最近、一青窈のベストアルバム「BESTYO」を買い直した(正確には、後に収録曲のインストバージョンと「BESTYO」後にリリースしたシングル表題曲4曲を追加して再発された「BESTYO + INSTYO」ってCD)。

 もう20年ほど前、あの「もらい泣き」のヒットを目の当たりにして、「なんかスゲー新感覚の人が出てきた!」と感動した小学6年生の自分(まーあの当時デビューしていきなり売れる人って、大概新感覚な人だらけでしたが)。

最初は懐かしく聴いていたのですが、特にデビュー1年目のシングル曲について思ったのが

 

 「一青窈って元々、和製R&Bシンガーだったんだな」

 

 という事。

 

 たとえば、「ええいああ」旋風を巻き起こした、かの「もらい泣き」※勝手に命名

 パーカッションの用い方やブレイク、所々に挿入したヒップホップのスクラッチ等、R&Bのスタイルを押さえた音作り。

所々ビートを切りつつ滑らかに音の上を泳いでいく、ソウルやゴスペルのエッセンスを感じるボーカル。

(ちなみに一青窈はリアルにゴスペル経験者である。あのゴスペラーズのメンバーとも大学時代顔見知りだった)

 

 

もらい泣き 2002.10.30

 

 

 続く2nd「大家(ダージャー)」は、「もらい泣き」で提示したオリエンタルでR&Bな音楽世界に、泣きの要素を注入。
 

 

大家 2003.3.19

 

ちなみに「大家」は台湾語で「父親」の意。一青窈が幼少の頃に亡くしたお父さんのことを思って書いた歌詞が、深く訴えかけてきます。

 個人的には「もらい泣き」よりも好きな曲で、一青窈でもトップ3に入るくらいお気に入りの名曲です。

 

 

 そして3rd「金魚すくい」。

 凄いっす。これもまた名作。

   普通にUS仕様のR&B(マスタリングにブライアン・ガードナーを起用。エミネムやジャネット・ジャクソンを手がけていた人物です)。

  それでもどこかアジアの霧のようなエロチックさというか、適度な湿っぽさと猥雑なムードを感じさせるのが、一青窈ワールドだなと言う感じ。 

 

 金魚すくい 2003.7.9 

 

 ある意味、一青窈の一番の本領なんじゃないかな?と思ったり。

 

 

 一青窈が登場する少し前、2000年前後のJ-POPは空前のR&Bブームでした。しかし当時のR&Bの旗手達と決定的に違ったのが、一青窈は「日本」「アジア」ぽかったという事。

 それは何といっても、初期の一青窈の歌詞には英語が一切使われていなかったというのが大きい(「大家」をはじめとして、母国語である台湾語をフィーチャーする事は多かったけど)。

 

 例えば、R&Bブームを激化させた宇多田ヒカルは、日本語と英語が混ざった作詞スタイルであるとか、リアルにネイティブな発音や文法が、表現の妙に繋がった部分があると思う。時々奇妙な日本語のアクセントなども含め、聴き手にユニークに響いたり、刺激的でカッコよく感じられる、っていう。

 

  英語がベースの宇多田ヒカルに対して、日本語(時々台湾語)がベースの一青窈は日本語。

 「ええいああ」とか「しゅるり」とか「あっちら こっちら」といった擬声語や、日常会話でも歌詞でも決して多用しない語彙、センテンス。

  更に付け加えると、一青窈は日本語、台湾語、英語のトライリンガル。複数の言語を操る歌手特有のドライな発音、発声は立ち上がりが早く、何より質感が軽いので、リズム命な音楽にもスムーズに乗りやすい。言葉もはっきり立っているから、時には奇抜なフレーズも何と歌っているのか、はっきり聴きとりやすい。

 デビュー当時から、一青窈の歌には独自の様式美と、圧倒的な個性、強靭さがあったんだなーと、改めて感慨深く思いました。

 

 とはいえ、「もらい泣き」以降シングルは出すごとにチャートアクションも売り上げも下降していて(メディアでの扱いがかなり良かったのでそういう印象がなかったけど)、「オリエンタルでユニークなR&Bの一青窈」がどれだけ定着するかは不安な部分があった模様。

 

 もっとはっきり言うと、「一発屋」の懸念が残った。

 

 この懸念は、レコ大最優秀新人賞や紅白歌合戦初出場を経た2004年、新たな代表曲「ハナミズキ」の爆誕で一気に払拭。

 以降「ハナミズキ」のイメージを大事にしようとなったのか、一青窈のシングルはバラードをメインにリリースを重ね、ヒットを連発。一流歌手として着実にキャリアを重ねていったのでした。 

 

 (終わりっ)

 

 

随分とお久しぶりに書いてるアルバムレビューもどき。

最近になって入手した、TRUE KiSS DESTiNATiONの1stアルバムについて。

 

TRUE KiSS DESTiNATiON/TRUE KiSS DESTiNATiON

1999.2.17

1.RESPONSIBILITY  2.HOW DO YOU THINK?  3.ViCTiM  4.PURE MIND  5.CAN YOU DIG IT?  6.PRECiOUS MOMENTS -WHEN WILL I SEE YOU AGAIN-  7.HELLO AGAIN  8.EVERYBODY'S JEALOUS  9.OVER & OVER  10.LONG & WINDING ROAD

 

名前だけ見てもわかる人の方が少なそうな、「TRUE KiSS DESTiNATiON」(後に「Kiss Destination」に改称。以下キスディス)。

一言で言うと、小室哲哉とその元嫁さんの二人組。小室ファミリー界のLe Coupleです違います

 

真面目に言うと(最初からそうしなはれ)

かつて小室ファミリーとしてスマッシュヒットをもぎ取った(割に自然消滅してしまった)3人組グループ『dos』のダンサーだったasami(吉田麻美)をボーカルに据えた、当時の小室さんによる新ユニット。

 

小室哲哉&吉田麻美の変遷を大雑把にまとめると、

 

1997年、dosが自然消滅

同年、TK PRODUCTS featuring asami名義でシングル「10 to 10」発売(ちなみにこれが中々の名曲だったりする)

 

翌1998年、asami名義の新曲「Friday nite」発表(コンピレーションアルバム「ORUMOK COMPILATION 1995 to 1998」収録。

これもまた名曲なんだよ)

 

1998年夏、小室さんがR&Bやりたくなる。(ざっくり)

キスディス結成。

 

こんな流れで、デビュー前の1998年12月にライブツアー「TRUE KiSS DESTiNATiON NITE」を開催。年が明けて1999年1月、アナログLP「PRECiOUS MOMENTS -WHEN WILL I SEE YOU AGAIN-」をインディーズでリリース。

 

そして今作が発売された。

メディアで派手に仕掛ける小室プロデュースアーティストとしては珍しいインディーズ展開で、今作も5万枚限定発売。

コンセプトは「ちょっと高いデモテープ」らしい。

 

音楽性はズバリR&B、ヒップホップで、それもかなりの本物志向。小室さんと言ったら、本場であるニューヨークの様々なミュージシャンにバックトラックを聴かせて、認めてくれた人たちと積極的にコラボレーションをして楽曲を制作していったらしい。

当時の日本の音楽界でど真ん中にいた人が、海外で普段以上にストイックに押し進めた音楽であり、プロジェクトだったんですね。

 

実際、普段は「小室哲哉」という名前だけで小室氏の音楽をかけないFMラジオ局が、今作の楽曲をかけてくれたりしたそう。そうやって、普段敬遠されている層からも音楽として認められた事が、小室氏は嬉しかったそうで。

 

そんな素晴らしい実績もあるだけあって、音は非常にカッコ良いです。自分は外国のR&Bとかヒップホップは詳しくないけれど、リズムの音色や響き、前に張り出した低音の質感とか、一つ一つの音に対して非常にこだわられているのが良く伝わってきた。上質なスケルトンのオブジェみたいというか、タイトでシンプルで、歌の骨組みが繊細にみえるような音楽。

 

結果、気に入りました( ^ω^ )

 

それにしても、キスディスのボーカルが吉田麻美氏と言うのは絶妙だったと思う。

吉田氏のクセがなく、重心が低めで、滑らかな歌声、更に一定以上の安定した歌唱力というのは、R&Bという音楽に非常にマッチしてると思うんですね。それは前述の「10 to 10」「Friday nite」でもしっかり伝わってきていたけれど。

(元がダンサーなのに歌がしっかりしていたというのも凄いですね)

