだ。ウツミは「いやいや、全然、別に、仕事だし、」と小声で謙遜しながら顔を背けた。

 「それじゃ、また徹甲弾を装填して!今のうちに沈められる船は沈めよう!」

 全員が交代したのを確認すると、カレンはまた当たり前のように弾を持ち上げた。それを見たウツミが、今度こそちゃんと声を張り上げる。

 「いや、君も休むんだからね!」

 大和作戦開始から数時間後、ゲリラ隊と遊撃隊が交戦している海岸近くの森。

 「こちらツバサ。リョータ、お前が今いる場所から五十メートルほど離れたところに単騎の敵兵を視認した。おそらく最後のゲリラ隊だ、行って叩いてくれ。」

 森の中を見回っていたリョータは通信機から聞こえる声に一時立ち止まった。上空から偵察、そして攻撃準備をしているツバサの声だった。リョータはすぐに周りを見回しそれらしき影が見えないか確認する。視界が悪いが、何となく足音のようなものを斜め前の方向に聞き取った。

 「確認した。任せといて。」

 リョータはそういうと通信を切り、音のする方向へ静かに歩き始めた。作戦が始まってから約四十分。すでに報告によっておおよその人間は目的ポイント付近まで集められていることが確認されている。この分なら航空隊を無理に出さずとも、遊撃隊によってゲリラ隊を殲滅可能だということも。相手は突如として後ろから現れた姿の見えない敵に予想通り混乱している。カレンたちによる砲撃戦もキラスケの助太刀とミナミの戦車隊の思わぬ頑張りによって今のところ優勢だ。ここでゲリラ隊も殲滅させれば大和作戦は上々の終了。リョータは意気込んでかすかに見え始めた敵影へと向かって行く。目的ポイント付近で確認されていない敵の隊員は残り一名。先ほどユウジが扮した、イオリという少年だけだ。彼は足がとんでもなく速い、とユウジから情報を受け取っている。逃げられて情報を渡されてしまえばまた状況は一気に悪くなってしまう。できるだけ相手に感づかれないように、静かに、静かに。四十、三十、二十…どんどんと距離は縮まっていく。まだ相手は変わった動きを見せないが、流石にこちらの存在には気づいているだろう。おそらく敵か味方かいまいち判断がつきかねている。慎重に、確実に追い詰める。

じりじり、じりじりと距離を詰め、十メートルほどの距離まで近づいた。服装と顔をはっきり見て、イオリであることを確認する。ユウジの言っていた通り、確かに「へらへらしていてつかみどころのない奴」という感じだ。まだしゃべってもいないので分からないが、居住まいや表情からは全く実力が読み取れない。同じく学校でのクラスメイト同士であるキラスケからは「あいつちょー腹立つよ!毎日イオリが足首粉砕骨折しますように、って神に祈ってるくらいね。でも、マジな話ちょー強い。まぁ僕とあいつで戦えば得意分野が全然違うから勝負にならないけど、たぶんリョータなら同じ方向で戦うことになると思う。気を付けてね、超マジ変態クソへらへら野郎だけど。」と要約すると情報量が十分の一になりそうなアドバイスをもらっている。目の前の男とキラスケが「強い」と言う彼がなかなか結び付かないが、厄介な相手であることは間違いないだろう。

 もはやイオリとの距離は十メートルも無かった。間違いなく向こうもこちらが敵であると気づいている。逃げられる前に、とリョータは勢いよく飛び出した。

 「動くな!」

 腰のホルスターから素早く拳銃を抜き、相手に向ける。あたっても死なないよう威力は抑えられているが、それでもこの受験戦争で個人に直接あたる武器としてはかなり高ランクの威力だ。敵もこちらに向きなおり、同様に拳銃を取り出した。向こうは旧式の六発リボルバー式拳銃、対してこちらは十発まで撃てるオートマチック。ただしこちらは弾倉を持っていない。追加の弾を持っていれば向こうの勝ち、そうでなければこちらの勝ちと言ったところだろう。ならば…

 まず一つ。鋭い音が鼓膜を叩き、反動で手がしびれる。イオリの足元で土が弾けた。これで交戦の意思をはっきりと示すことができる。予想通り、イオリが引き金に手をかけ、力を込めた。

 銃声、跳躍。姿勢を低くして斜め前へ跳び、距離を詰める。一瞬遅れて、先ほどまで自分が立っていた場所に銃弾が突き刺さった。自分のものよりおそらく威力が強い。一発でも当たれば動けなくなるだろう。硝煙の匂いがあたりに漂い、いやがおうにも場の緊張は加速していく。ステップ、ステップ、一瞬たりとも休まずに駆け続け、敵のもとへと距離を詰める。跳躍している間は動きが読みやすくなる。そこを狙われないよう、できるだけ不規則な動きで敵を惑わせる。二発、三発と続けてイオリが引き金を引く。だが、そのどちらもリョータに当たることはない。

 折り返し地点だ。あと二発を待ち、一撃を食らわせる。イオリが再び拳銃をしっかりと握りなおしたのを見て、リョータはまた避けようと足を繰り出した。その時。

 「…!」

 一瞬の違和感に反射神経で後ろへ飛びのく。鼻先を銃弾がかすめ、確かに命を削る響きを持った音が駆け抜けていった。読まれている。この短期間で自分の動きが読まれた、という底知れない恐怖に背筋が寒くなる。リョータは思わず退き、イオリのことをじっと見つめた。

 「…あー、外したか。」

 ぼんやりとつぶやいた声は思っていたよりはるかに少年らしかった。分からない。今も油断しきったような様子でこちらに緩やかに狙いを定めながら薄く笑っている彼のことが、分からない。今までは落ち着いていた心拍数が不自然に高まり、思考回路がうまく動かなくなる。今使った弾は四発。あと二発のうち、この調子であればどちらかは必ず当たる。相変わらずイオリはこちらを狙っているようでいないような緩さで拳銃を握っている。余裕があるように見える。それが不安を増大させる。

 「動かないなら、撃つけど。」

 イオリが引き金に手をかけた。リョータは再び前方へ駆けだし、時折左右に動きながら距離を詰めていく。二人の間は残り三メートル弱。リョータがまた右に踏み出しかけたのを見て、イオリの目がすうっと細くなった。自分が左利きであるゆえに右という方向が苦手であることをすでに読まれている。イオリの手に力が籠もる。どちらかは当たる二発の、片一方。一瞬が永遠にも感じられるほどの時間が流れ、スローモーションになった世界で銃口が火をふいた。当たる。それ以外の未来が見えないほどに完璧な弾だった。だが。

 「フェ、イ、ン、トだァっ!」

 声は下からえぐり上げるようにイオリの右手を貫いた。力強い拳が手首を打ちぬき、拳銃が宙を舞う。

 「…嘘」

 イオリに言えたのはそれだけだった。先ほどリョータは右に踏み出した。間違いなく。しかしそこから到底一介の学生にはできると思えないほどの超人的な身のこなしを見せ、イオリのすぐ目の前まで跳躍していたのだ。はっきり言ってリョータ本人にもなぜそこまでできたのかは分からなかった。多分一時的にシルベスター・スタローンかキアヌ・リーブスの霊でも憑りついてくれたのだろう。まだ二人ともご健在だが。とにかく火事場の馬鹿力によって形勢は一気に逆転した。もとから五発撃ったところで攻めに転じる予定だった。まだあと一発残っているという余裕がわずかな油断を生み出すだろうと考えてのことだ。果たしてその作戦は大成功。

 「さあ、観念してもらおう。」

 セリフまで気持ちランボーに寄せながらリョータは拳銃をイオリに突き付けた。イオリは驚きながらもやれやれ、と言った様子でため息をついた。「何がおかしいんだよ、」と口を開きかけた瞬間。

 弾がまだ残っているという油断。それは当然こちらにもある。

 「……あれっ」

 リョータは自分の体がひっくり返っていることに気が付いた。視界の端を、自分の拳銃が飛んでいく。手首と足首がやけに痛い。

 そう。つまり。

 (あっ俺、もしかしてピンチだなこれ)

 そういうことである。

 

 ミナミは海岸からカレンたちの砲撃戦をにらむように見ていた。現在、状況はわずかにこちらが優勢。キラスケの奇襲により敵艦が二隻戦闘不能になったためであった。だが、それを含めても「わずかに優勢」でしかない。こちらの艦隊の被害もなかなかのものだったのだ。キラスケの潜水艦も小型ゆえにもうそろそろ積んできた弾や魚雷が切れるだろう。いるだけで抑止力となる潜水艦だが、物理的に戦力とはならなくなる。ミナミはそれを考え、唇をかんだ。自分たち戦車隊が踏ん張らなくてはいけない。

 ミナミはユウジに通信をつなぎ、現状の報告をした。その間にも隣からは雨のように砲弾が撃ちだされている。海岸に近いポイントで艦隊がにらみ合っているゆえに、頼りないが戦車でも攻撃が可能なのだ。

 「…という感じなんだけど。」

 「なるほど。ゲリラ隊のほうは遊撃隊がうまくやってくれているから、そろそろ作戦的には退いても構わないな。よし、遊撃隊もしくは航空隊からゲリラ隊殲滅の報告が入り次第、撤退の指示を出す。その途中でポイントBで漂っているノリミツたちをピックアップしてくれ。」

 「了解。ひとつ提案があるんだけど、退くにあたって殿役は私たちが務めてもいい?」

 「いいけど…艦隊が追ってきた場合も対処できるのか?相手の被害も大きいから深追いはしてこないと思うが。」

 戦車はもともと陸上の戦闘で使うものだ。対水上となるとどうしても分が悪くなってしまう。だが、それでもミナミは殿を務めたいと思っていた。

 「うん。今のところ戦力はうちが一番残ってる。それにロングレンジがうちにはいるからね。任せて。」

 ミナミは力強くうなずき、マイクに声を渡す。ユウジは数秒迷ったのち、「わかった」と返した。

 「そこまで言うなら。でも一応、航空隊もつけるよ。」

 「それはお願いするわ。じゃ、よろしくー」

 ミナミは通信機を置くと、顔を上げて遠くの艦隊を見た。直接見ることはもちろん不可能だが、そこにカレンがいるのだと感じられる。彼女が作り上げ、誇りを持っている唯一無二の艦隊。自分たちの居場所であり、頼るべき守護神のようなものだった。自分は今からカレンがしてくれたことに恩返しをする。彼女が作ってくれた居場所、ともに戦ってくれたこと。それを今度は自分が守る番なのだ。

