「悪だくみ」に法的裏付けを与える PFI法改正 | きなこのブログ

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強化される安倍独裁 PFI法改正
http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2018/07/post-9506.html
 
水道法改正について調べていたら、先の国会で「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(略称PFI法)が改正されていたことに行き当たった。
 
寝耳に水である。
 
それもそのはず、ネット検索をかけても、日経新聞以外のマスコミがこの法律の改正について触れた痕跡がない。
 
参議院で可決成立したのは、6月13日、米朝会談がさかんに報道されていた最中のことである(このとき同時にTPP承認案も可決された)。
 
法律の略称とされる「PFI」とは、Private Finance Initiativeのことであり、政府はこれを「民間資金活用」と称している。
 
直訳すれば、「民間資金主導」であり、実際、民間資金等活用事業推進委員会のメンバーを見ると、PFIを推進する立場の人物が大半と思われ、「民間資金主導」と理解するのが正しいと思う。
 
民間資金等活用事業推進委員会 委員・専門委員名簿

 

 

PFIに関する政府の説明は次のようなものである(内閣府「PPP・PFIとは」)。

「PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法です。
 
その効用は同じく政府の説明によれば、次の通りである。
 
•民間の資金、経営能力、技術的能力を活用することにより、国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供できる事業について、PFI手法で実施します。

•PFIの導入により、国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供を目指します。

•我が国では、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)が平成11年7月に制定され、平成12年3月にPFIの理念とその実現のための方法を示す「基本方針」が、民間資金等活用事業推進委員会(PFI推進委員会)の議を経て、内閣総理大臣によって策定され、PFI事業の枠組みが設けられました。

•英国など海外では、既にPFI方式による公共サービスの提供が実施されており、有料橋、鉄道、病院、学校などの公共施設等の整備等、再開発などの分野で成果を収めています。
 
PFI法の対象となる公共施設は非常に広い。

(定義)
第二条 この法律において「公共施設等」とは、次に掲げる施設(設備を含む。)をいう。
一 道路、鉄道、港湾、空港、河川、公園、水道、下水道、工業用水道等の公共施設
二 庁舎、宿舎等の公用施設
三 賃貸住宅及び教育文化施設、廃棄物処理施設、医療施設、社会福祉施設、更生保護施設、駐車場、地下街等の公益的施設
四 情報通信施設、熱供給施設、新エネルギー施設、リサイクル施設(廃棄物処理施設を除く。)、観光施設及び研究施設
五 船舶、航空機等の輸送施設及び人工衛星(これらの施設の運行に必要な施設を含む。)
六 前各号に掲げる施設に準ずる施設として政令で定めるもの
 
今回の改正については、二つの重大な問題がある。
 
一つは、内閣総理大臣の権限の強化であり、
 
二つ目の問題は、先の国会での成立を断念したと伝えられた水道法改正に関連している。
 
PFI法の改正により水道民営化についてあらかたの道筋を付けていることである。
 
まず、総理大臣の権限強化であるが、改正法は、PFI事業について、ワンストップ化を謳い文句にしている。
 
ワンストップの窓口が総理大臣である。
 
総理大臣は、PFI事業者等(管理者である自治体を含む)から事業に関連する法律の解釈や支援措置について確認を求められたら、ワンストップ窓口として調査して、遅滞なく事業者等に回答することとなった(15条の2)。
 
民間移行しようとする事業の関係省庁は通常、複数にわたる場合が多く、事業者はそれぞれの窓口に照会して法律の解釈・運用・支援措置の内容について照会し、これを確認しながら、事業を進める必要があった訳だが、これを総理大臣に一元化するのである。
 
すぐに思い出すのが、森友学園の事件で、総理大臣夫人付職員であった谷査恵子氏が夫人付職員の立場で財務省に照会した件である。
 
総理夫人付という肩書きに畏れ入った財務省は、その後、存在しないゴミをねつ造する等、法をねじ曲げてあらゆる術策を弄して森友学園に便宜を図った訳である。

 

 