 

更に言えばこの方、強烈な個性派揃いだった小室プロデュースシンガーの中では異例の人なんですね。

前後の小室氏のオンナである(ちょっと待った)朋ちゃん、KEIKO程声にキャラクターとか個性がない。

ただキスディスは、小室ブランド特有の分かりやすい派手さやメディア展開を敢えて封じ、純粋な音楽性やクオリティを持ってアピールしていたユニット。

そんな極めてクールで、ストイックなポジションに身を置いたユニットのボーカリストとしては、吉田氏のある種のプレーンさはぴったりだったんじゃないかな。

安室ちゃんや朋ちゃんだと、どうしても(良い意味で)アイドル性、タレント性が前に出ちゃうからね。

 

全曲好きなんだけれど、特に好きなのは「VICTIM」「HELLO,AGAIN」。

「VICTIM」はこの中でも特にカッコいいと思った曲。構成やメロディーの作りもR&Bのマナーに沿ってるっぽい。

何も知らない人が聴いたら、小室さんって分からないんじゃ、てな勢い。

曲調もちょっとおどろおどろしくて好きです。延々と聴いてられる。

 

「HELLO,AGAIN」はメロウで切ない曲なんだけれど、時折挿入されるヒップホップ的なの音ネタ(?)が非常に効いていて、印象強い。

聴きとれる歌詞も都会の若者の切なさというか、青春期後半っぽさが随所に感じ取れて、小室さんの良いところが出ているなと。

 

印象強いといえば、1曲目の「RESPONSIBILITY」とラストの「LONG & WINDING ROAD」。

何となくこのお二方の関係が透けて聴こえるような歌詞だなという事も付け加えたい(個人的な印象ですけど)

 

ちなみに今回自分で手にとってみてわかったのが、今作には歌詞カードが入っていない。

要は「音に集中して、ちゃんと聴いて!」って事だと思うし(スゲー要約)、小室ファミリーの諸作の中でも特に、大事に音を愛でるつもりで聴いていたいと思わされたCD。

 

以上、最近発掘したお気に入りCDのレビューもどきでした。

 

 

 

 

 

 

 

 本でも音楽でも、素敵な作品はここではないどこかに少し逃してくれる。そして、目には見えない、だけどもとてもしなやかな翼を授けて、現実に還してくれる。

 そう自分は常々思うのですけれども、今回はそんな一枚をレビューもどき。

1998年発売、MY LITTLE LOVERの2ndアルバム「PRESENTS」。

 

PRESENTS /MY LITTLE LOVER 1998.3.4

 

1.OVER TURE〜Times Circle〜 

2.空の下で

3.My sweet lord

4.回廊をぬけて

5.shuffle

6.Naked

7.anniversary

8.NOW AND THEN〜失われた時を求めて〜

9.愛のために

10.Yes〜free flower〜

11.遠い河

 

 1995年暮れに発売され、当時異例の280万枚という大ヒットを記録した1stアルバム「evergreen」以来、実に2年3ヶ月ぶりの2枚目。

 当時はとにかくどのミュージシャンも「はい次はい次」ってな感じでCDを出していて、その分流行の変遷も早かった訳ですけど、その割にマイラバはアルバムのリリースだけ見ると随分のんびりしているように見えます。

 

 ただこの間にシングルは「evergreen」以降ミリオンヒットの「ALICE」をはじめ7枚も出ていて、加えてプロデューサーの小林武史とボーカル・AKKOの結婚、AKKOの出産も挟んでいる(シングルでいうと「ALICE」と「NOW AND THEN~失われた時を求めて~」の間)。そう考えると、マイラバ自体は物凄くアグレッシブに動いていた訳ですね。そしてこの時期は何を出しても大ヒットの全盛期でした。

 (ちなみに「NOW AND THEN」のリリースは、AKKOの出産2、3ヶ月後の話。それに付随するレコーディング、PV撮影やテレビ出演といった事も含めると産休なんて皆無だと思うんだけども。今じゃ考えられないっていうか、中々鬼畜な働き方ですよね。うーん90年代っぽい)

 

 当時のファンとしても待望の新作だったであろう「PRESENTS」は、この間に出た7枚のシングルのうち「NOW AND THEN~失われた時を求めて~」「Yes~free flower~」「shuffle」「空の下で」の4曲を収録。

残りの3曲(「ALICE」「ANIMAL LIFE」「Private eyes」)は未収録。

 

 そんな今作、一言で言うと地味です。特に前作「evegreen」の色彩の豊かさとかタッチの強さと比べると、今作は一聴しただけではどことなく平板に感じるかもしれない。

 それは言い換えるとこなれてきたと言うか、一つはAKKOの声が前作に比べて柔らかくなって曲にフィットしてきたって事、あとコバタケさんの詞作(というか日本語)がこれまた曲に超絶フィットしていて、スムーズに曲に乗っているってのが理由かもしれない。

 色んな要素が自然に融合してきた分、こじんまりした響きに聞こえなくもないというか。

 でも印象に残らないって事ではもちろんなくて、むしろ1曲1曲は粒ぞろいで確実に心に刺さるものがあるし、派手ではないけど確かなセンスに溢れている。

 

 そして何よりどこまでもマイラバらしい。

 

 日々の営みに潜むありふれた切なさや心の機微。普段着の恋。

 その隣に、

 生と死。時間にまつわる観念。

「永遠の緑は心に広がっている そう信じていたい」

 と歌うロマン。

 総てが素知らぬ顔で、この世界に同居している。

 この世界観はまさにマイラバそのものな感じがします。

 

 あとやっぱ藤井さんですよねえ。自分はギター弾きじゃないからテクニックとか細かいことは分からないけど、この方のギターのサウンドはジェントルで理知的。でも躍動感と華があって好き。

 パッと聴きこじんまりとしたポップソングでもさりげに華やかで惹きつけられるのは、藤井さんの奏でるギターの力が大きい気がするなあ。もちろん、AKKOのキュートで独自の抑揚を持った歌声もですけど。

 

 そう考えると、ジャケットの白地に英字のプリントと言うこの上なくシンプルで、センスの良いジャケ写は今作をよく表現してます。

 (基本マイラバってシングル含めジャケ写が本当に的確で、美麗なものが揃っていると思う)

 

 全曲好きですが、特に好きなアルバム曲は「回廊をぬけて」と「anniversary」かな。

  「回廊をぬけて」(回廊は’’コリドー’’と読ませます)はタイトなバンドサウンドのポップスですが、サビの小気味良い「don’t give up」のフレーズの快感、細やかなオルガンプレイ、そして愛を手鏡にして、世界を覗くような世界観。それを端正な日本語で表現した歌詞。

  どこをとっても良いですよ。特に歌詞はもう全部大好きなんですけど、

 

「愛は孤独の果て 悲しみの先で待ってる 

 ずっと昔から 知ってた気がする」

 

とか

 

「街も恋も灯も

 愛も 生も死も 揺れてる」

 

とか実にマイラバっぽいというか、媚びもせず悲観もせず目に映る世界を俯瞰し享受する、冷た過ぎないクールさがとても好き。

歌詞に何度か出てくる「夢の回廊」という世界観も含め、前作の「Hello,Again~昔からある場所~」や「evergreen」と地続きな感じもする(コバタケさんのこの手の歌詞が凄く好きですノブナリさん)

 

 歌い出しの摩訶不思議なコード進行にどことなくユーミンを感じてしまった「anniversary」は、いわゆる普段着なポップソング。作詞はAKKO。

 

「今日は朝から 髪をまいたり 好みのスタイリングをした」

 

なんて可愛らしいフレーズがあったかと思えば

 

「飾って磨いて 綺麗になったつもりでも 毎日 あなたが鏡になってるの」

 

と恋人(他人)を見て自分と対峙するような、少し内面に切り込んだ表現がさりげに出てきたり。生身の女性らしさが強く感じられるのはやはりAKKOの詞だからだろうなあ。

マイラバがソロプロジェクトになってからの大半の曲を自作しているAKKOだけど、この当時から魅力的な感性を存分に発揮しておりました。

 

 そして、ラストを飾る「遠い河」。海の航跡を見るようなたおやかなミディアムナンバー。

なんとなく輪廻とか、人が人を愛して子供を授かり親になるとか、そんなイメージのある曲です。

 

「まどろむ内に 旅は続き

多分、全ては還っていく」

 