 「こちらキラスケ、最後の弾を撃ちました!いや正確にはまだ予備はあるんだけど、予備まで撃っちゃうとよくないっていうのは分かるよね?というわけであと、よろしくー!」

 通信機からキラスケの軽薄な声が流れる。いよいよ戦局は大詰めだ。ミナミは自身の戦車に乗り込み、レバーを握った。

 「戦車隊総員に隊長ミナミより通達!これよりポイントCに移動しつつ艦隊を援護する。総員私に続け!」

 「…気合が入ってますね、隊長。」

 「当然。だって私、あの子の親友だもの。親友を助けたい…って言ったら恥ずかしいけど、そんな感じだよ。」

 二人乗りの戦車にはミナミのほかに副隊長であるアモンも乗っていた。いつも天然でマイペースなミナミの珍しく真剣な表情に、アモンは驚いたようにかすかに目を見張る。ミナミはそれを見てやっぱ恥ずかしいこと言ったな、と思ってごまかすように笑った。

 けれど、ミナミの「助けたい」という思いは本物だった。縁というのは不思議なものだ、とミナミは思う。それは運命と言い換えてもいいかもしれない。不思議な力で人と人とを繋ぎ、あるいは引き裂くもの。ミナミは無神論者だが、縁を結ぶなにかについては信じていた。

 カレンとミナミは幼いころから友人だった。お互いの家が近いというただそれだけの理由で。はじめ、二人にはそれしか接点がなかった。片や地元では名の知れた建設会社社長の娘で、勉強も音楽もできるその名の通り可憐な少女。片や普通の会社員の娘で、勉強はできるもののどこまでも凡な才能しかない少女。カレンは幼稚園の頃から私立の学校に通い、ミナミは地元の小学校に通っていた。だから、本来なら二人が仲良くなることなんてないはずだった。

 それはある春の日のこと。散り始めた桜を横目に見ながら、公園に行こうと母と一緒に家を出た時。

 「あら、お出かけですか?」

 同じタイミングで隣の家から出てきた二人組がいた。同じように母と娘の二人連れで、けれど自分たちよりなんとなく洗練された雰囲気だった。娘の方は同い年に見える。顔をじっと見つめると、さっと目をそらされてしまった。

 「ああ、天気がいいので今から公園に行こうと思って。…さんはどちらに?」

 「私たちもちょうど公園に桜を見に行くところ。あっそうそう、この前のことなんですけどね…」

 母親たちが話し始めたのを見て、ミナミはまた長くなるだろうな、と思ってげんなりした。どうしてこうママっていうのはおしゃべりが好きなのだろう。それでもまだ幼いミナミに母親をせかすという考えはない。しかたなくただぼうっと突っ立って待っていることにした。

 風が吹くたびに桜がはらはらと舞う。大人よりもずっと低い視点から見上げる桜は大きいを通り越して圧迫感さえ感じさせるような迫力で、視界がピンク一色に染まるようだった。かぶっていた帽子を上げると、柔らかな日差しが目をついた。春だというのに日の当たるところにいると汗が出るほど暑い。もう暑くなってきたから、はやく日陰の涼しいところにいって遊びたいな、とミナミは思った。

 桜のなかをメジロが泳ぐように飛んでいくのを目で追っていると、ふと目の前の少女と目が合った。変な子。小首をかしげて、じっと眺める。確か名前はカレンだった。アニメの魔法少女のような名前。保育園で一緒と遊ぶ子とは違う、大人びた表情。走り回るためではない、白いレースのワンピース。何もかもが自分と違った。でも、まだそれを具体的に言葉にできるほどの思考力は持ち合わせていない。なんとなく、嘘みたいな子だ、と思うだけだった。

 カレンも今度は目をそらさず、じっとこちらを見つめていた。母親はまだ話し続けているが、自分たちの間に言葉は無い。ただここに絵本でも置いたらいいかもしれない、と思うほどの微妙な距離がある。

 陽光が穏やかに、でもじりじりと二人の少女をあぶる。また一つ強い風が起きて、桜吹雪が髪を絡めながら吹き抜けていく。二人ともまだ何も言わない。穴が空くほどに見つめ、相手のことをわかろうとしながら、それでも距離を詰めようとはしない。

 「…じゃあ、公園一緒に行こうか、カレンちゃん」

 母の声にミナミは隣を見た。母親同士で一緒に公園に行こうということで話がまとまったらしい。母が一歩前に出て、カレンに視線を合わせるようにしゃがんだ。それに伴って、手を繋いでいたミナミも一歩前に出てしまう。距離が破られる。向こうがはっとしたようにこちらを見る。

 「…うん。」

 カレンは静かに、それでもしっかりと頷いて返事をした。母親が歩き出す。カレンは何か言おうとして口を開き、そしてまた閉じ、を二回ほど繰り返した。それを見て、ミナミは、

 「カレンちゃん。」と一言だけ呼びかけた。カレンは驚いたように目を見張って、それから満面の笑みになって「うん。」と頷いた。

 それが二人の出会いだった。その後、二人は一緒に遊ぶようになり、時には喧嘩もしながら今は互いに背を預ける親友となったわけなのだが、最初はただこれだけだった。桜の散る春にしてはやけに熱い道で、何も言わずに見つめ合ったこと。不思議なものだ。自分たちの友情に冒険やドラマは何もない。何でもない出会いから何でもない関係に発展し、だというのにここまで懐かしく美しく思える。何気ない日常が一番素晴らしいだなんて陳腐にも程がある言葉だが、戦場に立つ今だけは心の底からそれに同意できた。

 だからこそ。だからこそ、私はここで負けるわけにはいかない。陳腐でかまわない日常を守るために、ありふれた奇跡を失わないために。

 「行こう、アモン!」

 ミナミはギアを入れ、レバーを思いっきり前に倒した。

 

 ミナミの戦車隊が移動を開始したのとほぼ同じ時刻。海の深くでキラスケ操る潜水艦はゆっくりと航行していた。戦況は思った通りになり、敵艦も二隻沈めることができた。戦績としては上々だろう。今は弾も撃ち尽くし、敵に圧力をかけつつ合流地点へと戻っていく最中だった。

 通信からは上で色々な人が頑張っている様子が聞こえてくる。それに比べ海の中は(時折砲弾が降ってくるのを除けば)おおよそ平和であった。もちろんしっかりと操縦はしなくてはいけないが、少し余裕ができた。さて、先ほどの記録作業を再開するか、とキラスケはノートを広げた。

 

 

2020/08/16
やっほー。間休み終わったよー。
ねぇ5周年記念やばぁい、、、楽しい、、、めっちゃガチャ回せる
バニヤンちゃんゲット!!
キャストリアとアルテラ出た。あとネロちゃんとか。
巌窟王をキャラメルコーンで出そうと思ったら沖田さん来たよ。嬉し、、、くねぇよ。いや別に良いけど巌窟王〜〜〜!!来年こそは来て!!!来年はコーヒー用意しとくから、、、
キャストリアはチーズケーキとアイスで来た
ヒルメッシはエビピラフおにぎり。
昨日は世界一のからあげ食ったよ。熱かった。
バンメッシは揚げ鶏とミルクフランスとコールスローサラダ。まーたがっつり食っちゃったよーもー

2020/08/17
新シン非公式ピックアップ!!結果発表!!じゃかじゃん!
可愛いパンダさんに釣られてやってきたのは〜〜〜!?
ロビン!(4人目)アヴィケブロン!(5人目)ゼルレッチ(剣の方)!(2枚)荊軻ちゃん!呂布!(数えてない)あとなんか忘れた2人!そして〜〜〜!!
リミゼロ!!!!!!
そっかぁ!!!!!!
でもまぁリミゼロ自体は普通に嬉しいのでベディにつけて使うわ
パンダさんを触媒にしたせいか心なしか中国鯖多い気がする。ていうか明らかに多い。
この調子で引けば多分次回には出るよ!出なくてもいつかの星4交換で引きずり出せ!ふぅ!以上!
ヒルメッシはクロワッサン。あめーうめー。
もうここ受験戦記っていうかえふごプレイ日記では?
あっっっ聞いて!ロビンレベマになった!(70)これで明日からたくさんイーバウできるね!!!やったぁ!!!
最終再臨しんど、、、尊い的な意味でしんど、、、素材的な意味では超優秀だった
ねーもー鳳凰の羽5億枚よこせ
証も1兆個欲しい
つか5000兆円欲しい!!!
ふぃー
バンメッシはとりからおにぎりとコールスローサラダ。からい。
シーラカンスは恐竜ではないねん、、、ねん、、、、
アールグレイアフォガートフラペチーノ(めも)
ねも ねも〜

2020/08/18
やばいよーーーーーーーーーーーーーこの世一反省してる今、、、ちゃんと数学復習しときゃ良かった、、、ごめんね皆様、、、唐突なアポラインテスト完全にやらかした、、、
やだもう絶対怒ってるよ上官ほんと俺が100パー悪いのが怖さに拍車を掛けているよもう
よし、後悔終わり
反省して今日から頑張る
具体的には朝ダラダラせずにPBチェックと熟語テストの勉強をする
どうしてもえふごやりたいときは夜にやる、、、
ヒルメッシはそういう訳で食えんかった
さらに言うと英語のPBチェックもやったわ
あーーーー反省
バンメッシは昼の予定だったもちもちフランスパン(カスタード)とチャーハンおにぎり。セブン毎日新商品増えてない?すごいんだけど
新発売のアップルカスタードパイ買ってくれよ明日のわたし!数学44点でがっかりしてる今日の私のために!
やっぱでもね、わたしはたぶん文系だと思うんだよね。でもなーーーー父上に「へん」って笑われるのクソムカつくなぁー!まぁいいや気にしなければ
つか夏イベ絶対に回らないという堅い決意2秒で破れた、、、「いやエミヤの霊衣だけ」とか言ってたらもう、、、もう、、、でもほんとにちゃんとエミヤのれーい取ったらおしまいにするから!ほんとに!!ケツイがみなぎってる!!
あっっっっっっ!?!?キアラ姐さんの水着人魚姫なの、アンデルセン繋がりで!?!?デルセン先生が苦虫を500匹くらい噛み潰したような顔を!!デルセン先生!!!
デルセン先生のモーション変わったよ おめでとう!いつまでも鬱憤を飛ばさなくていいね!きれいな鬱憤を飛ばすようになった まだ見てねぇけど

