斎藤栗子BLOG -11ページ目

墨汁風呂の話~その②~


ぶーぶー墨汁風呂の話~その①~はこちら
http://ameblo.jp/kimurin-umiko/entry-11815564202.html



墨汁工場のWさんからいただいたお土産は、これ。





墨汁の入浴剤。



墨汁工場に行く前だったら、喜んで使ったと思う。



なんだけど、あの工場のにおいを二度にわたって嗅いでしまった今、墨汁の中に入りたいという男子高校生的な好奇心は一切がっさい吹き飛んでしまったんですね…



エルモアとか、お風呂がミルキーな色になっていい匂いがする入浴剤を使いたい。
でもWさん、写真撮らせてくれたし、その写真無事に巻頭カラーになったし、捨ててしまうなんて忍びない。でも使いたくない…



なんてことを思いながらグズグズしてたら、半年以上経ってしまったんですね。



いい加減にどうにかしなくては。心なしか、袋からカビっぽい匂いがする…



よし…腹を括って今日使おう。









というわけで、半年の見て見ぬふり期間を経て、墨汁の入浴剤を使う次第となったわけです。



ちなみにこの入浴剤






4袋あるんだよね。






ハァ……





気が乗らないなぁ……












きれいなお風呂。





うわっ…





うわっ…





ひぃぃぃ……







一袋だと、そんなに真黒にはならなかった。



懸念していた匂いもぜんぜん。墨汁くさい匂いはないです。



どうやら、香りよりも色を楽しむもののようです。



ヨシいけそうだ。







サラサラ~(二袋目)





サラサラ~(三袋目)





サラサラ~(四袋目)







ちーん…







犬神家…












ターミネーター…






おつかれ!!私は無事に、お土産を捨てるなんていう不義理をせず、墨汁風呂に入ることができたよ!


墨汁風呂に興味がある人は、ここを見てみてね。
4袋入れると真っ黒になるよ。

http://www.kaimei1898.com/detail/item_ho1626.html












墨汁風呂の話~その①~


墨汁のにおいがすごく好きで、アナログで絵を描くときにはいつも墨汁を使って背景を塗りつぶしたりしていました。


連載させていただいているトーキングヘッズ叢書で、「モノクローム」がテーマになった時、モノクロといえば墨汁だと思い、墨汁の王者「開明」にルポに行ったのです。








正直私は、開明墨汁工場でダンスをし、その写真をトーキングヘッズ叢書の巻頭カラーに載せてもらおうとたくらんでいました。




なのですが、突然「踊らせてください」と言っても門前払いだと思い(秘宝館は即OKだったけど)、まずはご挨拶&工場の取材をかねて、お仕事モードで訪問。







応対してくだすったのは、まじ~めな雰囲気のWさん。







数ある会社の中から開明墨汁をチョイスし、長きにわたって会社を愛し、数々の教育機関に墨汁を届け続けている人であるから、それはもちろんマジメに決まっている。



私は手持ちのマジメアンテナをびんびんに立てて、Wさんと話をした。
Wさんがセミプロの書家で、作品展もやっていることを知ると、それに食いついてガンガン褒めまくった。


すると





Wさんがちょっとだけ打ち解けてくれた。


「…いける!!!!!」


そう予感した私は、そろーりと、「じつは私ダンサーをやっていて、もし宜しければお着物などを着て工場の中で写真を撮りたいのですが…」と話を持ちかけた。


すると


「あ、大丈夫ですよ。ボク変わったこと好きなんで」


Wさんのセミプロアーティストのハートをツンツンしたことで、無事にOKで・ま・し・た!


しかも、工場を見に行く前にお土産までいただき





このお土産が今回の話の主題なんですが…それはもうすこし後で。








墨汁工場の中は、100年間墨汁だけを作り続けた漆黒の建物。


最高です。最高にフェティッシュで、こんな建物が今なお息づいていることにハッピーを感じました。































なのですが…なにしろあの墨汁のにおいが工場中に充満しています。


「墨汁のにおいっていいよね☆」という寝ぼけたノスタルジーを吹き飛ばす強烈な墨汁のにおい。


作業をしているお兄さんは…ガスマスクをつけています。


ノスタルジーというのは、当の現場から離れている・離れてしまった人たちが思い描く理想郷のようなもので、現場にある生の味わいからは乖離したものなのかもしれないです。









さて。墨汁工場でダンスの約束を取り付けた私は、先日の社会モードから一転、完全ダンスモードで工場を訪れました。






私としては、開明墨汁に最大の敬意を払い、赤と黄色と黒という開明墨汁を象徴するコスチュームで登場したと思っていたのですが


Wさんは





あれ…またもやクローズモード。


若干引いています。







Wさんのドン引きを痛いほど感じた私は、


「時間をかけてはいけない…!」


と思い、サッサと踊ってサッサと帰るという「やり逃げ作戦」でこの場をクリアすることにしました。












そんな決死の思いで撮影した墨汁工場での写真&丹精込めて作成したルポは


無事


巻頭カラーで掲載!ワーイワーイ


http://athird.cart.fc2.com/ca1/80/p-r1-s/


アトリエサードのSさん、ほんとうにいつもありがとう。







しかし…


開明墨汁をめぐるエピソードはここでは終わらなかったのです。


長くなっちゃったから②に続くね。


ぶーぶー墨汁風呂の話~その②~




きのこの舞姫




明日、美術家・中村洋子さんの展示の中で踊ります。



中村洋子さんの作品の中で踊らせてもらうのは、もう四度目です。洋子さんは「ステンレスメッシュ」を素材に作品を作る方で、硬質な鉄の素材がうねうねと自由な形を作っているさまは、きかん気の強い娘の体のようです。



素材や洋子さん自身の性質上、いままでは抽象的なテーマが多かったのですが、今回は「泉鏡花の『きのこの舞姫』」とはっきりテーマが決まっています。



じつは、テーマを与えられて踊りを作るというのは初めてなので、正直かなりうろたえていました。



文学を踊りのテーマにすることは、一見道筋が見えやすく具体的に作品を作れそうに思うのですが、いくつかの不自由なことがあります。踊りが文学に殉じすぎるとお遊戯みたいになってしまうし、文学を無視するとただの我儘になってしまいます。



「きのこの舞姫」自体はステキなお話なんですが、その世界に入れ込みすぎると観念ばかりが広がって実際に見える景色が曖昧になってしまい、その調整がもう最高に難しくて、年末年始は「…ツライよう…」とメソメソしながら作業をしたものでした。



本日最終調整。
実際の作品を目の前にして、少し見えてきています。



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中村洋子展

ひゅうら。ツテンテン。
―うっ蜘蛛―



【日付】

2014年1月14日(火)~1月26日(日)



【時間】

11時~19時(最終日は17時まで/月曜休廊)



【場所】

GALLERY LE DECO(渋谷区渋谷3-16-3ルデコビル1F)
http://ledeco.main.jp/



【オープニングレセプション】

1月14日(火)18:00~
18:30頃からパフォーマンス開始

ピアノ:齊藤昌一
ダンス:斎藤麻里子



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