A.W.主催第32回オークションで自分が興味を持ったものの中で

履歴が判明したものが42ロットもありましたので落札価格変動を調べてみました。

参照:落札価格変動調査 in A.W.主催第32回オークション

今回は、そのうちメダル10ロットです。

 

なお、海外で落札されたものについては外貨建手数料落札価格から以下のレートにより

落札手数料10%・消費税10%での相当する円建手数料落札価格を計算しました。

1ドル111円、1ユーロ130円、1スイスフラン125円、1ポンド150円

これは過去5年間の為替レートを考慮して決めましたが

レートを固定することにより円高・円安の影響を排除しました。

 
また、採算ラインはA.W.主催オークションでスラブ入の出品手数料が5%であり
落札手数料10%→出品手数料5%に該当するとして1.18倍(+18%)。
但し、海外落札→国内出品では諸経費として輸入税6%のみ考慮しても
1.06x1.18≒1.25倍(+25%)となり
2021年10月以降に落札したものでは円安の影響で更に採算ラインが高くなります。
 
それでは結果です。
最高倍率10倍最低倍率0.51と格差が非常に大きくなっています。
あまりにも両極端、天国か地獄でしょう。
 
まずは天国について、ロット3200↓、10倍の高騰は今回の調査対象全体でもダントツ1位!

GERMANY Hamburg AR Medal (Bank Portugaloser Silver Medal) 1863 SP63

日本で極めて高く評価されている海外メダルと言えるでしょう。
これは詳しく語りたいので、後日改めてレポートする予定です。
 
そして、ロット3271↓、ほぼ半分に下落は今回の調査対象全体でも最下位!
GERMANY Saxony AR Medal 1733 AU58

オークションの説明ではポーランド王戴冠記念とありますが

正しくは即位(戴冠は1734年)、同時にザクセン選帝侯即位記念でもあり

更にFreiberg鉱山開抗記念でもあるメダルです。

見映えは素晴らしく歴史的意義の高いアンティーク銀製メダル。

スラブに入る前の落札価格は2800ユーロ(手数料抜)、手数料20%込3360ユーロ

1ユーロ130円として円建手数料抜39万3514円に相当します。

他の非スラブ入も2200ユーロ(手数料抜)、手数料20%込2640ユーロ

1ユーロ130円として円建手数料抜30万9189円相当ですから

海外で非常に高く評価されているメダルと言えるでしょう。

にもかかわず、国内オークションでは半値ほどにしかならなかったのはなぜか?

AU58とMSグレードではなかったからか?

しかし、同じオークションに出品されたドイツのアンティーク銀製メダル

ロット3195もAU58でしたが42万1000円もの高値で落札されています。

ロット3195と同じメダル(同一ではない)が非スラブ入で落札価格(手数料込)は

2700ユーロ(円建手数料抜31万6216円)~1560ユーロ(18万2703円

ですから、スラブ入の方がAU58でも高値で落札されたことになります。

結局のところ、ロット3271が下落した理由は定かではありません。

このあたりがメダルの理解しがたい所なのでしょう。

参照: オークションでメダルを競るのは恐ろしい?

参照:オークションでメダルを競るのは難しい

 

そして、もう一つ・・・非スラブ入をスラブ入にして高鑑定であれば高騰するはず。

今回のオークションでもロット1536は2.88倍、ロット3033は3倍
高騰していますが、ロット3275↓では下落しています。
GERMANY Saxony AR Medal 1889 PCGS-SP65

なぜでしょうか?

このメダルはザクセン王国王家であるヴェッティン家の800周年を記念した

重量74g・直径51mmもあるアンティーク銀製メダルです。

但し、稀少性は高くなく非スラブ入なら落札記録が多数あります。

今回のメダル、スラブ入の前は1700ユーロ、手数料20%込2040ユーロ

1ユーロ130円として円建手数料抜23万8919円相当でしたが

他の非スラブ入(未使用)では240ユーロ、手数料込288ユーロ、3万7440円相当。

今回の落札価格21万円は前者と比較すれば下落しているのですが

後者と比較すれば7倍に高騰しています。

つまり、稀少ではないメダルを高値で落札してしまうと
いくらスラブ入で高鑑定になったとしても更に高騰することは難しいのでしょう。
 
次回は海外取引について検討します。