先日レビューもどきしたのがユーミンの「雪月花」、

からの今日のレビューもどき中島みゆき作の「雪・月・花」。歌うのは工藤静香。

 2曲ともたまたま発売が2月なんですね。ちょうど良いや。

 

 

雪・月・花/工藤静香  1998.2.18

 

 

1987年のソロデビュー以来その歌唱力、タレント性、ドラマタイアップの波、確かなセルフプロデュース能力をもって激動の90年代音楽界をサバイブしてきた工藤静香。

トップアイドル期、ドラマタイアップで大ヒット連発期、アグレッシブなセルフプロデュース期(安室ブレイク以前に髪バッサバサして踊ってた頃もあった)を経た1998年に発売された「雪・月・花」。

特にボーカリストとして極まったイメージがあるんですけどいかがでしょう。曲自体はややマイナーなのかな(一応約10万枚を売り上げるスマッシュヒットになってます)

 

元々''アイドルなのに不良''だったからこそ成立する、妖気に近い色気。テクや正確さより、荒ぶったりコケティッシュだったりといった表情の豊かさ&力業で押し切る方に重きのあるボーカルセンス。

あらゆるタイプの楽曲を歌ってきたからこその経験値。

それがぜーんぶこの「雪・月・花」で堪能できると言いますか。滑らかで、独自の波とキレがあって、それでいて時々静香らしく(?)ピリついてリキが入るボーカルです。

エロい。怪しい。カッコいい。美しい。全部表現しちゃってるみたいな。つまり元祖エロかっこいい(?)

 

この曲、オリエンタルな美メロはもちろん歌詞が好き。愛する人と繋がる快楽の水の中を、ゆらゆらと泳ぐイメージ。はっきり言うとセックスなんだけど、卑猥じゃない。むしろどこまでも美しい。体が重なって心が重なって、深いところで美しい愛に触れてみたいな。だから性から始まった歌だけど、「雪・月・花 移ろわないのが 恋心」っていう逆に超ピュアなフレーズに繋がるっていう。

石田衣良の小説じゃないけど、セックスだけが本当で、他は全部幻なのだよーと言わんばかりの世界観。堪らないですー。

余談だが最近こういう性の悦びみたいな曲を凄い聴きがちな我。何が起きてるのか教えてほしい。。。

 

作者の中島みゆきも、70年代〜80年代にかけては女の肢体とかフェロモンを感じさせる曲をしばしば歌ってたっぽいけど、90年代はそう言う曲が減ってたみたいなんですね。強いメッセージ性だったり、性を蒸留したような神様に近いところにある愛の歌が増えている(「空と君のあいだに」やら「糸」やらが分かりやすい)

そんな時代において、工藤静香相手にはこんな濃厚な性愛の曲を提供するのだから、やっぱ特別なんだろうなあ。工藤静香の存在がなかったら出来なかった曲なのかも。

 

2コーラス両方サビ前に出てくる「なんにもわかっていない人ね」もふむふむ、と言う感じ。

「聞けよ、イヤよ、聞けよ、知ってるわ〜」的なことですかね、工藤静香にこれ言わせたいみたいな(๑╹ω╹๑ )

ある種の、歌謡曲由来のお約束な部分もビシッと押さえられております。

 

そんなこんなで、個人的工藤静香のベストソング「雪・月・花」でありました。

 

 

ここから余談。この「雪・月・花」、地味にPVが好き。

最初、白いセットの中で歌っているのかなと思ったらまさかのビニールハウス(!?)だったという。がっつり畑。

そんで収穫(?)された花が倉庫に並んでいるシーンがあったりする。前述の性愛の世界観、そんでスレンダーな工藤静香のビジュアルと不思議にマッチしてて、怪しくて美しい仕上がり。

こういうシュールだけどなんか美しくて納得しちゃうPV、とても好きです。