とかもグッとくるけど、何度も繰り返される

 

「あなたがもしも いないとしても

ずっとあなたを 想っている」

 

 このフレーズはなんか泣けます。あらゆる理由でもう二度と会えない人の顔を思い浮かべながら、その人からもらったささやかなものを大事に心で抱きしめるイメージを抱いて。

 決してノスタルジーでその場を動けなくなるようなものではなく、今を深呼吸のように受け止めて、未来へのまなざしはひたむきで、みたいな。

 だからこのアルバムは「PRESENTS」(‘’現在’’の意)なんだろうなあ。

過去とも未来とも繋がっている唯一の時間、現在。このアルバムを総括する1曲だと思う。

 

 たまの休日、これを聴くと本当に癒される。

音作りは丁寧で相変わらずマイラバブランドだなーって思うけど、音響的な実験とかアブノーマルな方に持って行っていない分言葉がよく耳に入ってくるというか、個人的には「上質な聴く小説」って感じの1枚だったりします。

20年以上前のアルバムですけど、知らない人には是非出逢って欲しいですね。音楽と言葉をこよなく愛する人には。

 

 

p.s.シングル曲について全然触れなかったけど、

このアルバムの核になるシングルは「NOW AND THEN〜失われた時を求めて〜」だと思う。

 

 

先日レビューもどきしたのがユーミンの「雪月花」、

からの今日のレビューもどき中島みゆき作の「雪・月・花」。歌うのは工藤静香。

 2曲ともたまたま発売が2月なんですね。ちょうど良いや。

 

 

雪・月・花/工藤静香  1998.2.18

 

 

1987年のソロデビュー以来その歌唱力、タレント性、ドラマタイアップの波、確かなセルフプロデュース能力をもって激動の90年代音楽界をサバイブしてきた工藤静香。

トップアイドル期、ドラマタイアップで大ヒット連発期、アグレッシブなセルフプロデュース期(安室ブレイク以前に髪バッサバサして踊ってた頃もあった)を経た1998年に発売された「雪・月・花」。

特にボーカリストとして極まったイメージがあるんですけどいかがでしょう。曲自体はややマイナーなのかな(一応約10万枚を売り上げるスマッシュヒットになってます)

 

元々''アイドルなのに不良''だったからこそ成立する、妖気に近い色気。テクや正確さより、荒ぶったりコケティッシュだったりといった表情の豊かさ&力業で押し切る方に重きのあるボーカルセンス。

あらゆるタイプの楽曲を歌ってきたからこその経験値。

それがぜーんぶこの「雪・月・花」で堪能できると言いますか。滑らかで、独自の波とキレがあって、それでいて時々静香らしく(?)ピリついてリキが入るボーカルです。

エロい。怪しい。カッコいい。美しい。全部表現しちゃってるみたいな。つまり元祖エロかっこいい(?)

 

この曲、オリエンタルな美メロはもちろん歌詞が好き。愛する人と繋がる快楽の水の中を、ゆらゆらと泳ぐイメージ。はっきり言うとセックスなんだけど、卑猥じゃない。むしろどこまでも美しい。体が重なって心が重なって、深いところで美しい愛に触れてみたいな。だから性から始まった歌だけど、「雪・月・花 移ろわないのが 恋心」っていう逆に超ピュアなフレーズに繋がるっていう。

石田衣良の小説じゃないけど、セックスだけが本当で、他は全部幻なのだよーと言わんばかりの世界観。堪らないですー。

余談だが最近こういう性の悦びみたいな曲を凄い聴きがちな我。何が起きてるのか教えてほしい。。。

 

作者の中島みゆきも、70年代〜80年代にかけては女の肢体とかフェロモンを感じさせる曲をしばしば歌ってたっぽいけど、90年代はそう言う曲が減ってたみたいなんですね。強いメッセージ性だったり、性を蒸留したような神様に近いところにある愛の歌が増えている(「空と君のあいだに」やら「糸」やらが分かりやすい)

そんな時代において、工藤静香相手にはこんな濃厚な性愛の曲を提供するのだから、やっぱ特別なんだろうなあ。工藤静香の存在がなかったら出来なかった曲なのかも。

 

2コーラス両方サビ前に出てくる「なんにもわかっていない人ね」もふむふむ、と言う感じ。

「聞けよ、イヤよ、聞けよ、知ってるわ〜」的なことですかね、工藤静香にこれ言わせたいみたいな(๑╹ω╹๑ )

ある種の、歌謡曲由来のお約束な部分もビシッと押さえられております。

 

そんなこんなで、個人的工藤静香のベストソング「雪・月・花」でありました。

 

 

ここから余談。この「雪・月・花」、地味にPVが好き。

最初、白いセットの中で歌っているのかなと思ったらまさかのビニールハウス(!?)だったという。がっつり畑。

そんで収穫(?)された花が倉庫に並んでいるシーンがあったりする。前述の性愛の世界観、そんでスレンダーな工藤静香のビジュアルと不思議にマッチしてて、怪しくて美しい仕上がり。

こういうシュールだけどなんか美しくて納得しちゃうPV、とても好きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

定期的にグッときて、ちょいちょい聴いて、ちょいちょいウルウルしちゃう1曲をレビューもどき。

ユーミンの「雪月花」。発売から20年という事もありましてね。

2003年がもう20年前か。。。(遠い目)

 

雪月花/松任谷由実 2003.2.15

 

 

2002年発売のアルバム「Wings of Winter,Shade of Summer」(これ密かに名作)から、ユーミン初のDVD付きシングルとしてリカット。オリコン59位と世間には浸透しなかった曲のようなんだけど、いやいやこれ名曲じゃんと言う感じです。

もうメロディー美しい、サウンドが美しい、そして歌詞が日本語が美しいという、美しいづくし。

切ないエレピのイントロから、派手すぎずしかし華やかなオーケストレーションが展開。まるで雪どけの川とか、雪に閉ざされた森に佇んでるような、透明感のあるサウンド( ´∀`)

そんでこういう曲には、ユーミンの歌声ですよねえ。少し裏声多めな淡く柔らかいボーカルが非常にマッチしてて、も〜絶品。他のどんなにテクニカルな技巧派ボーカリストが歌っても、この天然色と情感は出せまい。まさにユーミンワールド。

 

歌詞もねーどこをとっても美しいフレーズ。もう全部ここにコピペしたいくらい。

ブリッジの「春が来て 緑が萌えて〜」のとこなんか、こんな簡潔に季節と人の気持ちの移ろいを表現できるんだって、何度聴いても感動してしまう。あー日本に生まれて良かったねーって思う。

 

我はこれ聴くと、人生で出会った色んな人たちの顔を思い出すんだよね。それは小さい頃一度だけあっただけの人だったり、数少ない恩師と言える先生だったり、仲良かったのにいつの間にか時の流れで離れてしまった友達だったり色々。

こう書いてると、なんか我もジジーですねえ✌︎('ω'✌︎ )って感じだけどもねえ(苦笑)

 

もう二度と会う機会がなかったり、相手も我の事なんてすっかり忘れてたとしても、今の我を少なからず作ってくれたんだよねっていう感慨を、この曲聴くと感じるです。めっちゃ悪い人たちは別ですけど( ´∀`)

てか我って基本記憶力良すぎるんだよね。これ良い事なのか悪い事なのか汗・・・^^

 

この曲であえて好きなフレーズを挙げるなら、

「やがて悲しみにも 時は流れ 海へと注いでいく」

ってとこかな。

我の過ごしてきた時間が一つの大きな川だとしたら、その畔にみんな今でも住んでいるとです唐突な九州弁

今はどんなに離れていてもねって事が言いたかった。うん。汲み取って

 まさかの他人任せ。。。

 

密かにユーミンヲタクな自分ですが、「雪月花」は上位に来るくらい好きな曲です。それこそいつか自分が海に流れ着く時まで、ずっと好きです。誓います⇦

 

てか去年の50周年記念オールタイムベスト「ユーミン万歳!」に、これ入ってないんだね。。。

(それどころか40周年時のベスト「日本の恋と、ユーミンと」にも入っていない)

まあ仕方ないか、名曲腐る程あるから(我ながらこの表現どうなのよ)

 

こんな名曲が平気でオールタイムベストの選に漏れるのは、逆説的にユーミンが凄いミュージシャンである証ですね。

 

「雪月花」のレビューもどき、終わり!

