今回はCrucialの(PCIe 4.0のSSDの中では)ハイスペックSSD T500 2TB(CT2000T500SSD8JP)のPCへの取り付け、データ移行の手順やレビュー記事です。
T500購入に至るまでのSSD選びは前回の下記記事を参照ください。
Crucial T500について
購入したT500のスペックは下記になります。PCIe 4.0では最速レベルの読み書き速度を持つハイエンドSSDです。
- メーカー:Crucial
- 製品名:T500 CT2000T500SSD8JP
- 容量:2TB
- インターフェイス:NVMe (PCIe Gen 4 x4)
- 対応規格:NVM Express 2.0
- メモリタイプ:TLC
- DRAMキャッシュ:搭載(DDR4 2GB)
- 読込み速度:7400MB/秒
- 書込み速度:7000MB/秒
- 総書込み量:1200TBW
- 補償期間:5年
- 発売日:2023年12月
- 購入価格:20,980円(実質16,402円)
- 購入店:Joshin web(Yahoo!ショッピング)
パッケージはこんな感じでシンプル。
保証を使うにはこの外箱(に貼ってあるシール)が必要とのことなので捨てずに取っておきます。コンパクトなパッケージで良かったです。
裏面には「超高速のGen4性能」「Microsoft DirectStorageでゲームとコンテンツの制作を加速」「Gen3との後方互換性あり」との売り文句が記載されてます。
中身もシンプル。SSD本体と大したことが書いてない説明書だけ入ってます。
ちなみにM.2 SSDの表面に貼ってあるシールはヒートシンクの役割も担っていて、このシールを剥がしてしまうと保証が効かなくなるので注意。
PCへのM.2 SSD取り付け
自分のPCのマザーボード「TUF GAMING B760-PLUS WIFI」はM.2スロットが3つあり、どのスロットも規格上は同じPCIe Gen4×4(64Gb/s)なのですが、①のスロットがCPU直結なので一番高速になっています(体感出来ないレベルでしょうけど)。
なので今回購入したハイスペックなT500は①スロットに装着、元々①スロットに付けていた既存の低スペックSSDは②スロットに移動したいところ。
いきなり差し替えてしまうとWindowsが起動しなくなるので、一旦②スロットにT500を挿し、既存SSDからT500にクローンソフトで中身をOSごと丸っとコピー。
その上で①と②のSSDを差し替え、最後に②に挿した既存SSDをフォーマットして完了、という手順で行きます。
とりあえず②のスロットにT500を装着。
装着前に必ず電源ケーブルを抜き、しばらくたってから作業します。静電気にも注意(昔は静電気対策で全裸で作業した方が良いとかっていうのもありましたねぇ)。
ASUSのマザーボードはドライバー不要でM.2 SSDを装着できる「M.2 Q-LATCH」が搭載されているので便利。写真左側の留め具を45度ねじるだけで固定と取り外しが可能です。
まあ、その上にマザーボード備え付けのSSD用ヒートシンクがあり、それの固定は普通にネジ留めなのでドライバーは必要なんですけどね。むしろヒートシンクのネジの方が装着位置が見えなくて分かりにくいのでどうにかして欲しいところ。
未使用だった②③スロット用のヒートシンクの裏面には予めサーマルパッドが貼り付けてあります。親切!
