コーセー ジュレームアミノシュプリーム(サテンスリーク)の解析2 シャンプー解析編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

 

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長らく放置してしまってすみません。

 

知り合いにも、コロナにかかっているのか?と心配されていました(^_^;)

そんなことはありません!

花粉症で苦しいですが元気です。

 

実は自分の会社を維持しながら、とある会社に就職を誘われていたんですが、それこそコロナのために延期になってしまいました。残念。

 

また、4月の海外の展示会用に、日焼け止めのサンプル試作依頼があったのですが、これもその展示会がコロナのために延期。良いデータも取れていたのに、本当に残念。

 

国内の化粧品会社さんも、在宅勤務が多く、出社していないので面会もできないとのことで。

化粧品業界は、「次のもの」を開発すると言う点では、結構ピンチです。

 

しかし時期的には、そろそろ今年の日焼け止めのシーズンですよね。

これはドンドンと、解析していきたい。

そんなわけで、ぼちぼち再起動していきます。

 

とりあえずリハビリがてら、放り出してあったシュレームアミノシュープリームの解析にけりをつけていきます。

 

関連エントリー

2020.2.7コーセー ジュレームアミノシュプリーム(サテンスリーク)の解析1 概要編を追加

2020.4.5コーセー ジュレームアミノシュプリーム(サテンスリーク)の解析2 シャンプー解析編 を追加

2020.4.17コーセー ジュレームアミノシュプリーム(サテンスリーク)の解析3 トリートメント解析編 を追加

 

 

つもの様に、裏面の処方を整理します。

今回取りあげるジュレームアミノシュプリーム(サテンスリーク)(2019)の他に、同じジュレームアミノの前製品で、同じようにココイルグルタミン酸を洗浄成分の主剤とした製品である、ジュレーム アミノ ダメージリペア シャンプー ディープモイスト(2018)をを取りあげ、この裏面表示も整理し、並べててみます。

ジュレーム アミノ ダメージリペア シャンプー ディープモイスト(2018)は2018年に発売された製品で、直近のジュレームアミノというと、これになります。

関連エントリー

コーセージュレームアミノ ダメージリペア ディープモイスト(2018)の解析1 製品概要編2018.1.17追加

コーセージュレームアミノ ダメージリペア ディープモイスト(2018)の解析2 シャンプー解析編2018.1.20追加

コーセージュレームアミノ ダメージリペア ディープモイスト(2018)の解析3 トリートメント解析編2018.1.23追加

 

 

 

この比較で、が、この比較で、直近の2年近いコーセーさんのの技術の研鑽を確認する事ができるかも?と言うわけです。

 

原料の配合順は裏面のまま変えずに、機能毎にグルーピングし、共通の成分についてはできる限り近づけて書いていますが、場合によって近くに書けない場合もあります。

 

 

 

では、上の方から見て行きましょう。

 

まず、洗浄剤のパートから。

多い方から5成分(ココイルグルタミン酸TEA、オレフィン(C14-16)スルホン酸Na、コカミドプロピルベタイン、PPG-2コカミド、ココアンホ酢酸Na)までは、2018年の製品と変わっていません

これは、アミノ酸系のココイルグルタミン酸TEAに、石油由来ですが泡立ちのとても良いオレフィン(C14-16)スルホン酸Naを組み合わせ、価格の安い両性洗浄剤(コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸N)を加えるという組成です。

まあ、アミノ酸系シャンプでは、定番と言える組み合わせなのです。

PPG-2コカミドが、この中では比較的最近使われ始めた増粘剤になりますね。こいつは比較的泡立つので、洗浄剤に分類しました。

 

この鉄板とも言える定番組成に、今回あえて付け加えられたのがココイルグリシンKと、ラウロイルメチルアラニンTEAの2種類のアミノ酸系洗浄材です。

両者とも泡立ちが比較的良いので、増泡効果の目的で配合されているのでしょう。

このうち、ココイルグリシンKは、水道水中のカルシウムイオンと反応して、サラサラの粉になる性質があり、これを利用して洗顔料などに使われることが多い原料です。洗い上がり後にさっぱり感を与えると言うわけです。逆に、シャンプーに使われるのは結構珍しいです。

ただ、このシャンプーの良いところは、長期使っても、比較的髪が重くなりにくい点です。これは、このココイルグリシンKのさらさら感付与効果が、アミノ酸系シャンプー独特の、髪に何かが溜まってくる感じを打ち消しているのではないかと思います。

 

次はコンディショニング剤、オイル類のパート。

2018年版では、高価なスクワランオイルと2種類のコンディショニング剤(ポリクオタニウム)が配合されていたのですが、ポ ポリクオタニウム-10という、最も汎用的で低価格な成分に統合されてしまっています。ポリクオタニウム-10は、同一成分名でも結構性能が違うので、良い性能のものが見つかったと言う可能性もあるんですが、、、まぁ、普通に考えたらコストダウンされたですかね(^_^;)

