コーセー ジュレーム アミノシャンプー モイスト&スムースの解析 前編(AOSの安全性について) | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

(2016/9/16追記)
このエントリーは2015/1/13に発売された、ジュレームアミノシリーズについてのエントリーです。
関連エントリーは以下の3編あります。
コーセー ジュレーム アミノシャンプー モイスト&スムースの解析 前編(AOSの安全性について)
コーセー ジュレーム アミノシャンプー モイスト&スムースの解析 後編(処方内容について)
コーセー ジュレーム アミノトリートメント モイスト&スムースの解析

2016/8/22にリニューアル発売された、新しいジュレームアミノシリーズの解析は以下のエントリーになります。
コーセー ジュレームアミノモイスト&スムース(2016)解析1 シャンプー・トリートメント概要編
コーセー ジュレームアミノモイスト&スムース(2016)解析2 シャンプーの処方解析編
コーセー ジュレームアミノモイスト&スムース(2016)解析3 トリートメントの処方解析編

以下、本文になります。

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化粧品犬です。

今回はコーセーさんのジュレーム アミノ シャンプーモイスト&スムースを取り上げます。
これからジュレームシャンプーを取り上げていこうと思うのですが、とりあえず青いやつから、ということです。

このシャンプー、私はかなり良いシャンプーだと思ったのですが。
ネットでは超叩かれてますね。
@COSMEでは、口コミは86件と少ないのですが、点数は4.1点となかなかです。
とりあえず写真。今回はトライアルセットを購入しました(^_^;)



いつもなら「処方の整理に入りましょう!」とするのですが今回はちっと違う話をしようと思います。

それはこの商品に使われている成分である、オレフィン(C14-16)スルホン酸Naについてです。
化粧品屋の間ではこの素材は「AOS」(エーオーエス。α-オレフィンスルフォネート)と呼ばれることが多いので、以下AOSと呼びます。

ネットの非難は、この素材に集中しているようです。
それはこの商品のうたい文句が問題で「サルフェート(ラウレス硫酸など)フリー」とやっちゃんてるんですね(^_^;)
これは、本当に弁護のしようも無くて、コーセーさん(のマーケッター)が悪いです。
AOSはα-オレフィンスルフォネートと言う呼び名ではありますが、>明らかにサルフェート系です。
確かに、馬鹿にするのも程があります( ´Д`;)

ネットではそこから、たぶん悪い素材だからウソつくんだろ?と言う論調になりがちです。

私も読者登録させていただいている、かすのすけさんも批判気味です。
なんか、ネタがかぶりがちで申し訳ないですがm(_ _)m

確かに数年前にサロン向けシャンプーでこの原料は流行し、その流れが一般品に来てジュレームになったと思いますが。
しかしこの原料は、もーっと古くからありまして。実はライオンさんの渾身の開発品です。
以前も書きましたが、ライオンさんは化粧品原料を作っている会社でもあるのです。
コーセーさんがライオンさんの原料を使う・・・ってなんか微笑ましいですね(^_^;)

そのライオンさんが、1970年の初頭に開発したのがこのAOSです。
そこから、ライオンさんが衣料用や台所用に使いまくってきて、今に至っているのです。
使用実績40年以上ですよ。決してぽっと出の活性剤ではありません。
ライオンさんのCSRのページにも
「当社は、昔から“研究者魂”を有する企業であり、生分解性に優れた「AOS(アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム)」という成分も独自に開発しています。」
と言う感じで出てきますね。

半世紀近く前に開発され、その生分解性の良さで日本の自然を守って来たのは驚異です。
いろいろなマイルド界面活性剤が出てきた後、近年急に流行ったのも、逆に新たな驚きでした。

まあ泡立ちが良くて使い勝手が良いので。
私も会社時代は、処方作成に何度も利用させていただきましたm(_ _)m

そこで気になるのは安全性なんですが。
個人的経験では全く問題なし、ではあるんですが。
50年近い家庭でに使用実績も、たぶん問題ないことを示してるんですが。

やっぱり確認したいじゃないですか。(そういえば会社にいた時も、そこチェックした事が無かった)

というわけで、調べてみました。
「AOS ライオン」
で、いくらでも見つかります。

でもJSTAGE(論文検索サイト)が多いんですよ。

ココの直リンは規約違反になる可能性があるので、私がデータをメモってエクセルでグラフにしました(^_^;)
AOSとLESとアルキル硫酸塩の直接比較が出来ます。1972年の投稿論文で、昔なので思いっきり動物実験結果です(^_^;)


表から、AOSとLESは10%ぐらいまでなら無刺激、30%になると刺激が出始める事が分かります。
アルキル硫酸塩は10%から刺激が出始める。
最も古いアルキルベンゼンスルホン酸はダメダメと。
ちなみに動物の皮膚は人間より薄く、反応が出やすいです。


ラウレス硫酸と比較出来ないのが難点ですが、充分な安全性と言えるでしょう
(シャンプーに使われる全界面活性剤量は、10-15%ぐらい。この濃度設定は良いところついてます)

ちなみにこの元文献は、JSTAGEにいって
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/
「富山新一 新しいマイルドな界面活性剤」
で検索すれば、すぐに閲覧可能です。

AOSとLESの開発ストーリーとかは、
「山根厳美 AOSの開発について」
で検索すれば、同様に閲覧可能です。
石油化学華やかなりしころの感じがして、ぐっときますよ(^_^;)


次回は、処方解析に入ります(^_^;)