大和作戦開始から数時間後、ゲリラ隊と遊撃隊が交戦している海岸近くの森。

 「こちらツバサ。リョータ、お前が今いる場所から五十メートルほど離れたところに単騎の敵兵を視認した。おそらく最後のゲリラ隊だ、行って叩いてくれ。」

 森の中を見回っていたリョータは通信機から聞こえる声に一時立ち止まった。上空から偵察、そして攻撃準備をしているツバサの声だった。リョータはすぐに周りを見回しそれらしき影が見えないか確認する。視界が悪いが、何となく足音のようなものを斜め前の方向に聞き取った。

 「確認した。任せといて。」

 リョータはそういうと通信を切り、音のする方向へ静かに歩き始めた。作戦が始まってから約四十分。すでに報告によっておおよその人間は目的ポイント付近まで集められていることが確認されている。この分なら航空隊を無理に出さずとも、遊撃隊によってゲリラ隊を殲滅可能だということも。相手は突如として後ろから現れた姿の見えない敵に予想通り混乱している。カレンたちによる砲撃戦もキラスケの助太刀とミナミの戦車隊の思わぬ頑張りによって今のところ優勢だ。ここでゲリラ隊も殲滅させれば大和作戦は上々の終了。リョータは意気込んでかすかに見え始めた敵影へと向かって行く。目的ポイント付近で確認されていない敵の隊員は残り一名。先ほどユウジが扮した、イオリという少年だけだ。彼は足がとんでもなく速い、とユウジから情報を受け取っている。逃げられて情報を渡されてしまえばまた状況は一気に悪くなってしまう。できるだけ相手に感づかれないように、静かに、静かに。四十、三十、二十…どんどんと距離は縮まっていく。まだ相手は変わった動きを見せないが、流石にこちらの存在には気づいているだろう。おそらく敵か味方かいまいち判断がつきかねている。慎重に、確実に追い詰める。

じりじり、じりじりと距離を詰め、十メートルほどの距離まで近づいた。服装と顔をはっきり見て、イオリであることを確認する。ユウジの言っていた通り、確かに「へらへらしていてつかみどころのない奴」という感じだ。まだしゃべってもいないので分からないが、居住まいや表情からは全く実力が読み取れない。同じく学校でのクラスメイト同士であるキラスケからは「あいつちょー腹立つよ!毎日イオリが足首粉砕骨折しますように、って神に祈ってるくらいね。でも、マジな話ちょー強い。まぁ僕とあいつで戦えば得意分野が全然違うから勝負にならないけど、たぶんリョータなら同じ方向で戦うことになると思う。気を付けてね、超マジ変態クソへらへら野郎だけど。」と要約すると情報量が十分の一になりそうなアドバイスをもらっている。目の前の男とキラスケが「強い」と言う彼がなかなか結び付かないが、厄介な相手であることは間違いないだろう。

 もはやイオリとの距離は十メートルも無かった。間違いなく向こうもこちらが敵であると気づいている。逃げられる前に、とリョータは勢いよく飛び出した。

 「動くな!」

 腰のホルスターから素早く拳銃を抜き、相手に向ける。あたっても死なないよう威力は抑えられているが、それでもこの受験戦争で個人に直接あたる武器としてはかなり高ランクの威力だ。敵もこちらに向きなおり、同様に拳銃を取り出した。向こうは旧式の六発リボルバー式拳銃、対してこちらは十発まで撃てるオートマチック。ただしこちらは弾倉を持っていない。追加の弾を持っていれば向こうの勝ち、そうでなければこちらの勝ちと言ったところだろう。ならば…

 まず一つ。鋭い音が鼓膜を叩き、反動で手がしびれる。イオリの足元で土が弾けた。これで交戦の意思をはっきりと示すことができる。予想通り、イオリが引き金に手をかけ、力を込めた。

 銃声、跳躍。姿勢を低くして斜め前へ跳び、距離を詰める。一瞬遅れて、先ほどまで自分が立っていた場所に銃弾が突き刺さった。自分のものよりおそらく威力が強い。一発でも当たれば動けなくなるだろう。硝煙の匂いがあたりに漂い、いやがおうにも場の緊張は加速していく。ステップ、ステップ、一瞬たりとも休まずに駆け続け、敵のもとへと距離を詰める。跳躍している間は動きが読みやすくなる。そこを狙われないよう、できるだけ不規則な動きで敵を惑わせる。二発、三発と続けてイオリが引き金を引く。だが、そのどちらもリョータに当たることはない。

 折り返し地点だ。あと二発を待ち、一撃を食らわせる。イオリが再び拳銃をしっかりと握りなおしたのを見て、リョータはまた避けようと足を繰り出した。その時。

 「…!」

 一瞬の違和感に反射神経で後ろへ飛びのく。鼻先を銃弾がかすめ、確かに命を削る響きを持った音が駆け抜けていった。読まれている。この短期間で自分の動きが読まれた、という底知れない恐怖に背筋が寒くなる。リョータは思わず退き、イオリのことをじっと見つめた。

 「…あー、外したか。」

 ぼんやりとつぶやいた声は思っていたよりはるかに少年らしかった。分からない。今も油断しきったような様子でこちらに緩やかに狙いを定めながら薄く笑っている彼のことが、分からない。今までは落ち着いていた心拍数が不自然に高まり、思考回路がうまく動かなくなる。今使った弾は四発。あと二発のうち、この調子であればどちらかは必ず当たる。相変わらずイオリはこちらを狙っているようでいないような緩さで拳銃を握っている。余裕があるように見える。それが不安を増大させる。