2020/08/20
おファック!!!!!
風邪引きますた、、、ちね、、、
マジでつらみが深すぎる 昨日ちゃんと休んどけばよかったぁ〜〜〜
時すでにお寿司
というわけで脳内オカン(エミヤ)の「無理だけはするなマスター」というアドバイスを無視し塾に行くも「あ、これダメですわ」となり周りの「こいつどうしたよ、、、」という視線に耐えながら帰宅してまいりました現在10:20。はぁーーーー死ぬ、、、死にはしないよ?絶対に死にはしないんだけどこういう風邪ひく度「あー俺死ぬわ、、、」って思いながら寝てる
つか塾来て25分で帰るとか何?TASのなつやすみ?塾最速帰宅チャレンジかっての
体調悪いからジョークもさえません事よ?もダメだわこれ、、、休む
今脳内エミヤとアスピッピ先生に叱られた、、、アスピッピ先生きみうちに居ないよね???
ファック!ですわ
小児科いってきまーーーーー
結局あいてへんくて稲毛の耳鼻科の方に。帰りにご飯買って帰った。あのね、駅のお店の中のね、なんかグリーンなんとかっていう店で買った。あのね、蒸し鶏としその春巻きが美味しかった。めちゃくちゃ美味かった。
ちょっとわがままを言ってわらびもちを買ってもらいました。おいし。
あとほんとは塾で食べようと思ってた焼き鯖おにぎり。うめぇよ鯖最高
はぁ
寝るか
良くなったらまた塾行こうかとも思ってたけどそんな気力/zeroです。

2020/08/21
そして眠りに寝倒した翌日。
★完全復活★
とまではいかないけど、薬の効果えげつねぇなと思うくらいには良くなった。ありがとう薬。無かったら俺苦しさのあまり悪魔とかと契約してたかもしれない。
昨日行けなかった分を聞いてきた。
ヒルメッシは鮭おにぎり。いつもの味。
バンメッシはかつおめしと野菜ジュースとななパフェ。パへ、甘すぎ。味が喧嘩しすぎてて涙
肉まん食っちまったぁーーーぃ この時間にリスクを冒してまで食うほど美味いものではなかった しょんぼりんぬ
明日のわしへ 昼に薬飲め 忘れずに

2020/08/22
ヒルメッシは鯖おにぎり!薬飲んだ!唐突なアポラインテスト!サドンデス!さよなら!ありがとう!
バンメッシはすじこおにぎりと焼きおにぎりとアップル野菜ジュース。味の湾岸戦争や〜!
もぉ面白いものを摂取できないから冴えない!冴えない!やだぁー!
お気にの服来た私さ、なんか見たことあるシルエットやなと思って鏡みてたらあれだわ。太陽ゴリラの第2再臨だわ。ウワーーーッ(絶命)
服の構成はあんなになぎこちゃんににてるのに、なぜ???なぜ???なぜ???腰に手当てるとほんとに似てる 見せてあげたいくらい

2020/08/23
ぁあー
道でMちゃんとその一行に会ってさ、とりあえず手を振ってくれたから振り返したんだけど今思えばあいつ誰?Mちゃん以外の人誰?
ばっか死ねぇぇぇぇ!父上がスマホの時間勝手に変えやがりましたわーーー!夜と朝にしかゲーム出来ないから夜と朝にやってたのに夜と朝に機能制限かけやがったアホめぇぇええええ!!八つ当たりすんなし!
はいこの話おしまい そうならそうで別にいいし
つかゲームすんなって話だな
いつかのわたしよ、、、アップルカスタードパイ食べましたよ、、、君が食べたがってたアップルカスタードパイ、、、おいしいです、、、
パンとかおにぎり1個だとはらへりになるのでキットカット買ったけど若干多かったか知らん。
結論 昼飯にするにはチョコは甘すぎる
おやつならいいけどね
食事の時とか空き時間に何となく神的なあれにお祈りをしてるんだけど気分が乗らない日ってあるよね。お祈り気分が。
よぉ!
ぎぶみーぎぶみーちょこれいと たりないならなんかいでもってわたして ぎぶみーぎぶみー
まっっっず!?バンメッシのミルク揚げパンくそまっず!!ぁぁぁあハズレだったァァァさ、い、あ、く、、、
バンメッシはミルク揚げパンと野菜ジュース、、、あー変なの食うもんじゃないね
つまらん 正気か? ふん
目も当てられん駄作ぶりだな!
もう〆切か?仕方ない
ではお前の人生を書き上げよう タイトルは、、、そうだな メルヒェンマイネスレーベンス だ
〆切3秒前と見たーーーっ!
つか弟と交換こして引いたガチャから弟がオデュッセウス出したんだけどなに?お前は船に乗ってるギリシャ人を引く特技でもあんの?

2020/08/25
あいつアンリマユ引きやがった、、、バケモンか?
暑すぎてなーんもかんがえたくないでございます。ねむみ。

2020/08/26
つでいも元気だよ。弟は今日ランスロットとオケキャス(真名バレに配慮)を引いたよ。あいつすげぇな。もう訳わかんねぇよ。
テスト範囲、1ミリも終わりません お疲れ様でした、、、
ワークが怪しい ほんとに 終わるかどうかすら怪しい
まぁそんなこと言いながら終わらすんですけどね!はは!
朝に30分だけえふごやるということで心と事情の決着がついた

2020/08/27
ねみぃよ、、、朝6時に起きてちょっと勉強するという決意を固めてから一週間アホ眠過ぎて死ぬ、、、30分の違いがこんなに影響でます???
いけ モンスターエナジー!つかれを ふきとばせ!
つか夏イベついにクライマックスだけどバトルの処理が重すぎて僕の脆いスマホではなかなか進まない、、、後衛と交代する時がアホ重いから前衛だけで〆るわ
ほんと眠いなおい
眠いっつーか眠りに片足掴まれてて気を抜くと引きずり込まれる感じというか根本的に眠

2020/08/29
やっほほほい。夏イベメインストーリークリアでござる。徐福ちゃん、好きすぎるんだが実装せんの??
宿題を早めに終わらしてしまったせいでだんだんやることに困ってきました。テスト勉強やれ。
充電が31パーしかありませんことよ!?やば!
ヒルメッシはもう最近ずっと食ってる気がする焼き鯖おにぎり。ひとは鯖天使と僕を呼ぶ。なにその肩書き。
あれもしかしてガウェインが太陽のゴリラ、オリオンが月のゴリラ?すげぇ、、、太陽と月のゴリラ、、、

2020/08/30
はーーーーー!!地獄の夏期講習、おしまい!テスト、ろくなもんじゃなかったよ!おしまい!おしまい!もうおしまい!
エヴァ見てる、、、おもしろ
ヒルメッシは中華みんなで食ったうまかったぁ
というわけで長かった夏期講習もおわりです
まじで毎日勉強勉強勉強づくしでしたが意外と夏イベを全クリしちゃう余裕はありました。なんとか。夏イベ面白かった、、、うむ。良いストーリーだった。それもそうだし普通に怖かった。
シンジくん無茶ぶりされてる

2020/08/31
夏期講習編、おしまいの舞。
長かったですね。ですが短かった。
今まではまだ夏があるから、夏にやれば、という言い訳が出来ましたがこれからはそうもいきません。先行きは見えなくてハッキリ言うとまぁまぁ不安ではあるのですが、でもこんなに夏頑張ったんだぜ?きっと未来は明るい たぶん 知らんけど
でもまぁほんとに疲れましたね、、、寝る時間はがっつり減ってるし、もう授業中の眠さの質が今までと全く違います。ちぬ。ちなん。
というわけで季節も変わっていく中で体調崩して過労で死ぬとか無いように休む時はきっちり休もうと思います。
とりあえずpixivを開くな!マジで!
はい!いろいろ言いたいことあった気がするけど全部忘れたのでおしまい!
お粗末さまでした!

 

 

 息を吐く。細く、長く、落ち着いて。全身に力がみなぎるのを感じる。心臓は高く跳ねているが、思考は落ち着いていた。指先の震えをごまかすように手をぎゅっと強く握りしめる。負けない。絶対に。誰かのためでなく、自分のために。

 三メートルほど離れた先で、イオリが構えた。隙だらけに見えるが、うかつに手を出せば先ほどのように転がされる。リョータはもう一度息を吐きだした。拳銃を互いに失ってから約十五分。何回もぶつかり合い、リョータは一つの考えに至っていた。

 負けたくない。心の底から相手のことを打ち倒したい、と思っていた。これほどの激しい思いに身を囚われたのは彼にとっても初めてだった。かといって焦りはない。思考は澄み切っていて、次の一手、その次まで見えるようだった。楽しい、とリョータは思う。こいつとやり合うことは楽しいと。自然、口角が上がる。戦うのが楽しいだなんていう少年漫画的感情はあこがれることはあっても一生自分が体験することなんてないと思っていた。それも含めてすべてが楽しくて仕方なかった。許されるものならリョータは大声で笑いだしていただろう。

 イオリが動いた。自分から仕掛けてくるのは戦いが始まって以来初めてだ。防御姿勢を取ろうとしたときにはすでに自分のみぞおちをイオリの拳がえぐっていた。速い。今あいつ人間だったか?それほど信じられないスピードだった。とっさに後ろへと飛び衝撃は殺したものの、息ができなくなるほどの痛みがリョータを襲う。まともに入っていたら動けなくなっていたに違いない。なんて恐ろしく、そしてなんて楽しいのだろう。リョータは追撃を避けるように後ろへ転がり、起き上がった。

 今度はこちらの番だ。ゆっくりフェイントを交えつつ距離を詰める。イオリはじりじりと後ろへ下がる。それに合わせて、スピードを上げる。少しずつ、少しずつ。ついに拳が届くところまできた。右ストレート、左フック、右ボディ、畳みかけるように連撃を繰り出す。イオリはそれをひらひらと避けながら時折鋭い拳を飛ばす。ぶつけ、いなし、かわし、また攻撃する。その様子はある種対話に似ていた。リョータはだんだんイオリに対して友情のようなものを感じ始めた。

 また少し距離が空いたと思えば、次の瞬間には目の前でこちらを投げ飛ばそうとする相手と目が合う。それを避けて脇腹に膝蹴りを食らわせ、同時に自分のほほを相手の拳が貫く。もはや型も技もありはしなかった。とにかく相手に一撃でも多く食らわせる。それだけを考えてなりふり構わず戦っているというのに、彼らはある種洗練された美しさを備えていた。世界に自分たち二人しかいないように。時間が止まっているように。どんどん自分が高みへ昇っていくのを、リョータは感じていた。

 イオリの守りは少しずつほつれてきていた。堅牢であることに変わりはないが、どことなく隙が目立ってくる。体力が切れてきているのだろう。そろそろ終わらせよう。

 顎を狙った右の拳が空振りし、カウンターパンチが飛んでくる。それを腕で受け、リョータはわずかに後ろへ下がった。二人の距離が再び開く。

 この間合いなら、いける。

 リョータは今までメインで使っていた拳をおろした。何事かとイオリが警戒しようとしたとき。

 「なっ…!」

 イオリの頭めがけて、暴風、あるいは死神の鎌めいた勢いでリョータの左ハイが飛んだ。大好きなミルコ・クロコップにあこがれ、練習を続けていた渾身の左ハイ。まさに必殺の一撃。決まった、とリョータは確信した。良いのが入った感触が足から伝わり、獰猛に口角が吊り上がる。己の技量以上のものを引き出させてくれた彼に感謝のような気持ちを抱きながら、スローモーションになった世界でリョータはあり得ないものを見る。見てしまう。

