全部アルバムレビューするぞ!つってぶち上げながら、驚異的なスローペースで思い出した時に書いてるELTアルバムレビューもどき。
今回は、オリジナル7枚目「Crispy Park」です。
Crispy Park/Every Little Thing 2006.8.9
1996年8月7日のメジャーデビューから、丸10年後にあたる2006年8月9日発売。
この当時に出演したうたばんではデビュー10周年特集とかやってて、もっちーママからの手紙だったり、過去のVTR紹介だったり(いっくんの顔のいろんなとこからスライム出る恒例のCGとかねwww懐かし)面白かったなあ。。。
(音楽には関係ないが、この頃はもっちーの、一朗さんの面白キャラも大分世間に浸透してましたねw)
前作「commonplace」以来2年半ぶりと、当時結構久々な印象のあった今作。
個人的にも、「commonplace」の時中学1年生だった俺が、今作発売時には高校1年生の夏休み。
身長とか20cm以上伸びて、人生の酸いも酸いも甘いはほぼなかった年齢の割に色々経験して、色んな意味でどっちかちゅうとあまりよろしくない意味で人間として変わった頃だなあ(遠い目)
・・・って、ELTの音楽透かして自分の人生回顧してる哀れで陰気な男w
ノブナリさんの音楽レビューもどきは私情もガンガン盛り込んでお届けしております。( ´∀`)
当時シングルリリースペースも緩かったELT、今作も2年半で散発的にリリースされたシングル曲が計6曲入ってます。その中でも、現時点で最後に紅白歌合戦出場&オリコン1位獲得曲「恋文」は、結婚式で使われることも多い人気曲。
個人的にも、このシングルが初めてお小遣いで買ったELTのCDなんですよ。
以後「きみの て」「azure moon」とバラードが続く中で、先行シングルだった「ハイファイ メッセージ」は久々の軽快な歌だで、アコースティックだけど打ち込みでフワッと軽くて、新境地でしたね。何だろLOVE PSYCHEDELICO感と申しますか。
あとトピックとしましては、この当時のもっちーはボーカルが激変していて、シングルの時点でそれぞれ歌い方が違います。言葉と言うより、音としての歌に切り替えたような。子音を立てない、丸い歌い方。それでいて、感情に任せて張り上げるようなボーカルも随所に、って感じ。
けれども、これは意図的ばかりでもないよう。2005年のコンサートの本番中、もっちーの声が出なくなって涙するなんていうアクシデントが発生したらしく、今作出した頃もリアルに喉のコンディションが悪かったようです。
ELT、というよりもっちーにとって一番苦難の時期だったのかな。ある意味、「 4 FORCE」製作時以上の正念場だったのでは、と想像。
ただ「commonplace」の頃にボーカル、作詞で一つ高みに到達したもっちーの才気、センスは更に深化。またこの頃、辛くても歌において一歳手を抜いてないこと、ちゃんと聴けばわかります。
結果、良い感じにアーティストとしては陰影がついた、また一味違った素敵なアルバムに感じています。
ーこれは他のミュージシャンでもよくあると思う。
ミュージシャン本人がトラブってたり不幸だったり、心身に問題を抱えてると、その中で生み出された音楽はスリリングで、物凄い引力を有すると言う現象。
ミスチルだと「BOLERO」、浜崎あゆみだと「Duty」、喉とメンタルがやられて、レコード会社にクビを切られる直前の鬼束ちひろの諸作(「Sign」「Beautiful Fighter」「私とワルツを」あたり)もそうかな。
渦中のミュージシャンは不幸なんだろうけど、それを自分みたいなリスナー(消費者)は「これ凄い!」つって楽しむ。
なんて残酷な・・・と思う一方で、(誰とは言わないけど)「この人不幸な時の音楽の方が、深みと凄みがあって素敵!」「いつかまたこんなのお願いします!」って意地悪な事願っちゃうミュージシャンさんもいるもんね。
さてELTの話に戻しますと。
このアルバムで特に好きな曲は「スイミー」です。リカットシングルだったこともあり大ヒットとはならなかったけども、ドラマ主題歌として親しまれまして、ファン人気&知名度も高いはず。のちに持田香織ソロとして、「まだスイミー」というタイトルでリメイクされております。
歌詞に出てくる「水の匂い」というフレーズ通り、なんか淡くて涼しげ。当時大っ嫌いな田舎の高校高校生だった自分、これ聴くと学校のプールの匂いよくバイト終わり夜に忍び込んで一人スッポソポソで泳いで大暴れした15,6,7歳の想い出を想起しますです。