 「動かないなら、撃つけど。」

 イオリが引き金に手をかけた。リョータは再び前方へ駆けだし、時折左右に動きながら距離を詰めていく。二人の間は残り三メートル弱。リョータがまた右に踏み出しかけたのを見て、イオリの目がすうっと細くなった。自分が左利きであるゆえに右という方向が苦手であることをすでに読まれている。イオリの手に力が籠もる。どちらかは当たる二発の、片一方。一瞬が永遠にも感じられるほどの時間が流れ、スローモーションになった世界で銃口が火をふいた。当たる。それ以外の未来が見えないほどに完璧な弾だった。だが。

 「フェ、イ、ン、トだァっ!」

 声は下からえぐり上げるようにイオリの右手を貫いた。力強い拳が手首を打ちぬき、拳銃が宙を舞う。

 「…嘘」

 イオリに言えたのはそれだけだった。先ほどリョータは右に踏み出した。間違いなく。しかしそこから到底一介の学生にはできると思えないほどの超人的な身のこなしを見せ、イオリのすぐ目の前まで跳躍していたのだ。はっきり言ってリョータ本人にもなぜそこまでできたのかは分からなかった。多分一時的にシルベスター・スタローンかキアヌ・リーブスの霊でも憑りついてくれたのだろう。まだ二人ともご健在だが。とにかく火事場の馬鹿力によって形勢は一気に逆転した。もとから五発撃ったところで攻めに転じる予定だった。まだあと一発残っているという余裕がわずかな油断を生み出すだろうと考えてのことだ。果たしてその作戦は大成功。

 「さあ、観念してもらおう。」

 セリフまで気持ちランボーに寄せながらリョータは拳銃をイオリに突き付けた。イオリは驚きながらもやれやれ、と言った様子でため息をついた。「何がおかしいんだよ、」と口を開きかけた瞬間。

 弾がまだ残っているという油断。それは当然こちらにもある。

 「……あれっ」

 リョータは自分の体がひっくり返っていることに気が付いた。視界の端を、自分の拳銃が飛んでいく。手首と足首がやけに痛い。

 そう。つまり。

 (あっ俺、もしかしてピンチだなこれ)

 そういうことである。

 

 ミナミは海岸からカレンたちの砲撃戦をにらむように見ていた。現在、状況はわずかにこちらが優勢。キラスケの奇襲により敵艦が二隻戦闘不能になったためであった。だが、それを含めても「わずかに優勢」でしかない。こちらの艦隊の被害もなかなかのものだったのだ。キラスケの潜水艦も小型ゆえにもうそろそろ積んできた弾や魚雷が切れるだろう。いるだけで抑止力となる潜水艦だが、物理的に戦力とはならなくなる。ミナミはそれを考え、唇をかんだ。自分たち戦車隊が踏ん張らなくてはいけない。

 ミナミはユウジに通信をつなぎ、現状の報告をした。その間にも隣からは雨のように砲弾が撃ちだされている。海岸に近いポイントで艦隊がにらみ合っているゆえに、頼りないが戦車でも攻撃が可能なのだ。

 「…という感じなんだけど。」

 「なるほど。ゲリラ隊のほうは遊撃隊がうまくやってくれているから、そろそろ作戦的には退いても構わないな。よし、遊撃隊もしくは航空隊からゲリラ隊殲滅の報告が入り次第、撤退の指示を出す。その途中でポイントBで漂っているノリミツたちをピックアップしてくれ。」

 「了解。ひとつ提案があるんだけど、退くにあたって殿役は私たちが務めてもいい?」

 「いいけど…艦隊が追ってきた場合も対処できるのか?相手の被害も大きいから深追いはしてこないと思うが。」

 戦車はもともと陸上の戦闘で使うものだ。対水上となるとどうしても分が悪くなってしまう。だが、それでもミナミは殿を務めたいと思っていた。

 「うん。今のところ戦力はうちが一番残ってる。それにロングレンジがうちにはいるからね。任せて。」

 ミナミは力強くうなずき、マイクに声を渡す。ユウジは数秒迷ったのち、「わかった」と返した。

 「そこまで言うなら。でも一応、航空隊もつけるよ。」

 「それはお願いするわ。じゃ、よろしくー」

 ミナミは通信機を置くと、顔を上げて遠くの艦隊を見た。直接見ることはもちろん不可能だが、そこにカレンがいるのだと感じられる。彼女が作り上げ、誇りを持っている唯一無二の艦隊。自分たちの居場所であり、頼るべき守護神のようなものだった。自分は今からカレンがしてくれたことに恩返しをする。彼女が作ってくれた居場所、ともに戦ってくれたこと。それを今度は自分が守る番なのだ。

 「こちらキラスケ、最後の弾を撃ちました!いや正確にはまだ予備はあるんだけど、予備まで撃っちゃうとよくないっていうのは分かるよね?というわけであと、よろしくー!」

 通信機からキラスケの軽薄な声が流れる。いよいよ戦局は大詰めだ。ミナミは自身の戦車に乗り込み、レバーを握った。

 「戦車隊総員に隊長ミナミより通達!これよりポイントCに移動しつつ艦隊を援護する。総員私に続け!」

 「…気合が入ってますね、隊長。」

 「当然。だって私、あの子の親友だもの。親友を助けたい…って言ったら恥ずかしいけど、そんな感じだよ。」

 二人乗りの戦車にはミナミのほかに副隊長であるアモンも乗っていた。いつも天然でマイペースなミナミの珍しく真剣な表情に、アモンは驚いたようにかすかに目を見張る。ミナミはそれを見てやっぱ恥ずかしいこと言ったな、と思ってごまかすように笑った。

 けれど、ミナミの「助けたい」という思いは本物だった。縁というのは不思議なものだ、とミナミは思う。それは運命と言い換えてもいいかもしれない。不思議な力で人と人とを繋ぎ、あるいは引き裂くもの。ミナミは無神論者だが、縁を結ぶなにかについては信じていた。

