先日、六本木の国立新美術館で開催中の特別展『ピカソ meets ポール・スミス ―遊び心の冒険へ』を観てきました。
今回はこの展覧会の見どころや、会場の様子を実際の写真を交えてご紹介します。
この展覧会は、イギリスを代表するファッションデザイナーであり、今なお現役で活躍するポール・スミス(1946年生まれ〜)が各展示室をデザインし、その空間で、20世紀最大の巨匠パブロ・ピカソ(1881年〜1973年)の作品を展示する、時代もジャンルも超えた2人の天才による文字通りの「特別展」です。
ピカソの作品を遊び心あふれるオシャレで楽しい空間で鑑賞するという、今までにない斬新な企画で素晴らしかったので、この記事を見て興味を持った方はぜひ足を運んでみてください!
📌 目次
■ 展覧会の基本情報
まずは本展の概要をまとめておきます。お出かけの予定を立てる際の参考にしてください。
- 展覧会名:ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ(英名:Picasso, through the Eyes of Paul Smith)
- 会場:国立新美術館(東京・六本木) 企画展示室2E
- 会期:2026年6月10日(水)~ 9月21日(月・祝)
- 休館日:毎週火曜日
- 開館時間:10:00~18:00(※毎週金・土曜日は20:00まで夜間開館、入場は閉館の30分前まで)
- 観覧料:大人 2,400円、大学生 1,400円、高校生 1,000円(※中学生以下は無料)
- アクセス:東京メトロ千代田線「乃木坂駅」6番出口直結/東京メトロ日比谷線・都営大江戸線「六本木駅」徒歩5分
- 公式サイト:https://art.nikkei.com/picasso_ps26/
■ 『ピカソ meets ポール・スミス』ってどんな展覧会?
この展覧会は、英題の「Picasso, through the Eyes of Paul Smith」の通り、「ポール・スミスの目を通して見たピカソ」がテーマになっています。
もともとは、2023年にパリの国立ピカソ美術館で開催された、ピカソ没後50周年記念の特別展「Picasso Celebration: The Collection in a New Light!」をベースにした国際巡回展です。
国立ピカソ美術館はピカソの作品を多数収蔵していることで有名ですが、その多くはピカソが亡くなったときに、遺族が相続税の代わりに現物で納めた「代物弁済」によるもの。今回展示されていた作品も、ほとんどがその貴重なコレクションから来ています。
その美術館が「ピカソ没後50年という節目に、今までにない新しい光(視点)をピカソに当てたい」と考え、その魔法をかけられる唯一無二の存在として、色彩の天才であるポール・スミスを選んだわけです。
美術の専門家が監修するなか、ポール・スミスはピカソの作品から受ける「色、ストライプ、形、遊び心」といったエネルギーを、直感的に展示空間へ落とし込んでいったそうです。なんと5年もの準備期間を経て、パリでの特別展が開催されました。
その話題の展覧会の作品と空間デザインが世界を巡り、ついに日本にも上陸!
ピカソ美術館が誇る傑作コレクション約80点とともに、本展が開催されました。
この贅沢な展覧会が日本国内で観られるのは、今回の国立新美術館だけという超貴重な機会です。
ちなみに日本での開催にあたっては、国立新美術館の天井がパリのピカソ美術館よりもかなり高いため、ポール・スミス自身がわざわざ空間を再調整したのだとか。まさに日本だけの特別な空間になっています!
■ 本展のルールと快適に回るコツ
こちらが今回の会場マップです。
ピカソといえば、自身の心情や時代背景によって作風がガラリと変化したことで知られる画家ですよね。本展ではその変遷をたどるように、会場が0番から15番までの小部屋に区切られています。
特徴的なのは、各部屋のテーマや展示作品に合わせて、ポール・スミスが壁や床の色、レイアウトを大胆にデザインし、作品と空間を一体化させている点です。
白や黒の単色の壁に作品がただ並ぶ「普通の展覧会」とは違い、一歩足を踏み入れた瞬間から、展示室の空間そのものがひとつのアート作品として楽しめる非常にユニークな構成になっています。
① 展覧会の設備と飲食ルール
ちょうど良い作品数と広さになっている本展ですが、随所に休憩できるベンチがあり、中盤あたり(8番と9番の間)にはトイレも設置されているので安心です。
また、会場内へのペットボトル等の飲み物の持ち込みですが、「むき出しの状態」での持ち込みは禁止されています。ですが、入り口で係の方がビニール袋を配ってくれるので、その中に入れれば持ち込み自体は可能です。
国立新美術館は1階に無料のロッカー(施錠時に使った100円が戻ってくる)がたくさんあるので、そこにバッグを入れて飲み物だけ手に持って回る事も可能です。
展示室での飲食はNGですが、先ほどご紹介した8番と9番の間の休憩スペースでは飲食(食べるのは流石にダメかも)OKです。
② 気気になる所要時間は?