 

次は防腐剤。

2018年版と全く変わっていません。この3種の防腐剤はシャンプーでは一般的なものなので、変える必要はないと言えばないのですが

今回の製品は、2年近くかけているんですから、メチルパラベンぐらいは削減してほしいもんですね。

 

最後は保湿剤のパート。

2018年の製品と較べアミノ酸の配合量が一気に減っています

2018年品はどうやら、味の素から販売されている十数種の化粧品用アミノ酸ミックスをベースに、味の素では扱っていない5種のアミノ酸(アセチルグルタミン、アセチルグルタミン酸、アセチルヒドロキシプロリン、シトルリン、グリシルグリシン)を加えて構成していたようですね。

 

今回の製品では、味の素のアミノ酸ミックスをやめて(^_^;)、アスパラギン酸だけ残し、新規にエクトインと言うアミノ棧を追加しています。

 

エクトインとはアミノ酸の一種なんですが、ある種のバクテリアが極限環境下に生息する際に、蓄えている成分とのことす。タンパク質になって身体の一部になるここはないようで、細胞膜周辺に存在し、保湿剤としてはたらいている。らしいです。欧米ではそれなりに使用実績があるようです。

 

アミノ酸以外の成分としては、まずグリコシルトレハロース。これは、スキンケアで使われることが多い成分です。保湿剤として使われるトレハロースの保湿性をさらに高めたような成分です。下のほうに出てくる加水分解水添デンプンは、これの複製生物です。

他にも糖系の保湿剤として、マルチトールや、グリセリルグリコシドか配合されています。

また、あまり好きでない保湿成分なのですが、腐植土抽出物(フルボ酸)も相変わらず使用されています。一応保湿剤として分類しましたが、効果は「オカルト」的なもので、よくわかんない効果だと思ってください。この成分は将来的には、水素水のように規制されるのではないか?と思っています(^_^;)

 

これでお終いです。

 

 

エクトインに効果があるのかはわかりませんが、アミノ酸類って大体価格が1万円/kg以上なんですよ。

なので、アミノ酸とは、価格の安いヘアケアには少量しか配合出来ない原料なんですよ。

特別に髪に吸着されやすい塩基性アミノ酸以外は、ヘアケアに効果が出るほど配合されているとは思えない。

そう考えると、塩基性アミノ酸でないエクトインは、効果があっても、それが発揮出来る程配合されているとも思えないですし。

 

2年近く空いた後の新製品なんですが、なんかこう、もう一つ新技術が欲しかったところですね。

価格がかなり上がっているのが痛い。

 

 

各成分の概要については、この後にコメントを書いておきます。

 

 

リハビリとは言え、何かスゴく時間がかかってしまった(^_^)

ジュレームシュープリームはあと、1回お付き合いください。

 

それから、_今年の日焼け止めの解析を始めます。

 

 

 

 

 

 

各成分の概要

 

洗浄剤

・ココイルグルタミン酸TEA:ココイルグルタミン酸TEAというアミノ酸系洗浄剤は、数あるアミノ酸系洗浄剤の中でも最初期に発明されたのもなのですが(40年以上前に発明された)、コンディショニング剤を髪に引きつける力は全アミノ酸系洗浄剤の中でも、最も強いです。とりあえずこれを配合しておけば、コンディショニング剤の働きがぐっと良くなって、すすぎが滑らかになり乾燥後もしっとりになるという成分です。

ただし、泡立ちは今一つで、油に合うと泡立ちがさらに落ちると言う特徴があります。あと値段が高い原料です(^_^;)

アミノ酸系洗浄剤というのは今ではたくさん有り、中には泡立ちが良いものもあるのですが、アミノ酸系洗浄剤というとなんとなく「しっとりして泡立ちが悪い」というイメージがあるのは、このココイルグルタミン酸が長い間、アミノ酸系の王道として君臨したからです。

・オレフィン(C14-16)スルホン酸Na:泡立ちが良い洗浄剤。石油由来の合成系ではあるが、使用感が良いため、ラウレス硫酸の代替として使われる事が多い。安全性は、悪くはないがラウレス硫酸並みです。

化粧品犬ブログでは以下のエントリーで詳しく扱っています。

コーセー ジュレーム アミノシャンプー モイスト&スムースの解析 前編(AOSの安全性について)

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12023051399.html

・コカミドプロピルベタイン;そこそこ安全性が高く、価格が安い両性洗浄剤。

・PPG-2コカミド:若干泡は立つのですが、主には増粘剤として働く原料です。

・ココアンホ酢酸Na:そこそこ安全性が高く、価格が安い両性洗浄剤。コカミドプロピルベタインより安全性がやや高く、泡切れも良いため、ベビーシャンプーや身体用洗浄剤に使われることが比較的多い。