 今までのへらへら笑いがはがれ、どこまでも冷酷に澄み切った蛇のようなイオリの目を。自分の足が当たっているのが彼の腕でしかないことを。その手によってそのまま掴まれる己の足首を。なんと、いう、ことだろう。いかな人間とて頭にめがけて飛んできた物体を避けてすぐさま攻撃に移ることは難しい。リョータが逆の立場なら、良くてガードが限界。その次、なんてとても考えられないだろう。その瞬間、リョータは心の底からキラスケとユウジの忠告を理解した。こいつは強い。ただ単なる技量というわけじゃない。常に先、一歩以上先を読むということにおいて彼は卓越した才能を持ち合わせている。

 完敗だった。

 視界が途切れる。顔面が思い切り地面に叩きつけられ、小石が口に入り込む。揺さぶられる脳みそで、ああ、ここでこいつを逃したら作戦が失敗に終わってしまう、と今更ながら自分の役目を思い出した。しかしもう体は動かない。アドレナリンでどうにかしていたあちこちの痛みが突然地獄の業火のようにリョータを襲った。一本くらい骨がやられているかもしれない。しかしうめき声さえも上げる気力はなかった。

 薄れていく意識の中、最後にリョータが聞いたものは。

 

 カレンは通信機から突然響いた声に驚いて肩を震わせた。隊の、あるいは師団の仲間であればこれほど驚くことはない。そこから聞こえた声は第二師団…いや、この塾の最高責任者である加賀将軍の声だった。

 「第二師団の諸君、聞こえているね?君たちの頑張りによって敵軍は撤退を決意した。これ以上深追いしないでくれ、との要請が先ほど敵軍最高司令官からあったよ。もちろん無視することも可能だが…どうするかね?」

 カレンは取り立てて意味の無いことだとわかりながらも、反射で通信機に向かって敬礼して答える。

 「はい!こちら第二師団団長、カレン大佐です!敵を目の前にして諦めるのは不名誉極まりないことでありますが…その…こちら側の損害も大きいです。将軍の命令にはもちろん従いますが、可能ならばどうか敵方の要請を呑んでいただきたい。どのような処罰も覚悟します。無様な姿をさらしたのは、全て私の責任です。」

 「団長…」

 後ろで副艦長であるミユキが何か言いたげに口を開く。それを手で制しながら、カレンは沙汰を待つような気持で聴覚に全神経を集中させた。場がしんと静まり返る。いくら団長であるとはいえ、それはあまりにも辛すぎる。隊員たちはカレンがどれだけ頑張っていたのかを知っている。だが結果はこの通りだ。兵士は疲弊し、弾は撃ち尽くし、今にも沈みそうな艦がいくつもある。撤退を決意した、ということはなんとか作戦自体はうまくいったのだろう。だが、損害で言うならこちらのほうが多い。でも、そうだとしても。

 通信は全ての隊員に聞こえていた。今戦場はとても静かだった。あれほどうるさく鳴っていた銃声が嘘のように止み、誰もが通信に耳を傾ける。思い出したように湿った南風が吹き抜けていく。ミユキは、いや全ての隊員は祈るような気持ちで耳を澄ましている。もしも、もしもこのふざけた世界でも、子供が銃を持って争うような残酷な世界でも、一片の正しさが残っているならば。どうか、どうか。

 戦場に長い沈黙が流れた。いや、実際それは数秒程度のものだったのかもしれない。ともかくその沈黙を破ったのは、ここにおいて本来は聞こえることのない声だった。

 「っふ、ふふふふ…」

 加賀将軍は笑っていた。拍子抜けするほど軽い笑い声にカレンをはじめとする一同はあっけにとられたように口を開ける。加賀将軍は何が可笑しいのかひとしきりくすくす笑いをしたあとに、また言葉をつづけた。

 「いや、大変失礼した。ごめんねカレン佐官、意地悪を言った。君、私が訓練兵時代に言ったことを忘れてないね?いつでも冷静に、一歩退いて全体を見るんだ。確かに序盤、君は冷静さを欠いてしまったようだ。だが、その後の立て直しは実に見事なものだったよ。君だけの功績ではないのだろうね、だが私が思うに…うん。カレン佐官。君はよく頑張った。先ほどだってきちんと自分の状況を冷静に判断して、上官である私にも話をしようとした。うん。実に素晴らしいよ。ご苦労様。」

 カレンがぽかん、と口を開けている。命を懸けるほどの覚悟をして臨んだというのに将軍があまりにも軽い調子で話すものだから、処理が追い付いていないのだ。めったに見ることのない団長の顔に、あー団長超かわいい!写真撮りたい!とミユキは奥歯を噛みしめた。

 「ええっと、それでは…」

 「ああ、もしかして君マジで私が怒ってると思ってた?いやないない、絶対ない!頑張ってない子に怒ることはあっても、ベストを尽くした人に怒るなんて上に立つものとして最低の行いじゃない?第二師団が出した損害についてはほとんど不問、それどころか勲章をあげたいくらいだね。まぁその、自滅した戦艦についてはちょっと話がしたいけど…。ともかく、現時刻をもって大和作戦は終了だ。お疲れ様、十分に休んでくれたまえ。あ、あと要請だけど、もう勝手に返事出しといてあるから。じゃあ、諸君、さよなら!」

 突然すぎる展開にテンションジェットコースターを食らったカレンだったが、何とか意地で「はい、ありがとうございます。光栄です…」と絞り出すように言葉を返す。どうやらこちらの返事にかかわらず、結果は既に決まっていたらしい。自分たち何とかなったんだという安堵と、なんで笑いやがってあの野郎という怒りと、未だに理解しきれない狐につままれたような感覚にカレンは「な、なんだったの…?」と思わず声を漏らした。加賀将軍のせいで事態はこんがらがったが…とにもかくにも長い戦いは一区切りついたようだった。通信機がもう一度光り、今度は隊の仲間たちの声が次々と飛び込んでくる。どの声も喜びと安心に満ち溢れた、久しぶりに聞く明るい声だった。

 「あ、見てください団長!敵艦が撤退していきます!」

 一人の少年の声に全員が揃って窓に駆け寄る。見れば、確かに戦艦がゆっくりと去っていくのが見えた。

 「こちらツバサ、捕らえていたゲリラ隊のメンバーを全員送り届けた。作戦は無事終了したな。…あぁー、疲れた!早く帰って休みたい…。あ、リョータはピックアップ済みだ。今からそちらに航空隊を引き連れて戻るから、着陸の準備をお願いします。」

 その声に遠くを見ると、先ほどやっと活躍できた我らがエースパイロットの飛行機がきらりと小さく光るのが見えた。カレンは「聞いてたよね、着陸の準備を整えて。」と指示を飛ばし、自分も甲板へと向かって行った。

 

 先ほど、イオリと対峙したリョータが絶体絶命のピンチに陥る前のこと。二人が互いに銃を失ったあたりで、実はツバサはすでに上空へとやってきていた。残りゲリラ隊は一人だけ。リョータが戦っている彼さえ捕まえればミッションクリアだ。だが…

 ツバサはしばらく上空を旋回し、様子を見ていた。今すぐにでもイオリに対して手を打つことはできた。しかし、ツバサはもう少し待とうと思っていた。一つ目の理由は二人がステゴロで戦っている故に機銃掃射ではリョータにも当たる可能性があるからということ。二つ目の理由は、二人の勝負を邪魔したくないという私情からだった。

 ツバサはエースパイロットだ。この状況について、どの角度から考えても取るべき最適解は「リョータに助太刀し、イオリを確実に捕らえる」だとわかっていた。だが、その判断を一時思いとどまらせるほどにイオリとリョータの間には真剣な空気があったのだ。それは完璧に設計され、積み重ねられていく建造物のような。あるいは、気まぐれのように自然が作り出した心打つ絶景のような。相反する性質をまったく矛盾なくまとめ上げながら、二人の勝負は続いていた。当然学生同士の勝負だ、本物には遠く及ばない。だが、それが何だというのだろう。まるく閉じられるように完成されたイオリとリョータの世界は、一人のエースパイロットを黙らせるに十分だったのだ。

 しかし、それも長くは持たなかった。

 「!マズい!」

 決着の一撃に見えた左ハイキックがカウンターを受け、リョータが地面に倒される。その様子を見て、ツバサはエースパイロットとしての判断を遂行させた。

 「止まれ、イオリ!止まらないと撃つぞ!」

 大声で呼びかけ、ツバサは軽く威嚇射撃をする。イオリははっと空を見上げたが、体力がもう無いのか、逃げようとはしなかった。とりあえず状況は落ち着いた。だがここには着陸するスペースもない。このままではどうにもならない。ツバサは手元の端末を操作し、遊撃隊の副隊長であるサヤカに位置情報を送った。

 「もうすぐお前を捕らえに来るから、おとなしくしておいてくれよ。」

 イオリははいはい分かりましたよ、というように肩をすくめて座り込む。確かにこいつは腹が立つ奴だ、とツバサは眉間にしわを寄せた。

 リョータはまだ起き上がろうとはしない。多分軽く脳震盪を起こしているのだろう。図らずも彼のピンチを救うような形になったことに、ツバサは運命的なものを感じていた。リョータは数少ない腹を割って話し合える友人の一人だ。友達を助けるとかなんかマンガみたいで良いな、とツバサは小さく喉の奥で笑った。

 たどり着いたサヤカがイオリを捕縛し、リョータもろとも引きずっていく。相変わらずクールで怖いもの知らずのやつだ。ツバサはそれを確認すると、ユウジに通信を送った。

 

 カレンは甲板で海を見ていた。すでに敵の戦艦は豆粒ほどに小さくなっており、眼下では飛行機から降りたパイロットと船員たちが和やかな雰囲気で談笑している。作戦が終了し、本拠地となる空母艦に続々と隊員が戻ってきていた。けが人も多く、ウツミと衛生スタッフが走り回っている。特にリョータは多数の切り傷、打撲に加えて左腕の骨にひびが入る重傷だ。カレンも外傷はないものの、強い疲労があるのを感じていた。しかしてんてこ舞いの衛生スタッフたちを見ていると、なかなか休みたいとは言い出せない。なので甲板で海を見るにとどめているのであった。