ユーミン万歳!(完。。)

 

 

 

MOMENT/SPEED 1998.12.16

 

90年代の邦楽が大好きな自分にとって、結構特別な1枚。SPEEDの「MOMENT」。

 

「Body & Soul」でのデビュー以来出す曲全てが大ヒット、シングルの平均売り上げが100万枚を超えていた(!!)1998年。人気絶頂を飾るベスト盤であり、実に230万枚を売り上げる大ヒットになった今作。

(ちなみに、日本のアイドルグループでは男女含めて一番のヒットアルバムである)

 

まず「MOMENT」ってタイトルが好きなんですよね。デビューから短期間での、歴代のアイドルと比較不可能なハイペースでのブレイク(先輩の安室MAXみたいな潜伏期も皆無)、小中学生というリアルに子どもな年齢で登場した4人が、少しずつ目に見えて成長していく過程、その年齢でしか醸し出せない''何か''。

さらに、音楽シーンの変化が早かった90年代という時代のスピード感(洒落じゃない)も手伝ったヒット曲がズラッと並ぶ、圧巻の内容。

 

それらの要素が一本の光になったような、そんなアルバム。

だから、「MOMENT」(瞬間)ってタイトルは当時のSPEEDそのものって感じ。何より、発売当時のSPEEDってデビューから2年4ヶ月しか経っていないんですね。

-そう思うと、夜もヒッパレで一般公募により命名された「SPEED」という名前も予言的、とか言ってみる。

 

内容は当時の8枚の全シングル曲、加えてアルバム曲やカップリングから数曲、という実に安心安全、親切設計。更に年末発売だからか「White Love」クリスマスバージョン収録、テレビでもちょいちょい歌ってプロモーション。ファンも聴きどころいっぱい、学生のみんなもお年玉で買ってね的な感じでね。

これぞベスト盤の鑑。

 

ってな訳で、ちょいと全曲レビューもどきしてみた。

書いてるうちに、我やっぱSPEED好きだなーって、ちょっと引いた(なぜ)

 

 

1.White Love

 

SPEED5枚目のシングルにして最大のヒット曲(なんと売上枚数184万枚!!)、冬の名曲として高い人気と知名度を誇る1曲。自身初のバラードシングルでもありました。

SPEEDってヒップホップ、R&Bの香りやマナーを散りばめつつ、メロディーラインとかは日本人の琴線に触れる情緒的なメロディアスさが特徴的だったと思うけど、それが顕著な曲だと思う。この傾向は同時期のEvery Little Thingなんかもそうだったね。流行のサウンドを纏いつつ、日本人に染みる歌謡曲由来のウェットな部分もあるっていう。

 

この曲と言ったらスタンドマイクで、サビの「果てしない~」のところで両手をふわっと上げる振り付けが非常に印象的で、流行った(よね?)

自分は当時小学1年生なんだけど、クラスのちょっとませた女子はやってた・・・と思う。うん、おぼろげな記憶。

 

 

2.ALL MY TRUE LOVE

 

当時の最新シングルだった8thシングル表題曲。凜としてる、スポーティーという当時のSPEEDの健康的で最大公約数的なイメージを、そのまんま形にしたような曲。加えて、時代を担っているトップアイドルの勢いや聴衆の熱狂を反映しているというか、その時期の勢いが封じ込められたようなエネルギッシュさ。

 

なんと言っても2段構成のサビがどこまでも盛り上がる感じの曲で、アガりますですよこれは。後半のサビメロディーはもうダメ押しって感じでキーが上がるんだけども、男の自分はこれを原キーでカラオケで歌います。ええ。

無茶なハイトーンの女性曲に原キーで挑むことを我は’’スポーツ’’と呼んでいます

 

 

3.STEADY

 

デビューした1996年発売。2枚目のシングルにしていきなりミリオンセラー(128万枚)を達成。平成のJ-POPで、小学生がいるグループで唯一のミリオンセラーなのでは(当時島袋寛子が小学6年生の12歳)。

 

我はSPEEDのアップナンバーならこれが一番好きかな。サビのキャッチーさは90年代のJ-POPでも随一だと思う。一方で歌詞の世界観は背伸び(これも初期SPEEDの特徴)だよねえ、「経験を嘆くよりちゃんとしたい」とか、当時のglobe(KEIKO)ならしっくりくるレベルですよ。

でもそういうのどうでも良くなる勢いと魅力が詰まってる名曲だ。

 

ちなみにこの曲は我にとってもSPEEDにハマったきっかけの曲でありんした。保育園の年長だったんだけどね、「White Love」歌って踊ってる小1女子に負けず劣らず、我もませてたよねえ。

おまけにこの時、テレビの人間に対して初めて恋したのがこの時の上原多香子(当時13歳)である。

かわいい顔して知らんがな( ´Д`)y━・~~我もませてたよねえ(2回目)

 

そのお多香さんは昔歌番組で「この曲が100万枚売れたら、メンバーを憧れのニューヨークに連れてってあげるよ」と事務所の人間に言われ、「絶対連れてってくださいね」と約束していたら、実際にミリオンセラーになりニューヨークに連れてってくれたと話していた。

おもちゃ屋にリムジンで買い物行ったとかなんとか。。CDバブルだなー。。

 

 

4.Wake Me Up!

 

4枚目シングル。ラテンノリもひとつまみ入れつつ、パキパキっとした活きの良いサマーソング。この辺りから、絵理子ちゃんと寛子ちゃんの歌の役割がはっきりした印象がある。絵理子ちゃんのお姉さんチックで安定した声質が曲のイメージを担い、寛子ちゃんの強烈なハイトーンで曲にタッチをつけ、聴き手に音響的な刺激をもたらすってな具合に。

SPEEDのシングルの中でもアイドル性の高い曲でもあり、最後の「もう泣かない」という台詞も印象的でした。

 

 

5.ALIVE

 

7枚目のシングル。SPEEDのバラードだったらこれが一番好きだ。ファンの中でも人気曲だと聞きます。

暗く、重めなトーンの平メロと、空間を広げるようなサビのコントラストが見事で、ピアノが趣味の自分はよく中学生の時弾いてました。メロディーが本当に綺麗なのが好きかなあ。

 

メッセージソングは大人のミュージシャンが歌えば、歌詞を咀嚼したり自意識や実存を反映させた重さが出るだろうし、普通のアイドルならキャラクターやポジションに依存した部分が大きくなるもの(いずれも魅力だけどね)

でも必要以上の干渉がなく物凄く澄み切って、それでいてメッセージの重みに押されない力強さで曲を成立させられるのが、当時のSPEEDなんだなあと。

 

トップアイドルにメッセージソングというのはある種のお約束だと思うけど、実力派で、かつ日本でトップクラスにCDが売れているアイドル(ミュージシャン)だから表現できる感動が詰まった1曲だと思うなあ。

 

 

6.Body & Soul

 

今でもSPEEDといえば?という問いにこれが出てくる人は多いだろう、そんな衝撃のデビューシングル。

とにかく攻撃的に捲し立てる曲調、加えて歌詞は、いわゆる女の子が自らの性を持って男子に迫るっていういかがわしいモノ。それを当時12歳の女子二人が凄まじい気迫、訳わからない故無邪気に歌い切るっていう逸品。

そう、SPEEDって元はかなりシュールなんだね。

 

でも「同じステップの毎日じゃ 生きてる事さえ 忘れちゃう」みたいな歌詞は、個人的には中学生くらいなら身に染みてたか。性の暗喩みたいなとこを除けば、自己主張を強め始めるティーンって感じのフレーズと解釈もできる。

壮大なお遊びというか実験だった気もするけど、結果はいきなり63万枚を売り上げる大ヒット。ここでイロモノ(まあそんな印象に着地しようがなかったけど)やら一発屋になるどころか、以後どんどん飛躍したのがSPEEDの凄さ。

 

 

7.ナマイキ(愛♡♡♡Version)

 

「White Love」のカップリング曲。クールなサウンドだけど(平メロでぶりぶりしたループするベースがお気にいり)アイドル色の強い、非常にキャッチーな1曲。「あなたは5コも年上だから」「彼の助手席 すべりこむ」ってことで、当時平均年齢14歳の本人たちからすると、推定19歳の車持ってる彼氏って事だよね。うーん歌詞通り「かなりヤバイね」な曲だなあ。

とりとめもなく「カワイイもすごく嬉しいけどね たまにはキレイねって言わせたい!」(言われたい、じゃなくて言わせたいってのが確かにナマイキである)とか歌ってて、可愛い曲だなあ。