 カレンとミナミは幼いころから友人だった。お互いの家が近いというただそれだけの理由で。はじめ、二人にはそれしか接点がなかった。片や地元では名の知れた建設会社社長の娘で、勉強も音楽もできるその名の通り可憐な少女。片や普通の会社員の娘で、勉強はできるもののどこまでも凡な才能しかない少女。カレンは幼稚園の頃から私立の学校に通い、ミナミは地元の小学校に通っていた。だから、本来なら二人が仲良くなることなんてないはずだった。

 それはある春の日のこと。散り始めた桜を横目に見ながら、公園に行こうと母と一緒に家を出た時。

 「あら、お出かけですか?」

 同じタイミングで隣の家から出てきた二人組がいた。同じように母と娘の二人連れで、けれど自分たちよりなんとなく洗練された雰囲気だった。娘の方は同い年に見える。顔をじっと見つめると、さっと目をそらされてしまった。

 「ああ、天気がいいので今から公園に行こうと思って。…さんはどちらに?」

 「私たちもちょうど公園に桜を見に行くところ。あっそうそう、この前のことなんですけどね…」

 母親たちが話し始めたのを見て、ミナミはまた長くなるだろうな、と思ってげんなりした。どうしてこうママっていうのはおしゃべりが好きなのだろう。それでもまだ幼いミナミに母親をせかすという考えはない。しかたなくただぼうっと突っ立って待っていることにした。

 風が吹くたびに桜がはらはらと舞う。大人よりもずっと低い視点から見上げる桜は大きいを通り越して圧迫感さえ感じさせるような迫力で、視界がピンク一色に染まるようだった。かぶっていた帽子を上げると、柔らかな日差しが目をついた。春だというのに日の当たるところにいると汗が出るほど暑い。もう暑くなってきたから、はやく日陰の涼しいところにいって遊びたいな、とミナミは思った。

 桜のなかをメジロが泳ぐように飛んでいくのを目で追っていると、ふと目の前の少女と目が合った。変な子。小首をかしげて、じっと眺める。確か名前はカレンだった。アニメの魔法少女のような名前。保育園で一緒と遊ぶ子とは違う、大人びた表情。走り回るためではない、白いレースのワンピース。何もかもが自分と違った。でも、まだそれを具体的に言葉にできるほどの思考力は持ち合わせていない。なんとなく、嘘みたいな子だ、と思うだけだった。

 カレンも今度は目をそらさず、じっとこちらを見つめていた。母親はまだ話し続けているが、自分たちの間に言葉は無い。ただここに絵本でも置いたらいいかもしれない、と思うほどの微妙な距離がある。

 陽光が穏やかに、でもじりじりと二人の少女をあぶる。また一つ強い風が起きて、桜吹雪が髪を絡めながら吹き抜けていく。二人ともまだ何も言わない。穴が空くほどに見つめ、相手のことをわかろうとしながら、それでも距離を詰めようとはしない。

 「…じゃあ、公園一緒に行こうか、カレンちゃん」

 母の声にミナミは隣を見た。母親同士で一緒に公園に行こうということで話がまとまったらしい。母が一歩前に出て、カレンに視線を合わせるようにしゃがんだ。それに伴って、手を繋いでいたミナミも一歩前に出てしまう。距離が破られる。向こうがはっとしたようにこちらを見る。

 「…うん。」

 カレンは静かに、それでもしっかりと頷いて返事をした。母親が歩き出す。カレンは何か言おうとして口を開き、そしてまた閉じ、を二回ほど繰り返した。それを見て、ミナミは、

 「カレンちゃん。」と一言だけ呼びかけた。カレンは驚いたように目を見張って、それから満面の笑みになって「うん。」と頷いた。

 それが二人の出会いだった。その後、二人は一緒に遊ぶようになり、時には喧嘩もしながら今は互いに背を預ける親友となったわけなのだが、最初はただこれだけだった。桜の散る春にしてはやけに熱い道で、何も言わずに見つめ合ったこと。不思議なものだ。自分たちの友情に冒険やドラマは何もない。何でもない出会いから何でもない関係に発展し、だというのにここまで懐かしく美しく思える。何気ない日常が一番素晴らしいだなんて陳腐にも程がある言葉だが、戦場に立つ今だけは心の底からそれに同意できた。

 だからこそ。だからこそ、私はここで負けるわけにはいかない。陳腐でかまわない日常を守るために、ありふれた奇跡を失わないために。

 「行こう、アモン!」

 ミナミはギアを入れ、レバーを思いっきり前に倒した。

 

 ミナミの戦車隊が移動を開始したのとほぼ同じ時刻。海の深くでキラスケ操る潜水艦はゆっくりと航行していた。戦況は思った通りになり、敵艦も二隻沈めることができた。戦績としては上々だろう。今は弾も撃ち尽くし、敵に圧力をかけつつ合流地点へと戻っていく最中だった。

 通信からは上で色々な人が頑張っている様子が聞こえてくる。それに比べ海の中は(時折砲弾が降ってくるのを除けば)おおよそ平和であった。もちろんしっかりと操縦はしなくてはいけないが、少し余裕ができた。さて、先ほどの記録作業を再開するか、とキラスケはノートを広げた。

 

 

2020/08/16
やっほー。間休み終わったよー。
ねぇ5周年記念やばぁい、、、楽しい、、、めっちゃガチャ回せる
バニヤンちゃんゲット!!
キャストリアとアルテラ出た。あとネロちゃんとか。
巌窟王をキャラメルコーンで出そうと思ったら沖田さん来たよ。嬉し、、、くねぇよ。いや別に良いけど巌窟王〜〜〜!!来年こそは来て!!!来年はコーヒー用意しとくから、、、
キャストリアはチーズケーキとアイスで来た
ヒルメッシはエビピラフおにぎり。
昨日は世界一のからあげ食ったよ。熱かった。
バンメッシは揚げ鶏とミルクフランスとコールスローサラダ。まーたがっつり食っちゃったよーもー