今回の法改正では、総理婦人付などというレベルではない。
 
総理大臣ご本人が諸官庁に対して、法解釈・運用・支援措置について照会なされる訳である。
 
「総理のご意向」、「首相案件」が法的に公認されたのである。
 
総理の意向にひれ伏す省庁は、総理の意向にしたがって法を解釈するようになるだろう。
 
これは総理大臣による全省庁の私物化の危険を孕んでいる。
 
行政の縦割り構造は、はるか以前から批判の的になっていたが、縦割り構造は、実際には権力の暴走を防ぐ権力の分立の役割も果たしていた。
 
この分立システムが、営利目的の企業に対しては、全面的に開放されるのである。
 
総理は、事業者等に対してPFI事業について助言もできる(15条の2第6項)。
 
文科省の佐野容疑者が私立大学プランディング事業について、東京医科大学理事長に伝授した助言の生々しい録音が暴露されているが、総理大臣は直々に事業者に「助言」することが法的に正当化されたのである。
 
加計学園から毎年1億もの接待を受けて、加計学園の獣医学部を承認し、私立大学ブランディング事業に2大学も認定した「悪だくみ」に法的裏付け与えようという訳だ。

 

 

 

まだある。
 
総理大臣は、PFI事業の確実な実施のために必要があると認めたときは、公共施設管理者(自治体等)に対して、報告を求め、さらに助言・勧告することができるのである(15条の3)。
 
現行法ですら、自治体は、PFI事業の見通しについて、毎年度、公表することを求められており、事実上PFI事業推進の圧力を受けている(15条)。
 
これにさらに総理大臣からの報告を求められ、助言を受け、勧告を受けるとされたのである。
 
政府から補助金や交付金等を受けている自治体が総理大臣と対等の立場で交渉できるはずもなく、地方自治に対する総理大臣の強力な干渉や強制を認めるものであって、地方自治を著しく弱体化させる。
 
地方自治は憲法が保障した権力の分立であるが、この分立構造をも危殆に晒すのである。
 
総理大臣は、事業者等からの照会に対する回答をした場合、民間資金等活用事業推進委員会に報告することとされ、また自治体等から報告を徴収し、助言・勧告する場合に必要に応じて民間資金等活用事業推進委員会の助言を受けることとされている。
 
しかし、この構成メンバーは、総理大臣が任命するもので、基本的にPFIの推進に積極的利益を持つ関係者であるから、総理権限に対する何の歯止めにもならない。
 
むしろ推進委員会は、自治体や関係省庁から「資料の提出、意見の開陳、説明」を求め「提出を受けた資料…の公表に関し必要な措置を講ずる」ことができるとされており(85条6項)、PFI事業に消極的な自治体や省庁を晒す権限も与えられている。
 
推進委員会がPFI事業の推進に拍車をかけることがあれ、暴走に歯止めをかける立場には全くない。
 
今回の改正で総理ご意向が、地方自治体まで隈無く行き渡る法的枠組みができあがったのである。

 

 

 

せめて日本の総理大臣がスケールの大きい賢明な人物であれば、このトップダウンの仕組みにも、まだしも救いがあるかもしれない。
 
しかし日本国の総理は、いかにもスケールが小さく、「(安倍氏に)年間一億くらい出しているんだよ。あっち遊びに行こう、飯を食べに行こうってさ」(「週刊文春」2017年4月27日号)と語るバクシンの友には、見境なく巨額の税金をつぎ込むなど、国政の私物化に熱心な人物だ。
 
よい独裁があるかどうかともかくとして、今の日本は間違いなく悪い独裁に向かっている。
 
二つ目の問題点については、付則の4条で、水道事業についてPFIを導入する自治体に対する優遇措置を定めたことである。
 
わかりにくい規定となっているが、水道運営権を民間企業に売り渡して、売り渡し代金を手にした自治体が、水道建設等のために発行していた地方債をその代金で繰り上げ償還しようとする場合には、本来払わなければならなかった利息(3%以上)を免除する規定を設けて、水道の民営化に特別なインセンティブを設けたことである。
 