・ココイルグリシンK:ココイルグリシンKは、ココイルグルタミン酸のような究極の低刺激性の素材ではないのですが、低刺激で泡立ちが良く、さっぱり感のあるアミノ酸系の洗浄剤です。

・ラウロイルメチルアラニンTEA:アミノ酸系洗浄剤の一種であるが、泡立ちが良く、肌刺激が低く、価格もそれなりに安い(両性洗浄卯剤よりは高いが)、バランスに優れた洗浄剤。名前が似ているココイルアラニンTEAとは、性能や構造は似ているが、コストや使い勝手などの点で異なる。

 

コンディショニング剤、オイル類

・ポリクオタニウム-10:もっとも良く使われているヘアシャンプー用のコンディショニング剤。別名カチオン化セルロース。コンディショニング効果のほか、線やボディソープに配合すると若干の刺激緩和効果がある。

 

防腐剤

・フェノキシエタノール:比較的低刺激な防腐剤。ナチュラル系の化粧品に使用される事も多い。

当ブログでは、安全性については以下のエントリーで詳しく書いてます。

プロピルパラベンの安全性についての文献を紹介

http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12119450565.html

・メチルパラベン:比較的低刺激な防腐剤。ただし、環境ホルモンや蓄積性の点で叩かれることも多い。環境ホルモンについては多くは根拠の無い噂であるが、蓄積性についてはファンケル社が学会で報告し、報文を出している。(ただし、防腐剤の蓄積による影響は、可能性レベル)

化粧品中の防腐剤は皮膚に残り、肌にストレスを与える(IFSCC*2005 in フローレンス中間大会)

http://www.fancl.jp/laboratory/report/17.html

・安息香酸Na:広く使われている、比較的低刺激な防腐剤。食品にも使われる。

 

保湿剤、香料類等

・水:精製水のこと。化粧品では通常、イオン交換水が用いられている事が多い。

・グリセリン:多価アルコールと呼ばれる、代表的な保湿剤。:

・アスパラギン酸Na:酸性アミノ酸の一種で、グルタミン酸に似た構造をしています。エネルギー代謝に重要な役割を果たし、疲労回復や新陳代謝の促進に効果があるとされています。

・アマモエキス:水を浄化させ、花を咲かせる海藻アマモから抽出したエキス。角層の水分保持機能を向上し、肌肌のハリと透明感を保つ効果がある。

・エクトイン:ロイシンやバリンのような、環状アミノ棧の一種で、ある種のバクテリアが極限環境下に生息する際に、蓄えている。タンパク質になって身体の一部になることはなく、細胞膜周辺に存在し、保湿剤としてはたらいている。

・グリコシルトレハロース:保湿剤であるトレハロースにグルコシル化という処理をして、より保湿性を高めた成分です。使用感的にはトレハロースを更に強力にベタベタにした感じですが、高い保湿効果を持っており、少量でも効果があります。

・ハマナス花エキス: 北海道の道花として知られるハマナスの華から取ったエキス。ビタミンCやポリフェノールが豊富で、古くから生薬として利用されてきた。化粧品としての効能は、抗酸化や抗糖化で、アンチエイジング化粧品に使われる。

・マルチトール;トウモロコシや、じゃがいも、さつまいもなどを原料とした甘味料の一種で還元麦芽糖と呼ばれることもある、化粧品では保湿剤として用いられる。

・腐植土抽出物:フルボ酸のことです。フルボ酸は沼とか湿地とかの土壌を分析するために、いろいろと分離していって得られる、最後の不純物です。最後に残った不純物なので、単一の成分では無く混ざり物であり、成分も一定していません。一定してなのでなんともいえないのですが、そもそもどこの土から採取したかで、組成も変わると思われます。こんなものなのに、一定の効果が測定できるはずもなく、「何か効果があるのでは」とか願望が言われている不思議な原料です。いわば、ファンタジー原料ですね。しかし、化粧品だけで無く、怪しい食品にも使われています(^_^;)

・BG :多価アルコールとも呼ばれる、グリセリンの親戚のような保湿成分です。若干の抗菌性があります。

・EDTA-2Na:一般的なキレート剤。製品の品質変化を防ぐ。

・イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油;油を可溶化する効果が、特に強い乳化剤。コーセーでは一部のジュレームシリーズの他、オレオドールに使用されている。

・エタノール:エタノールです。過去には変性剤を加えた変性アルコールが使われていましたが(変性すると酒税が回避されて安くなった)、税制が変更されて変性アルコールが値上がりしたため、現在は変性アルコールは使われず、ただのエタノールを使うのが主流になっています。

・クエン酸:pH調整剤

・グリセリルグルコシド:酒造会社の白鹿が発見した日本酒由来の保湿剤で実際には酵素法で生産されています。機能としては美白効果やターンオーバー促進などの、アンチエイジングですね。

・加水分解水添デンプン:グリコシルトレハロースの副生成物で、必ず揃って表示されることになってます。

 

 

 

こんな感じになりました。