 

当時デビュー2年目、SPEEDのそういう意味での''危なさ''は表題曲ではなくカップリング曲で引き継がれております(爆発的な人気によって、背徳的な事をやり辛くなったんでしょう)

 

あとこの曲、ラストサビ前に原曲にはない「あいしてる」ってセリフが挿入されるという一工夫があって、これも可愛くて良い。

 

 

8.Go!Go!Heaven

 

3枚目のシングルにして、初めてのオリコン1位を記録。ロック色の強い1曲で、これも「Body & Soul」以上に中々な歌詞と迫力。ただこの路線、シングルでは早くも最後。加えて、ここまでロック調で攻めたシングル表題曲もこれが唯一かも。

B’zの松本孝弘がこの曲を気に入っていて、この年のB’zのシークレットライヴのタイトルに使ったなんて話も。確かに、何かわかるなあ。

メロディーのキレといい、音の隙のなさといい、J-POPはこうであって欲しい、っていう個人的な美学そのまんまな曲です。

後半のサビのゴリゴリ進行する感じとか本当好き。

 

 

9.熱帯夜

 

「Wake Me Up!」のカップリング曲。3分少々の小品ながら、ミスティックで暗く迫力のあるミディアム調ナンバー。

ゆるいラップ調?語り?で、好きな人への少女の胸のうちを独白。澄みながらちょっと鬱屈としたサウンドはまさに「熱帯夜」って感じ。曲詞共に、好きな人の元に抑えられない胸に任せて、いきなり突撃しそうな危うさがたまらん。

間奏では4人の台詞があって、ファンとしても嬉しい仕様ですね。

 

「Wake Me Up!」が朝の健全なシーン。対してカップリングは夜で、歌詞通り「いい娘じゃいられない」って世界観。シングルでこの対比を作るってのが、洒落てます。

SPEEDってそういう音楽的なバックアップ、アーティスティックな仕掛けもしっかりしてたよねえ。

 

 

10.Luv Vibration

 

1stアルバム「Starting Over」収録曲。PVも作られた実質リード曲で、確かにシングル曲に匹敵するキャッチーな1曲。

改めて聴いたけど、曲のキャッチーさと歌詞の際どさのアンビバレンスさはSPEEDでもトップレベルかも。

ちょいちょい情事を想像させるフレーズが出たり、「無精ひげが似合うね 大人だね ドキドキする」ってフレーズもまあ相手中高生じゃないし(こういうフレーズを、可愛らしい弾けっぷりと妙にお姉さんな落ち着きの同居した絵理子ちゃんが歌うのが余計危なく聴こえる。妙に艶かしい早熟な女子ってイメージで)

今改めて聴くと「ヒョエー」って思ってしまうw 当時のMAX姐さんでもちょっと大人っぽい、歌詞だけ取ったら。

「ハート愛撫して」「Vibして」とかけてたり(ハートとはいえ''愛撫''って言葉を10代前半に歌わせるってのもなかなか)、一方で「ケイタイ きっとhitoeだわ」なんてアイドル丸出しなギミックなフレーズもあり。

いやあ・・・結論、良い曲です( ´Д`)

 

 

11.my graduation(Album Version)

 

卒業ソングとしても人気を博した6thシングル。この曲も静かに過去を振り返る平メロと、抑えてた胸が張り裂けるのをそのまま音にしたように、ぶちぎれ気味に展開するサビのコントラストが凄い。これもJ-POPのお手本みたいな1曲かなと。本当の意味で「切ない」曲。

それでいてサビのメロディーがとことん歌謡曲っぽいのが最高。当時小学1年生の我的には、前作「White Love」よりこっちの方が印象強い。

 

関係ないけど、この曲のスマートな振り付けすごく好きで、我もカラオケなら完璧にできます(誰得)

披露したいけど披露する相手がいません(でしょうね)

 
 
12.White Love(Christmas Standard)
 
ストリングスをフィーチャーした「White Love」別バージョン。結構音は派手目。元が名曲なので、華やかで豪華に召し替えてもやっぱ良いなーって感じ。ベスト盤のおまけとしてかなり嬉しい1曲ですね。
間奏でギターが奏でてたフレーズをフルート(かな?)に変更されてるのが地味に好き。
 
ちなみにこの後シークレットトラックで12のインストバージョンも収録。アイドルのベスト盤なのに、なんてゴージャスな作りなんでしょう( ◠‿◠ )
 
 
改めて聴いたけど、やっぱ名作ですわ。。
我の個人的90年代殿堂入りアルバムの一つに、キラッキラ輝く1枚なのであります。
あと議員先生にはぜひ歌の世界に戻って来て欲しいと、今でも思っておりますまだ若いんだし(蛇足)
 

久しぶりのアルバムレビューもどきは、今から25年前のこの1枚。

華原朋美「storytelling」でっすー。

 

ダブルミリオンを記録した1st「LOVE BRACE」は、朋ちゃんはもちろん小室さんの数多ある名作の中でも一番好き。何なら90年代の女性ソロボーカルアルバムで一番と言っても過言ではない、クオリティとか濃度、時代の立ち位置含めて、邦楽史上に残る名作だと思っております。

 

その後の5枚目のシングル「save your dream」(意外にもオリコン1位になったのはこれが初めて)、

1997年の「Hate tell a lie」「LOVE IS ALL MUSIC」「たのしくたのしく やさしくね」と次々にチャート1位の大ヒットを飛ばし、人気のピークを迎えた1997年年末に発売されたのが、この「storytelling」。

 

「孤独でありふれた少女が、王子様に見初められシンデレラになる」的なコンセプトで展開した「LOVE BRACE」に至るまでのシングルから一転、その後は曲調、ビジュアル、歌詞のテイストどこをとっても方向性が拡散。

(ちなみにこれは同時期の安室奈美恵も同様。アルバム「SWEET 19 BLUES」のシングル群が安室ちゃんの実存とオーバーラップした歌詞、小室流R&B路線、という点で一貫していたのが、「a walk in the park」以降シングルは曲調、歌詞、ビジュアルどの点でも拡散している、という余談)

 

「LOVE BRACE」が、当時の朋ちゃんのドキュメンタリーを兼ねて完璧に作り上げた「作品」だとしたら、この「storytelling」はより朋ちゃん(と交際している小室さん)のパーソナルな部分をフィーチャーしたような、一言で言うと生々しい。独自の質感です。

勢いのあるアップナンバー「Every morning」の

 

「仕事にも遅れなあーいイェイイェイェ~イ♪」

 

ってな明け透けな歌いっぷりといい、「I wanna go」の

 

「どこでも良いから行きたい」

 

と言った奔放な描写といい、朋ちゃんのピュアで突飛なキャラをそのまま空に放出したような。

一方音はやっぱりカッコよくて隙がないし、朋ちゃんも声に芯が出来て歌い方も余裕がある、一言で言うと歌自体が上手くなった感じ。歌手としての自我が強くなって、急成長期だったと想像。

 

前作の完璧さに比べると「コンセプトが見えない」「まとまりがない」ように聴こえる気もするけど、何となく流れというよりは朋ちゃん(と小室さん)の恋愛の「気分」を音楽に切り取った感じかなあ、と。

 

また今作での試みとしていくつか朋ちゃんが作詞に関与、また壮大なオーケストレーションのインスト「storytelling」にはブックレットにのみ散文詩(?)が掲載。それらは当時の朋ちゃんの日記や、日常会話が基になってたりするそう。

 

ちなみに「storytelling」は次作で曲と詩が合体、アレンジも変更し完成形になるんだけど、そのあまりの凄まじさがネット界隈で未だに問題作呼ばわりされるというのは、また別のお話。

 

歌詞も、朋ちゃんや小室さんの主観的なものなのか、朋ちゃんからみた小室さん、小室さんから見た朋ちゃんという視点なのか、感覚がゴチャってなってる感じがする。そういった面は次作でさらに炸裂することになりますけども、個人的にはそういうとこも好きです。

 

 

特に好きな曲をいくつかご紹介。

 

 

 

4.たのしく たのしく やさしくね

 

私情丸出しで書くけど、ネットで「たのしく~」からヤバくなったって意見見るんだけど、そうですか?

