Catalog No. ?, 62g (Silver), 51mm, mintage ?

 

フランスの都市Yssingeaux:イッサンジョーで開催された

Agriculture Show:農業ショーでの授賞メダルです。

裏面上部にProgres(仏):Progress(英):進展(日)と書かれていますので

農業技術の進展に貢献した人物に授与されたものと考えられます。

そして、裏面中央に書かれたBte Therillereこそ、その人物の名前でしょう。

 

重量62g・直径51mmですから、重量感・存在感は抜群です。

オリジナル・ボックスも付いていました。

発行数こそ不明ですが、過去の取引記録は一切見つからず

稀少性は非常に高いと思っています。

 

表のデザイン

これまで紹介した有冠ナポレオン3世メダルの彫刻師(デザイナー)を経時的に並べると

Caque:1862 France Agriculture Encouragement Medal → 

Oudine: 1865 France Beauty Arts Industry Exposition Md・今回のメダル→

Desaide Roquelay: 1869 France Clermont Horticulture Medal→ 

Barre:1875 France Agriculture Encouragement Medal

となります。

 

裏のデザイン

古代のギリシア神話に由来するcornucopia:豊穣の角、農業発展の象徴です。

参照:南米コロンビアの大型金貨

2つの豊穣の角を結ぶのは

近代の産業革命に由来する蒸気機関車、流通手段発達の象徴です。

いずれも彫りが極めて深く、立体感が印象的な仕上がりになっていますが

その素晴らしい見映えは実物でこそ十分に鑑賞できます。

 

さて、この非常にユニークな組み合わせ、現代でも通用する重要なテーマを表しているのです。

 

人間は古来から、いかに豊かな生活を送るかが至上課題でした。

豊かな生活のためには豊富な作物が必要なのですが、実は、それだけでは不十分です。

作物を必要なところへ必要なだけ運ぶことができなければいけないのです。

つまり、農業の発展と流通手段の発達が豊かな生活のために必要なのです。

 

なお、実用的な蒸気機関車が開発されたのは19世紀前半の英国ですが

フランスではナポレオン3世皇帝時代(1852〜1870年)に鉄道網の大枠が完成しました。