弁護士出身の実業家・林田です。
今日と次回は、被験者数をどう設定するか?
(サンプルサイズ)についてお話しします。
世の中には、統計学や医療統計のお偉い先生方
が沢山いらっしゃいますが、サンプルサイズに
関しては、どの先生の本も論文もとてもわかり
にくく歯切れが悪いです。
今回お話しするのは私なりの考えですが、この
考えに基づいて消費者庁にエビデンスを何度も
提出して何かを言われたことはないので、消費
者庁のレベルはクリアーしていると思います。
イ.サンプルサイズの設定方法としては(1)
定性的に決めるやり方と(2)定量的に決める
やり方があります。
今日は定量的に決めるやり方を説明します。
ロ.どちらの考え方にせよ、(a)危険率、
(b)検出力、(c)効果量がKEY FACTORに
なります。
このうち、(a)危険率は有意差と同じことで、
許容範囲の間違う確率です。
通常は0.05ですが(95%正しい)、0.1(90%
正しい)に設定することもあります。
(b)検出力は、真実をえぐり出すパワーで、
通常は0.8と設定します。
(c)効果量は「差」の強さです。
同じくP=0.05であってもサンプルサイズが大
きい=被験者数が多いためにそうなっているに
すぎないケースもあります。
通常0.8か0.5で設定します。
ハ.これらのKEY FACTORを「G.POWER」
に入れるとサンプルサイズが出て来ます。
本物(active)群とプラセボ群を比較する独立
2群だと、別表のようになります(>表)。
つまり、P=0.05、Effect Size=0.5、Power=0.8
という理想形だと、
N=64×2=128となります。
ちょっと甘くして、P=0.05、EffectSize=0.7、
Power=0.7とすると、
N=27×2=54となります。
これで、△という感じ。
さらに甘くして、P=0.05、Effect Size=0.8、
Power=0.7とすると、
N=21×2=42となります。
これで、△~×という感じ。
P=0.05、Effect Size=0.8、Power=0.8だと、
N=26×2=52となりますが、この辺(N=50
あたり)が妥当ラインかと思います。
たとえば、「薬理と治療」51・7.1018(オルト
メディコ)がその例です。
弁護士出身の実業家・林田です。
A.先月26日の薬事の虎に「今なら0円」と
いうキャンペーンについて書きました。
その要点は―
1.「今なら」の期間を明示すべき。
「今なら5月15日まで0円 ※4月1日開始」
か「今なら0円 ※4月1日~5月15日」
(キャンペーン期間が4W以内なら「今なら
0円」だけでもよい)
2.「春のキャンペーン」「秋のキャンペーン」
と繰り返してもよいが、キャンペーン期間は1年
の半分以内であることが望ましい。
B.「今だけ」は原則1回であり、繰り返すの
はきわめて危険です。
フィリップモリス社は電子タバコ広告で「今だ
け」を10回以上繰り返し、2019年6月21日
に措置命令を受け、2020年6月24日に5億
円超の課徴金支払命令を受けています(>
課徴金DB)。
C.「ここだけ」もご注意下さい。
重要な先例は2018年3月16日に措置命令を
受けたショップチャンネル事件です(>措置命令DB)。
この事件は、「ここだけ価格。どこよりも安い
と訴求していたが、実際にはもっと安い販売例
があった」というものです。
弁護士出身の実業家・林田です。
消費者庁は4月26日、エステー社の花粉対策
商品MoriLaboの訴求「花粉を香りでガード」
に合理的根拠がないとして、措置命令を下しま
した(>措置命令DB)。
今日はこの事件についてお話しします。
1.本品は置き型だったりマスクに塗るタイプ
だったり色々ありますが、「花粉を香りでガー
ド」の仕組みはどれも同じで、「北海道のトド
マツから抽出された香り成分配合の薬液が、
まわりに浮遊する花粉をガードします」という
もの(>別紙1)。
2.その根拠(エビデンス)については、「本品
に配合されているトドマツ精油は、スギ花粉
をコーティングすることにより、アレル物質の
働きを低減するという研究成果が報告されて
います」とありますが(>別紙1)、どういうエ
ビデンスなのか、よくわかりません。
3.盛んに「特許技術取得済」と書いていると