一旦の仮装着なので表面の保護シールは剥がさず取り付けます。
データ移行(システムドライブ移行)
①スロットは既存SSD、②スロットに仮装着したT500という状態でWindowsを起動し、OSが入ったシステムドライブを既存SSDからT500に移行します。
システムドライブのデータ移行(クローン)には必ずクローンツールを使います。Windows上でエクスプローラーとかを使って普通にコピーしただけだと起動しなくなるので注意。
クローンツールは移行先がCrucialのSSDが搭載されているPCであれば、有料クローンツールの「Acronis True Image」のCrucial専用版が無料で使えます。
クローン元かクローン先のどちらかCrucialのSSDなら利用可能で、両方CrucialのSSDである必要はありません。
ダウンロードサイトはこちら。
WESTERN DIGITAL(以下WD)も同じツールのWD専用版があり、これも同様にWDのSSDが搭載されていれば無料で利用可能。
「Acronis True Image for Crucial」を起動し、メニューの「ディスクのクローン作製」をクリックしてクローンを作成します。
普通に丸っと移行する場合は「自動(推奨)」を選んでおけば大丈夫だと思います。
どっちも同じ説明になってるので違いが分かりませんが、このPCのシステムディスクを交換するので「このコンピュータのディスクを交換するには」を選択。
選択しているディスクが正しい事を確認し「実行」ボタンを押します。
最初1時間以上かかる的なメッセージが表示されていましたが、結局20分ぐらいで終わりました。
クローンが完了したら、電源を切って移行先のSSD(T500)を②スロットから①スロットに差し替えます。
このとき、元々①スロットのヒートシンクについていたサーマルパッドは交換してます。
サーマルパッドはSSD側の凹凸に合わせて変形していたりするので、別のSSDに換えた場合はサーマルパッドも新しくした方が無難です。
「TUF GAMING B760-PLUS WIFI」の場合、サーマルパッドは1.25mmという中途半端な厚さが指定されていて、探すのに若干苦労しました。0.5、1、1.5mmみたいな0.5mm刻みの製品が多いんですよね・・・
そんな中でもAinexさんが1.2mmのサーマルパッド(M.2 SSD用熱伝導パッド)を出していたので、これを購入しました。
アイネックスさん流石!痒いところに手が届く!元々持っていたthermal grizzlyの超高性能サーマルパッド(1.5mm厚)より熱伝導率も高いし。
この後T500がCドライブにすげ変わってWindowsが問題無く起動することを確認し、②スロットに既存SSDを挿してフォーマット。めでたくシステムドライブ移行と増設が完了しました。
T500はこんな感じでちゃんと2GBで認識されています。温度も正常です。
CrystalDiskMarkで計測した読み書き速度はこんな感じです。
既存のSSDのデータを移行している為、空き容量が70%ぐらいの状態なのと、CPUがIntelなので(AMDだともっと速くなるらしい)若干カタログスペックから下がっていますが、それでも充分高速です。
比較の為、既存の低スペックSSD(Kingston NV2 PCIe 4.0 NVMe SSD SNV2S/2000G)の計測結果はこんな感じ。
T500の方がシーケンシャル読み書き速度が2倍ぐらい速いです。
ただ、ランダム読み書き速度はそれほど変わりません。
シーケンシャル読み書きはファイルコピー等の速さに影響、ランダム読み書きはOSやアプリの起動、ブラウザでの画像表示の速さに影響するので、PCの普段使いでは変わらないかもしれませんね。
実際体感できませんw
昔ハードディスクからSATA SSDに換えたときは劇的に速くなって感動したもんですけどね~。
自己満足の世界ですね。
まあ今回はシステムドライブを寿命が短いQLCのSSDから、寿命が長いTLCかつDRAM搭載SSDに変えるという目的もあったので精神衛生的にも満足です。
Crucial Storage Executiveでのドライバ更新、設定変更
CrucialのSSD増設後に最初にやっておいた方が良いのが、専用ツール「Crucial Storage Executive」でのファームウェア更新や設定変更。Crucialのサイトから無料でダウンロードできます。
T500も何度かファームウェア更新があり、キャッシュ切れ後の書き込み速度の改善等が対応されていて、このツールで簡単に更新できるので更新しておきましょう。
このツールではSSD自体の性能・挙動を変える2つの設定変更も可能です。
一つ目はモーメンタムキャッシュ(Momentum Cache)。
この機能を有効にすると、SSDへの書き込みの際に一旦PCのメモリに書き込み、その後SSDに保存するという挙動になります。
速度の速いPCのメモリをSSDのキャッシュとして間借りし高速化するという機能。
PCのメモリの25%(最大4GB)を使うので、メモリに余裕が無いといけません。
また、書込みデータが一時的にメモリに書き込まれる関係上、いきなり電源が切れたときに書込みデータが失われる可能性があります。なのでノートPCや無停電電源装置が搭載されたPCでの利用が推奨されています。
