試鋳銀貨↓を元に

EL SALVADOR 1 Peso Pattern Struck in Silver PF62 1861

https://auctions.stacksbowers.com/lots/view/3-22OBI/el-salvador

非公式に(私的に)製造された、この金貨↓

EL SALVADOR Fantasy Essai 20Pesos MS66 1861 (CIRCA 1960)

https://wwwn.auction-world.co/xpai/lot_A30-2072.html

エルサルバドルのFantasy Coinsです。

2022年、エルサルバドルのファンタジーコイン

と書きましたが、2年ぶりにA.W.主催オークションに出品され落札価格は62万円

22万円も上昇して1.55倍になりました!

いやはや、正確にはコインともメダルともいえないシロモノ

しかも、製造時期は1960〜1971年とされているのでアンティークとは言えません。

それがこんなに高く評価されるとは・・・全く予想していませんでした。

 

なお、こうしたファンタジーコインを誰が製造したのかというと

金持ちのコインコレクターが仲間に自慢するため製造したのでは?と推測していますが

参照:ファンタジーコインは金持ちの道楽?

オークション主催者が製造することもあるようです。

参照:INA Retro Issueを御存知ですか?

先日のA.W.主催オークションに出品されていたメダル↓ですが

PCGS-SP64 GERMANY Hesse-Darmstadt AR Medal 1858

その履歴は非常に興味深いものでした。

2020年5月、海外で非スラブ入として落札価格340ユーロ

手数料20%、1ユーロ130円として円建手数料抜4万7784円相当

2023年3月、海外で非スラブ入として落札価格1200ユーロ

手数料20%、1ユーロ130円として円建手数料抜16万8649円相当

3.53倍にもなりました。

ところが、スラブ入としてSP64と高鑑定であったにもかかわらず

2024年1月、国内で落札価格10万2000円

なんと、0.60倍になってしまいました!

海外から入手して鑑定までしたあげく暴落では、正に、骨折り損としかいえません。

 

なぜ、こんなことになってしまったのか?

①Hesse-Darmstadt、別名、ヘッセン大公国という小国のメダルだったから

②ルートヴィヒ3世とマティルデの銀婚式を記念するものであり歴史的意義が乏しいから

 そもそも、両者とも世界史的には全くの無名

③このメダルが発行された4年後にマティルデ夫人が死去したため縁起が良くないから

以上のように自分は推測しています。

 

それでは、先日のオークションでの落札価格はというと・・・14万5000円

2024年1月の落札価格よりも高騰しましたが

それでも、2023年3月の落札価格には届きませんでした。

国内のオークションでは見映えよりもグレードの方が落札価格に大きな影響を与えます。

例:同一コインなのにグレードが違うと価格がこんなにも違う!

例:グレードの順位を当ててみよう!、チベット銀貨

例:グレードの順位を当ててみよう!、ニュルンベルク銀貨1780年

ところが、先日のA.W.主催第37回オークションでは珍事が起きました。

まずは、グレードの順位を当ててみましょう。

 

GERMANY Nurnberg Taler ND(1633)

拡大して見ます。

 

見映えは若干ですが後者の方が良好、コインの切り出しも後者の方が偏りがなく綺麗です。

しかし、グレードの順位は前者がMS63に対して後者はAU58と4つも下になっています!

このような場合

国内ではグレードが大きく影響し落札価格は前者>>後者となること多いのですが

前者MS63が35万円に対して

後者AU58が50万円と大きく逆転しました!

 

但し、前者2018年→後者2024年という時代の影響なのかもしれません。

なにしろ、A.W.主催第37回オークション総評でレポートしたLamb Ducat Klippeは

品質:MS61>AU58であったのにもかかわらず

落札価格:MS61:26万円(2019年)<< AU58:43万円(2024年)でしたので。

コイン高騰時代が招いたオークションの珍事と言うべき事態なのでしょう。

4ダカット金貨1915年再鋳貨グレーディング・ミステリー

プルーフと鑑定された金貨が通常貨に格下げされていた例を紹介しました。

 

それでは、オーストリアの100コロナ金貨1915年再鋳貨のプルーフは?

確認してみたところプルーフのままでした。

 

先日のA.W.主催オークションではハンガリー金貨1908年再鋳貨が出品されていましたが

そのなかにプルーフと鑑定されているものが2枚ありました。

念の為、これらについても確認したところ

なんと!プルーフPF66・PF67のはずが通常貨MS66・MS67に格下げされていました!

 

4ダカット金貨1915年再鋳貨グレーディング・ミステリーでも指摘したように

高値で落札したプルーフが通常貨に格下げでは大損してしまう可能性があり
資産保全的観点から大問題です!

 

そもそも、なぜ、プルーフから通常貨に格下げされたのでしょうか?

NGCは鑑定する際にも鑑定結果を覆す際にも根拠を提示していません。

鑑定は人間が行うものですから常に厳密な適正を求めることは難しいかもしれませんが

そうであるからこそ鑑定に至った根拠を提示すべきでしょう。

古代銀貨再出品4回目の続篇、とうとう5回目の再出品です。

 

Roman Empire AR Denarius Septimius Severus NGC-AU

 

オークションでの珍事:デナリウス銀貨でもレポートしたコインですが

これまでの履歴は下記の通り、①の第33回から今回⑤の第37回まで毎回再出品です。

⓪2023年03月312ドル、円建手数料抜3万1200円相当:https://coins.ha.com/

①2023年07月4万1000円:https://wwwn.auction-world.co/

②2023年10月4万4000円:https://wwwn.auction-world.co/

③2024年01月3万3000円https://wwwn.auction-world.co/

④2024年04月4万2000円https://wwwn.auction-world.co/

⑤2024年07月4万3000円https://wwwn.auction-world.co/

 

もはや、価格動向よりA.W.主催オークションで再出品が繰り返される理由に興味があります。

そこで仮説を立ててみます。

1)同一人物が出品と落札を繰り返している。

2)その人物には出品手数料も落札手数料もかからない。

最初の⓪は海外オークションでの落札、輸入税・送料を含めた概ねの入手総額は

(312x1.06+80)x136(当時のドル円レート)≒5万5858円

これを回収するため再出品を繰り返しているのかもしれません。

仮説が正しいとすれば、落札価格が入手総額を超えるまで

あるいは、入手総額の回収を断念するまで再出品は続くでしょう。