私たちは1点ずつわりとじっくり鑑賞したのですが、入場から退出までの所要時間は約1時間でした。
空間そのものを体感する展示が多いので、美術展としては比較的テンポよく、疲れずに回れる絶妙なボリューム感だと思います。
■ 実際の展示会の様子(フォトレポート)
会場となるのは、建築家・黒川紀章氏が設計した美しい曲線美の外観が特徴的な「国立新美術館」。
青山墓地の隣にある事もあり、六本木の喧騒から少し離れた、緑豊かな落ち着いた佇まいの美術館です。
内部は開放的でシンプルなレイアウトになっており、展示室は1階から3階まで各階横並びに配置されています(写真右側)。
独自のコレクション(常設展)を持たない代わりに、国内最大級の展示スペース(約14,000㎡=サッカーグラウンド2個分)を誇るユニークな美術館でもあります。
地下には大きなミュージアムショップ、各階にはオシャレなカフェやレストランも併設されています。
常設展が無い代わりに、今回のような特別展の他、一般の方の展示会や書道、陶芸等々、様々なジャンルの展覧会が常時同時開催されています。
入館自体は無料で、有料の展覧会を観る場合は館内のチケット売り場(またはネット等で事前購入)でチケットを購入し、対象の展示室に入ります。
無料の展示会もよく開催されているので、目的の展覧会以外にもふらっと入ってみると、新たなアートとの出会いがあって面白いです。
ピカソ・ポールスミス展は、2階の奥にある「展示室2E」で開催されています。
今回の展示会は「全作品写真撮影OK」という太っ腹な仕様でした。(映える展覧会でもあるので、SNS等での拡散も狙っているのかな)
ですので、ここからは展示室の様子を一部の作品写真とともにダイジェストでご紹介します。
① 導入:00 トロンプ・レスプリ(精神を欺くもの)
入り口には本展の説明が分かりやすく丁寧に記載されています。ここを読んでから入ると、より空間を楽しめます!
入場してまず出迎えてくれるのが、ピカソの名作《牡牛の頭部》。
自転車のサドルとハンドルを組み合わせ、ピカソが大好きな闘牛の頭部を再現した非常に有名なアッサンブラージュ作品です。
ピカソの作品は見たままを綺麗に描くのではなく、独自の視点で再構築されているので、「これは何を表しているんだろう?」と題名を予想しながら観るのも楽しいです。
面白いのはその両脇。
現代の自転車パーツで作られた似たようなオブジェが並んでいるのですが、よく見ると一つだけカラフルなレインボー柄のサドルがあります。
そう、ファッションブランドのポール・スミスでお馴染みの「シグネチャーストライプ」です。
かつてプロの自転車競技選手を目指していたほどの自転車愛好家であるポール・スミスが、ピカソの作品へのアンサーとして制作した空間です。
入ってすぐ正面に飾られたピカソの作品を、ポール・スミスのデザインが引き立たせる。本展の名刺代わりとも言える演出がされています。
ここから先は、ご自身で実際の空間の素晴らしさを体感していただきたいので、各展示室の見どころをザッとご紹介します(面倒臭くなったわけではありません!笑)。
② 前半:青の時代からキュビスムの実験室まで
・01 「ヴォーグ(流行)」中の芸術家
ファッション雑誌『VOGUE』の表紙にピカソが落書きを施した、ユニークな作品群。
壁面に印刷された表紙がポップな彩りを添えています。
・02 青の憂鬱
ピカソの若き日の葛藤を描いた「青の時代」を代表する作品《男の肖像》。
展示室全体が深く沈み込むような青い壁と薄暗いライティングで演出されており、作品の持つ憂鬱な雰囲気が引き立っていました。
・03 バラ色の女性たち《アヴィニョンの娘たち》への前奏曲
一転して鮮烈なピンク(バラ色)に包まれた展示室。
後のキュビスムの基盤となる、幾何学的で斬新な習作が並びます。
・04 キュビスムの実験室
ベージュを基調としたシンプルな部屋に、形を立方体のように単純化させていく初期キュビスムの作品が並びます。
次の部屋へ続く通路には、ポール・スミスによる遊び心あふれる落書きがこっそり隠されています。
行かれる方はぜひ探してみてください!