さりげに入ってくるピアノも効いた、軽快で透明感のあるアップナンバー。テレビで歌ってる時はちょいちょい苦しそうだったけど、もっちーのフワッとあっさり歌い上げるボーカルもマッチしてた。
この「スイミー」含め、今作のアップチューンは全体的に透き通るイメージがあって、色は淡かったりパステルだったり、って感じ。元気だけどゴリゴリ過ぎない、スッキリしてて疾走感があって、みたいな。
ピアノをフィーチャーしたがっしりバンドポップな「風待ち心もよう」もお気に入り。2002年の「ささやかな祈り」が逞しくなったって感じの曲。
あとはELTファンとしてアルバムのお楽しみ、一朗さんの作曲「いずれもROMANTIC」も、一朗さんらしいパッキパキで疾走感溢れる、アップチューン。ツルッとエフェクトされたボーカルと、水の粒のようなシンセの音色が絡んで、キラキラした曲ですよ。
一朗さんのコードワークや転調にははっきり色がありますね。一朗ブランドというか、気持ち良いうねりがあって好みであります(๑>◡<๑)
一方こちらはもっちーブランド。もっちー作詞作曲の「スカーレット」もお気に入り。これも果てしなくもっちーらしい、縦ノリで縦横無尽なメロディーラインのアップチューン。天然色に彩られながらも、力強いフレーズの数々が楽しめる歌詞。
そしてもちろん、バラードも素敵な曲が揃ってます。ラストを飾る「good night」は、命を歌ったせつなくも強靭な泣きのバラード。もっちーもかなーり絶唱していて、名曲なんです。3人時代ではあり得ないスタイルの曲。
しかし極め付けはやはり「azure moon」。連続したバラードシングルの最終作。
自分、CDTVのゲストライブで初めて聴いたのかな。度肝抜かれましたもん。何これ!?ってね。
「Time goes by」とも「fragile」とも、「Untitled 4 Ballads」とも違う、物凄いエネルギーのバラード。なんというか体にくるというか。暖かく包み込みながらもビリビリするような。
当時15歳になったばかりの俺は肌寒い春の夜、毛布にくるまってすげー身震いしたのを覚えております(大袈裟だなーでも本当にそうだったんですw)
体中から涙こぼれる感覚がした、とか某I'm proudみたいな事言っちゃう←
ボーカルスタイルもさる事ながら、おかっぱの髪をクシャっと巻いた?もっちーのビジュアルも含めて、なんかすげ~なと。アウトロでの「てーラーハーチュワーあああああ・・・♪」(表現雑)みたいなロングトーン、良い意味でお口あんぐりでした。
ただこの「azure moon」、ELTにとって1997年「Dear my friend」でのブレイク以降初めてオリコントップ10から陥落(12位)した曲でもあります。まあでも残念というより、こんだけ名曲なら問題ないっしょELT、突き進めー(^ ^)!!って感覚の方が強かったですけどね。
むしろこんだけ独自性を保ちながら、サラッと上位にランクインできる、全国に何万人というファンがまだまだいるっていう。流行り廃りの激しいJ-POP界で、ELTはとても良いポジションに着いたなーと感慨深かったものです。avex中堅(当時)の余裕とも言えますでしょうか。
ー余談ですがこの2006年当時、avexのユニット系のグループは軒並み活動が停滞してました。
パイセンglobeは同年に「maniac」「new deal」と積極的にアルバムをリリースしたものの、それが実質最終作品に(数年後再始動しようとしたら小室さん逮捕されちゃうし、その後はもう色々・・・悲)
ELTと性質の近いグループでも、同期のFavorite Blueはとっくに活動終了して久しく、day after tomorrowも前年色々あって実質解散
(この時点ではmisonoちゃんもソロで頑張っておりました。翌年にはバラエティに主戦場を移しますがな)
他いくつかあったavexユニットも軒並み休止、解散しております頃です。
順調だったっぽいDo As Infinityまで電撃解散したしなあ(後に復活してよかったよ。。あと伴ちゃんのソロとっても良かったよ)
それを考えたら、当時のELTのサバイブ具合って凄い。上記globe以外の面子とは実績が桁違いってのもあるけども、ELTも常時順調だった訳じゃないですからね。
・・・ってなわけで、円熟したバラードと、デビュー10年経て更に新鮮さを提示してきたアップナンバー。そんで2人の才能、佇まいの安定感。曲の濃度&クオリティーは高値でキープ。
2006年のELTを記録した「Crispy Park」は、2人ELTにとって一つの到達点だと思いますです。