当時の朋ちゃんの持つ格上演出な上品さ、ラグジュアリー感と、爽やかですっぴんな魅力が融合した名曲という印象なんだけどなあ。

メロディーも綺麗でドラマチックだし、音もZARDっぽいドラム(表現がなんか違う)とか、さりげにオルガンのフレーズとかめっちゃカッコいいし。

 

ただシングル売り上げが41万枚と、ちょっと前までミリオン続きだったのを考えると落ち着いたという事実もある。シングルとして発売された1997年秋は、小室ブームが落ち着いてきた頃でもあるので、曲云々じゃなかったのでしょうが

ー同時期、globeは同年上半期のミリオンセラー「FACE」と同じ条件(ドラマ主題歌、クールの序盤で発売)だった新曲「Wanderin’ Destiny」がミリオンに届かなかったり(それでも87万枚売れてるけど)、安室「Dreaming I was dreaming」、hitomi「PRETTY EYES」もそれぞれ小室プロデュースでのブレイク以降(「Body Feels EXIT」と「CANDY GIRL」ね)最低売上になってたりする。

 

 

5.You just gonna sing a song

 

「可愛い恋人の歌手への純粋なエール」ってイメージかな。まんまか。「あなたはあなたの好きな歌を歌ってほしい」という、あまりにもピュアなメッセージソングです。

これも「たのしく~」同様、当時の朋ちゃんのラグジュアリー感と素っぽさが同居したバラード風で、とても味のある良い曲。

ちなみに朋ちゃんがイメージを務め、ヒット商品になったあの「桃の天然水」の初代CMソングでもありますね。

 

色々あると思うけど、お前どの立場からもの言ってんだって言われそうだけど朋ちゃんにはこの曲を今一度送りたい。

もっと歌ってよー歌ってる朋ちゃん本当に本当に、本当に素敵なんだから!!って( ´Д`)

 

 

7.LOVE IS ALL MUSIC

 

俺が朋ちゃんの曲でトップクラスに好きな名バラード。名作恋愛映画のワンシーンを、そのまま音楽で表現したみたいな。

ストリングス奏者をスクリーンで映しながら、スーツファッションの朋ちゃんが伸び伸び歌うPVも印象的でした。

個人的な思い出としては、中学3年生の夏にCDTVで聴いて好きになって(あ、後追い世代でござるよノブナリさんは)、CD入手してよくウォークマンで聴いてました。

物憂げな夏の夜がぴったりだけど、日差しの強い熱い午後に、休みの学校のグランドで汗かきながら聴いた時、意外としっくりきた想い出があります。

 

 

9.Hate tell a lie

 

「I'm proud」に続く2番目の大ヒット曲、ミリオンセラーだけども、これも色々と印象的な曲ですね。朋ちゃんが家に役者さん呼んで遊んじゃったのを撮られて、それを知った小室さんが当てた歌詞という曰くつき。まー、朋ちゃんを輝かせるために苦しんだり悩んだりして頑張ってるのも、偽らざる事実だろうしね。それを音楽で伝えようとする小室さんの少年臭さが、俺は大好きですけども。

地味にアコギとエレキギターが厚く主張する編曲が凄く印象的なんだけど、リズミカルに畳み掛けながらちょっと哀愁というか切ない感じもある。

個人的にはそんな曲と、桜が舞う&エヴァンゲリオン(旧世紀版)ばりに白っぽい映像のPVって組み合わせに、初めて鑑賞した中学生当時凄く興奮した(あと朋ちゃんのパイオツカイデーっぷりも⇦おい。でもPV以上に音楽番組の映像とかすげーガンガン揺れてて、同級生の女子と見た時「何か凄いね」って言い合ってたよなあ)

 

10.You don’t give up

 

翌年にシングルカットもされたバラード。「LOVE IS ALL MUSIC」もそうだけど、朋ちゃんって本当に弦楽器が似合う、似合う通り越して勝手に呼応する不思議な歌手なんですね。朋ちゃんの歌声自体がバイオリンみたいっていうか。

これは小室氏の女性に対するお願いを、朋ちゃんが歌ってる印象。それを奇妙と思う人もいるかもしれないけど、愛する人に自分の辛さとか葛藤を理解してほしい、じゃなく「自分の知らないところでこう理解されてたら、きっと泣けるほど嬉しいなー」的なニュアンス、個人的には何か共感しちゃう。

 

恋をしていてちょっと弱ると、そう思う可能性あるもん俺。

男と女って姓ではバスって区別されてるけども、実際は被るゾーンの方が多いって思ったり。弱さ強さに男女はないなって思ったり。

 

あとこの曲「男はいつの日か 戦い挑むため 遠い遠い国へ旅立つ 必ず」と言う歌詞があるけど、小室氏が「男」と言う概念を出してくる歌詞とても好きです。

 


11.afraid of tonight[TK MIX]

 

今作をある意味象徴する曲かも。

輪郭がボケてる感じがするけど、その分目を凝らして実体をのぞいて見たくなるような(そしたらそこにはマツコデラックスに「明菜と双璧を成す闇」と言わせた朋ちゃんの暗がりのカケラを見ることになるでしょう)、そんな魅力。

 

3曲目に短い曲で入ったこの曲が、この「TK MIX」で曲、歌詞が増量され、音も完成形と言う感じ。

音は小室流クラブミュージック。ぼやーっとした闇っぽいサウンドに、「二十歳の夜 あなたに 出会った私」という歌詞から展開されていく、朋ちゃんの正直すぎるけど生理から出てきた故に魅力ある言葉が、中々マッチしてます。

 

 

ってな訳で。

これを聴いて抵抗を感じなかったら、すんなり「良いねー」って微笑んで聴けた人は立派な「朋ちゃん」ファンでっせ!っていうそんな一枚(個人の感想です。通販の利用者インタビュー風)。

1stと負けず劣らず良い曲揃いだし、メタリックなジャケット、フェラーリの写真もカッコいい。ラブラブ微笑みあってるフォトもお腹いっぱい(褒め言葉)

CDバブル期の歌姫の、静かに輝く名作だと思います。

 

またまた久しぶりの音楽レビューもどき。ほのぼの乱文仕様。

今日紹介するのは、最近のマイブームソング。sweet velvetの「flame of love」。

 

flame of love/sweet velvet 99.6.23

 

作曲家、大野愛果氏(倉木麻衣や愛内里菜などのヒット曲で有名)のセルフカバーアルバム「Shadows of Dreams」を最近よく聴いております。表題曲「Shadows of Dreams」って曲が特に良く、原曲はどんななの?つって調べてyoutubeでヒットしたのが、このsweet velvetというグループ。

ちなみに原曲タイトルは「I JUST FEEL SO LOVE AGAIN〜そばにいるだけで〜」。こちらも当然だが良い曲。

当時の人気アニメ「まもって守護月天!」の主題歌だったそうなので、ある年代以上の人は聴いたことがあると思われる。

 

この曲の関連動画でヒットしたのが、今回の「flame of love」。

何の気なしに聴いてみたら・・・あれ物凄い良い曲。隠れた、というか隠れすぎの名曲!となり、23年越しのマイブームに至ります。

 

「I JUST〜」がデビューシングルで、これは2ndシングルだそう。テレビアニメ「モンスターファーム」のエンディングだったらしい。アニメ見てたはずだけど歌も内容も覚えてないなあ、俺。

あ、もっちーは可愛くて好きでしたよw

余談だが、「モンスターファーム」は土曜日朝の放送だったけども、メインの視聴者層だった小学生は1999年当時、隔週で土曜も午前中のみ学校に行っていた。登校前に「モンスターファーム」を見る、という日課の子もいたと思う。モンスターファーム=土曜日朝は学校でお勉強、昼はお友達と遊ぶっていう、あの頃特有の不思議な生活&楽しいムードと共に、私の胸に刻まれております。前述の通り内容は覚えてないんですけど

 

このsweet velvetというグループ、メンバーの詳細なプロフィールは特になく謎だらけ、この後もう1枚シングルと、唯一のフルアルバムを出したら速攻活動を終了したようです。

うーむビーイングっぽい(おい)

 

ただアニソン偉大なり!な、このご時世。当時の子どもが少なからずみていたアニメの主題歌を2曲担当しているので、名前は知らずとも聴けばわかる人多そう。

 

 

この曲の時のみ、音楽番組出演もしていたようです。まさに貴重映像。

 

 

大野氏によるメロディーラインは、もう安定安心の美メロです。本当この方、曲の骨格がどこまでも美しくて好き。綺麗なだけじゃなくて、強固な感じも受ける。

 