ころを見ると(>別紙1)、「特許を取得してい
ることが根拠になる」と考えたのかもしれませ
んが、それは全くの見当違いです。
「特許」の主眼は「新規性」。
つまり、そういう技術が新しいものなのかどう
かであって、本当にそういう効果があるかどう
かはポイントではありません。
極端なことを言うと、そういう効果があること
が全くの作り話であったとしても特許は取得で
きます(他社が追試をして「この効果はデタラ
メ」ということを示すと特許は無効になります)。
このことは2018年10月18日に措置命令を
受けた「タバコグッズ事件」で明らかになって
います(この事件についてはYDCのサイト「景
表法ドットコム」で詳しく説明していますので
そちらをご覧下さい>該当ページ)。
4.「花粉対策訴求」で措置命令を受けた事件
として、大正製薬社のパブロンマスク事件があ
ります。
この事件は2019年7月4日に措置命令を受
けた事件ですが、もつれにもつれ、今は取消訴
訟で争っています(この「もつれ」はとても重要
な先例なのでレポートにまとめました>
「特集.大正製薬パブロンマスク事件」)。
この事件では、大正製薬社は自ら行った試験を
根拠としていましたが、「その方法に一般性が
ない」ということで敗れています。
エステー社はどうだったのでしょうか?
5.広告から見る限り、エステー社の守りはイ
マイチな感じがします。
YDCの広告チェックに出してくれていれば
こんなことにはならなかったのに…(この後、
課徴金が来ます)という気がします。
詳しいことは、info@yakujihou.com 問合せ窓
口までお問合せ下さい。
弁護士出身の実業家・林田です。
景表法に関する追及が厳しくなっていることは
No1表示に対する措置命令を見ればわかると
思います(>措置命令DB)。
ダイエットやジムで「-10キロ!」などと表示
するときも根拠を求められますが、何人かの中
からどういう数値を最大値とすればよいのか?
という問題があります。
最も合理的な方法は四分位法で取った数値の最
大値とすることです(四分位法についてはこちら
>説明
図の上内境界点が最大値。
よって、-10が上内境界点であれば「-10キロ!」
と訴求できる)。
他に95%信頼区間を用いるやり方もあります。
たとえば、体重減少の「平均値±標準偏差
(Mean±SD)」が「-10±2.5kg」という場合、
「-7.5 ~ -12.5kg」が95%信頼区間(95%CI)
です。
95%CIは本来、平均値が幅広い分布の中での
平均なのか(これだと平均値の信頼度が低い)、
幅狭い分布の中での平均なのか(これだと
平均値の信頼度が高い)を示す指標です。
しかし、95%CIは同時に「95%のサンプルは
この中に収まる」ということを示すので、この
最大を最大値と考える(上記の例だと-12.5kg
を最大値と考える)ことも間違いではありませ
ん。
私たちはこのようにして、四分位法か95%CI
に基づいて最大値を算出しているのです。
弁護士出身の実業家・林田です。
まず、前回までの復習をしましょう。
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1.(1)「Aを買うとBをプレゼント」と言え
ばBは景品。
(2)「AにBが付いて〇〇円」と言えばセッ
トで値引きという話で、Bが景品になるわけで
はない。
2.なので―
「Aを買うとBが付いてくる」と言えばBは
景品
※1(2)とは「AにBが付いて」が違う
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理論上の基準は「取引付随性」です。
つまり、何かの提供が、取引=購買や入会に近
いか遠いか?です。
3.今なら定期会員に特典
(イ)化粧水付き(ロ)送料無料
→「今なら定期会員になると付いてくる」と読
め、何かの提供は購買に近いと言えるので、
(イ)(ロ)は景品
4.(イ)化粧水も付いて(ロ)送料も無料の
定期コースがおススメ
→化粧水+送料無料付きの定期コースと読め、
全体でセットの紹介と読め何かの提供は販売に
遠いと言えるので、(イ)(ロ)は非景品
5.3だと(イ)(ロ)の独立性が強いが、4だ
と(イ)(ロ)の独立性が弱く、だから4では
セットの一部と解釈されるとも言えます。