2020/08/17
新シン非公式ピックアップ!!結果発表!!じゃかじゃん!
可愛いパンダさんに釣られてやってきたのは〜〜〜!?
ロビン!(4人目)アヴィケブロン!(5人目)ゼルレッチ(剣の方)!(2枚)荊軻ちゃん!呂布!(数えてない)あとなんか忘れた2人!そして〜〜〜!!
リミゼロ!!!!!!
そっかぁ!!!!!!
でもまぁリミゼロ自体は普通に嬉しいのでベディにつけて使うわ
パンダさんを触媒にしたせいか心なしか中国鯖多い気がする。ていうか明らかに多い。
この調子で引けば多分次回には出るよ!出なくてもいつかの星4交換で引きずり出せ!ふぅ!以上!
ヒルメッシはクロワッサン。あめーうめー。
もうここ受験戦記っていうかえふごプレイ日記では?
あっっっ聞いて!ロビンレベマになった!(70)これで明日からたくさんイーバウできるね!!!やったぁ!!!
最終再臨しんど、、、尊い的な意味でしんど、、、素材的な意味では超優秀だった
ねーもー鳳凰の羽5億枚よこせ
証も1兆個欲しい
つか5000兆円欲しい!!!
ふぃー
バンメッシはとりからおにぎりとコールスローサラダ。からい。
シーラカンスは恐竜ではないねん、、、ねん、、、、
アールグレイアフォガートフラペチーノ(めも)
ねも ねも〜

2020/08/18
やばいよーーーーーーーーーーーーーこの世一反省してる今、、、ちゃんと数学復習しときゃ良かった、、、ごめんね皆様、、、唐突なアポラインテスト完全にやらかした、、、
やだもう絶対怒ってるよ上官ほんと俺が100パー悪いのが怖さに拍車を掛けているよもう
よし、後悔終わり
反省して今日から頑張る
具体的には朝ダラダラせずにPBチェックと熟語テストの勉強をする
どうしてもえふごやりたいときは夜にやる、、、
ヒルメッシはそういう訳で食えんかった
さらに言うと英語のPBチェックもやったわ
あーーーー反省
バンメッシは昼の予定だったもちもちフランスパン(カスタード)とチャーハンおにぎり。セブン毎日新商品増えてない?すごいんだけど
新発売のアップルカスタードパイ買ってくれよ明日のわたし!数学44点でがっかりしてる今日の私のために!
やっぱでもね、わたしはたぶん文系だと思うんだよね。でもなーーーー父上に「へん」って笑われるのクソムカつくなぁー!まぁいいや気にしなければ
つか夏イベ絶対に回らないという堅い決意2秒で破れた、、、「いやエミヤの霊衣だけ」とか言ってたらもう、、、もう、、、でもほんとにちゃんとエミヤのれーい取ったらおしまいにするから!ほんとに!!ケツイがみなぎってる!!
あっっっっっっ!?!?キアラ姐さんの水着人魚姫なの、アンデルセン繋がりで!?!?デルセン先生が苦虫を500匹くらい噛み潰したような顔を!!デルセン先生!!!
デルセン先生のモーション変わったよ おめでとう!いつまでも鬱憤を飛ばさなくていいね!きれいな鬱憤を飛ばすようになった まだ見てねぇけど

2020/08/20
おファック!!!!!
風邪引きますた、、、ちね、、、
マジでつらみが深すぎる 昨日ちゃんと休んどけばよかったぁ〜〜〜
時すでにお寿司
というわけで脳内オカン(エミヤ)の「無理だけはするなマスター」というアドバイスを無視し塾に行くも「あ、これダメですわ」となり周りの「こいつどうしたよ、、、」という視線に耐えながら帰宅してまいりました現在10:20。はぁーーーー死ぬ、、、死にはしないよ?絶対に死にはしないんだけどこういう風邪ひく度「あー俺死ぬわ、、、」って思いながら寝てる
つか塾来て25分で帰るとか何?TASのなつやすみ?塾最速帰宅チャレンジかっての
体調悪いからジョークもさえません事よ?もダメだわこれ、、、休む
今脳内エミヤとアスピッピ先生に叱られた、、、アスピッピ先生きみうちに居ないよね???
ファック!ですわ
小児科いってきまーーーーー
結局あいてへんくて稲毛の耳鼻科の方に。帰りにご飯買って帰った。あのね、駅のお店の中のね、なんかグリーンなんとかっていう店で買った。あのね、蒸し鶏としその春巻きが美味しかった。めちゃくちゃ美味かった。
ちょっとわがままを言ってわらびもちを買ってもらいました。おいし。
あとほんとは塾で食べようと思ってた焼き鯖おにぎり。うめぇよ鯖最高
はぁ
寝るか
良くなったらまた塾行こうかとも思ってたけどそんな気力/zeroです。

2020/08/21
そして眠りに寝倒した翌日。
★完全復活★
とまではいかないけど、薬の効果えげつねぇなと思うくらいには良くなった。ありがとう薬。無かったら俺苦しさのあまり悪魔とかと契約してたかもしれない。
昨日行けなかった分を聞いてきた。
ヒルメッシは鮭おにぎり。いつもの味。
バンメッシはかつおめしと野菜ジュースとななパフェ。パへ、甘すぎ。味が喧嘩しすぎてて涙
肉まん食っちまったぁーーーぃ この時間にリスクを冒してまで食うほど美味いものではなかった しょんぼりんぬ
明日のわしへ 昼に薬飲め 忘れずに