そんでこの曲アレンジが好き。まるで深い海の底にいるような音の世界。薄い音色とがっしりした音色が組み合わさったドラム。そこに、浮遊感のあるギターやらシンセやらの上物が組み合わさると、なんとも言えない透明感、矛盾した澱みがあって、聴きいっちゃう。

このステキなアレンジを施したのは、かつての人気バンド・GARNET CROWメンバーだった古井弘人氏。

この方の仕事で有名なのは1990年代の小松未歩ですが、個人的に好みなアレンジです。クレバーで、緻密で、でも肩が凝らない音って感じ。

 

このアレンジに、歌詞に散りばめられた抽象的な語彙が交わると、不思議としっかり画になって聴き手に訴えかけてくる。

愛の炎を意味するタイトルだけど、青い炎を想起させられた。青い炎は赤いのより熱いよって言いますが、ささやかだけど確かにアツアツな想いって感じで。

ロマンチストな俺にぴったりな歌だなー

いっぺん黙ろうか( ´∀`)

 

ボーカルの秋本瑞月ってお姉さんは、アンニュイかつ可愛らしいお声をしてまして、印象としては「翳りやノイズを除いた川瀬智子」って感じの歌声です※個人の感想です

曲との相性もバッチリです。

 

あまりにもマイナーな曲、グループだけど、名探偵コナンのエンディングとかだったらもっと売れて(実際イメージ的にマッチするし)、rumania montevideo(懐)位には認知されたかも?

蘭姉ちゃんに口ずさませればオリコントップ10は堅かったと思うぞーってSecret of my heartか

 

埋もれた名曲をまた発掘した想いです。

 

 

ちなみに8cmシングルを入手して聴いたけど、カップリングの「STAY」って曲も意外と良かった。

こちらはゆるくて可愛い、オシャレな曲。sweet velvetって、一部楽曲の編曲にピチカート・ファイヴのメンバーを召喚した事があるらしいが(ビーイング系では珍しい)、どんなイメージで売ろうとしてたんだろうか?

 

うーむ、これは唯一のアルバムも気になってきたぞ・・・(続?)

 

全部アルバムレビューするぞ!つってぶち上げながら、驚異的なスローペースで思い出した時に書いてるELTアルバムレビューもどき。

今回は、オリジナル7枚目「Crispy Park」です。

 

Crispy Park/Every Little Thing 2006.8.9

 

1996年8月7日のメジャーデビューから、丸10年後にあたる2006年8月9日発売。

この当時に出演したうたばんではデビュー10周年特集とかやってて、もっちーママからの手紙だったり、過去のVTR紹介だったり(いっくんの顔のいろんなとこからスライム出る恒例のCGとかねwww懐かし)面白かったなあ。。。

 

(音楽には関係ないが、この頃はもっちーの、一朗さんの面白キャラも大分世間に浸透してましたねw)

 

前作「commonplace」以来2年半ぶりと、当時結構久々な印象のあった今作。

個人的にも、「commonplace」の時中学1年生だった俺が、今作発売時には高校1年生の夏休み。

身長とか20cm以上伸びて、人生の酸いも酸いも甘いはほぼなかった年齢の割に色々経験して、色んな意味でどっちかちゅうとあまりよろしくない意味で人間として変わった頃だなあ(遠い目)

・・・って、ELTの音楽透かして自分の人生回顧してる哀れで陰気な男w

 

ノブナリさんの音楽レビューもどきは私情もガンガン盛り込んでお届けしております。( ´∀`)

 

 

当時シングルリリースペースも緩かったELT、今作も2年半で散発的にリリースされたシングル曲が計6曲入ってます。その中でも、現時点で最後に紅白歌合戦出場&オリコン1位獲得曲「恋文」は、結婚式で使われることも多い人気曲。

個人的にも、このシングルが初めてお小遣いで買ったELTのCDなんですよ。

 

以後「きみの て」「azure moon」とバラードが続く中で、先行シングルだった「ハイファイ メッセージ」は久々の軽快な歌だで、アコースティックだけど打ち込みでフワッと軽くて、新境地でしたね。何だろLOVE PSYCHEDELICO感と申しますか。

 

あとトピックとしましては、この当時のもっちーはボーカルが激変していて、シングルの時点でそれぞれ歌い方が違います。言葉と言うより、音としての歌に切り替えたような。子音を立てない、丸い歌い方。それでいて、感情に任せて張り上げるようなボーカルも随所に、って感じ。

けれども、これは意図的ばかりでもないよう。2005年のコンサートの本番中、もっちーの声が出なくなって涙するなんていうアクシデントが発生したらしく、今作出した頃もリアルに喉のコンディションが悪かったようです。

ELT、というよりもっちーにとって一番苦難の時期だったのかな。ある意味、「 4 FORCE」製作時以上の正念場だったのでは、と想像。

 

ただ「commonplace」の頃にボーカル、作詞で一つ高みに到達したもっちーの才気、センスは更に深化。またこの頃、辛くても歌において一歳手を抜いてないこと、ちゃんと聴けばわかります。

結果、良い感じにアーティストとしては陰影がついた、また一味違った素敵なアルバムに感じています。

 

ーこれは他のミュージシャンでもよくあると思う。

ミュージシャン本人がトラブってたり不幸だったり、心身に問題を抱えてると、その中で生み出された音楽はスリリングで、物凄い引力を有すると言う現象。

ミスチルだと「BOLERO」、浜崎あゆみだと「Duty」、喉とメンタルがやられて、レコード会社にクビを切られる直前の鬼束ちひろの諸作(「Sign」「Beautiful Fighter」「私とワルツを」あたり)もそうかな。

 

渦中のミュージシャンは不幸なんだろうけど、それを自分みたいなリスナー(消費者)は「これ凄い!」つって楽しむ。

なんて残酷な・・・と思う一方で、(誰とは言わないけど)「この人不幸な時の音楽の方が、深みと凄みがあって素敵!」「いつかまたこんなのお願いします!」って意地悪な事願っちゃうミュージシャンさんもいるもんね。

 

 

さてELTの話に戻しますと。

このアルバムで特に好きな曲は「スイミー」です。リカットシングルだったこともあり大ヒットとはならなかったけども、ドラマ主題歌として親しまれまして、ファン人気&知名度も高いはず。のちに持田香織ソロとして、「まだスイミー」というタイトルでリメイクされております。

 

歌詞に出てくる「水の匂い」というフレーズ通り、なんか淡くて涼しげ。当時大っ嫌いな田舎の高校高校生だった自分、これ聴くと学校のプールの匂いよくバイト終わり夜に忍び込んで一人スッポソポソで泳いで大暴れした15,6,7歳の想い出を想起しますです。

さりげに入ってくるピアノも効いた、軽快で透明感のあるアップナンバー。テレビで歌ってる時はちょいちょい苦しそうだったけど、もっちーのフワッとあっさり歌い上げるボーカルもマッチしてた。

 

この「スイミー」含め、今作のアップチューンは全体的に透き通るイメージがあって、色は淡かったりパステルだったり、って感じ。元気だけどゴリゴリ過ぎない、スッキリしてて疾走感があって、みたいな。

 

ピアノをフィーチャーしたがっしりバンドポップな「風待ち心もよう」もお気に入り。2002年の「ささやかな祈り」が逞しくなったって感じの曲。

 

あとはELTファンとしてアルバムのお楽しみ、一朗さんの作曲「いずれもROMANTIC」も、一朗さんらしいパッキパキで疾走感溢れる、アップチューン。ツルッとエフェクトされたボーカルと、水の粒のようなシンセの音色が絡んで、キラキラした曲ですよ。

一朗さんのコードワークや転調にははっきり色がありますね。一朗ブランドというか、気持ち良いうねりがあって好みであります(๑>◡<๑)

 

一方こちらはもっちーブランド。もっちー作詞作曲の「スカーレット」もお気に入り。これも果てしなくもっちーらしい、縦ノリで縦横無尽なメロディーラインのアップチューン。天然色に彩られながらも、力強いフレーズの数々が楽しめる歌詞。

 

そしてもちろん、バラードも素敵な曲が揃ってます。ラストを飾る「good night」は、命を歌ったせつなくも強靭な泣きのバラード。もっちーもかなーり絶唱していて、名曲なんです。3人時代ではあり得ないスタイルの曲。

 