また、この通路の窓からは、隣の5〜7番の展示室を覗き見ることができる構造になっています。
この見せ方もオシャレです。
③ 中盤:コラージュからストライプ、情熱の闘牛へ
・05 アッサンブラージュとコラージュ
木目や大理石の壁紙をキャンバスに貼り付けたコラージュ作品が、何パターンもの可愛らしい花柄の壁紙に囲まれて展示されています。
・06 古典主義の画家
ピカソが古典主義的な方法に原点回帰した時期の作品が、シンプルな展示室に並びます。
・07 子ども時代
作品の中に描かれている鮮やかな色彩やデザインが、そのまま展示室の壁紙になっている、非常にコンセプチュアルな部屋です。
・08 闘牛
闘牛に使われる赤い布、あるいは血しぶきを連想させるような、情熱的な真紅の空間。
ピカソが愛した闘牛関連の作品が並びます。
・09 ストライプ
まさにポール・スミスの真骨頂!味のあるストライプが施された空間と、ピカソの作品が一体化して見える素敵な展示室です。
④ 後半:激動の時代から晩年の爆発、そしてショップへ
・10 戦時中
戦時下の重苦しく、暗澹とした空気感を再現したモノトーンベースの部屋と作品群です。
・11 一点もの
ピカソが手掛けた陶芸作品たち。どれも遊び心があるユニークな器で面白いです。
・12 《草上の昼食》
巨匠マネの名作《草上の昼食》を、ピカソ独自の解釈で再構築したシリーズ。
オリジナリティが爆発しています。
・13 ピカソのボーダーシャツ
ピカソのトレードマークでもあったボーダーシャツ(バスクシャツ)をフィーチャーした部屋。
ポール・スミスのストライプ愛とも親和性が高い空間です。
・14 晩年:1969—1972
ピカソが最晩年に到達した、色鮮やかで自由奔放な作品たち。
ポール・スミスのストライプによって、さらに華やかに彩られていました。
・15 展覧会のピカソ
ラストを飾るのは、過去に世界各国で開催されたピカソ展のポスターが壁一面に貼り付けられた圧倒的な空間。
生涯で膨大な作品を遺したピカソとその創作エネルギーを象徴する、圧巻のフィナーレです。
・特設ミュージアムショップ
出口の前には、本展オリジナルグッズを販売するショップも併設されています。
もちろん、ファッションブランドの「ポール・スミス」のコラボグッズも販売されています。
■ まとめ:五感で楽しむ新しいピカソ展
一見すると少し難解に思えるピカソの作品ですが、ポール・スミスの卓越した空間演出と融合することで、「直感的に見て、体感して楽しい展覧会」へと見事に昇華されていました。
どこを切り取ってもデザインセンス抜群で写真映えも最高なので、普段あまり美術館に行かない方や、オシャレ好きな若い世代、女性の方にもおすすめできる内容です。
こちらの『ピカソ meets ポール・スミス展』は、2026年9月21日(月・祝)まで開催されています。
真夏の東京は外を歩くだけでも大変ですが、涼しく静かな美術館で快適な休日を過ごしてみてはいかがでしょうか?
ではまた!






























































































