 夏の長い日がもう沈み始めていた。じりじりと蒸すような暑さがだんだん空へ還っていく。きらめく金星を見て、ああ理科の復習をしなくちゃ、とぼんやり思う。きっと今頃町では浴衣を着た人々がお祭りに繰り出しているのだろう。世界に戦争など無いような顔で。今ここで戦っている私たちだけではなく、より過酷な本物の命のやり取りに避けようもなく身を投じている異国の子供たちなど、存在していないような笑顔で。虫よけスプレーちゃんとした?花火楽しみだね。お母さんもっとお小遣いちょうだいよ。去年まで当たり前にいて、今でもありありと目の前に浮かべることのできるその風景が遠い遠い夢の中の出来事に思えた。私たちが去年までああして楽しんでいた間にさえ、誰かは戦っていたのだろう。でも、カレンはそれを憎らしいとも悲しいとも思わない。ただ、今年の花火はどんなにきれいだったのだろう、と思うだけだ。

 らしくないな、と首を振る。カレンはもともとあまり感傷的な性質ではない。むしろ切り替えの早さには自信があるほうだ。やっぱり疲れているんだ。日がだんだん沈んでいく。人も少しずつ撤収していく。早く眠ろう。他の隊員にもそう指示を出そう。そう思って振り向いた時、そこに立っている人影にカレンは気が付いた。

 「やっほー、カレン。ねえ知ってる?今日お祭りの日だったんだって。」

 「ミナミ…。」

 ずいぶんと夜に近い色になった空を背に立っていたのはミナミだった。手にはバケツを持っている。その中にあるのは…

 「花火やろうよ。今日くらいちょっと遊んでもいいよね?」

 ミナミはバケツの中から派手な包装の手持ち花火セットを取り出してにっと笑った。

 

 すっかり陽の沈み切った甲板で、第二師団のメンバーはきらきらと光る火花に照らされて大笑いしていた。

 もともとミナミとカレン二人でやっていた花火だったが、そこをキラスケに見つかって事態は一変。あっという間に全員集まっての大規模な花火パーティーになったのだった。

 「いやー、弾撃ち尽くしちゃってよかったね。普段だったらこんな大人数で花火やったらマジ伊吹上官大激怒パターンだもん!わーめっちゃ綺麗だわ、風流オブ風流って感じ?ほれ見て!やばくね!?」

 「うっわやめろお前袋の注意書きを読んでくれ」

 キラスケが楽しそうに花火を思いっきりユウジに向ける。良い子は絶対にまねしてはいけないその様子を見て、ツバサが堪えきれずに噴き出した。伊吹上官もあきれたようにため息をつきながら顔は楽しそうだ。

 戦いを越え、それぞれが成長して、あるいは何か大事なものを思い出して、夏が過ぎていく。どのような形であれ、そこに戻らない青い春を確かに見出しながら。

 夜の海に、はじけるような笑い声がさざ波のように広がっていった。

 「ウツミ急いでくれ!弾が切れたら死ぬ!」

 「戦車隊ミナミより報告、第三小隊が壊滅状態です」

 「こちら空中よりツバサ、敵部の戦車隊が九時の方向より接近中。遊撃隊、応戦願う。」

 戦場での生活が始まって三週間。初めて前線に立った第二師団の面々はなんとか毎日を乗り切っていた。

 現在戦っているのは、学生軍の中でも第二師団が所属する部に次いで勢いのある部だ。つい数日前に伊吹上官から会敵を告げられてすぐ、戦闘が始まった。向こうの部は数はこちらに劣るものの、戦略的に優れている。さらにその中でも優秀な兵士ばかりが集まる麒麟隊の襲撃とあっては、いくら誇り高き第二師団とは言え苦戦を強いられるのは無理もなかった。もともと自身のホームであるというのに、数日前からずっと押されているのは第二師団のほうだ。当然彼らも苦々しく顔をしかめていた。

 「これはよくないな…ハルヤ、全隊長に通信を繋いで!」

 「了解。」

 カレンがハルヤから渡された通信機に呼びかける。

 「こちらカレン。わかってると思うけど、戦況は芳しくない。これ以上の被害を避けるため、一時退却する。まだ動けそうな戦車隊と遊撃隊は後方を守りつつ退却、それ以外はすぐに空母艦に引き上げて。繰り返す、こちらカレン…」

 通信機の声を聴いた兵士たちは痛む足をひきずり、友人と支えあいながらゆっくりと後退していった。

 戦場。まだこの地獄は始まりでしかなかった。

 

 「では諜報部、報告を」

 数時間後。空母艦の艦長室で隊長格九人は会議をしていた。依然として外では敵と味方の巡洋艦同士がにらみ合っている。こちらの退却により一時的に戦況は落ち着いたものの、緊張はぬけていなかった。いつもよりも張り詰めた表情のカレンが、ユウジに報告を促す。

 「はい。敵戦力はおよそ二十五、それに対しこちらはすぐに動けるものが三十ほど。敵は巡洋艦二隻、四機の航空隊一つ、八台構成の戦車隊二つ、それから巡洋艦内に非戦闘員が十名ほどいるっぽいです。また、航空隊より山の中腹ほどに数名ずつで構成されたゲリラ隊を確認したとのこと。」

 手元の報告書を眺めながら、ツバサが口を開いた。

 「戦力ではわずかにこっちのほうが勝ってるけど、戦闘が始まってからの被害がな…すでにこっちは戦車小隊が一つ壊滅、巡洋艦も一隻被害が甚大で動けない。対して向こうはいくつか戦車を壊しただけだ。…団長、どうする?」

 カレンはそれには明確な答えを返さず、ただうなるだけだった。どれだけ実力が優れていても、それは『高校との闘い』での実力であり、このようなケースでは発揮しづらい。この師団自体もカレンと同じだった。好き勝手暴れまわって気づいたら敵がいなくなっていました、というのが第二師団の戦い方だ。戦略でじわじわ追い詰めてくる麒麟隊とは相性が悪すぎた。

 「あの、一つ俺気づいたことあるんだけど…」

 重苦しい空気の中、リョータが恐る恐る手を挙げた。

 「敵は戦車隊でも艦隊でも、先読みしたように回り込んでくる。たどり着いて戦闘を始めるころには大体いつも敵の手の中だ。たぶんそれは航空隊が見た、ゲリラ隊がうまく情報を回してるんだと思う。そうでなければ説明がつかない。」

 「なるほど。では、ゲリラ隊を真っ先に叩こうか?」

 「いや、少数で行動してる彼らを狙うのは難しい。ここは一度、彼らを一つの場所に集める必要があるだろう。そしたら航空隊で攻撃し、敵の情報網を麻痺させる。そこまですれば後は俺たちの得意な戦い方に持ち込めるはずだ。」

 ユウジが広げた地図と報告書を指さしながら言うと、「さっすが作戦参謀、やるじゃないの」とキラスケが茶々をいれた。その軽い声にほんの少しだけ空気が和らぐ。ナイスアシスト、助かった、とカレンは心の中で親指を立てた。話してはいけない、というような流れが少し薄くなり、誰でも自分の意見を言いやすくなる。そのような空気が今は必要だった。

 「問題はどうやって一か所に集めるかだよな…。向こうは相当統率が取れてる。こちらから浅はかな作戦で挑んでも返り討ちにされるだけだ。」

 「うちの隊による陽動は?」

 ミナミが手を挙げた。確かに戦車隊は小隊を一個失ったとはいえ、まだまだ多くの戦力が残っている。相手に先回りされることを覚悟しての陽動なら、敵の動きも読めるようになりそうだった。

 「いや、リスクが大きいな。戦車隊は大きい分機動力が少し劣る。万が一失敗したときの火力ロスもなかなか洒落にならない。だが、陽動で敵の動きをある程度絞り込むのは良さそうだな。ほかには何かある?」

 次に手を挙げたのはハルヤだった。

 「陽動に加えて偽の情報を流せば、一か所に集められそうじゃないかな?ただ、すぐにばれそうではあるんだけど…」

 ハルヤのその自信なさげな様子に、ツバサが笑顔で肩を叩く。

 「いーや少しの時間だけでも十分だ。俺の航空隊の機動力と戦力、知ってるだろ?あっという間に片づけてやるから、そこのところは任せてくれ!」

 自身の率いる隊の実力に少しも謙遜なく、少しも脚色のないその様子はまさにエースたる貫禄だった。それでいて少しも嫌味にならないのだから、天才というほかない。こいつはきっと受験戦争など無くてもひとかどの人物になったのだろうな、とキラスケはその横顔を見ながら考えた。

 「じゃあ陽動は私のところで請け負うよ。派手に動いて見せるから。」

 カレンが大きくうなずき、にっこりと笑う。「やっと笑ったー、そうじゃないともうマジおぶすだよ君ー」ミナミが茶化すように言ってほほ笑む。言われてみればカレンはここ数日いつもの笑顔を見せていなかった。団長に笑顔が戻ったことで、いつもの第二師団らしい雰囲気がやっと戻ってきたようだ。つられるようにして全員の表情がふっと崩れる。戦争なんて無いような、友人と撃ち合うことなんてあり得ないような、そんな普通の日々のような一瞬だった。ただしそれは一瞬だけだ。すぐに顔を引き締めたユウジが作戦の説明を始める。

 「それでは団長率いる艦隊による陽動で敵の動きを絞り込み、ハルヤが偽の情報を流してゲリラ隊を一か所に集める。それをツバサの航空隊が叩く、でいこう。そのためにまずは敵の通信コードを解析するための時間稼ぎ、陽動の初期段階を行う必要がある。ハルヤ通信兵、どのくらいあれば通信コードが解析できそう?」

 「三日で…なんとかカタをつける。できるかちょっと不安だけど」

 ハルヤとユウジが互いにうなずき合う。まだ隊として活動し始めて一か月にも満たない第二師団だが、少しずつ信頼関係が芽生えていることが感じられる様子だった。カレンもそれを見てうなずき、全員に向きなおった。

 「それでは作戦を開始する。とはいえ、作戦シナリオが出来上がるまではしばらく現状維持になるけど。各隊長は自身の隊に作戦を周知徹底。あくまで目的は敵を退けることにあるから、殲滅に走るものが出ないようによく知らせてね。それでは解散!」

 各隊長が順番に艦長室を出ていく。最後に残ったカレンは一人、外の敵巡洋艦をにらみつけた。

 