しかし極め付けはやはり「azure moon」。連続したバラードシングルの最終作。

自分、CDTVのゲストライブで初めて聴いたのかな。度肝抜かれましたもん。何これ!?ってね。

 

「Time goes by」とも「fragile」とも、「Untitled 4 Ballads」とも違う、物凄いエネルギーのバラード。なんというか体にくるというか。暖かく包み込みながらもビリビリするような。

当時15歳になったばかりの俺は肌寒い春の夜、毛布にくるまってすげー身震いしたのを覚えております(大袈裟だなーでも本当にそうだったんですw)

体中から涙こぼれる感覚がした、とか某I'm proudみたいな事言っちゃう←

 

ボーカルスタイルもさる事ながら、おかっぱの髪をクシャっと巻いた?もっちーのビジュアルも含めて、なんかすげ~なと。アウトロでの「てーラーハーチュワーあああああ・・・♪」(表現雑)みたいなロングトーン、良い意味でお口あんぐりでした。

 

ただこの「azure moon」、ELTにとって1997年「Dear my friend」でのブレイク以降初めてオリコントップ10から陥落(12位)した曲でもあります。まあでも残念というより、こんだけ名曲なら問題ないっしょELT、突き進めー(^ ^)!!って感覚の方が強かったですけどね。

むしろこんだけ独自性を保ちながら、サラッと上位にランクインできる、全国に何万人というファンがまだまだいるっていう。流行り廃りの激しいJ-POP界で、ELTはとても良いポジションに着いたなーと感慨深かったものです。avex中堅(当時)の余裕とも言えますでしょうか。

 

ー余談ですがこの2006年当時、avexのユニット系のグループは軒並み活動が停滞してました。

パイセンglobeは同年に「maniac」「new deal」と積極的にアルバムをリリースしたものの、それが実質最終作品に(数年後再始動しようとしたら小室さん逮捕されちゃうし、その後はもう色々・・・悲)

 

ELTと性質の近いグループでも、同期のFavorite Blueはとっくに活動終了して久しく、day after tomorrowも前年色々あって実質解散

(この時点ではmisonoちゃんもソロで頑張っておりました。翌年にはバラエティに主戦場を移しますがな)

他いくつかあったavexユニットも軒並み休止、解散しております頃です。

 

順調だったっぽいDo As Infinityまで電撃解散したしなあ(後に復活してよかったよ。。あと伴ちゃんのソロとっても良かったよ)

 

 

それを考えたら、当時のELTのサバイブ具合って凄い。上記globe以外の面子とは実績が桁違いってのもあるけども、ELTも常時順調だった訳じゃないですからね。

・・・ってなわけで、円熟したバラードと、デビュー10年経て更に新鮮さを提示してきたアップナンバー。そんで2人の才能、佇まいの安定感。曲の濃度&クオリティーは高値でキープ。

2006年のELTを記録した「Crispy Park」は、2人ELTにとって一つの到達点だと思いますです。

 

最近、自分が上京する時に持ってきた超古いWindowsのPC(まさかの2007年製!)の、音楽データを整理していた。色々な歌を発掘して懐かしいなーとか言ってたんだけど、その中でも超絶埋蔵されていたのが浜崎あゆみのアルバム。

 

そんでmacのPCに移し替えて、久々時間かけて聴いてみたんですが・・・いやーやっぱ良いなあーあゆ( ^ω^ )

てなわけで現在、超絶浜崎あゆみブーム、再燃。

色々聴いて思いを巡らせ、何ならもう一度過去のCD買い直したりしちゃってる、今日この頃であります。

 

てなわけで、昨日「LOVEppears」のCDレビューもどき書いたりしたんだけど、今回は浜崎あゆみについての、私的回想録を書いてみた。

 

 

90年代前半生まれの自分にとって、あゆは幼少期の時点でビッグネームだった。

テレビっ子の自分からすれば、テレビであゆの曲を聴かない日はない。本人もCM出まくってたし、メジャーな音楽番組には当然皆勤賞の勢いで出演。一時期は「ayu ready?」なんて冠番組まで持ってた訳ですね。

 

ただ特段好きという感覚はなかった。嫌いってわけでもないんだけど。たとえば安室かあゆか、なら安室ちゃん!ってなるし、宇多田かあゆか、なら宇多田を選ぶし。

かつてライバル視されていたあみかあゆか、なら鈴木亜美の方が良い!と言ってた子供でも合ったわけですね。

 

そんな自分でも楽曲は毎回把握していた辺り、時代を作った歌姫特有の影響力を感じてしまう。「Voyage」「HEAVEN」「Bold & Delicious」辺りはリアルタイムでもお気に入りな曲でありました。

 

ーそういえば中学の頃、「Bold & Delicious」をMステで披露した翌週の月曜だったかな。クラスの女子が「この間のあゆ、サビ全然歌ってなかったよねw」なんて話してたの思い出したわ。確かにゴスペル系の黒いコーラスをフィーチャーした作りなんだけども、そんなこと言ってやんなよってw

 

一方自分が中学2,3年生くらいからかな、空前の倖田來未ブームが到来。あくまで''エロ''を売りにした可愛かっこいいビジュアルと抜群の歌唱力、パフォーマンスを武器に一世を風靡していた。自分はこの時点でも、「あゆと倖田さん、どっちが良い?」って聞かれたら「倖田來未の方がいい」って少年だったと思う。

 

それでも尚、周囲の女子からのあゆ人気は絶大であった。

その様を見た俺が、「こんだけ倖田來未が流行ってても人気な浜崎あゆみの魅力とは、一体なんぞや?」と、初めて気になり出して、CDを買った。

これが俺のあゆ遍歴の始まりである。

 

高校生になってバイトしていて自分は、給料日に速攻給料を手に、帰り道BOOK OFFに直行。そして、浜崎あゆみコーナーでまずその量の多さに驚いた。在庫って意味だけじゃなく、一体何枚アルバム出してるんだって話。

どれ買って良いか分からない中、とりあえず初心者ならベスト盤、ジャケ写や存在は知っていた「A BEST」と、何故かジャケ写に萌えた「appears」のシングルを買って帰った訳です。

(ここでオリアルじゃなく、ジャケ写が気に入ったシングル選ぶのがノブナリクオリティだな)

 

そんで家に帰って、「A BEST」を聴く。冒頭の「A Song for ××」の、あまりにも赤裸々で痛々しい(クオリティじゃなくて内容ね)歌詞に、「あれ、俺が思ってたのと違う」「浜崎あゆみってこんな歌歌ってたの!?」と結構な衝撃を受けたのです。

 

「A BEST」は言わずと知れた圧巻のヒット曲集で非常に楽しめたんだけど、やっぱ歌詞が凄かった。あと流行歌手なんだし、色恋の歌が多いのかと思いきや、その手の歌がかなり少ない。これは意外だった。

「appears」「M」あたりのラブソングも、ストーリーのそれよりも不可抗力感というか、愛を前にした人間の性とか、そこら辺の切迫したニュアンスが強い。

 

そこで俺は一気にあゆに惚れ込んでいった。

後CD集めるのが楽しかったしね。ジャケ写やアートワークが、流石ビジュアル重視な人だけに眺めてて楽しい。また絶頂期のシングルはリミックスだらけで、トラック数やら収録時間ほぼフルアルバムみたいだったのも、テクノ系大好きな自分には良かった。いろんなバージョンが聴けて、飽きが来なかったってのもある。

 

そういう意味では、リミックス収録が減った2002年のシングル「Free & Easy」以降は、CCCDに切り替わった事もありコレクションが少なく、その分思い入れも一段落付いている。

もちろんアルバム単位では一通り聴き続けたし、曲だけとっても、どの時期にもお気に入りが無数にあるんだが。。やっぱ実際にCD手にとって楽しんだものの方が、より深く刻まれる部分はあるよなあ、と。

 

 

ー少年時代の自分的には、あゆは見てくれとか、センセーショナルな部分ばかりが目についていた。

美人で歌が上手い。ファッションリーダーで、女子に大人気。派手なライブは有名で、PVに何千万かけました!なんてニュースにもなっている。私生活のあれこれも話題にのぼる。

 

でもちゃんと聴くと、こんな歌詞を歌ってたのかとか、歌声も、正面切って気持ちをぶつけて歌う人なんだなって事が分かったりと、絶大な人気には納得しかないわってなった。

そんな、浜崎あゆみへの私的回想録でありんした。

 

次はかいつまんで、好きなあゆのCDについて、徒然と書いてみようかな。