2020/08/22
ヒルメッシは鯖おにぎり!薬飲んだ!唐突なアポラインテスト!サドンデス!さよなら!ありがとう!
バンメッシはすじこおにぎりと焼きおにぎりとアップル野菜ジュース。味の湾岸戦争や〜!
もぉ面白いものを摂取できないから冴えない!冴えない!やだぁー!
お気にの服来た私さ、なんか見たことあるシルエットやなと思って鏡みてたらあれだわ。太陽ゴリラの第2再臨だわ。ウワーーーッ(絶命)
服の構成はあんなになぎこちゃんににてるのに、なぜ???なぜ???なぜ???腰に手当てるとほんとに似てる 見せてあげたいくらい

2020/08/23
ぁあー
道でMちゃんとその一行に会ってさ、とりあえず手を振ってくれたから振り返したんだけど今思えばあいつ誰?Mちゃん以外の人誰?
ばっか死ねぇぇぇぇ!父上がスマホの時間勝手に変えやがりましたわーーー!夜と朝にしかゲーム出来ないから夜と朝にやってたのに夜と朝に機能制限かけやがったアホめぇぇええええ!!八つ当たりすんなし!
はいこの話おしまい そうならそうで別にいいし
つかゲームすんなって話だな
いつかのわたしよ、、、アップルカスタードパイ食べましたよ、、、君が食べたがってたアップルカスタードパイ、、、おいしいです、、、
パンとかおにぎり1個だとはらへりになるのでキットカット買ったけど若干多かったか知らん。
結論 昼飯にするにはチョコは甘すぎる
おやつならいいけどね
食事の時とか空き時間に何となく神的なあれにお祈りをしてるんだけど気分が乗らない日ってあるよね。お祈り気分が。
よぉ!
ぎぶみーぎぶみーちょこれいと たりないならなんかいでもってわたして ぎぶみーぎぶみー
まっっっず!?バンメッシのミルク揚げパンくそまっず!!ぁぁぁあハズレだったァァァさ、い、あ、く、、、
バンメッシはミルク揚げパンと野菜ジュース、、、あー変なの食うもんじゃないね
つまらん 正気か? ふん
目も当てられん駄作ぶりだな!
もう〆切か?仕方ない
ではお前の人生を書き上げよう タイトルは、、、そうだな メルヒェンマイネスレーベンス だ
〆切3秒前と見たーーーっ!
つか弟と交換こして引いたガチャから弟がオデュッセウス出したんだけどなに?お前は船に乗ってるギリシャ人を引く特技でもあんの?

2020/08/25
あいつアンリマユ引きやがった、、、バケモンか?
暑すぎてなーんもかんがえたくないでございます。ねむみ。

2020/08/26
つでいも元気だよ。弟は今日ランスロットとオケキャス(真名バレに配慮)を引いたよ。あいつすげぇな。もう訳わかんねぇよ。
テスト範囲、1ミリも終わりません お疲れ様でした、、、
ワークが怪しい ほんとに 終わるかどうかすら怪しい
まぁそんなこと言いながら終わらすんですけどね!はは!
朝に30分だけえふごやるということで心と事情の決着がついた

2020/08/27
ねみぃよ、、、朝6時に起きてちょっと勉強するという決意を固めてから一週間アホ眠過ぎて死ぬ、、、30分の違いがこんなに影響でます???
いけ モンスターエナジー!つかれを ふきとばせ!
つか夏イベついにクライマックスだけどバトルの処理が重すぎて僕の脆いスマホではなかなか進まない、、、後衛と交代する時がアホ重いから前衛だけで〆るわ
ほんと眠いなおい
眠いっつーか眠りに片足掴まれてて気を抜くと引きずり込まれる感じというか根本的に眠

2020/08/29
やっほほほい。夏イベメインストーリークリアでござる。徐福ちゃん、好きすぎるんだが実装せんの??
宿題を早めに終わらしてしまったせいでだんだんやることに困ってきました。テスト勉強やれ。
充電が31パーしかありませんことよ!?やば!
ヒルメッシはもう最近ずっと食ってる気がする焼き鯖おにぎり。ひとは鯖天使と僕を呼ぶ。なにその肩書き。
あれもしかしてガウェインが太陽のゴリラ、オリオンが月のゴリラ?すげぇ、、、太陽と月のゴリラ、、、

2020/08/30
はーーーーー!!地獄の夏期講習、おしまい!テスト、ろくなもんじゃなかったよ!おしまい!おしまい!もうおしまい!
エヴァ見てる、、、おもしろ
ヒルメッシは中華みんなで食ったうまかったぁ
というわけで長かった夏期講習もおわりです
まじで毎日勉強勉強勉強づくしでしたが意外と夏イベを全クリしちゃう余裕はありました。なんとか。夏イベ面白かった、、、うむ。良いストーリーだった。それもそうだし普通に怖かった。
シンジくん無茶ぶりされてる

2020/08/31
夏期講習編、おしまいの舞。
長かったですね。ですが短かった。
今まではまだ夏があるから、夏にやれば、という言い訳が出来ましたがこれからはそうもいきません。先行きは見えなくてハッキリ言うとまぁまぁ不安ではあるのですが、でもこんなに夏頑張ったんだぜ?きっと未来は明るい たぶん 知らんけど
でもまぁほんとに疲れましたね、、、寝る時間はがっつり減ってるし、もう授業中の眠さの質が今までと全く違います。ちぬ。ちなん。
というわけで季節も変わっていく中で体調崩して過労で死ぬとか無いように休む時はきっちり休もうと思います。
とりあえずpixivを開くな!マジで!
はい!いろいろ言いたいことあった気がするけど全部忘れたのでおしまい!
お粗末さまでした!