 「うえーーーーっ!眠い…もう無理…」

 その日の真夜中。諜報部室兼作戦参謀室でキラスケはうなっていた。隣にはモンスターエナジーの三本目を開けるユウジと仮眠をとっているハルヤ。いずれも疲れた表情でパソコンや書類とにらめっこをしている。外は静かで、空母艦内も今は夢の中であった。しかしここだけはいつまでも明かりがつきっぱなしである。ユウジをはじめとする諜報部のメンバーは各部への指示を、キラスケはその妄想力もといシナリオ作成能力を買われどのような設定の下陽動を行うのかというシナリオを作りつつ作戦の手伝いをしているところであった。第二師団は総勢四十名強の師団である。一般的な軍隊…比較対象とはならないが…と比べると、かなりの人手不足だ。受験戦争の隊としては平均的、むしろ多いほうだが、遂行しなくてはいけない作戦の規模が大きすぎる。そのため今回は暇なキラスケが潜水艦長ながら作戦担当に駆り出されるのも仕方のないことだった。

 受験戦争は戦争だが、その前に受験だ。あくまでメインは高校での試験であり、そのために訓練と演習、模擬試験を繰り返すのが受験戦争の王道である。模擬試験の結果により他の部と競うことはあっても直接戦闘するのはそうそうあることではない。ましてや開戦から一か月を待たずに交戦など、十数年に一度の異常事態だ。去年第二師団として戦った先輩軍人も、「もう交戦か?…早いな」と驚いていた。同じ部のほかの師団からも、今年はやけに敵の部が好戦的だという報告が上がっている。

 「こんなことになってるのって、やっぱりあれが原因なのかな」

 「一本化か?」

 「うん。でもさー、わざわざ僕らにしかけなくても、自分の実力さえ磨けば大丈夫なのにね。浅はかなやつらー」

会敵の際に敵の麒麟隊から出された声明はたった一言。「落とす」。なんつー縁起の悪い言葉を叩きつけてくれているのだ、と殺気立った第二師団が先に攻撃を仕掛けたのだが、結果はこのざまだ。それでも士気があまり落ちないのは流石というべきか。だが、仕掛けてきた相手にも応戦したこちらにもあきれたような顔でキラスケは机に突っ伏している。もうあきた、あーきたー、と変な調子で歌うキラスケを見ずにユウジは言葉を発した。

 「そんなこと言えるのはお前が『潜水艦長』だからだよ。それだけじゃない、エースパイロットのツバサに、空母艦なんてデケえのを任される団長に…お前らは良いよな。唯一無二のスキル持ちだ。俺には向こうの気持ちも、痛いぐらいよくわかる。」

 そこまで言うと、ユウジははっとしたようにキラスケのほうを見た。マズイことを口にしてしまったというような顔だった。気が緩んでいた、こんなこと言うなんてらしくない、取り消すべきか…と焦るが、キラスケは何も考えていないようなとぼけた目でまっすぐ空を見つめていた。

 「そっか、そりゃ君も大変だよな、僕にはあんまわかんないけど。」

 「イヤホント、スゴイスゴイ、オマエスゴイ」

 「棒読みだぞ諜報部長」

 思えばユウジとキラスケはこの第二師団の中でも最古参のメンバーだが、話したことは全くなかった。互いに何を考えているかよくわからない気まずさを振り払うように、キラスケはパソコンを追いやっていつものノートを開いた。

 


2020/07/23
ヒャッハー!地獄の夏期講習スタートだぜ!
今日の数学の授業で聞かれてアホキモイ数字言ってたから何かと思ったら先生めっちゃ計算苦戦しててワラタ
ヒルメッシはメロンパンでした
うめぇ
バンメッシは鮭おにぎり、チャーハンおにぎり、唐揚げひとつ、サラダ。ちょいと食いすぎた感あるので明日からはおにぎり系は1個にする(戒め)
なーんもやりたくないので日記なぞ付けてる。ノートの方に書きゃァ良いのに。

2020/07/24
リゼロのエキドナの声、「ああ」の言い方がロリンチちゃんに似てるなと思ったらほんとに坂本真綾だった
ヒルメッシはおべんと。熟語テスト練習が間に合わんかった。後は気合いだ。

左右で飯の色違うの草
と思ってたら左はしそだった
わかめだと思って食ったらシャキシャキだった時の衝撃が貴様にわかるか?
ちょっと味付けが濃い
1番左上の得体の知れない揚げ物、何かわからんくて食ってない
バンメッシはマフィンとコールスローサラダ。マフィンあんま美味くなかった。明日はポテサラ食う。
いーきていることがたのしくなったらいーのになー

2020/07/25
ヒルメッシ

炭やん
こんな無惨な姿になった鯖見たことないし見たくなかったよ 味は普通
まーた味付けが濃いねんて
量明日から減らしてもらお
弁当の残りはバンメッシ行きです
バンメッシは昼の残りとトリタツタ ななからのほうがうめぇ
ユウジ毎日からあげ棒食ってんな?
今日は四コマのネタ全然思いつかんかった
つか数学の授業の進み早すぎ…無理ゲーだよ?
一瞬でも気を抜くと話進んでるし。わかんない公式次から次へと出てくるし。

2020/07/26
今日になって急に疲れがどっと出てきたー。オロナミンCとか飲む。
ヒルメッシはキムチャーおにぎりとしゃけおにぎり。キムチャー辛すぎる。
また理科のレビューやんの忘れてた、詰んだ、、、
雑種が!!
カレンちゃんがアビィみたいなワンピース着ててかわうぃい
色合いがアビゲイルっぽい
国語で一休和尚の話やったんだけど見開き1ページにも満たない文章で4つも5つもとんちきかせてて笑う
バンメッシはふわふわチョコちぎりパンとななから2つ。サラダ食うの忘れた。

2020/07/27
父上さ、「理数が出来ないで文系に行くのはただのバカ」って言うけど東大工学部に言われるのなんかほんとに納得いかないなこれ
でも文系が就職に不利なのはマジだろうな つれぇぜ へっ
叔父さんが急性アルコール中毒で深夜病院に担ぎ込まれた時、診るのを渋る病院におじいちゃんが「当直に繋げ」って電話させて「お前一緒にテニスしただろ」っつって無理やり説得した話聞いてわらってる

2020/07/28
バンメッシ食えんかったぜ!ぴえん!!!!
ミュウのぬいぐるみ持っててミュウのストラップつけてるの、めっちゃミュウのオタクみたいになっててわらう、、、いや正にその通りなんだけど、、、
ユウジbadapple聞いてんのね 道理で東方の曲を知ってるわけだ
マイクの鼻はお父さん(本人)に似ていますとか笑い止まらん
聞いてームズい問題正解して鉛筆もらっちゃった 嬉しくねぇ

2020/07/29
とぅでいも元気です。立ち幅跳びやり過ぎて足が死んでる以外は。
TSU少年が米津玄師のことを「糖津」って書いてて草生え散らかしたよ
いつも心にアシュヴァッターマン
勉強だァ?馬鹿言え、今からやるのはただの作業だ!

2020/07/30
あがぁぁぁぁぁ足が痛い腰も痛い
筋肉バッキバキやぞお前 家帰ったら湿布貼ったるわボケ
5時に塾に来てから少しでも勉強しようと思ったけどだめむり めいよのてった〜い!
うるせ〜〜〜!しらね〜〜〜!かえらずのじ〜〜〜〜ん!!
ふぅ この5分、10分、15分の分差がついてるんやぞ?とは思えど動かぬ手。起こらぬやる気。そういう日もある。
腰が痛い。ハイパー痛い。ウルトラ痛い。
今日はAmazonミュージックにリンネとclocklockworksが入った記念日ね
Y姉さんが自律神経壊しちゃったって。心配。早く治りますように。
数学の課題やれ!!!
ネイヴァーまとめを見ない(戒め)
気になるアプリ プリ画像
O少年が塾でバナナ食ってた案件草

 

 三日後。燃え尽きたハルヤが真っ白になりながら通信コードの解析を終えたことを報告し、全員が再び艦長室に集まった。

 『陸での戦闘ではらちが明かなくなったため、得意な海上戦に持ち込む。空母艦、巡洋艦による動きながらの総攻撃に転じる予定。第二師団はここで麒麟隊のと今回の交戦の決着をつける。』というシナリオのもと、二日前からすでに陽動の下準備は終わっている。もともと空母に引き上げていってからのこの動きはさほど違和感がない。実際、敵部はそれに伴った動きをしていることも諜報部から報告されている。ここまで作戦はおよそ想定通りだった。

 「敵の通信コードに流す情報も準備はできたね?」

 「ああ、大丈夫。」

 ハルヤがなんとか笑顔を作りながら手元の紙をぱたぱたと叩いた。ここ数日あまり休めていないことが作戦に影響しないといいが、とカレンは心の底で思った。

 「それでは全員持ち場に戻るように。一時間後、作戦を開始する。」

 カレンはそう言った後、普段とはまた違った不敵な笑みを浮かべた。出た、とミナミは息をのんだ。この幼いながらも獰猛な彼女が勝ちを確信したときに見せる表情。カレンがこの顔をしたときに立っていた敵を、第二師団は未だ見たことが無かった。

 「じゃあ、派手に行こうか!」
 

受験戦争開戦からおよそ二週間が経った。今のところ大きな戦闘は無く、第二師団は表向き穏やかな日々を過ごしていたのだが…

「こんにちはーっ」

「……」「……(会釈)」

(…無視か)

ツバサが訓練場に入ってくるも、誰も挨拶を返さない。そう。今彼らの前には「コミュニケーション不足」という大きな壁が立ちはだかっていた。

カレンとミナミの女子二人組はよく休憩時間に楽しそうに話している。もちろんほかの第二師団のメンバーも必要があれば話すのだが…

(会話したほうがいいのか?)(話題が無さすぎる)(そもそもこいつらとの関係性って何?)

