ササン朝ペルシアのヤズデギルド1世時代Drachm銀貨

2021年末頃から多数のNGC鑑定ヤズデギルド1世時代Drachm銀貨が

国内でも海外でもオークションに出品されるようになったことをレポートしました。

今回はNGC鑑定シャープール1世時代Dinar金貨についてです。

 

先日のA.W.主催第37回オークションに

3枚のNGC鑑定シャープール1世時代Dinar金貨されましたが

実は、海外では2023年から出品数が激増しています。

Heritage Auctionsの記録によると

NGC鑑定シャープール1世時代Dinar金貨の落札記録は67件ですが(記事作成時)

全て2023年6月以降のもの

2023年6~12月44件、2024年1月~7月23件でした。

 

グレードの内訳はCh VF 1, XF 1, Ch XF 4, AU 8, Ch AU 26, MS 27

https://coins.ha.com/c/search/results

なんと、MSが最も多く、更に、AU~MSが61件と91.0%も占めています。

 

2023年に急に大量に出てきたのはなぜか?

品質が高いものばかりなのはなぜか?

そもそも、どこから出てきたのか?

謎の古代コインと言ってよいでしょう。

 

ちなみに、落札価格ですが、最も件数が多いMSで3600ドル~1万2000ドル

最高値/最安値≒3.33倍、最高値-最安値=8400ドル

scratchなど特記事項がないMSに限ると3840ドル~9600ドル

最高値/最安値=2.50倍、最高値-最安値=5760ドル

いずれにしても落札価格の幅は非常に大きくなっています。

それだけ相場が安定していないということでしょう。

オークションでは時に不可解な価格上昇があります。

例:オークションでの珍事:デナリウス銀貨

例:オークションでの珍事:メキシコ銀貨

例:A.W.主催第26回オークション2日目のゴシック・フローリン

例:ビルマ・ファンタジーコインの不思議

例:オークションでの珍事:メキシコ銀貨セット

今回はA.W.主催第32回・36回オークションに関連したエピソードです。

 

NGC-PF63 Ultra Cameo GERMANY Bavaria AV Medal (3 Ducat Size)

NGC-PF63 Ultra Cameo GERMANY Bavaria AV Medal (2 Ducat Size)

前者が助産技術2等賞メダル、後者が助産技術3等賞メダル

参照:Mystery of the Bavaria Midwifery Prize Medals

 

同じ海外オークションで同じ日(2022年3月23日)に

非スラブ入の2等賞メダル→3等賞メダルの順で

落札価格は2等賞>3等賞、ほぼ1.5倍、これは重量倍率に匹敵します。

2等賞メダル:950ユーロ

手数料20%、1ユーロ130円として円建手数料抜13万3514円相当

3等賞:600ユーロ

https://www.numisbids.com/n.php?lot=2370&p=lot&sid=5467

手数料は20%、1ユーロ130円として円建手数料抜8万4324円相当

 

2等賞メダル・3等賞メダルともにスラブ入PF63UCとなり

同じ国内オークションですが異なる年に2等賞メダル→3等賞メダルの順で

落札価格は2等賞3等賞、今度は3等賞の方が1.5倍になってしまいました。

2等賞メダル、2023年4月:20万円・・・非スラブ入の時の比べて1.50倍

3等賞メダル、2024年7月:30万円・・・非スラブ入の時の比べて3.56倍

 

2等賞メダルと3等賞メダルの価値が海外と国内では逆転!

これもまた、オークションの珍事と言えるでしょう。

日本国内の金地金価格は最大手である田中貴金属が最も早く午前9時半に更新されます。

本日、金地金価格は午前9時半に更新され

その後、午前11時30分にも更新されて

1g1万3000円を割ってしまいました。

6月17日から7月24日までの1か月余り

金地金価格は1g1万3000円以上が維持されたことになります。

 

この表記価格に関しては次のような但し書があり

海外相場や為替相場に大きな変動があった場合、同日内に価格変更があります。

 

海外相場を見てみると金地金価格は大きく下落し

為替相場を見てみるとドル円レートは円高へ転換しつつあります。

 

今後の展開は全く分かりませんが

いつもまでも金地金価格が1g1万3000円以上とは限らない

いつまでも円安が続くとは限らないことを示唆していると思います。

1848 Bavaria Midwifery 2nd Prize Medalで紹介したメダルは2等賞メダルでしたが

当然、1等賞メダルも3等賞メダルもあります。

 

1等賞メダル:Brettauer4956, 13.85g ≒ 4 Ducat size, 30mm

https://www.numisbids.com/n.php?lot=5241&p=lot&sid=1632

2等賞メダル:Brettauer4957, 10.35g ≒ 3 Ducat size, 27mm

3等賞メダル:Brettauer4958, 6.82g ≒ 2 Ducat size, 25mm

 

表のデザインも裏の碑文も、等賞を示すローマ数字を除けば、ほぼ同じですが

なぜか、3等賞メダルのみ1855と年号が書かれています。

その一方、年号が書かれていない同じカタログ番号の3等賞メダルもあり

オークションで1848(年)と説明されていることがあります。

但し、1848年とした根拠は提示されていません。

また、2等賞メダルには年号が書かれていないにもかかわらず

スラブに1848-DATEDと表記されていることがありますが

https://www.ngccoin.com/certlookup/6104297-003/63/

やはり、1848年とした根拠は提示されていません。

 

最初の発行が1848年であり、その後、1855年にも発行されたのかもしれませんが

1855年と書かれた1等賞メダル・2等賞メダルはいくら探しても見つかりません。

 

以上から

1855年に1〜3等賞メダルが発行され3等賞メダルのみ年号が書かれたものもある

と推測しています。

1848年であれ1855年であれ、バイエルン王国の

マクシミリアン2世時代(1848~1864年)に発行されたことに変わりはありません。

マクシミリアン2世はバイエルン王国を文化・教育・芸術の中心地に変えよう努力しました。

参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Maximilian_II_of_Bavaria

その一環として助産技術に優れた人々にメダルを授与したのでしょう。

先日のA.W.主催第37回オークションに出品された古代ローマのアウレウス金貨

NGC-AU★ Strike5/5 Surface5/5 Fine Style Roman Empire Aureus Antoninus Pius

非常に興味深い履歴が分かりました。

 

2014年、非スラブ入として落札価格6000ドル

手数料17.5%込では7050ドル、円建手数料抜落札価格70万5000円相当。

2015年、スラブ入でFine Styleまでつく高鑑定・・・にもかからず

落札価格は手数料込で6756ドル、円建手数料抜落札価格67万5600円相当まで下落!

https://coins.ha.com/itm/ancients/roman-imperial/ancients-antoninus-pius

高鑑定となっても短期保有での出品は損失を出すリスクが高そうです。

参照:短期保有で出品したら・・・ / 中長期保有で出品したら・・・

 

その後、9年の時を経た2024年に出品されて落札価格は手数料込で9600ドル

1.42倍になり、元の7050ドルも超えました。

 

そして、同じ年に今度は国内オークションに出品されて落札価格は165万円

ドル建手数料込落札価格9600ドル

円安を考慮せず1ドル111円とすれば:円安を考慮するべきか?考慮しないべきか?

円建手数料抜抜落札価格96万円相当→1.72倍

円安を考慮して当時のレート1ドル147円で計算しても

円建手数料抜抜落札価格127万1351円相当→1.30倍

短期保有での出品円安下での海外取引

これらが重なったにもかわらず6万円ほどの黒字になったでしょう。

古代ローマ金貨の国内高騰がいかに著しいかが分かります。