 

 

 息を吐く。細く、長く、落ち着いて。全身に力がみなぎるのを感じる。心臓は高く跳ねているが、思考は落ち着いていた。指先の震えをごまかすように手をぎゅっと強く握りしめる。負けない。絶対に。誰かのためでなく、自分のために。

 三メートルほど離れた先で、イオリが構えた。隙だらけに見えるが、うかつに手を出せば先ほどのように転がされる。リョータはもう一度息を吐きだした。拳銃を互いに失ってから約十五分。何回もぶつかり合い、リョータは一つの考えに至っていた。

 負けたくない。心の底から相手のことを打ち倒したい、と思っていた。これほどの激しい思いに身を囚われたのは彼にとっても初めてだった。かといって焦りはない。思考は澄み切っていて、次の一手、その次まで見えるようだった。楽しい、とリョータは思う。こいつとやり合うことは楽しいと。自然、口角が上がる。戦うのが楽しいだなんていう少年漫画的感情はあこがれることはあっても一生自分が体験することなんてないと思っていた。それも含めてすべてが楽しくて仕方なかった。許されるものならリョータは大声で笑いだしていただろう。

 イオリが動いた。自分から仕掛けてくるのは戦いが始まって以来初めてだ。防御姿勢を取ろうとしたときにはすでに自分のみぞおちをイオリの拳がえぐっていた。速い。今あいつ人間だったか?それほど信じられないスピードだった。とっさに後ろへと飛び衝撃は殺したものの、息ができなくなるほどの痛みがリョータを襲う。まともに入っていたら動けなくなっていたに違いない。なんて恐ろしく、そしてなんて楽しいのだろう。リョータは追撃を避けるように後ろへ転がり、起き上がった。

 今度はこちらの番だ。ゆっくりフェイントを交えつつ距離を詰める。イオリはじりじりと後ろへ下がる。それに合わせて、スピードを上げる。少しずつ、少しずつ。ついに拳が届くところまできた。右ストレート、左フック、右ボディ、畳みかけるように連撃を繰り出す。イオリはそれをひらひらと避けながら時折鋭い拳を飛ばす。ぶつけ、いなし、かわし、また攻撃する。その様子はある種対話に似ていた。リョータはだんだんイオリに対して友情のようなものを感じ始めた。

 また少し距離が空いたと思えば、次の瞬間には目の前でこちらを投げ飛ばそうとする相手と目が合う。それを避けて脇腹に膝蹴りを食らわせ、同時に自分のほほを相手の拳が貫く。もはや型も技もありはしなかった。とにかく相手に一撃でも多く食らわせる。それだけを考えてなりふり構わず戦っているというのに、彼らはある種洗練された美しさを備えていた。世界に自分たち二人しかいないように。時間が止まっているように。どんどん自分が高みへ昇っていくのを、リョータは感じていた。

 イオリの守りは少しずつほつれてきていた。堅牢であることに変わりはないが、どことなく隙が目立ってくる。体力が切れてきているのだろう。そろそろ終わらせよう。

 顎を狙った右の拳が空振りし、カウンターパンチが飛んでくる。それを腕で受け、リョータはわずかに後ろへ下がった。二人の距離が再び開く。

 この間合いなら、いける。

 リョータは今までメインで使っていた拳をおろした。何事かとイオリが警戒しようとしたとき。

 「なっ…!」

 イオリの頭めがけて、暴風、あるいは死神の鎌めいた勢いでリョータの左ハイが飛んだ。大好きなミルコ・クロコップにあこがれ、練習を続けていた渾身の左ハイ。まさに必殺の一撃。決まった、とリョータは確信した。良いのが入った感触が足から伝わり、獰猛に口角が吊り上がる。己の技量以上のものを引き出させてくれた彼に感謝のような気持ちを抱きながら、スローモーションになった世界でリョータはあり得ないものを見る。見てしまう。

 今までのへらへら笑いがはがれ、どこまでも冷酷に澄み切った蛇のようなイオリの目を。自分の足が当たっているのが彼の腕でしかないことを。その手によってそのまま掴まれる己の足首を。なんと、いう、ことだろう。いかな人間とて頭にめがけて飛んできた物体を避けてすぐさま攻撃に移ることは難しい。リョータが逆の立場なら、良くてガードが限界。その次、なんてとても考えられないだろう。その瞬間、リョータは心の底からキラスケとユウジの忠告を理解した。こいつは強い。ただ単なる技量というわけじゃない。常に先、一歩以上先を読むということにおいて彼は卓越した才能を持ち合わせている。

 完敗だった。

 視界が途切れる。顔面が思い切り地面に叩きつけられ、小石が口に入り込む。揺さぶられる脳みそで、ああ、ここでこいつを逃したら作戦が失敗に終わってしまう、と今更ながら自分の役目を思い出した。しかしもう体は動かない。アドレナリンでどうにかしていたあちこちの痛みが突然地獄の業火のようにリョータを襲った。一本くらい骨がやられているかもしれない。しかしうめき声さえも上げる気力はなかった。

 薄れていく意識の中、最後にリョータが聞いたものは。

 

 カレンは通信機から突然響いた声に驚いて肩を震わせた。隊の、あるいは師団の仲間であればこれほど驚くことはない。そこから聞こえた声は第二師団…いや、この塾の最高責任者である加賀将軍の声だった。

 「第二師団の諸君、聞こえているね?君たちの頑張りによって敵軍は撤退を決意した。これ以上深追いしないでくれ、との要請が先ほど敵軍最高司令官からあったよ。もちろん無視することも可能だが…どうするかね?」