とにかく彼らは互いの距離感を測りかねていた。同じ訓練所で二年過ごしたのならもう少し仲が深まってもいいものだと思うかもしれないが、無関心無干渉が基本スタンスの彼らは急に「これからしばらくここで暮らす」と空母の中に放り込まれても会話などできないのであった。

だがしかし彼らとてコミュニケーションの重要性は理解している。情報網からの孤立は戦争においては即、死につながる。裏切りや謀略を防ぐという意味でも周りとコミュニケーションをとることは必須事項であった。まぁ、もちろん理由はそれだけではない。これから半年以上にわたって共に戦う仲間のことを知りたいと思うのは、当然の感情だ。仲良くなりたい、などというのは恥ずかしいが、そういった類の感情であることは正しかった。

 

受験戦争の兵士たちには、空母艦の中においてそれぞれ自室が割り当てられている。一般兵なら五人部屋、艦長や隊長クラスになると個室が与えられる。戦闘用の船の中なので客船ほどの快適さは要求できないが、それでも個室は個々人の好みである程度カスタマイズが可能であった。

夜中の八時ごろ。シャワーを浴びてきたリョータが自室に戻ろうとすると、部屋から出てくるツバサとすれ違った。

(あぁ…そういやこいつの部屋隣だったな)

ドアが閉まるその直前、リョータはツバサの部屋に貼ってあるポスターに目を止めた。

がたん、と重たい音がしてドアが閉まり、ツバサが鍵を閉める。リョータは思わずツバサの横顔に声をかけた。

「あのさ、あのポスター…わりい見えちまったんだけど…あのゲームお前もやってるの?」

ツバサがはっとして顔を上げる。その表情の奥の心が読み取れず、(しまった、やらかしたか…)とリョータは思いかけた。しかし。

「…やってる。めちゃくちゃ面白いよな。今ランクどこ?使ってるブキ、なんだ?」

ツバサはリョータの問いかけに答えた。年相応に少年らしく目を輝かせて話すその様は、普段のリーダーシップに満ちた姿からは思いもよらないほどに普通だった。

「ランクは…たしかこの前下がってS。でも最高はXだ。ブキはローラーばっか使ってる」

「ローラーか!いいな。俺チャージャー。竹筒銃がさ、超かっこいいよなあれ。」

「わかる」「わかるか」

そこまで話すと、珍しく興奮してしまったことが恥ずかしくなったのか、ツバサはうつむいた。

「…うん。じゃあ、俺シャワー浴びてくるね」

「おう。…水出し始めた時、最初めちゃくちゃ冷たいから気を付けて。」

「わかった、ありがと」

カップラーメンも作れないような短い会話だったが、リョータはツバサと、本当の意味でただ単純にコミュニケーションが取れた気がした。こんなくだらない会話がうれしくて、小さく鼻歌を歌いながらリョータは自室のドアを開けた。

 

「ね、む、い」

キラスケは自室のドアのところで倒れていた。『数学』の補修がやっと終わって現在24時。夏の湿気が暴力的に人々のライフを削る熱帯夜である。空母艦内の空調は優れているとはいえ、換気しながら完璧な空調を保つのは無理がある。キラスケも額に薄っすら汗をかいていた。

今まで22時には眠る健康的生活を送ってきたキラスケにとって24時になってもまだ歯磨きさえ終わっていないというのはかつてない緊急事態であった。当然頭は燃料切れ寸前、自室に帰って寝なければならぬという気力のみで階段を上がりここまでたどり着いたのだが…どうやら限界だったようだ。ついに起き上がる気力すらなくなり、這うようにしてじわじわと進んでいる。

半分寝ながら机の上に手を伸ばした時、開きっぱなしだったノートに手が触れた。

「……書くか」

深夜テンションという奴である。眠くて眠くて仕方ないのに、キラスケはなぜかペンをとってしまった。

 

 

2020/7/7

七夕だってよ!

あちこーこ。マジでそークレイジーあちこーこーデイズが続く今日この頃ですがエビバディ元気?暑いからテンションも狂うよね

今日は地獄かってくらい数学があったよ。マジ死んだんじゃないかと思った。今も思ってる。

眠い!ねさせろ!

 

2020/7/8

はーねみねみ ねむいねむい

なーんも言うことねーわこりゃ 今日もハッピーでした 今日は体育でキックベースやったよ

あ~ねみねみ プール入りたかったな~

 

2020/7/10

今日はねえ 定期テストだったよ 平方根の±書き忘れるとかいうアホミスやらかしたよ アホだね

アキレウスの声でかすぎて敵の悲鳴聞こえんの草

あーなんか知らんけど太った しょんぼり おやつカルパス四つも食うからだよお前は

訓練に行かねば。

 

2020/7/11

クソでかい声でヘドバンしながら歌うと元気が出ます(体験談)

転落人生を歩むニトリのおじさん

「あきらめきれない夢を追う私の姿に 周囲の目は冷たいが」「Nウォームはあたたかい~♪」

「家は燃えて熱いが」「Nクールはひんやり~♪」

「夜の公園は寒いが」「Nウォームはあたたかい~♪」

「目頭は熱いが」「Nクールはひんやり~♪」

「死ねなかった朝の空気は冷たいが」「Nウォームはあたたかい~♪」

なんやこれ

 

2020/7/12

この前ドラマで自殺を疑われるような事件が起こってて、現場見てるときに刑事の一人が「でも洗濯物を残したまま自殺するでしょうか?不自然ではないですか?」って言ってたんだけど、逆になんで律義に洗濯物を干し終えてから死ななあかんの?死はいつでも突然なんだよ

メモ 忘れずにノート買う

てか第三志望の説明会の申し込みが今日あったんだけどね、一瞬で終わった(らしい)友人曰く1秒かからなかったんじゃないかと。

ちょ。やばすぎ。大爆笑案件。

 

2020/7/16

「今後とも よろしく」と君が言ったから 七月十六日は ゴリラ記念日(字余り)

あらすじ:バルバトスからむしった呼符を使い因数分解しながら片手でガチャを回したら金回転からのクソバカバスター太陽ゴリラのお出まし

なんなん?俺がお前のことを大変苦手としているっていうか六章のトラウマが抜けきらないことをよく知っての上で?何も考えずに回したら金回転来てうぉぉぉおお!?ついに新シンか!?と思ったら憎しみのあまりすっかり覚えきってしまった顔を見るテンションジェットコースターされた俺の気持ちにもなって

ばーか!お前にやる種火何てねーよ!全部すまないさんに回してるんだばーっか!とは言いながらNPチャージが便利だから槍周回のためにも育てるしかない…悔しい!

べ、別にあんたが嫌ってわけじゃないんだからね!

誰も得しないツンデレをやめろ

 

2020/07/22
昨日はうなぎを食った 美味かった
そして人理修復完了
こんな時に限ってめちゃくちゃ四コマのネタ思いつくんよな
塾ちょっと寒い
てか前回書いてから一週間近く経ってない?まぁいっか

明日から地獄の夏期講習です。がんばるね。
 

7月も終わりに近づいたある日。第二師団のメンバーは講堂に集められていた。

第二師団の司令官であり顧問である伊吹上官が、全員が集まったのを確認して口を開く。

「俺から君たちに伝えることはただ一つ。会敵だ。」

その言葉を証明するように、遠くで空砲の音がした。

受験戦争―――それは人生において避けられない戦い。槍の雨が降り、血で血を洗う凄まじい戦争。毎年多くの学生たちがこの戦争に挑み、その若き情熱と命を散らしていく。今、受験戦争に挑もうとする兵たちがここに九人。いずれ彼らは一騎当千の並ぶものなき英雄へと成長していく。この物語は、その旅路を記録したものである。

 

2020年7月 千葉県某所・学生軍訓練所にて

「さて諸君、君たちは今この瞬間から『学生軍千葉部 第二師団』の誇り高き兵士である!」

「はい!」

ほこりっぽい教室に、上官の覇気のある声がとどろく。まさに轟くという表現が正しいようなその大きな声は、まだ学生気分の抜けきらない訓練兵たちの背筋をびしりと叩きつけるように伸ばした。

学生軍に入ってからの二年間でみっちり仕込まれた返事が意識する前に口から出てくるのを感じながら、訓練兵キラスケは一人こっそり笑っていた。

(いよいよこの舞台にやってきた。正直言って別に来たいとか一度も言ってないけどまぁ来てしまったからには仕方ない!せいぜい楽しんでやりますか!)

舐め散らかしているのか大物なのか分からないその思考回路を読み取ったのか、上官がキラスケのほうを少し睨む。キラスケは慌てて目をそらし、人畜無害ですよ僕はという顔をして見せた。

「それではこれより第二師団の役職任命式を行う。まずはカレン、お前を第二師団団長、そして空母艦艦長として任命する」

上官に呼ばれて一歩前へと出てきたのは虫一匹殺せなさそうな優し気な顔をした長髪の少女だった。一見穏やかでどこにでもいる女子学生といった風貌だが、見る目のあるものならその体のこなしの熟達っぷり、瞳の奥に光る確固たる意志に驚くことだろう。カレンはこの訓練所において、入隊以来二年間トップを譲ったことのない不動の女王であった。むろん、彼女に団長兼空母艦艦長といういささか大きすぎるほどの大役を背負わせることに異議を唱える者は誰もいない。

「がんばりまーす。」

カレンは渡された勲章を受け取ると、明るい声で返事をしてぺこりと一つお辞儀をした。彼女はその地位、実力に反して人を圧する威厳というものがまるでない人間であった。いつでも年相応に明るく天真爛漫であり、かつ一癖も二癖もある訓練兵たちを従わせるカリスマの持ち主がカレンという少女だ。

「つづいて、航空隊隊長として、ツバサを任命する。お前なら心配はいらんだろう。」

「光栄です、精一杯務めさせていただきます。」

次に前に出たのは凛とした顔つきの少年であった。まだ幼さを残した雰囲気ながらも、堂々たる居ずまいは彼が確かに英雄の卵であることを感じさせる。ツバサは名前からしてまさにパイロットになるべくして生まれたような存在であり、この訓練所を代表する軍でも屈指の飛行機乗りだ。パイロットは受験戦争における全科目で優秀な成績を修めなければなることすらできず、その中でエースパイロットと言えば言わずもがなのエリート。上官からの信頼も厚い。

「えーそれから、遊撃隊隊長にリョータ、斥候部長にノリミツ、戦車隊隊長にミナミを任命する。お前ら、しっかりやれよ。」

次いで3人が前に出た。ゲリラ戦や対人戦を専門とする少数精鋭、遊撃隊の隊長に任命されたリョータはいかにもと言った風貌のがっしりした色黒の少年だ。斥候部長のノリミツは小柄ですばしこそうな少年。戦車隊隊長のミナミは泰然自若としたポニーテールの少女だった。

「頑張ります」「任せてください」

少年二人が次々にこたえる中、ミナミはぼんやりと遠くを見ていた。カレンが慌ててミナミを小突き、「ミナミ、呼ばれてるよ」と耳打ちした。

「…ん?」

ミナミはたった今帰ってきましたと言わんばかりの様子で前を向くと、あきれたような顔の上官に気づき、「あっすいません、頑張ります」とお辞儀をした。ミナミは火力が必要とされる戦車隊の隊長に任命されるだけあり、安定した火力をたたき出せることが強みなのだが…いかんせんあまりにも人の話を聞かないという難点がある。聞いてはいるのだが、彼女の脳みそを通過するにあたって超訳飛躍尾ひれに尾ひれがつきまくり出てくるころには原形をとどめなくなっているのだ。「キャッチボールをしようとしているのに書道具を持ち出してきた」とかつてツバサがたとえたのがミナミのマイペースさの全てを表しているだろう。