赤字に苦しむ自治体の中には地方債の利息免除と施設運営権の設定による短期の対価ほしさに上水道の民営化に手を挙げる、あるいは総理の意向によって、手を挙げさせられる自治体が出てくるのは、もはや時間の問題であるように見える。

 

 

PFI法は周回遅れの売国法である   山本太郎、政府を論破
http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2018/07/post-d56a.html

 
PFIをめぐる根本問題は、政府がいう
「国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供できる」
「国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供が可能」
になる
とするドグマが本当なのかにある。

参議院内閣委員会における山本太郎氏による質疑は、政府のドグマを完全に論破して論争に終止符を打ったものだった。

 

何しろ政府が

•「英国など海外では、既にPFI方式による公共サービスの提供が実施されており、有料橋、鉄道、病院、学校などの公共施設等の整備等、再開発などの分野で成果を収めています。」
とするのに対して、
 
他ならぬイギリスの会計検査院やEUの会計検査院が、PFIが割高であり、政府資金を食いつぶすことを報告しているとする最新の資料に基づき、PFIが有害無益であることが実証されていることを明らかにした。

事前の周到な準備を窺わせる内容は圧巻であった。

《PFI法》山本太郎・自由党「会長はだれです?」→「竹中平蔵氏です」→「出た~~」【国会中継 参議院 内閣委員会】平成30年6月12日
https://www.youtube.com/watch?v=xlXkNh4O814

山本太郎氏が、「できないじゃないか」と明らかにした内容を、その質疑の直後に附帯決議にするなど、お笑いぐさの国会の有様は、3分の2という圧倒的多数を確保した与党のもとで議員が投票マシーンと化して、議論が全く無力であることを示してあまりある。
 

 

立憲民主党は、どうも経済課題に関しては、腰が引けた印象だ。

 
この法改正でもできるはずのない附帯決議を共同提出してお茶を濁している。

同党が公務員の人件費削減を基本政策に掲げていることを先日、知ったが、公務員の数も人件費もOECD最低となっている我が国でそうした政策を掲げることは、結局、民営化や規制緩和による小さな政府論を支持する帰結となる。
 
立憲民主党には、新自由主義から決別した新しい社会像を提起することが求められている。

山本太郎と共産党しか堂々とした正論がないというのでは、国民は支持する先を失ってしまう。
 
以下に、6月12日参議院内閣委員会における山本太郎氏の質疑以後の部分を全文貼り付けておこう。

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○山本太郎君 ありがとうございます。
  自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、質問をいたします。
  PFI法について。
  大臣、ここは短くお答えいただきたいんですが、PFI法は地方創生に資する施策だと思われますか。
○国務大臣(梶山弘志君) しっかりとやっていけば、そういうものだと思っております。
○山本太郎君 ここからは、PFIとは何か、中学生でも分かるように説明いただければと思います。
  PFIとは何ですか。
○国務大臣(梶山弘志君) 公共性のある事業を、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して、民間事業者の自主性と創意工夫を尊重することにより効率的、効果的に実施するものであり、PFI法に基づいて必要な手続を行っていくものでありますけれども、民間の資金を活用したインフラ整備ということであります。
○山本太郎君 どのような方がこの日本でのPFIの旗振り役をお務めになられたのかということを聞きたいんですけれども、未来投資会議の中、構造改革徹底推進会合でPFIについて議論する第四次産業革命会合の会長はどなたでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) お尋ねの名前は竹中平蔵氏であると推察いたします。
○山本太郎君 出たって言いたくなるところですね。田村智子先生の御質問でも、二〇一四年のコンセッションに関する話で、国の数値目標をその前に言っちゃっているというような、予言者かよみたいな話もありましたけれども、予言者とは言っていませんけどね、竹中平蔵さん。これは、竹中平蔵さんだからといって偏見を持ってはいけないということですね。利益相反以外のお仕事もされているかもしれませんので、しっかり中身を確認して見極めたいと
 
(以下は元ネタで)

 

 

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