 カレンは取り立てて意味の無いことだとわかりながらも、反射で通信機に向かって敬礼して答える。

 「はい!こちら第二師団団長、カレン大佐です!敵を目の前にして諦めるのは不名誉極まりないことでありますが…その…こちら側の損害も大きいです。将軍の命令にはもちろん従いますが、可能ならばどうか敵方の要請を呑んでいただきたい。どのような処罰も覚悟します。無様な姿をさらしたのは、全て私の責任です。」

 「団長…」

 後ろで副艦長であるミユキが何か言いたげに口を開く。それを手で制しながら、カレンは沙汰を待つような気持で聴覚に全神経を集中させた。場がしんと静まり返る。いくら団長であるとはいえ、それはあまりにも辛すぎる。隊員たちはカレンがどれだけ頑張っていたのかを知っている。だが結果はこの通りだ。兵士は疲弊し、弾は撃ち尽くし、今にも沈みそうな艦がいくつもある。撤退を決意した、ということはなんとか作戦自体はうまくいったのだろう。だが、損害で言うならこちらのほうが多い。でも、そうだとしても。

 通信は全ての隊員に聞こえていた。今戦場はとても静かだった。あれほどうるさく鳴っていた銃声が嘘のように止み、誰もが通信に耳を傾ける。思い出したように湿った南風が吹き抜けていく。ミユキは、いや全ての隊員は祈るような気持ちで耳を澄ましている。もしも、もしもこのふざけた世界でも、子供が銃を持って争うような残酷な世界でも、一片の正しさが残っているならば。どうか、どうか。

 戦場に長い沈黙が流れた。いや、実際それは数秒程度のものだったのかもしれない。ともかくその沈黙を破ったのは、ここにおいて本来は聞こえることのない声だった。

 「っふ、ふふふふ…」

 加賀将軍は笑っていた。拍子抜けするほど軽い笑い声にカレンをはじめとする一同はあっけにとられたように口を開ける。加賀将軍は何が可笑しいのかひとしきりくすくす笑いをしたあとに、また言葉をつづけた。

 「いや、大変失礼した。ごめんねカレン佐官、意地悪を言った。君、私が訓練兵時代に言ったことを忘れてないね?いつでも冷静に、一歩退いて全体を見るんだ。確かに序盤、君は冷静さを欠いてしまったようだ。だが、その後の立て直しは実に見事なものだったよ。君だけの功績ではないのだろうね、だが私が思うに…うん。カレン佐官。君はよく頑張った。先ほどだってきちんと自分の状況を冷静に判断して、上官である私にも話をしようとした。うん。実に素晴らしいよ。ご苦労様。」

 カレンがぽかん、と口を開けている。命を懸けるほどの覚悟をして臨んだというのに将軍があまりにも軽い調子で話すものだから、処理が追い付いていないのだ。めったに見ることのない団長の顔に、あー団長超かわいい!写真撮りたい!とミユキは奥歯を噛みしめた。

 「ええっと、それでは…」

 「ああ、もしかして君マジで私が怒ってると思ってた?いやないない、絶対ない!頑張ってない子に怒ることはあっても、ベストを尽くした人に怒るなんて上に立つものとして最低の行いじゃない?第二師団が出した損害についてはほとんど不問、それどころか勲章をあげたいくらいだね。まぁその、自滅した戦艦についてはちょっと話がしたいけど…。ともかく、現時刻をもって大和作戦は終了だ。お疲れ様、十分に休んでくれたまえ。あ、あと要請だけど、もう勝手に返事出しといてあるから。じゃあ、諸君、さよなら!」

 突然すぎる展開にテンションジェットコースターを食らったカレンだったが、何とか意地で「はい、ありがとうございます。光栄です…」と絞り出すように言葉を返す。どうやらこちらの返事にかかわらず、結果は既に決まっていたらしい。自分たち何とかなったんだという安堵と、なんで笑いやがってあの野郎という怒りと、未だに理解しきれない狐につままれたような感覚にカレンは「な、なんだったの…?」と思わず声を漏らした。加賀将軍のせいで事態はこんがらがったが…とにもかくにも長い戦いは一区切りついたようだった。通信機がもう一度光り、今度は隊の仲間たちの声が次々と飛び込んでくる。どの声も喜びと安心に満ち溢れた、久しぶりに聞く明るい声だった。

 「あ、見てください団長!敵艦が撤退していきます!」

 一人の少年の声に全員が揃って窓に駆け寄る。見れば、確かに戦艦がゆっくりと去っていくのが見えた。

 「こちらツバサ、捕らえていたゲリラ隊のメンバーを全員送り届けた。作戦は無事終了したな。…あぁー、疲れた!早く帰って休みたい…。あ、リョータはピックアップ済みだ。今からそちらに航空隊を引き連れて戻るから、着陸の準備をお願いします。」

 その声に遠くを見ると、先ほどやっと活躍できた我らがエースパイロットの飛行機がきらりと小さく光るのが見えた。カレンは「聞いてたよね、着陸の準備を整えて。」と指示を飛ばし、自分も甲板へと向かって行った。

 

 先ほど、イオリと対峙したリョータが絶体絶命のピンチに陥る前のこと。二人が互いに銃を失ったあたりで、実はツバサはすでに上空へとやってきていた。残りゲリラ隊は一人だけ。リョータが戦っている彼さえ捕まえればミッションクリアだ。だが…

 ツバサはしばらく上空を旋回し、様子を見ていた。今すぐにでもイオリに対して手を打つことはできた。しかし、ツバサはもう少し待とうと思っていた。一つ目の理由は二人がステゴロで戦っている故に機銃掃射ではリョータにも当たる可能性があるからということ。二つ目の理由は、二人の勝負を邪魔したくないという私情からだった。