「…はぁ。うん。まぁ、いいだろう。ミナミはそういうやつだ。」

上官はもう何を言っても仕方ないとため息をつくと、一度咳払いをして再び任命書を読み上げ始めた。

「また、ウツミは特級衛生兵に昇格。ハルヤも特級通信兵に昇格だ。それからユウジ、お前には作戦参謀を担当してもらう。できるな?」

ウツミと呼ばれた気の弱そうな少年は小さくお辞儀をすると考えこむようにうつむいた。美形の少年…ハルヤは不安そうながらもぎゅっと口を引き結んでうなずいた。全体的に黒いな、という印象を受ける目鼻立ちのしっかりした少年、ユウジは「…わかんないっす。がんばりますけど」と答えた。ウツミは戦闘面においては特筆すべきところはないが周りへの気配りや後方支援という点で頭一つ抜けている。一方ハルヤは戦闘もまあまあにこなせる器用なタイプであったが、他のメンバーが戦闘しかできないため後方支援である通信兵および機械技師を任されたようだ。ユウジは訓練所の中で一番の古株メンバーであり、学生軍のほかの部…つまりこれから敵になる奴らともつながりを持っている。戦況についての情報を得やすいという利点を買われ作戦参謀を任命されたのだろう。

「以上で役職任命式を終了する。ほかは各自渡された部隊割を確認するように。それでは諸君らの健闘を祈る…必ず生きて帰ってこい。」

上官の言葉に、訓練兵…もとい、第二師団のメンバーは敬礼で返した。これからついに、二年間準備してきた受験戦争の本番が始まる。恐ろしいような、ワクワクするような爆発しそうな気持に、兵士たちは胸が高鳴るのを感じていた。自然に今までの訓練の日々が思い出される。これまでもなかなかに厳しかったが、これからはさらに過酷な命を懸けた戦場へと踏み出していくのだ。まだ十五歳程度の少年少女である彼らが緊張するのも無理は無い。

(あ~何にも任命されなかった!よかったよ責任背負うのとかやだもん疲れるもん僕は一兵卒として気楽に頑張らせてもらお~)

そんな中、やはり先ほど同様舐め散らかした態度の奴が一人。先ほど呼ばれた八人と同様最前列に並んでいたものの、キラスケのキの字も呼ばれなかったあいつである。どうにも責任感とか昇進する喜びとかに欠けているこの現代っ子野郎は他の八人を眺め、(せいぜいがんばれ!少年少女!)と完全に他人事だと思っている。

「それでは解散……待った。一人任命を忘れていた。」

そのとき、上官が任命書の最後に何かを見つけて目を細めた。キラスケは嫌な予感を察知して上官の横顔をじっと見る。上官は任命書を見たまま、「課題十倍」を宣言するのと同じ声で(少なくともキラスケにはそう感じられた)、こう告げた。

「キラスケ。お前は潜水艦長だ。」

 

ここで受験戦争において多少解説をする。受験戦争とは毎年学生軍と高校軍の間で行われる戦争―――高校への入学権をかけて行われる凄惨な戦争である。学生軍は高校軍側の陣地に乗り込み、『国語』『数学』『英語』『理科』『社会』の五つの科目においてどれだけ点数を取れるかを競う。表向きは学生対高校、あくまで戦闘は高校側が学生の素質を確かめるものという構図が取られているが…実際のところ、それは学生同士の蹴落としあい。高校入学のためならば友人を裏切ることさえまかりとおる、まごうことなき戦争なのだ。

学生軍はいくつかの部…それぞれ一般には塾と呼ばれる集団に分けられる。まれに塾に所属しないフリーランスの兵士もいるが、ここ千葉ではそのような存在はここ数年ほとんど表舞台に出てくることは無かった。塾に所属した学生たちはまず訓練所で二年間鍛えられ、三年目に前線へと出発する。

受験戦争のルールはいたってシンプルだ。強いものが勝つ。最も必要とされるのは当然戦力であることに間違いはないが、そこには準備段階でどこに重きを置くかという戦略性、天に味方されるという運も欠かしてはならない要素だ。

受験戦争では、主に海の多い『国語』『英語』、陸の多い『社会』『理科』、屋内模擬森林で戦う『数学』の三つのフィールドにおいてそれぞれ科せられるミッションをクリアすればするほど点数が上がっていくというシステムの元戦う。どれも配点は等しく百点満点。一点特化型の兵士もいるにはいるが、それではトップにはたどり着けない。どのフィールドにおいても基本有利になるパイロットが優秀とされるのもその所以だ。

また、受験戦争では同じ部の仲間で殺しあうことさえありえる。今はこのようにして仲良く横並びに並んでいる彼らだが…いずれ対決することもあるだろう。だが今はまだその時ではなかった。

 

先ほど役職に任命された九人は、第二師団の本拠地となる空母艦の一室…艦長室に集まっていた。

「ついに始まったねぇ」

初めに口を開いたのはミナミだった。相変わらず何を考えているのか読み切れない表情で頬杖をついている。それに言葉を続けるものはいなかったが、この場の誰もが同じ気持であった。ついに、ついに始まった。否、始まってしまった、というのが正しいか。死を恐れる気持ちを忘れるな、とは訓練所の顧問である上官の口癖だった。誇らしさと怖さが入り混じったような空気が艦長室に満ちていた。

「…あんまり緊張しても意味ないよ。まだあと半年は演習が続くから大丈夫。それぞれの部隊の指揮をどうするか話し合ってから、景気づけに美味しいものでも食べよう。」

重々しい空気を払ったのは団長であるカレンだった。不安を遠ざける太陽のような彼女の声に、皆の顔が和らぐ。

「そうしよう」「賛成」

「じゃあ、まずは戦車隊から…」

九人は紙を広げ、互いにわあわあと話し始めた。

 

夜。穏やかにさそり座が光る空を眺めながら、キラスケはひとり自室で机に向かっていた。手元にはどこにでもあるノートが一冊開かれている。何かを書こうとしているが、どうにも書き出しが思いつかないようだ。ページの一番上には『受験戦記』とタイトルがつけられている。

うんうんうなってみたり、持ち込んだ備品である小説をぱらぱらめくってみたりするものの、思いついたどれもアンナ・カレーニナを超えることはできないと悟りキラスケはため息をついた。

「ま、どうせ誰かに読ませるものでもないし~…もういいや適当で!」

小一時間迷ったわりにあっさりとあきらめ、キラスケはペンを握った。

 

 

2020/7/1

現在22:28である。ねむい。

どうしてTwitterやめたの僕?どうしてそれで生きていけると思ったんや?一日目にしてロスだぞ?

ねむい。あーねむい。

プーサーの宝具の時トリが全然承認くれないの、あいつ寝てるから説が急浮上

このノートは受験戦記と題しまぁ、Twitter代わりにでも使うものだけど俺知ってるよ?たぶんこれがこのノート書くの最後になる。いつもそうだもん。俺知ってる。

あとこの戦記にはFGOネタを大量に含むから注意してほしい

ねむい。おやすみ。

 

2020/7/2

っはっはっはっはっは!ざまーみやがれ昨日の僕!二日続けたぞ!

というわけで現在16:14。学校から帰ってきたところ。またTwitter開こうとしてるもう!もう!マジpixivに生かされてる感はある…pixivありがと…どうしてTwitterやめたのかは分からんけど一週間も待たずに「戻ってきたよ☆」はアカンのでね。多少はね。

今までニキビ何て発生したことなかった僕のスーパーたまはだ()にここ最近ニキビ多発してるのマスクの所為だわ…とっととマスクはずしてぇ

今現在の瞬間に対して感じるなつかしさっていうのは、「きっといつかこの瞬間を思い出して何か思うのだろうな」っていう未来に対するなつかしさみたいなものなのかもしれない。

明日の小テスト練習まで終わらそうと思ったけど叶わなかった…つかれたから寝ますね

博物館に展示してある昔の本とか読めるようになりたい

 

2020/7/4

うーっす。やっぱ毎日は書けない。

昨日は体調不良で死んでた。「なぁーに何事もやればできるさげほっかはっ」って感じで倒れましたね。ええ。塾はぶっちです。ほんとに僕ってばダメなやつですね。こんなやつに潜水艦長まかせるとか正気なんか上官は?

にきびなおらんのじゃが…ぴえん

しばらく準備してた牛バサ丸連戦、見事三ターンクリアです おめざーす!いよいよバビロニアもクライマックスか…とは言えどもここからの戦闘もきついのでまた育成育成。とりまマーリンを最終再臨まで上げて、すまないさんとバサ組育てて、スキル…上げ…。孔明とマーリンで輝石だけでも64個以上必要なん、端的に言って”絶望”だよな

マジでふとした瞬間にトゥイッター開きそうになるしユーチューブ超見てぇし絵は三億枚くらい書きたいしpixiv死ぬまで漁りたいしブックオフで軽トラ一個ひつようなくらい本買いてぇし意識飛ぶまでスプラしてぇしディズニーランドで暮らしてぇ…「受験終わった後の三年のテンションwww」とか言ってマジスマンね…これはああなるわ…

リゼロ二期くるじゃん!やったぁ!()

T少年がなんかテストの成績悪かったって落ち込んでる!がんばれT!負けるなT!思いつめすぎると我々みたいになるぞ!

はぁい!勉強します!

そうそう!呼符六枚でホームズチャレンジやったんだけど見事失敗したよね!「アイス一緒に食べよ~」っつって回したんだけど流石世界最高の探偵、アイス本当は用意してないのバレました。ビリーとプニキと礼装の天草と雁夜おじさんは釣れたよ。ごめんね。アイスないんだ。

 

2020/7/5

はーらへったー。

あぁバビロニアを救っちまったよ…兄貴が見事ボルってくれたよ…楽しかったけどつらいよ…この長い旅ももうすぐ終わっちゃうだなんて信じられない…楽しかったなぁ人理修復…もう人理とかよくない?燃えたまんまでよくない?ロマニとマシュとダヴィンチちゃんとその他僕の大切なサーヴァントたちがいてくれればマジ世界にほかの人間とかいなくてもよくない?ゲームをクリアするのがつらい時なんてあるんだね…

やめて!魔術王ソロモンの特殊能力で人理を焼き払われたら、闇の労働でずっとがんばってたロマニの精神まで燃え尽きちゃう!

お願い、死なないでロマニ・アーキマン!

あんたが今ここで倒れたら、マシュやダヴィンチちゃんとの約束はどうなっちゃうの?レッドブルはまだ残ってる。ここを耐えれば、人理を修復できるんだから!

次回、「アーキマン 死す」令呪スタンバイ!

 

 

未だ前線に出ずとも、戦場での日々は続く。

受験戦争…彼らの戦いはまだ、始まったばかりであった。