元々SSD自体にDRAMキャッシュを積んでいるT500なので、あまり効果がないんじゃないかと思いましたが、試しに有効化させて速度を測ってみたところ下記のようなスピードが出ました。
結構速くなるもんなんですね。PCIe Gen4の限界を突破してます。特に書込み速度が1.5~2倍ぐらい高速化。
ただ、元々速いしデメリットもあるのでモーメンタムキャッシュは有効化せずに使う事にしました。
因果関係は不明ですが、これを有効化したタイミングでWindowsが不安定になったという事もあり・・・。
二つ目はオーバープロビジョニング(OP)。
この機能はSSDの空き容量の一部をSSDを制御するコントローラ専用に割り当て、SSDの寿命や(主に高負荷時の)性能を向上させる機能。
元々少ない領域(100MBぐらい)がコントローラ専用に割り当てられていますが、それをさらに拡張させることによってSSD上のデータ整理や劣化具合の均等化をしやすくし、耐久性やパフォーマンスを上げます。
SSDの全体サイズの5~10%(2TBの場合は100~200GB)の領域を割り当てると効果が出るとされています。それ以上を割り当てると、さらに効果が上がるそうです。
自分の環境の場合は容量に余裕があるので、10%を割り当てることにしました。
このツールだけで簡単に設定できるかと思いきや、エラーが出てしまったのでWindows標準ツールの「ディスクの管理」でOP用の領域を手動で空けます。
「ディスクの管理」はコマンドプロンプトで「diskmgmt」と打ち込むか、Windowsキー+Rで「ファイル名を指定して実行」を表示し「diskmgmt.msc」と打ち込むと起動できます。
使用中の領域を選択し右クリック。表示されるメニューから「ボリュームの縮小」を選ぶと、今使っている領域をどのくらい縮小するかを入力するダイアログが出るので、そこでOPに割り当てるサイズ分縮小します。
そうすると未割り当ての領域が縮小した分できるので、この状態でもう一回Crucial Storage ExecutiveでOP設定をします。
推奨状態だと10%が自動的に入力されます。10%以外にしたい場合は推奨ボタンをOFFにし、任意の割り当て率を入力します。
その後、「OPの設定」ボタンを押し、OPが正常に設定されれば「オーバープロビジョニングが正常に設定されました」とのメッセージが表示されます。
※「ディスクの管理」で手動で未割り当てのパーティションを作った時点でOP設定完了になる場合もあるみたいです。その場合は「OPは、すでにXX%に設定されています。」とのメッセージが出ます。
OPを設定した状態でのCrystalDiskMarkの結果はこんな感じ。特に変化は無い(誤差レベル)ですね。
やはり通常時の読み書き速度には影響しないようです。
耐久性が上がったという精神衛生上の効果が一番の効果かもしれません。
T500のベンチマーク
普通に使っている分にはイマイチT500の速さが分からないので、ベンチマークをいくつか回してみました。
3D Markのストレージ用ベンチマーク「Storage Benchmark」(ゲーマー向けのSSD性能テスト)のスコアは4283でした。スコア2500以上が高速、4000を超えたらかなり速い方なので優秀です。
ちなみに3D Markはオンライン上で他の人のベンチマーク結果結果を見ることが出来るんですが、同じT500のベンチマークが317件登録されていて、自分のスコアは24位の結果だったのでパフォーマンスは引き出せている状態と言えそうです。
それぞれ実行環境が全然違うので単純には比較できませんが。1位はT500で8424とかいう訳の分からないスコアを出してるし。
ここからはPC全体のベンチマーク結果です。
SSDをT500に交換したことによってどのくらいスコアが上がるのか、影響するのかを確認しました。
3D MarkのゲーミングPC用ベンチマーク「Steel Nomad」の結果比較です。
既存SSDでは4,437だったのがT500では4,513に上がっています。
CINEBENCH R23のマルチコアスコアは32,783から33,404に上がりました。
どちらも2%弱スコアが上がりました。
個人的には意外に影響するんだなと思いましたが、SSDを高速化したところで大した違いは無いとも言えますね。
ちょっと前までやりまくってたモンハンワイルズの公式ベンチマークの結果はこんな感じ。
交換前は15,539だったのが15,468に下がってます。
ワイルズのベンチマークはGPUが重視されるのでSSDの影響があまり出ないのかもしれません。
総評
T500は性能的にも価格的にも満足です。
正直このハイスペックを体感できるかと言えば微妙なところですが、自己満足度は高いと思います。
SSDの温度は平常時は40度ぐらいで、ベンチマークを回しても50度程度なので、熱問題も心配なさそうです。
強いて難点を上げるとすればCrucial専用ツールのStorage Executiveが解りにくい、使いにくい、遅い事ぐらい。
総合的にはPCIe 4.0のSSDではおススメだと思います。