 ツバサはエースパイロットだ。この状況について、どの角度から考えても取るべき最適解は「リョータに助太刀し、イオリを確実に捕らえる」だとわかっていた。だが、その判断を一時思いとどまらせるほどにイオリとリョータの間には真剣な空気があったのだ。それは完璧に設計され、積み重ねられていく建造物のような。あるいは、気まぐれのように自然が作り出した心打つ絶景のような。相反する性質をまったく矛盾なくまとめ上げながら、二人の勝負は続いていた。当然学生同士の勝負だ、本物には遠く及ばない。だが、それが何だというのだろう。まるく閉じられるように完成されたイオリとリョータの世界は、一人のエースパイロットを黙らせるに十分だったのだ。

 しかし、それも長くは持たなかった。

 「!マズい!」

 決着の一撃に見えた左ハイキックがカウンターを受け、リョータが地面に倒される。その様子を見て、ツバサはエースパイロットとしての判断を遂行させた。

 「止まれ、イオリ!止まらないと撃つぞ!」

 大声で呼びかけ、ツバサは軽く威嚇射撃をする。イオリははっと空を見上げたが、体力がもう無いのか、逃げようとはしなかった。とりあえず状況は落ち着いた。だがここには着陸するスペースもない。このままではどうにもならない。ツバサは手元の端末を操作し、遊撃隊の副隊長であるサヤカに位置情報を送った。

 「もうすぐお前を捕らえに来るから、おとなしくしておいてくれよ。」

 イオリははいはい分かりましたよ、というように肩をすくめて座り込む。確かにこいつは腹が立つ奴だ、とツバサは眉間にしわを寄せた。

 リョータはまだ起き上がろうとはしない。多分軽く脳震盪を起こしているのだろう。図らずも彼のピンチを救うような形になったことに、ツバサは運命的なものを感じていた。リョータは数少ない腹を割って話し合える友人の一人だ。友達を助けるとかなんかマンガみたいで良いな、とツバサは小さく喉の奥で笑った。

 たどり着いたサヤカがイオリを捕縛し、リョータもろとも引きずっていく。相変わらずクールで怖いもの知らずのやつだ。ツバサはそれを確認すると、ユウジに通信を送った。

 

 カレンは甲板で海を見ていた。すでに敵の戦艦は豆粒ほどに小さくなっており、眼下では飛行機から降りたパイロットと船員たちが和やかな雰囲気で談笑している。作戦が終了し、本拠地となる空母艦に続々と隊員が戻ってきていた。けが人も多く、ウツミと衛生スタッフが走り回っている。特にリョータは多数の切り傷、打撲に加えて左腕の骨にひびが入る重傷だ。カレンも外傷はないものの、強い疲労があるのを感じていた。しかしてんてこ舞いの衛生スタッフたちを見ていると、なかなか休みたいとは言い出せない。なので甲板で海を見るにとどめているのであった。

 夏の長い日がもう沈み始めていた。じりじりと蒸すような暑さがだんだん空へ還っていく。きらめく金星を見て、ああ理科の復習をしなくちゃ、とぼんやり思う。きっと今頃町では浴衣を着た人々がお祭りに繰り出しているのだろう。世界に戦争など無いような顔で。今ここで戦っている私たちだけではなく、より過酷な本物の命のやり取りに避けようもなく身を投じている異国の子供たちなど、存在していないような笑顔で。虫よけスプレーちゃんとした?花火楽しみだね。お母さんもっとお小遣いちょうだいよ。去年まで当たり前にいて、今でもありありと目の前に浮かべることのできるその風景が遠い遠い夢の中の出来事に思えた。私たちが去年までああして楽しんでいた間にさえ、誰かは戦っていたのだろう。でも、カレンはそれを憎らしいとも悲しいとも思わない。ただ、今年の花火はどんなにきれいだったのだろう、と思うだけだ。

 らしくないな、と首を振る。カレンはもともとあまり感傷的な性質ではない。むしろ切り替えの早さには自信があるほうだ。やっぱり疲れているんだ。日がだんだん沈んでいく。人も少しずつ撤収していく。早く眠ろう。他の隊員にもそう指示を出そう。そう思って振り向いた時、そこに立っている人影にカレンは気が付いた。

 「やっほー、カレン。ねえ知ってる?今日お祭りの日だったんだって。」

 「ミナミ…。」

 ずいぶんと夜に近い色になった空を背に立っていたのはミナミだった。手にはバケツを持っている。その中にあるのは…

 「花火やろうよ。今日くらいちょっと遊んでもいいよね?」

 ミナミはバケツの中から派手な包装の手持ち花火セットを取り出してにっと笑った。

 

 すっかり陽の沈み切った甲板で、第二師団のメンバーはきらきらと光る火花に照らされて大笑いしていた。

 もともとミナミとカレン二人でやっていた花火だったが、そこをキラスケに見つかって事態は一変。あっという間に全員集まっての大規模な花火パーティーになったのだった。

 「いやー、弾撃ち尽くしちゃってよかったね。普段だったらこんな大人数で花火やったらマジ伊吹上官大激怒パターンだもん!わーめっちゃ綺麗だわ、風流オブ風流って感じ?ほれ見て!やばくね!?」

 「うっわやめろお前袋の注意書きを読んでくれ」

 キラスケが楽しそうに花火を思いっきりユウジに向ける。良い子は絶対にまねしてはいけないその様子を見て、ツバサが堪えきれずに噴き出した。伊吹上官もあきれたようにため息をつきながら顔は楽しそうだ。

 戦いを越え、それぞれが成長して、あるいは何か大事なものを思い出して、夏が過ぎていく。どのような形であれ、そこに戻らない青い春を確かに見出しながら。

 夜の海に、はじけるような笑い声がさざ波のように広がっていった。